ガールズバンドの子たちに甘やかされる日常【完結】   作:薮椿

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 今回は山なし谷なしのほのぼの系です。


おバカちゃんたちに甘やかされる

 別にニートだからって、毎日ゲームに明け暮れていたりとか、自慰行為によって何億もの生命を無駄に吐き出していたりはしない。これでも僕は高校生の人たちと同じ年齢の身だから、一応勉学に勤しんではいるのだ。もちろんニートだから学校は愚か塾や予備校にも通っていないため、勉強法は1から10まで全て我流。今ではネットを駆使すれば効率の良い自宅での勉強法なんていくらでも転がっているので、自分なりの勉強スタイルを身に着けるのは簡単だ。そのおかげか模試の成績もそこそこ良好で、大学の合格判定もそれなりに良い評価だったりする。まぁ、学校に行ってないから学力が良くても意味ないんだけどね……。

 

 日々の努力で割と成績がいいおかげか、僕の家でこのようなことがしばしば起こったりもする。

 

 

「秋人くん助けて! このままだと追試の波に飲み込まれそうだよぉ~」

「香澄ちゃん、だから部屋に入る時はノックしようね……」

「数学に英語、日本史に化学!! うぅ、何から手を付けていいのやら……」

「そ、それは選り取り見取りで贅沢だね……」

「もうっ、こっちは真剣なの!」

「真剣になるんだったら、追試にならないようにすれば良かったんじゃあ――――あぁあああああゴメンゴメン! 謝るから泣かないで!」

 

 

 香澄ちゃんは涙目で、頬を膨らませながら怒っている。そりゃそうか、追試となった本人からしてみれば僕が言ったような正論なんてどうでもよく、目の前に広がっている地獄の乗り越え方を聞きたいだけだろうから。普段から勉強をしてこなかった自業自得なんて言葉こそ、今の彼女に投げかける言葉として最も不適切。有咲ちゃんが聞いたら、『香澄を甘やかしすぎ』って言われるんだろうなぁ……。

 

 

「分かった、一緒に勉強しようか。誰かに教えるのも自分の勉強になるし、一石二鳥だからね」

「ホントに!? 秋人くぅ~ん大好きぃ~!」

「ちょっ、香澄ちゃん苦しい……むぐっ!」

 

 

 香澄ちゃんは僕の頭を自分の胸に抱き寄せて、そのまま思いっきり抱きしめた。女の子特有の甘い香りと胸の柔軟な感触が、僕の顔面から直に伝わってくる。

 この赤ちゃんをあやすように抱きしめられるのはいつものことだけど、未だに慣れることはない。抱きしめ方も女の子によって違いはあって、力が強かったり弱かったり、胸の大きさを感じたり感じられなかったりと、誰1人として同じ抱きしめ方をする子はいないんだ。

 

 ――――って、なんかソムリエみたいになっているような……。女の子に頭を包まれながら抱きしめられることが普通だなんて、男としてのプライドが擦り減っちゃうよね……。

 

 

「そうだ! 勉強を教えてくれる代わりに、1教科につき1回こうやって抱きしめてあげるよ! それだったら秋人くんもやる気が出るでしょ?」

「そ、そりゃ抱きしめてもらうのは嬉しいけど、そんな不純な理由じゃなくても勉強くらい教えるから……」

「不純じゃないよ! 好きな人同士でスキンシップし合うのは普通のことじゃない?」

「香澄ちゃんの中だとそうかもしれないけど、僕からしてみると恥ずかしいと言うか……」

「それ、あっちゃんも有咲も同じこと言ってた。なんでだろうね?」

「その2人も僕と同じ気持ちだと思うよ……」

 

 

 スキンシップにも色々あると思うけど、香澄ちゃんの場合は頬を擦り付けてきたり、さっきみたいに男の僕に躊躇なく胸を貸したりする。恐らく彼女の中ではそれが普通で、そもそも羞恥心すら感じることがないのだろう。僕もそんな屈強な精神を身に着けていたら、こうしてガールズバンドのみんなのお人形にされることもなかったんだろうね……。ま、それを役得と思っている僕もいるから、迷惑だなんて微塵も思ってないけど。

 

 

「さて、まずは何から始めよっか? 数学? 英語? 秋人くんの得意な科目からでいいよ!」

「なんか香澄ちゃん、部屋に入ってきた時とは違ってテンション上がってない……? あからさまに目が輝いてるんだけど……」

「そうかな? えへへ、秋人くんとお勉強できるのが楽しくって! そうか、毎回追試になれば秋人くんと一緒にいる時間が増えるのか……なるほどなるほど」

「勉強して!? そんなことしてたら、また有咲ちゃんに怒られちゃうよ?」

「大丈夫。もしそうなったら有咲も秋人くんとのお勉強会に誘うから。有咲のことだから、秋人くんと一緒にいられると知ったら絶対に乗ってると思うよ」

「うん、ありえそう……」

 

 

 そもそもの話、香澄ちゃんがそんな策を練っている時点でまともに勉強する気はなさそうだ。このままだと僕と一緒にいたいがために、彼女がテストの成績を上げることを拒んでしまうかも……?

 

 

 すると、再び僕の部屋のドアが破れる勢いで開け放たれる。

 そして、またしても女の子がこの世の終わりのような表情で部屋に飛び込んできた。

 

 

「は、はぐみちゃん!?」

「あ、ああああああああああきくん!! もうあきくんしか頼れる人がいないんだよぉおおおおおおおおおお!!」

「えっ、何があったの? そんなに切羽詰まってるってことは、よほど重大な問題が――――」

「追試になっちゃったんだよ! しかも3教科も!!」

「へ……?」

 

 

 この流れ、さっきと全く同じじゃない……? デジャヴを感じるとはまさにこのことかも……。

 はぐみちゃんは僕の胸に飛び込んで、涙目で己に降りかかっている危機を訴える。香澄ちゃんとはぐみちゃんって似た者同士だと思ってたけど、揃って追試になるところとか、こうして涙目で助けを乞うところとか、正直ここまでシンクロしているとは思わなかったよ……。

 

 

「えっ、はぐも追試になったの!?」

「もしかしてかーくんも? 仲間ができて良かったぁ~」

「私もだよ~。はぐが一緒だと心強いもん。赤信号、みんなで渡れば怖くないよね!」

「大丈夫だよ。もしはぐみが追試じゃなくても、かーくんのためなら一緒に赤信号を渡ってあげるから!」

「お~心の友よ~」

 

 

 想像を絶する会話に、引きつった顔が元に戻らない僕。そもそも、何故赤信号を渡る前提で話をしているんだろうこの子たち……。

 ツッコミどころだらけだけど、この2人の言うことにいちいち口を出していたらこっちが先に参ってしまう。いつも2人の相手をしてあげている有咲ちゃんと美咲ちゃんが逞しく見えてくるよ……。

 

 

「でも良かったね、はぐ。今なら秋人くんに勉強を見てもらうと、1教科につき1回秋人くんを抱きしめていいんだって!」

「ホントに!? それならはぐみ、毎回のテストで追試になっちゃうよ!」

「ダメだからねそれ!? ていうか、香澄ちゃんと全く同じこと言ってるし……」

「おおっ!? やっぱり私とはぐは一心同体。う~んと、こういうの何て言うんだっけ――――あっ、ソウルメイトだよ!」

「そうるめいと……? なんかカッコいいねその言葉! かーくんとの絆を確かめられたから、追試になるのも不幸なことばかりじゃないね!」

 

 

 ソウルメイトって男女の関係を表す言葉なんだけど、ツッコミを入れるとまた余計な話題で話が膨らみそうだからやめておこう。ただでさえ追試を前向きに捉えて楽しんでいるこの状況が異常なのに、自分からこれ以上ややこしくする必要はない。追試になって精神的に追い込まれているのは彼女たちの方なのに、どうして僕がここまで気を使っているんだろうか……。

 

 

 すると、またしても僕の部屋のドアが勢いよく開け放たれる。

 もう今日だけで3回目なので、いよいよドアが壊れそうな気がする……。

 

 

「秋兄助けて!!」

「あこちゃん……。もしかして、追試?」

「えぇぇっ!? 何も言ってないのにどうして分かったの!? もしかして、あこの知らないうちに予知能力を身に着けた……とか? ズルい! そんなカッコいい能力を勝手に習得してるなんて、あこにも教えてよ~!」

「あこちゃんが教えて欲しいのは、予知能力じゃなくて勉強でしょ……」

「あっ、そうだった……」

「どうして追試の子たちって、ここまで危機感がないの……?」

 

 

 僕の推理だけど、恐らく危機感が薄いからこそ追試になるのだろう。こう言っては申し訳ないけど、自分たちの学力が赤点の境を彷徨っているにも関わらず、勉強してこなかったのは危機感がないと言わざるを得ない。だから追試になっても楽観的なところがあるのだろう。今だって3人で何故か意気投合してるしね。

 

 

 そんなこんなで勉強に入ろうとした、その時だった。

 僕の背後から大声で声を掛けられる。

 

 

「秋人くん!!」

「わっ、あ、彩ちゃん!? いきなり登場したね……」

「た、大変大変! 大変なんだよ秋人くん!!」

「あぁ、追試ね……」

「えぇっ!? どうして分かったの!?」

「いやこの流れもうやったから、早く席に着いてね」

「なんか、私の扱い雑じゃない……?」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 そんな訳で、僕は追試ちゃんたち4人の勉強を見ることになった。渋々ではあるんだけど、女の子に泣きつかれたら逆らえないのが僕の弱いところだ。それに、僕が教えることでみんなのやる気が上がるのであれば、それはそれで何の問題もない気がする。いつも甘やかしてもらっているから、たまには甘やかしてあげてもいいよね。

 

 

 ――――と、そう思っていた時期が僕にもありました。

 

 

「あ、あのぉ……彩ちゃん? どうして僕に抱き着くの……?」

「香澄ちゃんから聞いたよ? 問題を1つ解き終えたら、秋人くんに抱き着いていいって」

「過去が捻じ曲げられているような……。1科目につき1回のはずだったと思うけど?」

「そんな! この問題集、1科目で何十個も問題があるんだよ!? そんなの途中で秋人くん分がなくなっちゃうよぉ~」

「燃費悪すぎでしょ……」

 

 

 彩ちゃんは僕の頭を撫でながら、後ろから包み込むように抱きしめてくる。それも今日で何度目か分からない。さっき彩ちゃんが言っていた通り、誰かが問題を1問解くごとに熱いハグをされるため、もう何回抱きしめられているのか、数えるのを途中でやめてしまった。

 

 

「問題解き終わった~!! あやさん、次はあこの番だよ!」

「え~もっと秋人くんと一緒にいたいのにぃ~」

「はぐみも終わったよ! あこちん、後が詰まってるんだから早くしてね」

「そんなこと言われても、あやさんが秋兄から離れないんだよぉ~」

「だって私もさっき解き終わったばかりだもん。まだ1分も経ってないのに……」

「みんないいなぁ~。ねぇ秋人くん、この問題分からないから教えてよぉ~!」

「この状態だから教えられないんだけど……」

 

 

 このようにどんな簡単な問題でも1回とカウントされるため、簡単に解けるような問題が連発している箇所だと今みたいに僕の周りで渋滞が起こる。もちろん女の子に囲まれているこの状況では、勉強を教えることもままならない。もうみんなの目的が勉強よりも如何に問題を早く解き、僕を抱き枕にするかに代わっていた。

 

 しかし、よく考えてみればそれでみんなの勉強が捗るならそれはそれでいいような気がしてきた。現にみんなは恐るべきスピードで問題集を進めているため、効果的であることは確かだろう。でも、それだけの集中力があるならテスト前の勉強で発揮して欲しいものだよ。このままだと本当に僕を抱き枕にしたいがために、わざと追試になる子が増えそうだから……。

 

 

「むぅ~後ろがダメなら前から抱き着いちゃうもんね! あっ、どうせなら秋兄があこを抱きしめてよ!」

「えっ、僕が!?」

「うんっ! こうすれば――――――ほら、これでよし!」

 

 

 あこちゃんは胡坐(あぐら)をかいている僕に背を向け、そのまま僕の身体に倒れ込むように座った。僕はかなり背が低い方だけど、流石にあこちゃんのロリボディよりは一回り大きいので、あこちゃんの身体が僕の身体にすっぽりと入ってしまう。そして、その彼女を僕が後ろから抱きしめると、もはや恋人同士でイチャついているようにしか見えない。同じことを考えているのか、あこちゃんは頬を赤くして、僕の腕をきゅっと優しく掴んだ。

 

 

「えへへ、なんかカップルみたいだね」

「そ、そうだね……。ちょっと、いや、かなり恥ずかしいけど……」

「あこも、こんなにドキドキするのは久しぶりだよ……」

 

 

 この初々しい会話、この甘い雰囲気、もはやモノホンの恋人同士としか思えなくなっちゃうよ。あこちゃんのありとあらゆるところが密着しているせいで、彼女が暖かくなっていることも、珍しく緊張しているのも肌を通じて伝わってくる。恋人持ちは毎日こんな気持ちの良いことをやっているのか……ちょっと羨ましいかも。

 

 しかし、この空気を良く思わない子たちももちろんいる。そう、この場にはあこちゃん以外の女の子が3人もいるのだ。その子たちがこの甘々な空気の中で黙っているはずもなく――――

 

 

「もうっ、あこちゃん! 今は私の番なんだよ!?」

「はぐみだって、あきくんにギュってされたいのに~!!」

「あぁ、このままだと私だけ秋人くんと遊べずに終わっちゃう……!! でも、この問題分からないし……。わぁ~ん! 秋人くぅ~ん!!」

 

 

 そりゃこうなるに決まってるよね……。1人だけ別の問題で苦しんでるけど、あこちゃんと彩ちゃんにサンドイッチされているこの状態ではどうしようもないから、今は耐えて欲しい。このままずっとみんなに抱きしめられて、勉強を教えるどころじゃなくなるかもしれないけど……。

 

 

「あこちゃんも彩ちゃんも、そろそろ勉強に戻ってね。1つの問題を解くたびに何分もこうしてたら、追試までに勉強間に合わないよ?」

「む~~秋兄がそう言うなら……」

「仕方ないよね。うん、分かった。私、もっともっと頑張って勉強して、秋人くんが私から離れたくなくなるくらい抱きしめてあげるから!」

「それはそれでどうかと思うけど……まぁ、勉強を頑張ってくれるのなら別にいいか」

「ねぇねぇ、はぐみもお預けなの!? せっかく待ったのに……」

「そ、そうだね……。だったら、少しだけ……する?」

「いいの!? やっぱりなしはなしだからね!」

「分かってる――――って、ちょっ!?」

「わっ!?」

 

 

 まだあこちゃんと彩ちゃんが僕に抱き着いているのも関わらず、はぐみちゃんは僕たちに覆い被さる形で抱きしめてくる。そもそもはぐみちゃんの身体はかなり小柄だから、僕たち3人を抱きしめるというよりかは、むしろのしかかってきたと言った方がいいかもしれない。彼女のダイブ攻撃にあこちゃんも彩ちゃんも驚いたのか、その勢いでさっきよりも更に強い力で僕を抱きしめている。前を見ても後ろを見ても上を見ても女の子、女の子、女の子で、幸せ……なのかな?

 

 もはや僕たちの身体は複雑に絡み合って、もはや知恵の輪レベルになっていた。そうなればもちろん、女の子のあらゆる柔らかいところが僕の身体に密着する訳で……。あぁ、ダメだダメだ、こんなところで発情したら彼女たちにすぐバレる。そうなれば最後、勉強なんて放って余計に僕と触れ合おうとしてくるだろう。だから何とか耐えてくれ、僕の情欲!!

 

 

「ひゃっ!? あ、秋人くん、変なところ触らないでぇ……」

「ゴ、ゴメン!? どこ触ったか分からないけどゴメン!!」

「あ、秋兄……抱きしめてくれるのは嬉しいんだけど、秋兄の腕があこの胸に当たりそう……」

「へっ、あっ、ゴメン!! もう誰のどこに触れてるのか分からないんだよ!」

「うひゃん!! あ、あきくん、耳元で声出さないで、くすぐったいよぉ……」

「ええっ!? はぐみちゃんの顔が近いからどうしようもないといいますか……」

 

 

 四方八方から女の子に囲まれているせいで、僕は自分で自分の身体を動かすこともできない。それでも無理矢理手や脚を動かそうとすると、彼女たちの敏感な部分を刺激してしまう。あれ、これ……詰んだ? 僕が下手に刺激を与えてしまったことで、みんなの力が抜けきっているのが密着しているとよく分かる。そのせいでここから脱出することもできず、僕たちは永久にこのまま……??

 

 

「秋人くん、なんか嬉しそうだね」

「か、香澄ちゃん!? そうだ、まだ希望は残ってた!」

「こっちは忘れられて悲しいよ。隣で秋人くんとみんなが楽しそうにしてるのに、私は1人で解けない問題に頭を悩ませている。あぁ、可哀想な私……」

 

 

 正直、香澄ちゃんの存在をさっきまで忘れていた。そのせいで香澄ちゃんが不機嫌になっちゃったけど、ここは彼女に救出を依頼するしかない。そのためにはまず、何とか彼女の気を落ち着かせないと……。

 

 

「ゴ、ゴメン! あとでいくらでも勉強を見てあげるから、とにかく今は助け――――」

「だから、私もみんなに混ざりたい! えいっ!!」

「えっ、そっち――――って、うぐぅ!!」

「かーくん重い! 重いよーーーっ!!」

「香澄ちゃん、あまりこっちに体重をかけると――――うわぁあああっ!?」

「ちょっ、秋兄!? 強く抱きしめすぎ――――って、ひゃぁっ!?」

 

 

 僕にはぐみちゃんと香澄ちゃんを同時に支える力はなく、僕たちは香澄ちゃんがのしかかってきたのと同時にバランスを崩して倒れてしまった。さっきまで女の子たちに囲まれて息苦しかったせいか、みんなから解放されたと同時に空気が僕の鼻と口に流れ込み、思わず咳き込んでしまう。なんか、これだけで体力の限界なんだけど……。

 

 

「いてて……。勉強会なのに、どうしてこんなことに……」

「でもみんなでおしくらまんじゅうができて、はぐみ、子供の頃に戻ったみたいで懐かしかったよ!」

「あこも何だかんだで楽しかったぁ~。秋兄やみんなとたっぷり遊べたしね!」

「私はもうちょっと秋人くんと一緒にいたいかな……。秋人くん、もう1回抱きしめてもいい? いいよね!?」

「待って、まだ私だけ秋人くんによしよししてないよ!? 私もいいでしょ!?」

「元気だねみんな……」

 

 

 あんなことがあったのにも関わらず、みんなの体力はあまりに余っているらしい。やっぱり普段からバンド練習をしている彼女たちと、ニートの僕では体力の付き方がまるで違う。僕はさっきの一件だけでもグロッキー状態なので、みんなの逞しさが羨ましいよ……。

 

 ていうか、香澄ちゃんたち絶対に勉強のことを忘れてるよね……? いや、最初からそうだったか……。

 

 

「みんな、そろそろ勉強に戻ろうよ。早くしないと1教科を終える前に日が暮れちゃうよ?」

「えぇ~!? 私にも秋人くんをギュッとさせてよぉ~! それとも、秋人くんが私をギュッとしたい? 私はそれでもいいけど……えへへ」

「私もまだ秋人くん分を満タンまで補給できていないから、もう1度後ろから抱きしめさせてね……?」

「みんなズルい!! あこも秋兄ともっと遊びたいのにぃ~!」

「はぐみだって! こ、今度はあきくんからギュってして欲しいなぁ……なんて」

「分かったから、みんな落ち着いて! 次の問題を解き終えたら好きにしてくれていいから」

「「「「好きにしていい!?!?」」」」

「あっ、しまった!? ち、違うんださっきのは――――」

 

 

 僕が喋り終える前に、みんなは机に向かった。さっきまであれだけ騒がしい雰囲気だったのに、今部屋に流れている空気は超真剣ムード。やっぱり、勉強する動機が追試を回避するためじゃなくて、僕で遊ぶためなんて不純すぎるよ……。それでみんなの成績が上がってくれれば願ったり叶ったりなのかもしれないけどさぁ……。

 

 今日で1つ分かったのは、追試ちゃんたちのやる気を上げるには、僕というアメをたくさんあげるしかないみたいだ。それだけ僕が疲弊するって意味でもあるんだけどね……。

 

 

 

 

 ちなみに、このあとメチャクチャ揉みくちゃにされた。

 

 




 別に卑下するつもりは全くないですが、香澄とはぐみの知能指数が低い会話が好きだったりします(笑)

 ちなみに、話ごとに前の話とキャラ被りがないようにしているので、そろそろどんな括りの女の子たちが登場するのか予想できるかも……?



この小説が気に入られましたら、是非お気に入り、感想、評価をよろしくお願いします! 
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新たに☆9以上をくださった

syouyanさん、Forestさん、三日月大和さん、uruTUBEさん、ブルー相互さん、Murakumo5641さん、みゃーねこさん、まつたけたけさん、新庄雄太郎さん、にゃるサーさん、黒い阿修羅さん、大富豪さん、レ イ ンさん、アイミアさん、ワウリンカさん、sheep1219さん、タチャンカ田村さん、仮面ライダー4:21さん、背徳ビルさん、殺戮天使の僕さん

ありがとうございます!

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