ガールズバンドの子たちに甘やかされる日常【完結】   作:薮椿

5 / 28
 この暴走こそがハロハピって感じがします()


ハロー、ハッピーワールド!に甘やかされる

 

「今日は秋人にせっくす……? っていうのを教えてもらおうと思って来たの!」

「ぶっ、こころちゃん!? いきなり何言ってるの!?」

 

 

 この開幕爆弾発言は、如何にもハロハピらしいロケットスタートだって思うよ……。

 今日僕の家にやって来ているのは、ガールズバンド界隈でも変人ばかりが集まっていると言われる『ハロー、ハッピーワールド!』の子たちだ。彼女たちのライブはいつも奇想天外で、ライブ中に会場内を飛んだり、観客たちの波の中を泳いだりは日常茶飯事。ある時はスカイダイビングをしながらライブをしたって話だから、彼女たちの行動に予想を立てられる人はいないだろう。

 

 だからこそ、さっきのこころちゃんの発言も予想外過ぎて、思わずジュースを噴き出すなんて古典的な驚き方をしてしまった。さすが、ガールズバンドの台風の目と言われるだけのことはあるね……。

 

 一応擁護しておくと、こころちゃんは純粋無垢な子で、俗に言われる穢れた知識は一切持ち合わせていない。『セックス』という単語すらもたった今知ったくらいだ。

 ただ、純粋無垢で好奇心旺盛な性格が災いして、僕に火の粉が降りかかっているのが今の状況である。あぁ、R-18本をしっかり隠しておかなかったせいで、まさかこんな事態になるなんて……。

 

 

「あら? この本だと、女の人が男の人を膝枕しながら胸を吸わせて、下半身を手でしこしこしてるシーンがあるわね。もしかして秋人、あたしたちにこれをやって欲しいのかしら?」

「え゛っ……!? そ、そりゃやってくれるならやって欲しいけど……って、今のなし!!」

「分かったわ! 秋人の笑顔のために、私が腕を振るってあげる!」

「え、笑顔って言うよりイキ顔になっちゃう気も……いや、なんでもない」

 

 

 こころちゃんにバブみを感じるって人は少ないだろうけど、意外や意外、彼女はそこそこスタイルがいい。胸も大きいし、全体的にもっちりとした肉質感だってことは彼女の身体をまじまじと見つめていればすぐ分かる。それに、こころちゃんはイイトコの令嬢だ。お嬢様に膝枕をされながら性欲処理って、それほど極楽なシチュエーションがあるだろうか。いや、ない。

 

 

「こころ~ん! 何見てるの??」

「あら、はぐみ。秋人が持っていた保健の教科書を見てお勉強中よ!」

「わっ! 裸の男の人と女の人がこんな――――って、これは何をしてるのかなぁ?」

「さぁ、でも2人共すっごく興奮してるっぽいし、とっても楽しいことよね!」

 

 

 マ、マズい!! はぐみちゃんまで登場した挙句、また性知識に疎い子が来たせいで話がややこしいことに……。

 実はこころちゃんにエロ本を見られた時に、下手に追及されないよう『それは保健の教科書だよ』って嘘を付いたんだけど、それこそが運の尽きだった。まさか『あたしは保健の成績が良くないから、秋人に教えてもらうわ!』なんて言い出すとは想像もしてなかったよ。ガールズバンドのみんなの言動は予想できないことが多いけど、こころちゃんだけは別格だ。そこにほぼ同格のはぐみちゃんが加われば、場が混沌とするのはもはや自明の理だった。

 

 

「それじゃあ早速やってみようよ! はぐみがあきくんを脱ぎ脱ぎさせてあげるね!」

「はぐみちゃん!? ズボンに手をかけないで!!」

「そもそも、あきくんパジャマのままだよね? もうお昼なのにそんな格好してちゃダメだよ!」

「だって今日はどこも出掛けないし……って、今日もか……」

 

 

 僕はみんな(主に彩ちゃんと千聖ちゃん)から外出禁止令が出されているため、外に出ることはできない。事実上の監禁なんだけど、元々僕には外に出る用事なんて皆無だったりもする。だって生活必需品を始め、趣向品までみんなが買ってきてくれるから、わざわざ僕が外に出る必要がないんだ。唯一あるとすれば、とてもじゃないけど女の子に見せられないエッチな本を買う時くらいだ。まぁパスパレのみんなが来た時が特別な状況だっただけで、いつもはネットで注文するからその用事が発生すること自体が珍しいんだけどね。

 

 とにかく、早くこの状況を打破しないと、こころちゃんとはぐみちゃんに性指導をするはめになってしまう。純粋なこの子たちに性知識を叩き込むって、世界史上に残る犯罪になっちゃうよ……。

 

 

「おやおや、子犬くんに子猫ちゃんたち。集まって何をやっているんだい?」

「薫ちゃん……。い、いや、何でもないよ何でも!!」

「あら、薫も来たのね!」

「薫くんも一緒にお勉強しよう! はぐみ、勉強は苦手だけど、あきくんが教えてくれるなら頑張れるよ!」

「秋人が教えてくれるのかい? それは興味深いねぇ」

 

 

 マズい。俗に言われる3バカが集まってしまったせいで、混沌としていた空気が更に渦巻いてしまう。

 最悪、そのエッチな本に何が描かれているのか、男と女が何をしてるかくらいは話したって構わない。もちろん恥ずかしいんだけど、それ以上にこころちゃんたちにあれこれ質問をされて、それに答えるって状況が物凄く恥ずかしいんだ。純粋な子ほど恐ろしいとは良く言ったもので、子供のような好奇心で男女の性行為について質問されるなんて、それもう羞恥プレイだよ……。

 

 

「薫、あなたもこの教科書で予習しておくといいわ」

「教科書? 随分と薄い本のようだけど、一体何の教科書――――って、えっ!?」

「薫くんどうしたの? 顔真っ赤だよ?」

「こ、これはその……教科書なのかい?」

「そうよ! 秋人が保健体育の教科書だって言ってたわ」

「ゴ、ゴメン薫ちゃん。別に騙すつもりは一切なかったんだ……」

「い、いやぁ秋人の気持ちは分かるよ。こころとはぐみにこの本をどう説明したらいいのか分からず、咄嗟にそう言ってしまった。そんなところかい?」

「当たってる……」

 

 

 普段は優雅な振る舞いで周りを魅了している薫ちゃんだけど、自分の羞恥が刺激されることには滅法弱い。そのせいか、教科書という名のエロ本を見た瞬間、冷汗が止まらず顔も噴火しそうなくらい真っ赤にしていた。

 

 対して、こころちゃんとはぐみちゃんは平常運転。薫ちゃんがどうして動揺しているのかも分かっておらず、2人の興味は僕に保健体育の授業をして欲しいって気持ちでいっぱいなのだろう。もちろん本人たちは、それが性指導だとは微塵も思ってないだろうけど……。

 

 

「薫ちゃんゴメン。変なことに巻き込んじゃって……」

「構わないさ……。こころとはぐみが笑顔でいてくれれば……あぁ、儚い」

「えっ、か、薫ちゃん!?」

「あら? 薫が倒れちゃったわ」

「大変だ! みーくん! かのちゃんせんぱーい! ちょっとこっちに来てー!!」

 

 

 あまりに羞恥心に遂に沸点を超えたのか、薫ちゃんはその場で気絶してしまった。倒れて気絶するモーションも美麗なあたり、さすが役者魂が籠っているというか……。まぁ顔が青ざめたままだから、カッコよさの欠片もないんだけど……。

 

 はぐみちゃんの号令により、隣の部屋を掃除してくれていた美咲ちゃんと花音ちゃんが僕の部屋にやって来た。

 2人はこの状況を見て驚くのかと思ったら、意外や意外、反応は僕の想像より薄かった。花音ちゃんは少し慌ててるけど、美咲ちゃんに至っては呆れた様子で如何にも面倒くさそうな顔をしている。

 

 

「か、薫さん、どうしちゃったの……?」

「教科書を読んだだけで倒れちゃったの。どうしてかしら?」

「教科書……?」

「あぁ、なんとな~く察しが付いたよ。薫さんってこういうのに耐性なさそうだからなぁ……」

「美咲ちゃん。なんか冷静だね……」

「いやぁ、3バカと一緒にいるとこういう騒動って日常茶飯事だし、慣れてない方がおかしいでしょ……」

 

 

 なるほど、美咲ちゃんと花音ちゃんの反応が薄かったのはそういうことか。確かにこころちゃんたちと一緒にいれば、嫌でも騒動の中心に吸い込まれてしまう。そうなったら最後、3バカ旋風からは抜け出せず流れに身を任せるしかない。そりゃ倒れてる薫ちゃんを見て平然とするほど逞しく成長する訳だよ。逞しくなりたいのかは別として……。

 

 そして、美咲ちゃんは薫ちゃんの隣に落ちている教科書(エロ本)を手に取る。

 こころちゃんやはぐみちゃんみたいに不思議そうな顔もしなければ、薫ちゃんのように動揺したりもしない。つまり、その本が何の本なのかを理解しており、この手の話題に耐性を持ってるに違いない。

 

 ちなみに横からその本を覗き込んだ花音ちゃんは、薫ちゃんの辿ったルートを歩み始めていた。

 

 

「ふ、ふぇぇ……。そ、それって……」

「まぁ、男の子なら持っていてもおかしくないんじゃない? あたしたちがいるのに、秋人がこれで満足してるのは解せないけど」

「そ、そんなこと言われたって……」

「もしかして秋人、この本に描かれているようなシチュエーションをやってみたいの?」

「え゛っ!? そ、そりゃあできるならやってみたいと――――って、そんなことは断じてない!!」

「言い直しても遅いって。ふ~ん……エッチ」

「う゛、ぐっ……!!」

 

 

 ダメだ。思わずマゾ心をくすぐられてしまった。別に女の子から攻められるのが好きな訳じゃないんだけど、普段は甘やかされてることが多いから、必然的に女の子からの寵愛は受け入れちゃうんだよね。例えそれが冷たいセリフだったとしても。あれ、これがマゾなのか……?

 

 勝手にそんな疑問を抱いていると、美咲ちゃんが僕のベッドに上がって腰を下ろしていることに気が付く。

 

 

「美咲ちゃん? 何やってるの……?」

「何って、するんでしょ?」

「しないよ!!」

「どうせ夜な夜なこの本を見ながら1人でしてるんでしょ? あたしたちの誰かに膝枕されて、授乳されながら下半身をしこらせてるシチュエーションを想像して」

「ぶっ!? そ、そんなこと……する訳ないじゃないかぁ……」

「目が泳いでるし、素直になりなって」

 

 

 美咲ちゃんはこの状況に置いても冷静で、顔色1つ変えず僕を誘惑してくる。よく見てみれば美咲ちゃんの格好はかなりの薄着で、短パンからしなやかに伸びる太ももと生脚が艶やかなの何のって……!! 美咲ちゃんが甘やかしてくれながら性処理してくれるなんて、ようやく妄想が現実になるのか!?

 

 

「美咲と秋人が実践してくれるのね。だったらあたしはしっかり勉強させてもらうわ」

「はぐみも! あきくんを気持ちよくする方法を学んだら、これからあきくんのお世話が捗るもんね!」

「そ、そういうことなら私も……」

「そういうことってどういうこと!? これじゃあ公開処刑だよ……」

「いいんじゃない。この本のシチュエーションを覚えてもらえば、はぐみの言う通りこれからみんなにやってもらえるよ?」

 

 

 イイ! 凄くイイ! とっても魅力的な提案ではあるんだけど、これから毎日膝枕+授乳プレイ+性欲処理って、日に日に僕の精神年齢が下がっていく気がする。そうなったらもう全面的の僕のお世話を女の子に任せるしかなくなってしまう。ただニートだけどゴミクズ並みの自尊心はあるため、それだけは少し躊躇われるのも事実。

 でも、夢にまで見たシチュエーションだ。ここで断ってしまうと、一生その妄想で自慰をしなくてはならない寂しいことになってしまう。

 

 そうだよ、別に性行為をする訳じゃない。だから女の子の身体が傷付く訳でもないんだ。

 だったら、ちょっとくらい夢を見ても……いいよね? それに美咲ちゃんもやる気満々だし、こころちゃんたちも興味津々だから、ここで断ること自体許してもらえないだろう。

 

 とにかく、いきなり下半身を晒すのはハードルが高いので、ここは1つ妥協案で――――

 

 

「とりあえず、保健体育の授業ってことで、お互いに服を脱がずにやってみない?」

「それでもいいけど……。やっぱり最初から裸同士だと、童貞くんには刺激が強いか」

「ど、童貞って……。そんなこと言ったら、美咲ちゃんは処女でしょ?」

「そうだよ。いつか秋人に破ってもらうために、大切に取ってあるから」

「そんなこと真顔で言わないで……」

 

 

 これがオタク界隈で言われるクーデレって属性か。美咲ちゃんの告白を聞いていると、据え膳食わぬは男の恥って言葉が僕のためにあるような気がしてならない。本人にそのつもりがあるのか分からないけど、誘惑の仕方が上手いよね美咲ちゃん……。

 

 

「そうだ、せっかくだから花音さんにやってもらえば? ほら、この本に登場してるキャラも先輩の女性と後輩の男の子だし」

「ふえぇっ!? わ、私が秋人くんと!?」

「そ、それは流石に……」

「どうしますか、花音さん?」

「う~ん……は、恥ずかしがったら秋人くんのためにならないもんね。や、やってみるよ!」

「ホントに!? 勢いに乗せられてない!?」

「あの花音がここまでやる気を出すなんて、きっと今後のためになる授業なのね。楽しみになって来たわ!」

「そうだね! あきくんもかのちゃん先輩もがんばれ~!」

 

 

 こっちはこっちで純粋な応援をしているが、声援を受けながら性欲処理をするってレベル高すぎるでしょ……。

 とは言ったものの、僕以外のみんなはやる気なのでこの流れには逆らえない。いつもは暴走特急を止める役の美咲ちゃんも、今回に限ってはこころちゃんたちと同じ側なので、暴走を止める役どころか抑えつけてくれる人すらいなかった。

 

 花音ちゃんは恥ずかしがりながらも僕のベッドに上がり、おずおずと正座をする。

 そして、無言のまま自分の膝を軽く叩き、僕を膝枕へと誘ってきた。僕はその甘い誘惑に息を飲みながらも、花音ちゃんの母性を感じられる誘惑に耐えられず、自然とベッドに上がってしまった。

 

 みんなの注目を浴びている中、僕は花音ちゃんの膝に頭を降ろす。その瞬間に彼女のふんわりとした雰囲気に見合う甘い香りが僕を包む。花音ちゃんも初めての膝枕で緊張しているものの、僕と見つめ合っているうちに次第に表情も緩くなり、みんなに見られているこの状況にも慣れてきたようだった。

 

 

「最初は服を着た状態でってことで、とりあえず花音さん、上半身を前に倒して」

「えっ、こ、こう?」

「む、むぐっ……」

「ふえぇっ!? あ、秋人くん、くすぐったいよぉ……」

 

 

 花音ちゃんの上半身が僕の方に倒れてくる、つまり、胸が僕の顔にダイレクトアタックされる訳だ。いくら衣類越しとは言えども、女の子の柔らかい胸を顔面で感じられるなんてマジ天国。直接吸うことはできないのに、今にも舌が彼女の胸の先端に伸びてしまいそうなくらいだ。もう紛うことなき変態だけど、今の僕には花音ちゃんのおっぱいを味わうこと以外の思考は一切存在しなかった。

 

 

「ふむふむ、女の子の胸は、赤ちゃんにミルクを上げる時以外にこうやって使うのね!」

「運動する時に胸があると邪魔だなぁって思ってたけど、あきくんに使ってもらえるなら……いいかも。はぐみ、女の子で良かったよ!」

「秋人、とっても気持ちよさそうね! だったら、あたしたちの誰かが毎日おっぱいを枕にして秋人を寝かしつけてあげるっていうのはどうかしら?」

「あきくんが気持ちよくなってくれるなら、はぐみ、毎日だってできちゃうよ!」

 

 

 あぁ、健気で純粋なこころちゃんとはぐみちゃんがどんどん穢されていく。誰のせいかと言われたら、あんな本を隠さずに放置していた僕の責任なんだけどさ……。

 女の子が穢れていくのを恐れる反面、毎日授乳膝枕で就寝できる夢のようなシチュエーションに興奮を抑えきれない僕もいる。こころちゃんとはぐみちゃんは笑顔で胸を吸わせてくれそうだし、花音ちゃんは恥ずかしそうに、美咲ちゃんはヤレヤレと言わんばかりの様子で授乳プレイさせてくれそう。薫ちゃんは……うん、そもそも膝枕の段階で気絶しそうだ。

 

 

「秋人……やっぱり思春期の男の子だねぇ」

「えっ、どうして?」

「秋人くん、私のせいでそうなっちゃったんだよね……? だったら私が責任を取らないと……」

「え、えっ!?」

「それって、男の子にしか付いてないモノよね? いきなり大きくなるなんて、不思議で面白いわ!」

「はぐみも小さい頃ににーちゃんのを見たっきりだけど、あきくんのはとても大きいね!」

「そ、それって……あっ、ち、違うんだよこれは!!」

 

 

 これだけ興奮してたら、下半身がどうなっているかなんて説明するまでもない。僕の下半身は、花音ちゃんに膝枕+授乳プレイをされたことでズボンを破るかの勢いでそびえ立っていた。

 それを見たこころちゃんとはぐみちゃんは、僕と違った方向で大興奮。美咲ちゃんは呆れ、花音ちゃんは羞恥の色を見せながらも何故か覚悟を決めている。女の子に甘やかされながら下半身を立たせるって、もう情けないことこの上ない。でも仕方ないじゃん、健全な男の子だもん。

 

 すると、今まで気絶していた薫ちゃんが、くらくらする頭を抱えながら起き上がってきた。

 ようやく様態が回復したのかと思って安心したけど、今のこの状況って、薫ちゃんからしてみればヤバいんじゃ……。

 

 

「ふぅ、私としたことが気絶してしまうとは、これでは子猫ちゃんたちに格好が付かないね。でも、あれは悪い夢だったんだ。そうでなければ私の愛する子犬くんと子猫ちゃんたちが、そ、その……如何わしいことをするなんてあるはずないからね」

 

 

 薫ちゃんはいつも通りに優雅な決めポーズを取りながら現実逃避する。

 だけど、薫ちゃんも気付いているはずだ。目の前の僕たちが何をしているのか。花音ちゃんが僕に膝枕をし、胸を吸わせようと身体を屈め、僕は不本意にも下半身にテントを張っている。あの本で気絶するくらい性知識があるってことは、この光景を見たら僕たちのしていることくらいは容易に想像できるだろう。

 

 現に、薫ちゃんの顔色はどんどん青ざめている。さっき気絶から回復したばかりなのに、なんかゴメン……。

 

 

「あぁ、なるほど。これは悪い夢のようだね。ということは、まだ私が目覚める時ではないということだ。うん、そうに違いない……」

「薫さん、現実と虚構の区別が付かなくなってる……。お~い、薫さ~ん」

「み、美咲……。美咲も悪い夢の中に閉じ込められてしまったのかい? で、でも大丈夫、寝て起きれば全てが解決するだろう。さ、怖がってないで、私が一緒に寝床を共にしてあげよう」

「え~と、怖がってるのは薫さんの方じゃない……? それに、ここは現実だし……」

「えっ? でも花音が男の子に対してあんなことは……」

「ゆ、勇気を出してみたの! 秋人くんのためなら私、何だってできるようになりたいから……」

「へ、へぇ……それは儚い心意気だね」

 

 

 薫ちゃんはどうにも現状を夢オチにしたいようだが、残念ながら現実である。まぁ僕としても夢のようなシチュエーションだけど、この下半身に集まる血の気は紛れもなく情欲が沸いて出たもの。夢ではこんな興奮を味わえないだろう。

 

 

「薫くん、これを夢だと思ってるの? だったらかのちゃん先輩の代わりに、薫くんがあきくんをご奉仕してみれば?」

「えっ? そ、それは……」

「それはいい提案かも。薫さんも色々耐性を付けないと、これから秋人を満足させてあげられないよ?」

「それはそうだけどね……。み、美咲はどうなんだい?」

「あたし? 正直、あたしは何もかも秋人に差し出す気満々だけどね。秋人がその気になったら、いつでも許可なくあたしを使ってくれていいから」

「うっ……」

「あっ、秋人のココ、また大きくなったわね! でも、美咲の言葉のどこに興奮する要素があったのかしら?」

「秋人くん、私の膝枕と胸より言葉で攻められた方がいいの……?」

「な゛ぁ!? ち、違うそんなのじゃないって!!」

 

 

 あぁ~もうメチャクチャだよ!! もはや誰も収集できないこの状況、どうすればいいの??

 女の子の膝に寝ころんで下半身をおっ立てている僕が言えた義理じゃないけど、みんなが暴走状態にある現状はとても危険だ。これぞハロハピの日常って感じだけど、この先どれだけ事態がエスカレートするのか見通せないのが一番怖い。下手をすると、目が覚めたらハロハピの5人と致していたってことにも余裕でなりかねないような気がする……。

 

 

「薫がやらないなら、次はあたしがやるわ! 秋人、今度はあたしで気持ちよくなってね!」

「ちょっ、えっ、こころちゃん!?」

「あっ、秋人くんが離れちゃった……」

 

 

 こころちゃんはベッドに飛び乗り、僕の頭を自分の膝の上に乗せる。花音ちゃんは僕を引き剥がされて名残惜しい様子だった。

 僕はこころちゃん持ち前の肉付きの良い太ももを使って寝転がるが、花音ちゃんの膝枕に負けないくらい心地いい。天真爛漫な彼女に母性を感じるのも珍しいため、花音ちゃんの時とはまた違った快楽を感じる。

 

 

「美咲、上は脱いだの方がいいのかしら?」

「そうだね。そろそろ本番に行ってみようか。それに女の子の胸って、服の上から堪能するものじゃないでしょ?」

「そ、それはそうかもしれないけど……」

「お風呂以外の場所で脱ぐなんて、なんだか新鮮ね! 女の子の胸で男の子を楽しませることができるってことも勉強できたから、これから外でライブをする時はみんな脱ぎましょう!」

「ふぇ!? そ、それはちょっと……」

「そ、そうか、これも悪い夢のようだね……」

「はぐみもちょっと恥ずかしいかも……」

「うん、流石にそれはちょっとね……」

 

 

 今まで三位一体で盛り上がっていたハロハピだが、こころちゃんの大胆過ぎる提案には誰もついていけなかったようだ。そのせいか、こころちゃんの頭には『?』マークが浮かんでいる。

 

 

「う~ん、いいアイデアだと思ったけど……」

「うん、僕もそれはやめておいた方がいいと思う。だ、だって、みんなは僕のモノで、僕はみんなのモノで、みんなの恥ずかしい姿を他の人に見せたくない……って、何を言ってるんだろう僕……」

「秋人……」

「えっ、な、なに??」

 

 

 自然と己の欲望が漏れてしまったけど、そのせいかみんなから一斉に注目されてしまう。

 だが、みんなは僕の突拍子もない言葉に驚いているっていうよりかは、何故か目を輝かせていた。さっきまで冷静さを失っていた薫ちゃんも、ここまでクールに振舞っていた美咲ちゃんも含めてだ。

 

 僕、また変なこと言っちゃったかな……?

 

 

「秋人くんが私たちをそこまで想ってくれているなんて……。これからもっともっと、ご奉仕頑張るね!」

「フフッ、なんとも儚い告白だ。私の心をここまで揺さぶるとはね、恐れ入ったよ」

「はぐみもあきくんの悦ぶことをたくさん勉強するから、楽しみにしていてね!」

「秋人ってやっぱり秋人だよね。だからあたしも人生をかけて尽くしたくなっちゃうんだけど……」

「あたしも大好きな秋人のために、一生懸命ご奉仕するわね! そうと決まったら、早速みんなで脱ぎましょう!」

「い、いや、心意気は嬉しいんだけど――――って、こころちゃん!? 勝手に僕のズボン脱がさないで!! ちょっ、みんなも見てないで止めてよぉーーーーっ!!」

 

 

 このあとメチャクチャ抵抗した。

 急にみんなの勢いが強くなり、あの花音ちゃんや薫ちゃんまで積極的になっていたけど、やっぱり何か変なこと言っちゃったかな……?

 

 でも、みんなの気持ちは素直に嬉しかったり。

 いつになるか分からないけど、僕もみんなの愛を素直に受け止められる時が……来たらいいな。

 




 ガルパピコ等でもハロハピ回でとてもカオスなことが多かったのですが、この小説も負けじと他のバンド以上の騒がしさでした(笑)
 そんな日常がドタバタしているハロハピですが、バンドのメインストーリーは超いい話だったりするんですよね。こころのセリフに泣いちゃうこともしばしば……



 そんな訳で、とりあえず5バンドが1周しました。
 本来はラブライブ小説の息抜きのために執筆する予定だったので、5話執筆したら完結する予定でした。
 しかし、想像以上に反響があったことから、個人的な目標(バンドリ小説の総合評価検索1ページ目に載ること)を達成するまで続けてみようかなぁと思っています。
 ただ、今度はラブライブ小説に主にしたい&この小説でやりたいことは描ききったという都合上、ひとまず完結扱いにさせてください。また、次回以降の投稿は不定期となりますので、ご了承ください。

 RASのキャラやサブキャラの登場も考えてはいますが、イマイチキャラを掴み切れていない子もいるので、とりあえずはメインの25人で物語を進めていくつもりです。25人のヒロインって聞くだけでも大変そうですが、ラブライブ小説の方では30人以上のヒロインを扱ってきたので問題はないです(笑)




この小説が気に入られましたら、是非お気に入り、感想、評価をよろしくお願いします! 
小説を執筆するモチベーションに繋がります!



新たに☆9以上の高評価をくださった

流離う旅人さん、天下不滅の無一文さん、歩く舞茸さん、如月 妖斗さん、茅玖里 しあさん、音糸さん、黒刃さん、ルナ@アニメ好きさん、紗井斗さん、Raven1210さん、 ユマサア@現在執筆休止さん、竹田 いのりさん、夜霧さん、annsoni925さん、KRリバイブさん、しづキングさん、モルモット☆さん、三日月重教さん、シフォンケーキさん、白玉あんみつ(粒餡)さん、病み美少女の操り人形さん、名ナシさん、無限正義頑駄無さん

ありがとうございました!



本日はラブライブ小説の方も同時に投稿していますので、是非そちらもご覧ください!



更新予定等は以下のTwitterにて
https://twitter.com/CamelliaDahlia
Twitterアカウント名「薮椿」(@CamelliaDahlia)で活動しています。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。