今年もよろしくお願いします。
今日から新章に入ります!
今回は、梨子ちゃんのピアノをテーマにしました!
時期は、文化祭終了後。10月です‼︎
どうぞ‼︎
文化祭が終わり一ケ月が過ぎ十月。季節は秋。輝の捻挫も無事完治しいつも通りの生活。あれから梨子とは何も変化はなく何の隔たりもなく今まで通りの関係が続いている。 今は、
「見ての通り、今全員に進路調査表を配った。志望校を記入して来週の金曜までに提出するように」
(進路か…)
先生が話をしている最中、輝は自分の机の上で後ろの人から配られた進路調査表と面と向かい合っていた。
今日は、金曜日。放課後は部活がない。梨子が輝と帰りたいと言ってきたので輝は一緒に帰ることにした。帰り道辺りはすっかり秋。紅葉が見頃で帰り道辺りにある木には紅葉が綺麗に色づきはじめていた。
カバンを前で両手で持っている梨子の隣を輝は歩き進路のことを話していた。
「進路かぁ。梨子はピアノ得意だし音楽系の道で決まりだよね」
「うん…音楽を学びたいとは思っているんだけどね…。輝君は? 」
「どうしよう、 俺。やりたいこととか何もわからないよ…」
「焦らなくてもいいんじゃない? 輝君なら見つかると思うよ」
(梨子…)
梨子は優しい目でそう言い輝をじっと見つめる。輝は最近、梨子が可愛いくなってきた気がしてきた。元から美人だが輝は今夕焼けをバックにして梨子の顔を見ているので普段以上に可愛いく見えてたまらない。
「輝君? どうしたの? 顔真っ赤にして」
「え? いや何でもない。どうして? 」
「何かボーっとしてたから。あとね輝君、私、夏にピアノコンクールで金賞取ったでしょ? それで来週の土曜日、あそこのピアノコンクールが主催するピアノコンサートに招待されたんだ」
「梨子…。すごいじゃん‼︎ 頑張れよ」
梨子は嬉しそうに輝にそう言った。輝は梨子の嬉しそうな笑顔を見てはなんだか嬉しく思えてきた。
「その…輝…君」
梨子は、恥ずかしそうに手をモジモジしている。
「何、梨子?」
「その…輝君も観に来て欲しいな… 」
梨子は、隣で上目遣いで俺を見つめてきた。
「勿論‼︎ 行くよ! 絶対行く! 例え店の手伝いあっても絶対行くから! 」
「お店の手伝いあるならそっち優先した方がいいと思うけど…。舞ちゃんにまた怒られるよ? 」
◇
コンサート一週間前の土曜日。梨子はピアノスクールで前半のレッスンが終わり、休み時間。コンサートで弾く曲の練習をしようとしていた時スクールのクラスメートが何人か私に声をかけて来た。
「梨子、最近何かいいことあった? 」
「え? なんで? 」
「レッスンの時、楽しそうにピアノ弾いていたから」
「うんうん‼︎ 何か梨子、最近変わった気する」
「もしかして彼氏とか出来た? 」
「か、彼氏…? 」
梨子の脳裏に、ふと輝の顔が浮かび上がった。
「「いるんだ〜‼︎ 」」
皆は、黄色い声を上げた。
「いや、いないってば〜‼︎ 」
梨子は、恥ずかしくなって思わず必死に否定してしまいました。
それからピアノスクールの授業が終わりコンサートで弾く曲の練習を私達のクラス担任の
「梨子ちゃん。最近、何だかピアノの音が変わった感じする。先生何だか聴いていてとても心地良かったよ。コンサート出るなんて言って、いいことでもあったの? 好きな人がいるとか」
先生が以外なことを言ってきた。
「え…あ…」
「話して良いよ。私は誰にも喋らないし私だって梨子ちゃんくらいの歳の頃には好きな人いたし」
梨子は、正直に話そうか悩んだが先生になら話しても安心だと思い思い切って話すことにした。
「実は、好きな人がいて…。私、その人にピアノで自分の思いを伝えたいんです‼︎ 」
あぁ〜私、自分で何変なこと言ってるんだろう〜。恥ずかしい。
「へぇ〜。いいじゃん‼︎ じゃあ、その人に届くくらい頑張らなきゃね‼︎ 」
◇
ついに、梨子のピアノコンサートの日である土曜日がきた。輝は、一人コンサート会場である桜ヶ丘市文化ホールに来てしまった。
(ついに来てしまった…。かなり大きい会場だな…。)
輝は、おそるおそる会場の中にゆっくり入っていく。受付でプログラムを受け取りそれを見ながら会場内を歩く。
(確か今日のコンサートってコンクールの受賞者がメインなんだよな。にしても周り女子ばっかだなぁ…男俺だけじゃん。一人じゃ心細い。誰か助けて)
俺は、コンサート会場の周りを見回す。周りはザワザワしており辺りを見回すと女子、女子、女子…。俺、完全に場違いだ…。
「ねぇ、あの人、かっこよくない? どっかのピアノスクールの人かな? 試しに声かけてみる? 」
(そうだったらいいんだけどな‼︎ っていうかホール入り口どこだよ? )
輝は、あちこちウロチョロしているとドレスを着た俺と同い年の女の子とぶつかって転んでしまった。
「あ! すいません! 前見てなくて」
「輝君、大丈夫? 」
自分の名前を呼ぶ声に輝は、顔を上げた。目の前には、サクラピンクの発表用ドレスに身を包んだ梨子の姿が…。
(グハッ…‼︎ や、ヤバい、可愛い過ぎ…‼︎ )
今日の梨子は、サクラピンクの発表用ドレスに身を包み髪型は、シュシュで髪を束ねサイドテールにしている。
「輝君? ひょっとして入り口わからない? 」
俺は、目の前のドレス姿の梨子に見惚れてしまっていた。とっても可愛くてお姫様のように見えた。
「輝君? 」
じっとしている俺に梨子は、首を傾げ顔を覗き込んできた。
「えっ…⁈ あ、あぁ…うん‼︎ だ、大丈夫。発表楽しみにしてる」
俺は、顔を真っ赤にしてそっぽを向く。
「うん、じゃあね」
輝は、すぐに立ち上がり梨子とわかれホール入り口に向かった。
梨子は、輝と離れた後控え室に戻ることに。控え室に戻ろうとした時、スクールのクラスメートが何人か駆け足で梨子の元にやってきた。
「ねえ、ねえ‼︎ 梨子‼︎ 今話してた子って同じ学校の子? 」
「どういう関係なの? 」
「え、えっと…」
梨子は、髪を触りながら受け答えに悩んだ。
「梨子、あの人のこと好きなの? 」
梨子は、思いがけない質問を前に前髪を触りながら顔を真っ赤にして下を向いた。それを見たスクールのクラスメートは、皆黄色い声を上げ「ちょーかっこいい子じゃん‼︎ 」等言った。
輝は、コンサートホールの中に入り空いている席を探した。
(どっか空いた席ねぇかな…できればよく見える場所)
(あった。ここにするか。ここならステージがよく見えるし)
輝は、ゆっくり階段を下り席を探しているとようやくステージがよく見える席を見つけた。俺が座ったのは、1Fのステージから10列くらい離れた席だ。
(周りにいる人達ってみんなピアノ絡みの人達かな)
輝は、座って周りを見回した。俺が座っている席にはあまり人が座ってない。だが周りにはいかにもピアノを弾いていそうな人や他のピアノスクールの先生っぽい大人が何人か座っていた。
「あの、隣いいかな? 」
輝が周りに気を取られていると首に名札のついたストラップをぶら下げた綺麗な黒髪ロングの一人の若い女の人が俺に声をかけてきた。
「あー。いいですよ」
輝がそう言うとその女の人は俺の隣の席に座った。
「あなたはどこかのピアノスクールの子? 」
しばらくしてその女の人は俺に聞いてきた。
「いえ。俺は、知り合いのピアノを聞きに来たんです。あの失礼ですがどこかのピアノスクールの先生ですか? 」
「うん。桜ヶ丘ピアノスクールの先生やってるんだ」
(梨子が通っているピアノスクールだ! )
輝は小さい頃、家族とドライブに行く途中、梨子の通っているピアノスクールに偶然通りかかって母に梨子かここのピアノスクールに通ってることを教えてもらったことを思い出した輝は、「俺の知り合いも桜ヶ丘ピアノスクール通ってて今日コンサートに出るんです‼︎ 」と言った。
「へぇ〜。そうなんだ」
二人で会話しているとホール内は暗くなりステージ脇からスーツを着た高齢の女性が出てきて開会宣言をした。
開会宣言の後、プログラムナンバーの順に曲が披露されていく。輝は、ピアノのことは全然わからないがどれも皆、上手なのがわかった。
同じ頃、梨子は、控え室で楽譜を机の上に置き座り深呼吸をしていた。
(大丈夫…。落ち着いて…。あとは落ち着いて弾くだけ)
「9番 桜内梨子さん。ステージ脇に来てください」
梨子が心の中で自分に言い聞かせていると係の人がきて梨子は、係の人に従い楽譜を持ちステージ脇に移動した。
(いよいよ梨子の番だ…‼︎ )
輝は、プログラムを見て次は、梨子の発表だということを確認し楽しみで期待を膨らませていた。
「続きましてプログラムナンバー9番。桜内梨子さん。発表曲は『lch liebe dich』」
アナウンスが終わりステージ脇からピンク色の綺麗なドレスに身を包みいつも通りの髪型をした梨子が出てきてゆっくりとピアノの椅子の前に向かった。
(梨子、やっぱ遠くから見ても本当に綺麗だなぁ)
輝は、遠く離れた席から梨子を見ていたが遠目でも彼女が可愛いのが一目瞭然にわかった。さらに今は彼女をステージのスポットライトが照らしてるのでより彼女の美しさが際立ち俺は、気づくと胸がドキドキしてしまっていた。
梨子は、ピアノの椅子の前に付きお辞儀をした。ピアノの蓋を開き自分の楽譜をピアノの譜面盤に置きゆっくり椅子に座り両手をピアノの鍵盤の上に添えある言葉を囁いた。
「
梨子は、そう小声で囁きピアノを弾き始めた。
♬〜lch liebe dich
梨子は、ピアノを弾きだした。梨子が弾いている曲は、ベートーベンの歌曲のピアノ編曲。俺は、ステージから離れた席から梨子を見ていた。
(輝君とのこと、いろいろ思い出すなぁ。初めて会った時のこと。そうだ、輝君と初めて会ったのは小学校の時だったよね…。教室でいつも一人でいた私に最初に声をかけて来たのが輝君だったよね)
梨子は、弾いている中、輝と初めて会った時のことを思い出していた。
(この音色…。なんか胸の中が暖かくなるみたいで…なんかドキドキしてくる)
小学校の音楽会や、中学の音楽コンクールで今までも梨子のピアノを聴いた。けど今日の梨子は、いつもと違う。知らない人みたいだ。
(輝君、合唱部のみんな、ありがとう。私が今こうしていられるのはみんながいてくれたからだよ。あと輝君。私、輝君が好き‼︎ ボーイフレンドとしてじゃなく、一人の男の子として輝君が好き‼︎ 私の想いをこの曲に乗せて届けるよ)
いよいよ曲のサビに入る。梨子は、今の自分の想いをピアノに込めて音を奏でる。サビに入った瞬間、ステージからたくさんの暖かい音色が溢れ出した。
(梨子。何か伝わってくるよ。綺麗でキラキラ輝いているような音だ。あれ、何で? 俺、何でこんなドキドキしてるんだ? )
発表中、輝の心臓の鼓動は何故か止まらなかった。梨子の可愛さにドキドキすることは今まででも何回かあったが今日ほどドキドキしたことはない。演奏中、輝はその理由を頭の中で探し続けやがて一つの結論にたどり着いた。
(あぁそっか…俺は、梨子が弾くピアノが好きで梨子が好きなんだ…)
そう思えば思うほど心臓の鼓動が早くなり輝は「鳴るな、心臓」と心の中で呟きながら胸を抑え込んだ。俺は気がつくと涙が出てしまっていた。
(この音、届いて…。輝君に…届いて‼︎ )
終盤、梨子は輝に今の自分の気持ちを込めて精一杯の演奏をする。
(好きだ…‼︎ 好きだ…‼︎ 梨子がどうしようもないくらいに好きだ‼︎ 駄目だ‼︎ もうこの気持ちが抑えきれない)
輝は、梨子の演奏に、ピアノを弾く梨子の姿に心を奪われてしまっていた。輝は目がウルウルしてしまい涙が出そうだった。
そして演奏が終わり梨子は席を立ち、ピアノの隣でお辞儀をした。ステージの席から梨子に盛大な拍手が送られ俺もそれに続き梨子に拍手を送った。
コンサートの全てのプログラムが終わりたくさんの人がホールから出て行く。輝も隣の席に座っていた女の人の後ろに続いてホールから出て行く。
ホールから出ると最初に梨子の姿を見た。梨子は、何かを見つけたのか真っ先に向かって最初に「先生‼︎ 」と言い輝の隣の席に座っていた女の人に向かってきた。
「梨子ちゃん、おつかれ。良かったよ、演奏」
「え? 先生⁈ 」
輝は驚いて思わず声を上げた。
「輝君」
梨子は、近くにいた輝を見つけると演奏について聞いてきた。
「梨子…この人、梨子のピアノスクールの先生? 」
「うん。私達のクラスの担任の逢川りあ先生。先生、私の学校のクラスメートの輝君」
「あ…こんにちは」
マジか…。すっげえ美人。梨子、この人にピアノ習ってんのか。
「こんにちは。君が梨子ちゃんのボーイフレンドか。梨子ちゃんから話聞いてるよ」
「え⁈ はい」
「好きな人いるの? 」
逢川先生は、輝に興味津々な様子だった。
「あ、好きな人は…」
輝は、チラッと梨子の方を見る。梨子は、「? 」と首を右に傾ける。なんて答えたらいいか輝はわからなかった。
(どうしよう…。もしここでいるって言ったら追加質問くるかも…。それで梨子が好きってことがバレる…。絶対梨子に嫌われる…)
「好きな人は…いない…です」
今の梨子との関係が壊れるかもしれない。そう思った輝は、そう答えた。
「ふーん。そっかー。あ、梨子ちゃんが話あるって」
そう言い逢川先生は梨子の背中を押した。
「梨子、何? 」
「あ…輝君。その…どうだった? 私の演奏」
梨子は、輝に演奏について聞いてきた。
「え…あ、俺ピアノのことあまりわからないけどすごい良かったよ。特にサビのところ。あの部分が良かった」
輝は専門的なことは言えないので思ったことを素直に伝えた。
「ありがとう、輝君。それとあの私…」
梨子が何かを言おうとした時だった…。
(ブーッ…ブーッ…)
輝のスマホが突然鳴り出した。
「ごめん。待って」
輝は、スマホを開き画面を見る。開くと舞からメールが来ており『お客さん増えたから早く帰ってきて』とのことだった。
「ごめん。舞からメール来た。早く帰ってきてって。ごめんまた今度。じゃあ、学校でな」
輝は、梨子にそう言うと急いでコンサート会場を後にした。
「先生。私の音は輝君に届いたんでしょうか? 」
輝を見送ってしばらくして梨子は、口を開いて喋り出した。
「大丈夫。きっと届いたよ。それに」
逢川先生は、梨子に小声で「耳貸して」と言いこう言った。
「
「…‼︎ 」
梨子は、逢川先生の言葉にびっくりして楽譜を落としてしまい床に楽譜が散らばってしまい慌てて梨子は集めた。
「梨子ちゃん? どうしたの⁈ 急に楽譜落として⁈ 」
逢川先生は、楽譜を床に落とした梨子に驚いてそう言った。
「いや、何でもないです…。ち、ちょっとびっくりしちゃって…」
梨子は、上手く平常心を保とうとした。
その夜、輝は自分の家の自分の部屋のベッドにうつ伏せに寝転んで今日の梨子のピアノの演奏、梨子の発表用のドレス姿を思い出していた。
(今日の梨子の演奏、良かったなぁ…。何かすごい胸がキュンとなったし、それにドレス姿が新鮮すぎだし…可愛すぎる…‼︎)
梨子の普段着姿と制服姿しか見てないからか輝は、今日の梨子のドレス姿にすっかり釘付けになってしまっていた。
(俺、梨子のことめっちゃ好きだ…。あぁーー‼︎ 来週からどうしよう‼︎ )
梨子にすっかりメロメロの輝は、ベッドの枕に顔を埋め思わず足をジタバタさせてしまった。来週からの学校、梨子にどう接したら良いか悩み過ぎて平常心を保てそうになかった。その後、部屋の扉が開き舞に怒られたのは別の話。
作品内で梨子が弾いた曲は、ベートーベンの「lch liebe dich」です。初めは悩みましたが中の人繋がりでこの曲にしました。
では、また。