ガールズバンドの子たちに甘やかされる日常【完結】   作:薮椿

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 Roseliaって他のガールズバンドと比べて年上でお姉さんタイプが多いから、甘やかされたいって人が多そうですね()


Roseliaに甘やかされる

 僕の生活リズムはニートだからと言って、早朝に寝て昼過ぎに起きるような不規則なサイクルではない。別にニートなんだからいつ寝ていつ起きようが関係ないと思う人がいるかもしれないけど、これはただ単に気分の問題だ。何となくだけど、朝に起きて夜に寝るサイクルの方が1日が長い気がしない? 朝に寝て昼に起きると1日の半分を潰してしまったような感覚に陥り、『もう午後だ……』と軽くショックを受けてしまう。いつ寝ていつ起きようが僕の睡眠時間も活動時間も変わらないんだけど、感覚的な問題で1日の時間が全く違うように感じちゃうよね。

 

 ニートでも1日1日を大切にしてるから、僕自身生活サイクルを崩さないように努めている。

 だけど、僕がそのサイクルを意識しようがしまいが、朝になると目覚めてしまうのが常となっていた。

 

 どういう意味かって? それは――――

 

 

「ゆ、友希那ちゃん!? どうして僕のベッドに入ってるの!?」

「おはよう、秋人(あきと)。お目覚めはどうかしら?」

「おはよう。暖かいしいい香りだし最高――――じゃなくて、どうして添い寝してるのかって聞いてるんだけど!?」

「最高……。そうね、あなたは私を抱き枕にするどころか、寝惚けながら私のカラダの隅々まで弄って……最高だったわ」

「お願いだから会話しよう? ね……?」

 

 

 目覚めた瞬間に友希那ちゃんと目が合ったんだけど、もしかして添い寝しながらずっと見つめていたのだろうか……。

 友希那ちゃんが勝手に添い寝してくるのは過去に何度もあった。さっきポロっと本音が出ちゃったように嬉しいのは嬉しいんだけど、こうしてベッドの中で顔を合わすたびに、やれ昨晩はお楽しみだっただの、やれカラダをめちゃくちゃにされただの、ありもしない嘘をついては僕を困らせてくる。もう聞きなれたから困るどころか呆れてるんだけど、ここまで積極的にアピールしてくるってことは、まさか本当に……? い、いやそれはないか……多分。

 

 

「あなたを起床から睡眠までをサポートするのが私の役目だから、あなたは何も気にせず私に身を委ねればいいのよ」

「女の子にここまでくっつかれたら、男なら誰でも気になると思うけど……」

「なるほど、秋人は私をオンナとして見ている訳ね」

「さっき"女"のイントネーションがねちっこくなかった……?」

「ちょっと何を言っているのか分からないわね。日本語が分からないから」

「またベタな言い訳を……」

 

 

「そうだね。友希那の言ってること、ちょ~っと間違ってるかなぁ~」

 

 

「わっ、リサちゃん!?」

「おはよう秋人! もう少しで朝ご飯できるから、もう少し待っててね」

 

 

 いつの間にベッドに忍び寄ったのか、リサちゃんに後ろから声を掛けられ思わず驚いてしまう。

 リサちゃんは制服+エプロンという、健全な男子なら誰もが夢を見る格好を披露していた。特にエプロンの裾の部分とスカートが重なって、同時にひらひらしている様はヤバい。リサちゃんの見た目だけでも興奮が唆られるのに、そこから見える綺麗な生脚のせいで全体が扇情的に見える。そもそもスタイルからしてエロい彼女に、制服+エプロンなんて組み合わせは卑怯すぎでしょ……。

 

 

「そういえば、さっき友希那ちゃんの言ってることが間違ってるって言ったよね? やっぱり添い寝されてると起きた時の衝撃が大きいから、そろそろ自重すべきだって言ってあげ――――」

「友希那、秋人の起床から睡眠をサポートするのが"私"って言ったでしょ? それは"私たち"の間違いだよ」

「えっ、そっち!?」

「確かに、言葉足らずだったわ。秋人を何1つ不自由なく生活してもらえるよう、ご奉仕するのが私たちの役目。秋人の寝顔が可愛すぎたせいで少し正気を失ってたわ。ゴメンなさい、リサ」

「うんうん、分かればよろしい!」

 

 

 こうして僕をダメ人間にする計画は、Poppin'PartyやRoseliaだけでなく他のバンドグループにまで普及している。

 その中でもRoseliaの子たちは大人っぽいお姉さんキャラも多く、言っちゃ悪いけどポピパの子たちよりも激しいお世話にならない――――――と思っていた時期が僕にもありました。

 

 リサちゃんは僕にウインクをしてキッチンへと向かう。

 同時に、背後から謎の気配を感じたので後ろを振り向いた。

 

 

「あ、あのぉ……そろそろお着替えの方を」

「うわっ、り、燐子ちゃん!? いつの間にそこに……」

「す、すみません! 秋人さんがいつ起きてもいいように、ずっとお傍にいたのですが……」

「秋人はヒドい子ね。燐子を放置プレイだなんて、趣味がいいのか悪いのか」

「うん、友希那ちゃんはちょっと黙ろうね」

 

 

 僕を抱き枕にしている友希那ちゃんは、卑しく微笑みながら僕を偏屈性癖に持ち主に仕立て上げようとしている。もういつものことだから慣れっこだけど、燐子ちゃんはその手の話題には弱いんだから自重して欲しいよ。

 

 燐子ちゃんは他のみんなとは違って至って健気で、僕へのお世話も無難に熟してくれる。それが普通のことなんだけど、その普通のことで安心している辺り、他のみんなのお世話がまともではないことが分かってもらえると嬉しい。例えばほら、未だに僕から離れない友希那ちゃんとか。あまり強く抱きしめられると、彼女の控えめな胸でも形を感じられるから、思わず欲求が高鳴ってしまいそうだ。

 

 

「秋人さん、お着替えをお持ちしました。まず、パジャマのボタンを外しますね」

「う、うん……」

「……? どうか……されましたか?」

「い、いや何でもないよ何でも! あはは……」

 

 

 燐子ちゃんは僕の背後から腕を回してパジャマのボタンを外そうとしているんだけど、そうすると必然的に彼女から抱きしめられる形となる。つまり、ガールズバンドでも1、2を争うほどの豊満な果実が僕の背中に押し付けられることに……。マズい、彼女の服装が薄着のためか、その胸が僕の背中で自在に形を変える感触まで伝わってくる。3度の飯よりおっぱいが好きな僕にとって、これを我慢することは拷問に近い。素直に気持ちよさに浸れたらどれだけ楽だろうか……。

 

 だって、あの純粋無垢な燐子ちゃんに『おっぱいが当たって気持ちいいよ、ぐへへ』なんて言える訳ないじゃん! そんなことをしたら世界史に残るほどの重犯罪だよ!!

 

 そうやって僕が耐え忍んでいることなんて知らず、燐子ちゃんは次々と僕のパジャマのボタンを外していく。上から順番に下へ、そのたびに彼女の胸が僕の背中をスライドする感触も心地良かった。興奮が暴発する前に少しでも背中と胸の距離を離したいのは山々だけど、この感触を味わいたいという欲望塗れの自分もいる。女の子におっぱいを当てながら着替えさせてもらうって、まさにご奉仕だよこれが。

 

 それに前からは友希那ちゃん、後ろからは燐子ちゃんに抱き着かれているためか逃げることはできない。だから僕は永遠にこの生き地獄、または極楽天国を堪能させられる。どちらにせよ死ぬ気で欲求を抑え込むしかないか……。

 

 

「あぁぁああああああああっ!? りんりんと友希那さんが秋兄にハグしてる!! あこもやりた~い!!」

「あこちゃん!? い、いやそんな遊園地のアトラクションみたいに言わないで……」

 

 

 隣の部屋から出てきたのは、Roseliaのムードメーカーであるあこちゃんだ。

 紛うことなきロリっ子で、こうして自分の家に上げていること自体が犯罪に思えてくる。まぁ、いつもあこちゃんの方から勝手に家に上がり込んでいるんだけどね……。

 

 

「友希那さん! いつまで秋兄に抱き着いてるんですか!?」

「許しが出ている限り永遠によ。いや、許しが出なくても永遠にこうしてるつもりだわ」

「秋兄の寝起きまで見られたんだからもう十分じゃないですかぁ~! 早く変わってください!」

「もう少し、あと1時間」

「それ練習時間になっちゃいますよぉ~!!」

「あ、あの、友希那さんもあこちゃんも落ち着いて……」

 

 

 なんだろう、友希那ちゃんもあこちゃんも、玩具を取り合う幼稚園児のようなやり取りをしている。あこちゃんが友希那ちゃんにここまで突っかかるのは珍しく、友希那ちゃんがここまで頑固になるのも珍しい。それだけ(おもちゃ)で遊ぶのが好きなのか……。もう燐子ちゃんが幼稚園児を見守る先生みたいだよ。

 

 友希那ちゃんとあこちゃんの幼稚園児姿か―――――ダ、ダメだ! 友希那ちゃんはともかく、あこちゃんは普通に似合いそうだから犯罪臭が半端ない。余計な想像を膨らませちゃうと次回のオナネタがロリモノになりかねないので、ここでなんとか振り切らないと!!

 

 

「さっきから騒々しいですよ。近所迷惑でしょう」

「紗夜ちゃん? どこにいたの?」

「隣の部屋です。宇田川さんと一緒に掃除をしていたのですが、那須原(なすはら)さんの部屋が騒がしいと彼女が飛び出して言ったものですから、私も様子を見に来ました。結果はまぁ、大方予想通りでしたけど……」

「ゴ、ゴメン……」

「いや、別に那須原さんが謝ることではないですが……」

 

 

 こうして友希那ちゃんやあこちゃんの暴走を止めるのは、いつも紗夜ちゃんの役目だ。燐子ちゃんやリサちゃんは性格上そこまで強く叱るタイプではないので、もはや紗夜ちゃんこそRoseliaの良心と言ってもいい。彼女がいなかったら僕は間違いなくお騒がせ2人+何故か今でもずっと背中に胸を押し付けている燐子ちゃんに揉みくちゃにされていただろう。リサちゃんはリサちゃんでキッチンからこちらの様子を見てクスクス笑ってるだけだし、Roseliaって本当に誇り高き孤高のバンドって言われてるのかな……?

 

 

「湊さん。いつまでも那須原さんに抱き着いていないで、こちらの掃除を手伝ってください。那須原さんの身の回りのお世話をすること、それがガールズバンドとしての使命なのですから」

「そこまで仰々しく言わなくても……」

「ご奉仕ならしてるわよ。秋人に快適な朝を迎えてもらうために、こうして私の抱き枕になってもらっているんじゃない」

「確かに女の子に抱きしめられるのは暖かくて好き、というか大歓迎だけど、それを言うなら自分が抱き枕になるんじゃ……」

「あこは秋兄とりんりんにギュってしてもらいた~い! そうやってあこを抱きしめてる秋兄を友希那さんが抱きしめる……うん、いい考え!」

「天才だわ、あこ。こうすることで、誰も不幸になることなく幸福を感じられるわね」

「は、恥ずかしいですけど、私も頑張ります!」

「何を言ってるのですかあなたたちは。白金さんまで……全く」

 

 

 友希那ちゃんと燐子ちゃん、それにいつの間にか2人の隙間から僕に抱き着いていたあこちゃんは、3人同時に抱擁の力を強くする。もはや3人は自分のカラダのどこが僕に当たっているのか、そんなことは全く気にしていないのだろう。いや、気付いていてわざとやっている可能性も無きにしも非ずか。どちらにせよ、食べちゃいたいくらいの柔らかい二の腕、むしゃぶりつきたくなるような太もも、今にも鷲掴みにしたい衝動に駆られる胸など、女の子のあらゆる柔らかいところが僕の全身を包んでいた。

 

 ダメだ、ただでさえ寝起きで下半身に血の気が溜まって――――いわゆる"朝立ち"の現象が起こってるのに、それが発散できないままこれだけの女の子に擦り寄られると……本当に爆発する!!

 

 

「とにかく、今井さんがもうすぐ朝食を作り終えるので、それまでに各部屋の掃除を済ませてください。湊さんも宇田川さんも、そして白金さんも」

「わ、私もですか……!? 私は秋人さんのお着替えを手伝う役目が……」

「それは私がやっておきます」

「えっ? それって氷川さんが単にやりたい――」

「私がやっておきます」

「…………はい」

 

 

 押し切った! 燐子ちゃんが威圧に耐えられない子だからって、無理矢理押し切ったよこの子!!

 とは言っても燐子ちゃん自身もこの騒ぎの一端となったのは事実。本人もそれが分かっているのか、渋々ながら僕の背中から離れた。友希那ちゃんもあこちゃんも不服そうな顔をしながらも、ガチ粛清モードに入った紗夜ちゃんには抵抗できないと知っているので、名残惜しそうに部屋の掃除へ向かった。

 

 あぁ、なんだか急に寒くなった気がするよ。さっきまで女の子たちの抱き枕になっていたせいか、彼女たちの暖かい体温を僕も共有していた。女の子のありとあらゆるお肉が僕のクッションにもなっていたため、それが全て離れてしまったために思わず身震いしてしまう。

 

 

「寒いのですか? それでは早く着替えを済まさなければいけませんね。お手伝いしますから、下も脱いでください」

「し、下!? そこは自分でやるって!!」

「那須原さんのお手を煩わせる訳にはいきません。ほら、早く脱いでください」

「ちょっ、引っ張らないで! 僕のズボンひっぺ替えして何をするつもりなのさ!?」

「それはお持ち帰り――いや、着替えの手伝いです」

「言い直しても遅いからね!? 欲望全部口に出ちゃってるよ!」

 

 

 紗夜ちゃんが執拗に燐子ちゃんを掃除へ行かせるよう強制したのはこのためだったのか。いや、こうなることは過去の経験上からなんとなく予想できたけどね。

 紗夜ちゃんはみんながいる前だと超常識人で良心でもあるんだけど、僕と2人きりになった途端にボロが出ちゃうことが多い。程度の違いはあれど、結局みんなどこかのネジが外れちゃってるみたいだ。

 

 それにこうやって冷静に解説してるけど、意固地な紗夜ちゃんをここからどう言い包めようか……。

 

 

「もう紗夜ったら、そんなにがっついたらそりゃ秋人も驚くって」

「今井さん……。那須原さんのお食事の用意は終わったのですか?」

「ほとんどね。あとはオーブンのタイマーが止まればそれで完了!」

「なるほど。それでは早く那須原さんのお着替えを済まさなければなりませんね」

「だ~か~ら! 男の子の事情も考えてあげなって。ね、秋人」

「えっ、あぁ、うん、そうだね……」

 

 

 思わぬところから助け船が出されたけど、リサちゃんの言っていることの意味が分からない。でもこのままだと紗夜ちゃんにズボンを奪われるばかりか、情けなく下着姿を晒すハメになるので、とりあえずその船に便乗させてもらおう。Roseliaのお姉さんでもありお母さんでもあるリサちゃんなら、余計な騒ぎを起こすことはない……はず。

 

 でも、その考えはすぐに払拭される。なぜならリサちゃんは口角をあげて、何故か不敵な笑みを浮かべていたからだ。

 

 

「男の子にはね、朝の生理現象ってものがあるんだよ」

「あ、あれ……? なんか不穏な流れに……」

「今井さん! そ、それって……!!」

「紗夜もようやく気付いたみたいだね。という訳で秋人、お姉さんがその興奮を鎮めてあげよう!」

「えっ、ちょっと!? リサちゃん!?」

「逃げるな逃げるな。ほらほらいい子だねぇ~」

「む、胸が……!!」

 

 

 リサちゃんは僕を赤ちゃんをあやすように抱きしめる。年相応以上に成長している自慢の胸を武器に、僕を快楽攻めさせようとしているのは恐らくリサちゃんの作戦だろう。彼女が僕を甘やかす時は、こうして己の武器を巧みに駆使して僕をトリップさせようとする。そうして気付いた頃には、僕はリサちゃんのいい玩具に……。

 

 

「ほ~ら、いい子だから脱ぎ脱ぎしようね」

「ま、待って! 今は本当にマズいんだって!」

「マズいから私が鎮めてあげるんだよ? 私のどこを使いたい? 口、胸、太もも、足、趣向を変えて髪? それとも、()()()を期待してるかのかなぁ~?」

「う゛っ……」

「よく考えてみれば、秋人にとっては女の子が朝ご飯だったね」

「そんなヤリチンみたいに言わないでよ!?」

 

 

 最初は紗夜ちゃんと止めてくれるものとばかり思ってたけど、まさかここでリサちゃんのスイッチが入っちゃうとは……。下着が見えるか見えないかのギリギリのラインまでスカートを捲って誘惑してくるくらいだもん。

 逆にここで止めてくれるのが紗夜ちゃんなんだけど、紗夜ちゃんは顔を赤くしながら僕とリサちゃんのやり取りを見ているばかりで役に立たない。やっぱり紗夜ちゃんも僕のズボンを奪うだけでなく、()()()()()も期待していたのか……??

 

 

「あれ、今日はいつもよりズボン膨らんでない? さぁ~て、昨晩は誰を想像してヤったのかなぁ~?」

「そ、そんなことなんて……する訳ないじゃん?」

「ふ~ん……。紗夜、隣の部屋の掃除をしていて気になったことあるでしょ?」

「えぇ、男性の部屋なのに女性モノの下着が落ちていました」

「え゛っ、昨日のオカズはそれじゃないはず――――――って、あ゛っ!?」

 

 

 やってしまった。リサちゃんも紗夜ちゃんもしてやったりの顔で、僕を捕食する獣のような目で見つめてくる。

 2人のコンビネーションにしてやられた僕は、あまりの焦りに寝起きなのに汗が大量に溢れていた。確かに僕は昨晩己の性欲を発散した。でも、なるべくなら女の子たちにその情事を知られたくはない。深い理由がある訳じゃなく、ただ単に女の子に自分の性事情を話すなんて後ろめたいって話だ。

 

 しかし、知られてしまった。そう言っても既に周知の事実みたいになってるけど、こうして罠に嵌めらた上で自分の性事情を大っぴらにされると羞恥心が半端ない。

 

 ダメだ。このままだと、ベッドの上で絞り尽くされる……!!

 

 

 すると、どこから聞きつけたのか、腕組みした友希那ちゃんが如何にも怒ってますよオーラを醸し出しながら僕の元へやって来た。別の部屋の掃除をしているはずだったのに、もしかして聞き耳を立ててた……?

 

 

「秋人。私、怒ってるわ」

「ゴ、ゴメン。男の性事情なんて暴露されても気持ち悪いだけだよね……」

「どうして1人で処理したの? 私たちを呼んでくれれば、いつでも相手をしたと言うのに」

「そっち!? それにいつでもって……」

「嘘偽りはないわ。そうでしょ、リサ、紗夜?」

「うん! 性欲に駆られて悶々としたらすぐに連絡してね。いつでも飛んでくるよ?」

「そうですね。秋人さんに何1つ不自由はさせませんから。日常生活であろうとも、夜の事情であろうとも」

「こういうことよ」

「どういうこと!?」

 

 

 ダメだ。このままだと本格的に精の搾取をされ兼ねない。しかもガールズバンド屈指のドSと名高いこの3人のことだ、僕をベッドに張り付けにして精がすっからかんになるまで搾取し続けるだろう。まぁそれはそれで興奮できるシチュエーションだけど、ここで流されたらこの先一生そのシチュエーションでしか満足できない身体になるかも……。

 

 自分はどちらかと言えばM思考の持ち主だと思うけど、だからと言って女の子の玩具にはなりたくない。ニートにプライドもへったくれもないのは承知だけど、この塵に等しいプライドだけは絶対に守らないと! 男性版ダッチワイフは嫌だ男性版ダッチワイフは嫌だ男性版ダッチワイフは嫌だ男性版ダッチワイフは嫌だ男性版ダッチワイフは嫌だ――――――!!

 

 

「友希那さん! サボってないで部屋の片づけを――――って、あぁぁあああああっ!? またあこがいないところで秋兄といちゃついてる!!」

「あこちゃん、いちゃついてないからね。イジメられてるんだ」

「イジメているなんて心外ね。秋人なら私たちを好きなように使っても構わない。つまり、立場的にはあなたの方が上なのよ?」

「女の子を自由にできるなんてそんな羨まし――――じゃなくて、僕がベッドの上で取り囲まれてるこの状況を見ても同じこと言えるの……?」

「ねぇねぇ、あこも混じっちゃダメ? 他のみんなとは違って身体もちんちくりんだけど、下の方は狭くてキツくて締りも――――」

「だぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁああああああああああああああっ!! それ以上は言っちゃダメ!!」

「えぇ~事実なのに。秋兄もそっちの方が好きでしょ……えへへ」

「う゛、ぐっ……事実だからこそダメなんだよ!」

 

 

 もうほとんど言いかけてた気もするけど、さっきのあこちゃんのセリフは今日の騒動の中でも1、2を争うほどヤバい発言だ。最近の世間は男に対する風当たりが強く、今回のように明らかに女の子側が騒動の種だというのに、何故か男のせいにされたりする。通学中の女の子に挨拶するだけでも通報されるくらいだから、もう女の子と会話することすら許されない世の中となっている。

 

 まぁ、ニートの僕は外に出ないから関係ないんだけどね。それでもあこちゃんの危険な発言は本能的に止めた方がいいと察知したのだ。

 

 

「あ、秋人さん、私も良ければお手伝いします……」

「燐子ちゃん、またいつの間に隣に……」

「Roseliaのみんなを選り取り見取りなんて、贅沢な男の子だね秋人は! でも、私たちがこんなことをするのは秋人だけなんだから」

「私、男性の方は苦手ですけど、秋人さんだけは平気です……。なので、頑張りますね」

「白金さんが男性に対してここまで積極的だなんて、やはりRoseliaの成長には那須原さんが必要不可欠ですね」

「Roseliaは頂点を目指す存在よ。それはバンドだけでなく、あなたへのご奉仕でも頂点を極めるわ」

「輝かしい夢と欲望に塗れた欲求を同じにされると、僕にもちょっと罪悪感が……」

「心配ないよ秋兄。だって、秋兄の幸せはあこたちの幸せなんだから!」

「そ、そう……」

 

 

 なんかいい話に聞こえるけど、要するにこれって僕を今から襲おうとする口実を作ってるだけじゃない……? 彼女たちの好意を素直に受け取れよと文句が飛んできそうだけど、みんなの目を見ていれば分かる。ずっと僕の下半身を見てるから。しかも卑しい眼光で。Roseliaの夢は確かに素敵だけど、そんな目をしてたらガールズバンドとしての誇りも輝きもあったもんじゃないよ!!

 

 

「あっ、オーブンが止まったかな? ねぇ、秋人とヤるのは朝食の後にしようよ。朝食冷めちゃうしね」

「そうですね、私も賛成です。秋人さんにはたっぷり食べていただかないと、激しく動けませんから」

「ちょっ、僕に何をさせるの!?」

「食後の運動……でしょうか? き、緊張しますけど、秋人さんなら私……」

「顔赤いよ燐子ちゃん!? 妄想し過ぎだって……」

「あこたちが練習中に考えた、秋兄へご奉仕するための最強フォーメーションを見せてあげるね!」

「いやいや練習しようよ!? CiRCLEでそんなことしてたら怒られるでしょ!?」

 

 

 Roseliaは誇り高きガールズバンドで、練習中も余計な無駄口は叩かず練習に集中していて超真面目――――だと思ってたよ、最初はね。それ以外にも、どうやらCiRCLEでは定期的にガールズバンドたちが集まって謎の集会が行われているらしいんだけど、どんな議論がなされているかは機密事項。それは僕も知らないし、知りたくもないけどね……。

 

 

「ここはみんなの意見を汲み取って、先に朝食にしましょう。もちろん秋人は何もしなくてもいい。私たちが手ずから食べさせてあげるから、あなたはメイドを使役するご主人様のようにどっしり構えていればいいわ。それにもし希望すれば口移しでも構わないし、むしろそっちの方が歓迎よ」

「い、いや、普通でいいです……」

「あなたがそう言うのなら従うわ。さて、それじゃあ今日もガールズバンドとしての頂点を目指すため、Roselia、行くわよ」

 

 

 友希那ちゃんを先陣に、Roseliaのみんなが声を合わせて意気込みを込める。

 正直、僕への奉仕とガールズバンドの頂点ってどんな因果関係があるんだろう……? と思いつつ、みんなの寵愛を素直に受け入れちゃうから、やっぱり僕ってプライドないよね……。

 




《主人公の紹介》
【名前】那須原(なすはら) 秋人(あきと)
【職業】ニート
【性格】SよりのM
【特技】止まぬ性欲、ツッコミスキル
【口癖】ダメだ……、マズい……


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 第1話にたくさんの評価、感想をありがとうございます!
 ハーメルンのランキングをちょくちょく監視していたのですが、なんと1話投稿日の月曜日から金曜日の5日間もランキングに滞在していました。これもバンドリというコンテンツの人気と、意外とハーレム好きが多いって証拠ですかね? こちらも合わせて感謝します!


 次回はPastel*Palettes編です。


 この小説が気に入られましたら、是非お気に入り、感想、評価をよろしくお願いします! 
 小説を執筆するモチベーションに繋がります!

【高評価をくださった方々】
チアトさん、咲野 皐月さん、仮面ライダーウルムさん、ゴルゴムと乾巧の仕業さん、アテヌさん、ネインさん、秋田麻弥さん、とりっぴさん、ようやくサラダの逆さん、深々さん、新庄雄太郎さん、ミルクココアさん、mokkeさん、空想劇さん、三日月重教さん、プロスペシャルさん、雨西さん、ルートさん、Clear2世さん、セイモスさん、ユダキさん

ありがとうございました!



更新予定等は以下のTwitterにて
https://twitter.com/CamelliaDahlia
Twitterアカウント名「薮椿」(@CamelliaDahlia)で活動しています。
 

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