桜色の君とともに   作:如月 蓮

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遅れてすいません‼︎
転職活動で最近忙しく思うように時間が取れず執筆ができませんでした。
それでは文化祭編後編です‼︎
どうぞ‼︎


#11 文化祭 思い変わる瞬間

いよいよ文化祭当日。とある秋葉原のマンションの一室の自分の部屋で梨子は「ピピピッ、ピピピッ…」となる目覚ましの音を止めて、ベッドから起き上がり、スマホの画面を見る。画面を見ると6時だった。

スマホを開き梨子は、輝と5月に一緒に桜ヶ丘文化パークに行った時に撮った写真を見る。

 

(輝君。最近、咲沢さんと楽しそうだなぁ…)

 

「考えても…仕方ない…よね」

梨子は、少しモヤモヤした気持ちを抱えながら朝食をとり、身支度を整えて学校に向かう。

 

 

_______________________

 

 

その頃、輝は一人、歩いて学校への道を歩いていた時だった。

 

「おーい。輝君〜  」

 

後ろから輝を呼ぶ声が聞こえる。輝は、気になって振り返ってみると咲沢さんだった。咲沢さんは、手を振りながら俺の方に駆け足で向かってきた。

 

「あー。沙矢華。おはよう」

 

「輝君。おはよう。一人? 」

 

「うん。まぁね」

 

「じゃあさ、一緒に行こうよ! 」

 

沙矢華に腕を掴まれた輝は、沙矢華につられてそのまま一緒に学校へ行くことに。行く途中「今日、何時に起きた? 」などいろいろな話をした。輝は、沙矢華と一緒に喋る時間はとても楽しかった。

 

 

 

同じ頃、梨子は自宅のマンションを出て駆け足で学校に向かう。学校に向かう途中、梨子は偶然、輝を見かけ声をかけようと思って輝の元に向かった。

 

だが、梨子は立ち止まった。何故なら輝と一緒に咲沢さんもいたからだ。輝が、沙矢華と一緒に喋っているのを見て梨子は、声をかけづらかった。

 

(輝君…。また咲沢さんと一緒にいる)

梨子は、輝と沙矢華が一緒に楽しそうに喋っているのを見て少自信をなくしてしまう。

 

(輝君…楽しそうだなぁ。やっぱり私みたいな地味な子じゃ輝君には、つりあわないのかなぁ…)

 

梨子は、胸がズキズキと痛みモヤモヤした気持ちを抱えながらゆっくりと輝と沙矢華の後ろを歩き学校に向かった。

 

 

_________

 

 

学校に着きいよいよ今日は、文化祭。玄関に着いた所で沙矢華と別れた。沙矢華は、どうやら文化祭開会式でダンス部でオープニングダンスを披露するらしくその打ち合わせで先に体育館に向かって行った。

 

梨子は、チャンスを見計らって輝に思い切って声をかけることにした。

 

「輝君。おはよう」

 

「あ。おはよう、梨子。」

輝は、梨子に挨拶し笑顔で返す。梨子もスマイルを俺に向けてきた。

 

「咲沢さんと何話してたの? 」

 

「あー。大した話してないよ。ただ文化祭のステージ頑張ろうって話してただけ」

 

「それ…だけ? 輝君」

 

「どうしたんだよw…それだけだよ」

 

「そう…」

私、なんで輝君にこんなこと聞いてるんだろう…。もしかして嫉妬してるのかな…。ずっとボーイフレンドとして一緒にいた輝君に…。

 

 

 

 

 

 

1日目はまず全校生徒は、体育館に集まり開催式だ。学校に着いた生徒達は、皆、文化祭の開催を楽しみにしている。俺は、学校に着き体育館で静矢と七海達と合流した。二人は、体育座りしていた。

 

「おはよう。静矢、七海! 」

 

「「おはよう。輝」」

輝は、静矢の隣に座った。

 

「輝の家って今日誰か来るの? 」

 

「うん? あー。舞と母さん来るよ。母さんなんか今日カメラ準備して張り切ってたよ」

 

「ハハ…。よっぽど輝の晴れ舞台楽しみにしてるんだね」

 

「ちょっと張り切り過ぎてたけど…」

 

輝と七海が、喋っていると突然体育館の中が暗くなりだした。ステージから文化祭実行委員会の委員長の3年生がステージ裏から現れた。

 

「みんなー。燃えてるかー!? 」

ステージ上にいる文化祭実行委員会の委員長の3年生の大きな声に対し体育館にいる生徒や先生たちは、大きな声でオーと歓喜の声を返した。開会式の後、ダンス部によるダンスが行われる。最初は、最近流行りのアニメの曲のイントロが流れ出すとステージの脇からダンス部

の部員達がステージ上に現れ曲のリズムに合わせダンスを始めた。

 

ダンス部のパフォーマンスに体育館の中は、大盛り上がりだ。普段あまり目立たない2学年の男子は、流れているアニメの曲に合わせて光るスティックを両手に持ってオタ芸をしている。

 

「やっぱダンス部いいなー。衣装可愛いー」

七海が隣でつぶやいている。

 

「あ。沙矢華もいる」

体育館のステージからより離れた場所で七海と静矢の二人と一緒に見ていた俺は、ステージの右から3番目で踊っている沙矢華の姿を見つけた。沙矢華は、すごく身体のこなしがよくキレのある動きで曲に合わせて踊っており可愛いかった。

 

「輝、お前咲沢さんのこと呼び捨てで呼んでるの? いつの間にお前仲良くなったんだよ? 」

静矢が隣で輝の反応に驚いていた。

 

「あー。ステージイベント一緒で、それで仲良くなった」

 

「『あー』ってお前、さらっと言うなよ…。桜内さんはどうなったんだよ…」

桜内さんいながらなんで他の女子とイチャついてんだ…。

 

「え? どうって何が? 」

 

「ハァ…。もういい」

この色男が…、どうなっても知らないぞ…。

 

 

 

 

それからダンス部のパフォーマンスが終わり少し10分弱の休憩を挟みいよいよ一日目のステージイベント。梨子は体育館の入口から出てトイレに向かう。向かう途中、トイレの前の水道で手を洗っている沙矢華と遭遇してしまった。

 

「あ、梨子ちゃん」

 

「咲沢さん…」

しばらく沈黙が続くと咲沢さんから喋り出してきた。

 

「梨子ちゃん、合唱部だよね。ステージ頑張ろうね」

 

「え…うん…」

梨子は、その場を離れようとすると沙矢華がまた何かを言い出した。

 

「あ‼︎ 梨子ちゃん、あのさ」

沙矢華は、何かを思い出したような表情で梨子に言った。

 

「何? 」

 

「梨子ちゃんって輝君とよく一緒にいるよね。どういう関係? 付き合っているの? 」

 

「え…。ただ小学校が一緒ってだけだけど…」

梨子は、沙矢華の思いもしない質問に少し戸惑ったが普通に答えた。

 

「ふーん。ただ(• •)小学校が一緒ってだけなんだ…。そっかぁ…」

沙矢華は、「なら、貰っちゃってもいいよね? 」と今にも言いそうな目で梨子を見た。

 

「な、何? 」

梨子は、沙矢華の言葉に胸がズキリと痛んだ。

 

「ならいいや。なんでもない。じゃあね〜」

沙矢華が体育館に戻ると梨子は、すぐにトイレに向かった。

 

(さっきの咲沢さんの言葉、どういう意味なんだろう…。それにあの反応…)

梨子は、トイレの中でさっきの沙矢華の言葉に戸惑っていた。

 

(咲沢さんってやっぱ輝君好きなのかなぁ…。そうだよね…輝君は、勉強もできるし、スポーツもできるし周りからも頼りにされているし。咲沢さんが、好きになるのもわかるよ…。輝君だって私みたいな地味な子より咲沢さんみたいな綺麗でスタイル良くて可愛い子の方が良いよね…)

梨子は、咲沢さんと自分のギャップのあまりの違いに自分を卑下してしまった。自分を卑下すればするほど梨子の胸の中はモヤモヤした気持ちでいっぱいになった。

 

そしてトイレを済ませて梨子は、体育館に戻りステージ裏に向かう。ステージ裏に向かうと梨子は、輝に会った。

 

「あ! 梨子。有季先輩、梨子を探してたよ」

 

「え。ありがとう」

梨子は、輝を心配させたくなく作り笑顔で輝をごまかして有季先輩達の方に向かった。

 

(梨子…。どうしたんだ? 大丈夫とは言ってたけど…。なんか心配だな…)

 

「エイッ‼︎ 」

輝が悩んでいると後ろから手が伸びてきて誰かがギュッと抱きしめてきて後ろからいい花の香りがしてきた。

 

「わぁ⁉︎ 沙矢華⁈ 」

 

「へへっ。緊張解けた? 輝君」

 

「びっくりさせるなよ。あと全然緊張してないし」

 

「そっか、ごめん。ステージ頑張ろう」

沙矢華は、右手を出してハイタッチを輝に求めてきた。

 

「おう! 」

輝は、迷わずに沙矢華とハイタッチした。

 

「沙矢華、髪型可愛いじゃん」

 

「そう? ありがとう。 ちょっと気合い入れたんだー」

 

(輝君…。どうして平気でそんなこと出来るの? 咲沢さん、お願いだから輝君に近づかないでよ、なんて付き合ってるわけでもないし告白すらしてないのに言っちゃダメだよね…)

梨子は、偶然二人がハイタッチするところを見ていた。輝が沙矢華と親しくなってるのを見て梨子は、輝が手の届かない所に行くような気がしてきた。

 

そしていよいよステージイベント本番が来た。最初は、輝達のダンスからスタートだ。クールな曲のリズムに合わせて輝と沙矢華、悠矢先輩、七海は、ステージでそれぞれのポジションに着きダンスを披露する。体育館は、全校の生徒の歓喜の声に包まれている。

 

梨子もステージの裏から輝達のダンスを見ていた。そんな中、ステージ裏にいる一部の2学年の生徒からこんな声が聞こえてきた。

 

「輝君と咲沢さんなんかすごくいい感じだよね」

 

「わかる‼︎ なんか絵になるっていうかお似合いだよね」

 

(…)

梨子は、その言葉にズキリと胸が痛んだ。

 

「それにしても輝君すごいダンス上手いね。あの子と息ぴったりだよ」

ステージ裏で梨子の隣で見ている有季が梨子に言う。

 

「有季先輩。わかるんですか? 」

 

「まぁ〜私、小学校6年生の時まで市のダンスクラブ入ってたからね〜」

 

(…。有季先輩がそう言うんだし、きっと咲沢さんは、すごくダンスが上手いんだと思う。かっこいいなぁ…、輝君。私もダンス踊りたかったなぁ…)

 

(あわよくば輝君と…)

 

 

(なんで私は、輝君の隣にいないんだろう…。私は、輝君の側にいちゃいけないんだ…)

梨子は、ステージの上で踊る2人を見ているとモヤモヤした気持ちが次第にうまれ胸がズキリと痛んだ。

 

気がつくと輝達のステージは、終わってしまい輝達は、ステージ裏に戻ってきた。戻る途中、咲沢さんが俺に話掛けてきた。

 

「ステージ大成功だったね。輝君、かっこよかったよ」

 

「ありがとう咲沢さん。咲沢さんも凄いよ」

 

(…。大丈夫かな…、梨子ちゃん。このまま悪い方向に傾きゃなきゃいいけど…)

二人の様子を七海は、心配した様子で後ろから見ていた…。

 

次は、梨子達、合唱部のステージだ。俺は、梨子に一声かけようとしたが梨子は難しそうな表情をして何も言わず俺の横を通り過ぎてステージに向かった。 この時、俺は梨子がただ集中しているだけだと思っていた。

 

 

ステージに部員達が3列に並んだ。梨子は、伴奏をやる見たくピアノの方の椅子に座った。簡単な曲紹介の後、梨子の伴奏と共に合唱部の部員達が合唱を始めた。俺は、ステージ裏で耳を澄ませながら聞いていた。

(梨子のピアノ、相変わらずいいな…)

弾いている時の梨子は、自然な表情をしている。きっと普段もこんな風にピアノを弾いているのだろう…。俺は、今弾いている梨子のピアノが梨子の全てのように思えてきた。

 

梨子達、合唱部のステージ発表も終わりいよいよ文化祭のクラス展•部活展を見て回る時間が来た。発表終了直後、俺は、沙矢華に体育館の廊下に呼び出された。梨子は、体育館を出る輝と沙矢華を見てゆっくり後を追った。

 

「…何? 話って? 」

 

「輝君。私、輝君が好き‼︎ 1年生の時からずっと好き‼︎ 私と付き合って欲しい‼︎ 」

 

(…)

梨子は、運が悪く偶然その近くにおり輝が沙矢華に告白されているのを聞いてしまった。梨子は、輝の返事を聞くのが怖くその場から逃げ出した。

 

 

沙矢華との話の後、俺は梨子を迎えに体育館に戻った。だが梨子は、何処にもいない。体育館を出て1学年のクラス展や部活展を見て周るがなかなか見つからない。俺は、しばらく一人廊下を歩いていた。しばらくして見慣れた後姿を見つけた。赤い髪のロングヘア。間違いない。梨子だ。俺は、すぐに梨子の元にかけた。

 

 

 

 

 

 

「梨子、探したよ。文化祭、一緒に行こう」

梨子と一緒に文化祭を回れる! 俺は、楽しみにしていたし梨子もきっと同じ気持ちだろう…そう、思っていたが、次の瞬間、梨子の口から思いがけない言葉が出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん…。文化祭、一緒に回れない…」

(え…?なんで…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう…私とは関わらないで…」

そう言い立ち去ろうとする梨子。俺は、その訳が聞くべく梨子の手を掴んだ。

 

「なんでだよ! 梨子! 俺、梨子に何かしたか? 」

 

 

 

「離してよ‼︎ 」

輝がそう言った瞬間、梨子はそう言い俺の手を振り払った。

 

 

 

 

 

 

「どうしたんだよ! 梨子! 」

気付くと梨子は、涙目になっており今にも泣きそうだった…。

 

「…めなの」

 

 

「え…? 」

 

 

「私じゃダメなのっ‼︎ 」

そう言い梨子は、涙を流しながら俺の前から走り去ってどこかに行ってしまった。この時、輝は何も言えなかった。言うことができなかった。問い詰めたら嫌われるかもしれないと思ったから。

 

 

 

(私じゃダメなんだ…。輝君の隣に私は、いちゃいけないんだ…)

 

 

梨子と文化祭を回ることができなくなった輝は、仕方なく一人で見て回った。2階の廊下で偶然俺は、静矢達とばったり会ってしまった。

 

「あれ、輝? お前、桜内さんと一緒に回るんじゃなかったの? 」

 

「あー、いや、ちょっと」

静矢に聞かれ俺は、行けなくなったとは、言えなかった。結局、俺は静矢や他のクラスの男子達と一緒に回ることにした。この日、俺は梨子とは、口を交わすことは、一度もなかった。梨子と言葉を交わせないまま俺の中学2年の文化祭一日目は、最悪な幕の閉じ方をしてしまった。

 

 

 

 

(梨子…どうしたんだよ…? 急に…)

家に帰り輝は、制服を着たままベッドに寝転がって今日の梨子のことを考えていた。

 

(俺、梨子に知らない内に何か気に触ることしたのかな…。それとも梨子、もう俺のこと嫌いになっちゃったっていうのか? )

 

 

(俺、どうしたらいいんだよ…)

俺は、ふとスマホのトークの梨子の所を見た。何か返そうと思ったが返事に俺は悩んだ。

 

(…クソッ…‼︎)

輝は、枕に顔を埋め右手で布団をバンと叩いた。俺は、モヤモヤした気持ちを抱えたまま文化祭二日目を迎えた。

 

 

(ハァ…梨子…)

輝は、ゆっくりと一人で学校に向かう。しばらく歩いていると後ろから誰かが背中をカバンでバンッと叩いてきた。

 

「お〜ら! 輝‼︎ 」

 

「いってーな‼︎ 何すんだよ‼︎ って七海と静矢かよ」

 

「一緒に学校行こうってさっきからずっと言ってんのに全っ然反応してくれないんだもん! もう」

 

「俺は、やめとけって言ったんだけど」

 

「あ…、うん…。ごめん、2人とも…」

輝は、2人にどんな顔をしたらいいか悩んだ。

 

「輝…? どうした? 何かあった? 元気ないけど 」

輝が元気なさ気なのを察したのか七海が聞いてきた。

 

「え…? い、いや…。なんでもないよ…。それよりさ…早く学校行こう? 」

輝は、2人に心配されたくないあまりに作り笑顔で元気なように見せて2人をごまかした。静矢は、輝の様子がいつもと変なような気がしていた。

 

今日は、文化祭二日目。校庭のグラウンドでのゲームフェスタだ。各学年全クラス、紅組、白組に別れて様いくつか競技をして競い合う。俺たち2組は、紅組である。

 

全学年全クラス、 男子は教室で、女子は体育館の隣にある女子更衣室でジャージに着替えて外のグラウンドに向かう。俺と静矢は、ジャージに着替えて1階に降りて昇降口へと向かう。

 

((あっ…))

 

昇降口の前で輝は、梨子とばったり会ってしまった。

 

「…」

何か言おうとしたが梨子は、何も言わずに俺の前を通り過ぎて玄関に向かい自分の外靴に履き替えてグラウンドに向かった。その状況を見た静矢は、輝と梨子に何かがあったんだと確信した。

 

「輝。お前、桜内さんと何かあった? 」

 

「何もねーよ…。行こうぜ…」

 

(輝…。お前、それはどう見ても何もあったって顔だぞ…)

 

輝は、梨子が行った少し後に七海と合流してグラウンドに向かった。グラウンドには既に大勢の生徒で賑わっており皆、スポーツフェスタを楽しみにしていた。2組の生徒達も皆同じだった。

 

開会式が終了した。桜ヶ丘中学のスポーツフェスタは部活対抗リレー、大玉送り、その後、男子は騎馬戦、女子は綱引き、最後は紅組白組対抗リレーの5つの種目があり部活対抗リレーを除いた4つの競技で得点を競い合うのだ。

 

開会式が終わり、最初は部活対抗リレー。運動系の部活は、皆グラウンドに集合だ。これは、紅組、白組競うものではなく得点には入らない。だがどの部活も皆、気合充分って感じだ。そして競技かるた部(ウチ)にも気合が充分過ぎる奴が1人いる。

 

「よ〜し‼︎ かるた部、絶対勝つよ〜‼︎ 」

 

「「オー‼︎ 」」

競技かるた部(ウチ)でリレーに参加するのは、俺、静矢、七海、悠矢先輩、あと1年生2人だ。全員が手を合わせオー‼︎ と叫ぶ中、七海だけ1人他の皆より倍大きい声を出していた。

 

「神崎先輩。相澤先輩、なんでこんな気合入ってんですか? 」

一年生の内の一人が俺に聞いてきた。

 

「あー…。それはだな…」

輝が訳を一年生に話そうとした時、七海にとっての因縁の相手が俺たちの目の前に現れた。女子バスケ部だ。女子バスケ部のハチマキを付けた茶色の髪のポニテの2年生の一人が喋り始めた。

 

「よぉ〜。七海。今日こそ勝たせてもらうからな。いや、今日も、かな? 」

 

「ッ‼︎ 朱音‼︎ 」

七海は、朱音を難しそうな表情で睨みつけた。

 

「誰ですか? 神崎先輩」

 

「女子バスケ部の瑞沢朱音(みずさわ あかね)。2年1組で体育や数学の合同授業でよく一緒に受けていて何か勝負事があればあの二人ら、しょっちゅう競い合ってるんだよ」

七海と朱音がいがみ合いをしてる中、俺は、一年生に隣で小声で聞こえないように話した。

 

「へぇ〜」

輝が一年生と会話していると後ろから誰かが突然俺に声をかけてきた。

「よぉ〜♫ 神崎」

 

「 修哉…」

 

輝に声を掛けてきたのは、永沢修哉(ながさわ しゅうや)。サッカー部に入っており一年の時同じクラスだった。特に周りを不快にさせやすく皆、非常に迷惑していた。俺もその中の一人で何かあるたびにコイツは、俺に勝負を挑んできて非常にしつこい。まぁ俺がいつも勝ってるからなんだが…。

 

「なんだよ…。また勝負とか吹っかけてくんのか? 」

 

「あぁもちろん。この勝負。 俺が勝ったら桜内さんを貰う。どうだ? 」

 

 

 

「ッ…‼︎ お前さぁ、1年の時から思ってたけどそう言うのマジやめてくんねーかな⁈ ほんっと迷惑なんだけど‼︎ 」

気がつくと輝は、修哉の胸ぐらを掴んでしまっていた。

 

「おい…やめろって…w神崎くーん。乱暴な事はやめてくださーい」

修哉の言葉にまわりが反応してきた。

 

「…ッ‼︎ 」

輝は、コイツの言葉を前にこれ以上事を大きくしたら文化祭どころじゃ無くなってしまうと思いコイツを離して静矢達の元に戻った。

 

「輝、お前どうした? 今日なんか変だぞ 」

 

「そうだよ。らしくないよ! 梨子ちゃんと喧嘩でもしたの? 」

七海と静矢は、輝を心配してくれていた。

 

「梨子は…関係ねぇよ‼︎ 」

輝は、気がつくと静矢と七海に怒鳴ってしまっていた。

 

(あっ…)

俺は、我に帰った。部員達は、俺の怒鳴る声に静まり帰ってしまっていた。

 

「怒鳴ることないじゃん。輝」

 

「…ごめん」

 

(どうしよう…。俺のせいで余計に七海や静矢を気まずくさせてしまった…)

輝は、自分で自分の心のモヤモヤを膨らませてしまったような気がした。

 

モヤモヤした気持ちを抱えたまま部活対抗リレー本番がやってきた。

各部の部員達がスタート地点に着く。競技かるた部(ウチ)の一番手は、静矢、2番手は、輝、3番手は、七海、4番手は、悠也先輩、5番手、6番手は1年生の2人だ。

 

ピストルのパン‼︎ という合図と同時に皆一斉に走り出す。一番手の選手が走り出し各部、2番手のメンバーがスタート地点に着く。

 

輝の隣には修哉がいた。修哉は、余裕そうな顔で俺にこう言った。

 

「この勝負俺が勝ったら桜内さんは、俺が貰うからな」

 

「悪いけど、梨子はお前になんか絶対渡さないし渡す気はない」

修哉にそう告げ俺は、ロケットスタートの準備をした。このリレーは、絶対負けられない。全神経を研ぎ澄ませリレーに集中させた。

修哉が先に部員からバトンを受け取り走り出した。

静矢から遅れてバトンを受け取り輝も、走り出す。

 

 

(ヤバい。少し差がついてる…)

今、輝と修哉の距離は、およそ2mくらい。これ以上差が広がるとヤバい。

 

(こんなところで負けたくない‼︎ 梨子をお前みたいな身勝手野郎に渡してたまるか‼︎ )

そう思った瞬間、輝は自分の心に火がついた。輝は、全力を出し疾走した。

 

(お前なんか、俺の敵じゃねぇ‼︎ )

修哉との距離が縮まっていく。やがてカーブが終わり、俺は修哉を抜いてゴールまで突っ走っていく。

 

 

 

「輝〜‼︎ 」

ゴールには、3番手である七海が既にスタートラインに立っていた。

 

「七海ぃー‼︎ 」

輝は、ゴール直前で強く足を蹴ってバトンを七海に渡した。

七海は、俺が渡したバトンを受け取り全力で走った。

 

 

 

 

 

 

 

部活対抗リレーは終わり結果、俺達競技かるた部は2位、修哉がいるサッカー部は3位、1位は、女子バスケ部だった。

 

「あー、もう、あとちょっとだったのに〜」

七海は、女子バスケ部に負け悔しそうな様子だった。

 

「仕方ないよ…。七海。でも俺達にしたら去年よりは、よく頑張った方だと思うよ? 」

静矢が七海を励ます。

 

「う〜…。まぁ確かにそうだけど」

 

「残念だったわね〜。七海。あと少し(• • • •)のとこで負けて」

七海と静矢が話してるとそこに女子バスケ部の朱音が割り込んできた。

 

「でもみんな頑張ったもん‼︎ 来年は、絶対勝つから‼︎ 」

 

((来年もやるの⁈ 頼むからプレッシャー掛けないで‼︎ ))

静矢と輝は、心の中で叫んだ。

 

それから午前中は、大玉送り、女子は綱引きをやった。体育祭は、大盛り上がりで午前中は終わりお昼休憩に入った。

 

「あ〜。お腹すいた」

 

(…ッ⁈ )

輝は、弁当を取りに静矢と七海の3人で教室までの道を歩いていた。途中、静矢が突然フラッと前に倒れそうになり俺と七海は、静矢の身体を支えた。

 

「静矢、大丈夫か⁈ 」

 

「大丈夫。平気、平気」

 

「なんかすごくフラッとした感じだったぞ、お前。あんま無理すんなよ」

 

それからお昼ご飯を食べ終わり文化祭午後の部が始まった。午後は、男子は紅白騎馬戦、女子は綱引きをやった。ここまで紅組、白組両者一歩も譲ることなく同点で終わった。そしていよいよ最後残す競技は後一つ、競技紅組白組対抗リレーだ。その前に10分間の休憩が入った。

 

俺達2組からは静矢が出ることになっている。俺に出来ることは、静矢を応援することくらい。俺は、トイレを済ませた後同じクラスの男子達と喋っていた。

 

話してる最中、輝は、ふと梨子の方を見た。梨子は、同じクラスの女子と楽しそうに喋っている。

 

(梨子…。俺のリレー、見てくれたのかな…。梨子、俺、お前に何かしちゃったなら謝りたい。けどどうしたらいいのかな、俺)

 

「大変‼︎ 静矢君が」

俺がそんな物思いにふけっているとウチのクラスの体育委員が俺達の前に現れた。

 

(? )

静矢の身に何かあったのか。俺は、体育委員の話を聞くことにした。

 

 

 

「マジかよ…」

 

話を聞くとこうだ。静矢は、突然具合が悪くなり倒れて今、保健室にいる。リレーに出れないくらい体調が良くないらしい。それで静矢の次に速い輝にリレーに出て欲しいと頼んできたみたいなのだ。

 

「神崎君、お願い。リレー、静矢君の代わりに出て‼︎ 」

 

「…わかった、出るよ。静矢の思いを無駄にしない為にも」

輝は、静矢の代わりにリレーに出ることになった。

 

そしていよいよ紅組白組対抗リレー本番。周りからはリレー前から紅組白組の応援が聞こえる。

「ウチからは誰出るの? 確か静矢君でしょ? 」

 

「違うよ。静矢君、急に具合悪くなって輝君代わりに出るんだよ」

 

「神崎、大丈夫かな? 今日、アイツ何か様子変だし」

「桜内さんも輝君と1ミリも口交わしてないし」

等2組からは色々な声が聞こえる。

 

 

 

(スゥー…、ハァー…)

静矢の代わりにリレーに出ることになった輝は、緊張をほぐすべく深呼吸をしていた。

 

(俺の番は、ラスト。最後だ…。絶対に決める‼︎ 俺を信じて託した静矢の為にも! 絶対に勝つ)

輝が心の中でそう呟いてると1番手の選手が走り出した。続いて2番手が準備をする。そして2番手の選手が走り3番手、4番手と続いていきいよいよ5番手である俺の番が来て俺は、スタートラインに着く。

 

4番手の選手が近づいてくる。輝は、背中から緊張感が走る。全神経を、リレーに集中させる。そしてバトンを受け取り俺は、全力で走り出す。

 

輝は、4番手の人から遅れてバトンを受け取った為一番前の人とはかなり差がある。輝は、遅れを取り戻すために全力で走り手前の選手、またその手前の選手を抜いていく。

 

(静矢は、きっと俺を信じて託してくれた。俺の為にも、紅組の為にも絶対、このリレー勝つ‼︎ )

輝は、このまま全力で走りついに一番前の人との距離を目と鼻の先くらいまで縮めた。よし! あと少しだ。周りからは紅組の応援が聞こえる。俺は、力を振り絞って最後まで走る。

 

ラストスパート。もう後半、ゴールまであと僅か。輝は、ついに一番前の人と並んだ。

 

(このリレー絶対負けねぇ‼︎ 紅組の為にも、俺の為にも!)

輝は、持てる力全てを出して1番前の人を振り切る為に全力で走る。

その時だった。

 

 

(…ッ⁈ )

右脚に激痛が走った。輝は、一瞬スピードが遅くなり一番前の人が俺を抜こうとする。駄目だ、あと少しなのに…。そう思った俺は、最後の力を振り絞って走る。

 

(足に痛みが走るのなんかどうだっていい。こんな場所で諦めたら梨子の前でかっこ悪いところを見せることになる‼︎ それだけはイヤだ‼︎ )

輝は、足が痛むのを我慢し全力でゴールまで走りゴール直前で俺は、ジャンプしてゴールテープに触れた。

 

その瞬間、紅組の席から歓声が上がった。輝は、ギリギリで1位になり見事紅組は、今年のスポーツフェスタに見事勝利することができた。

そして2組の生徒達が一斉に輝に抱きついてきた。

 

「輝君。すごいよー! 」

 

「やったー‼︎ 紅組の勝ちだー」

 

中には、輝の頭をわしゃわしゃする生徒もいる。皆輝の活躍に大喜びしていた。

 

「やめて、やめてw。苦しいってば、みんなww。アアッ…痛っ。痛い。ッ…‼︎ 」

輝は、皆に抱きつかれている時直前で挫いた右脚に激痛が走ってきて右脚を両手で抑え込んだ。

 

 

 

 

それからスポーツフェスタは終わり俺は、クラスメートに肩を借りてすぐ保健室に連れて行ってもらい先生に痛めた右脚を見てもらった。

 

「痛みますか? 神崎君? 」

 

「…ッ⁈ 痛みます」

 

「ハァ…。捻挫ですね。かなり無茶したでしょう。この痛みだと全治一週間くらいはかかりますよ」

 

「…そうですか」

輝は、保健の先生の言葉に肩を落とした。それから簡単な治療をしてもらい俺は、保健室を後にした。保健室を出ると舞と母さん、それに梨子の3人が廊下で待っていた。

 

「舞、母さん、それに梨子、なんでいるの? 」

 

「何でじゃないよ! このバカ兄! 」

輝は、何故か舞からボカっと強烈な腹パンを食らった。

 

(ううっ…。痛ってぇ…、この暴力妹。何するんだよ。いきなり…)

輝は、腹を抑えた。

 

「こら、舞。輝、足大丈夫? 」

 

「なんで足のこと知ってるの?母さん」

 

「梨子ちゃんから聞いたのよ」

 

「あーなんとか大丈夫。って言っても右脚捻挫して全治一週間かかるけど」

 

「先生に言って早退してもらったら? 」

 

「いいって‼︎ 大丈夫だから」

 

「そう…。無理しないでよ」

それから舞と母さんは、学校を後にした。

 

それから、文化祭の片付けが終わって放課後。今日は、梨子が俺に話があると言って来た為、俺は梨子と一緒に帰ることにした。静矢と七海は、俺に気を使ってくれたのか二人で帰りなよと言ってくれた。

 

 

 

 

(……)

(……)

 

夕方。輝と梨子は、学校を出てからずっとお互い黙ったまま。お互い何を話したらいいかわからなかった。

 

「「あー…あのさ」」

輝と梨子は、お互い同時に喋り出した。

 

(あ…)

 

「梨子から先に話して」

輝は、梨子の話を先に聞くことにした。

 

「ひ…輝君。昨日は…ごめんなさい‼︎ 」

 

「梨子…」

 

「実は…私…」

梨子は、全て話した。昨日輝と沙矢華が話してる現場に居合わせたこと、それと輝にひどい態度をとったこと、文化祭、二人で見る約束を断ったわけを。

 

「…そうだったんだ…。何かごめんな、梨子。俺のせいで梨子を追いつめちゃったみたいで」

 

「うん。私もごめんなさい。輝君が遠くに行っちゃう気がしたから」

 

「断ったよ、俺」

 

「え…」

 

「だから断ったよ。沙矢華の告白」

 

「うぅ〜。良かった、良かったぁ。輝君。わ〜ん、うぅ〜」

梨子は、輝に泣きついてきた。

 

「ちょ、梨子。泣くなよ。ごめんな…本当に。俺がお前を追い詰めてたなんて。それに女の子の話軽々受けたりして」

輝は、梨子を抱きしめて彼女の泣き顔が誰にも見られないように顔を隠した。

 

 

「私もごめん。勝手に思い込んで輝君に嫉妬して約束破ってひどい態度とって。私のこと、嫌いだよね?」

 

「俺が梨子のこと嫌いになる訳ないだろ? たった一人の大事なガールフレンドだもん」

 

「輝君」

 

「そのさ…? 今度、二人でどこか行こう? 埋め合わせと言っては難だけど」

 

「うん」

 

「ほら、梨子。行こう。顔すごいことになってるよ。涙拭いてあげる」

輝は、ポケットからハンカチを取り出し梨子の涙を拭いてあげた。

 

辺りはもう夕方になり俺と梨子は、二人で帰り道を共に歩いた。二人の手は優しく強く握られていた。

 

 

(輝君、ありがとう。許してくれて。それとリレー走ってる姿とてもかっこよかった。やっぱり私、輝君が好き‼︎ ボーイフレンドとしてじゃない、一人の男の子として輝君が好き‼︎ 大好き‼︎)

 

この日、梨子の中で輝に対する思いと輝の見方が変わった。

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか? 書いてはいませんが一応輝は体力はそれなりにあります。
さてこの物語、次回から新章に入ります。
次回は、なるべく早く間が空きすぎないように投稿します!
では、また‼︎
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