桜色の君とともに   作:如月 蓮

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遅れてすみません。
最近、新しい仕事が始まりそっちに集中したく執筆が疎かになってしまいました。
では、13話です。
どうぞ‼︎


#13 彼女が好きすぎて悩んでます

 

コンサートから一週間後。今日は土曜日。輝は、いつものように家の喫茶店の手伝いをしていた。今は、お客さんからの注文はない。輝は一人、カウンターでポカーンとしてコンサートの時のことを思い出していた。

 

 

「………」

輝は、あの日からずっと梨子のことが頭から離れない。それどころか日に日に想いが大きくなるばかりだった。

 

 

「…ぃ。…にぃ。…お兄‼︎ 」

 

「え…? 舞? 何? 」

 

「お客さん来たからお冷とおしぼり持ってって‼︎ 」

 

「あー。すぐ行く」

輝は、ボーッとしてしまい舞の声が全く聞こえてなくお客さんが新しく来たことにも気づかなかった。俺は、母さんからお冷とおしぼりを載せたトレーを受け取りすぐ席に持っていった。

 

「ねぇ、お母。ここ最近、お兄変じゃない? 梨子姉のピアノコンサート行ってから」

舞は、輝の様子の異変に気付いているようだった。

 

「そうねぇ。何かあったのかしら」

 

「わかった。梨子姉に告白したとか 」

 

「あり得る‼︎ 」

 

「それでフられたとか! 」

 

「あり得る! 」

 

「梨子姉がキス迫ってきたとか」

 

「……それは無いんじゃない? 」

 

「そうだよねーwww。無いよねーwww お兄、ヘタレだし。梨子姉が夢中になるわけ無いよねー」

 

舞と母さんが厨房で交互に喋りながらゲラゲラ笑ってるとお客さんの席にお冷とおしぼりを運び終えた輝がやってきた。

 

「舞、母さん。お客さんから注文きた。紅茶のシフォンとアイスコーヒー2つずつ」

 

「はい。わかった」

 

(仕事無いからって二人でゲラゲラ喋ってるなよ…)

輝は、二人に呆れ溜め息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、部活が終わり輝はいつものように教室に向かう。輝は教室に入ろうとすると梨子と遭遇した。

 

(あ…。梨子だ。どうしよう…。何て声かけたらいいんだ? でも、取り敢えず…)

 

「梨子、おはよう」

今日の梨子は、サイドテールだ。ピンク色のシュシュで髪を束ねている。上はブラウンのカーディガンの上にブレザーを着ている。それによく見ると梨子の髪がくるっとはねて寝癖がついてしまっている。

 

 

「梨子、ここ寝癖ついてるよ」

輝は、思わず梨子に寝癖がついてる場所を自分の頭で示した。

 

 

「ありがと、輝君」

梨子は、寝癖を頭で隠し人差し指を口に当ててそう言いニコッと可愛いらしい笑顔を見せた。

 

 

(可愛い…)

輝は、梨子の笑顔に思わずドキッとしてしまった。

 

 

 

 

 

 

放課後、3年生の悠矢先輩達が引退して最初の部活動の日、今日はもうすぐ来月の期末試験が終わった後直ぐに大会がある。桜ヶ丘中学競技かるた部は、大会に向けて猛練習していた。今は桜木先生が読み手を担当している。輝の練習相手は静矢だ。ちなみに静矢が部長になり輝と七海が副部長となった。

 

「………」

桜木先生が札を読んでいる最中、輝はどこか試合に集中できないでいた。

 

(あっ…)

桜木先生が序歌を読み終え最初の札を読み始めた。読まれたのは輝の陣の札だ。輝は、僅かに反応が遅れ静矢に出札を取られた。

 

その後もお手つきをしたり空札なのにもかかわらず札に触ったりと普段の俺からしたら考えられないようなめちゃくちゃなプレイをしてしまった。後半からなんとか立て直したが前半のミスが仇となり試合は静矢の勝ちで輝は、束負けしてしまった。

 

試合が終わり15分の休憩が入った。休憩の開始の際、俺は桜木先生に呼び出された。

 

「神崎! どうした⁈ 普段のお前らしくない! 期末試験の勉強が忙しくて疲れてるのはわかるが副部長なのだからもう少ししっかりしてくれないと! 試合が近いのに今更この程度の姿勢が通じると思ってるのか⁈ 」

桜木先生は、クリップボードを片手に俺に注意をした。

 

「すいません。本当に」

何も言い返せなかった。今更調子を崩しているのは問題外だと自分でも感じたからだ。

 

「とりあえずまず休め」

 

桜木先生は、輝の様子を見て輝が反省しているのを察したのか「とにかくちゃんと休め」と言い俺を休憩に向かわせた。

 

「輝、大丈夫かなぁ」

七海は、たまたま近くで輝の様子を心配げに見ていた。

 

 

「ちょっと俺、トイレ行ってくる」

輝は、自分の中にあるモヤモヤを断ち切るべくトイレに行くと言い部室の外に出た。

 

 

「神崎先輩、何かあったんですか? 梨子先輩と喧嘩したとか」

 

「さあね。私にもわかんない。梨子ちゃんも今日一日、輝と会話してないし」

 

輝が部屋を出た後、七海と1年生部員が喋っているのが聞こえた。

 

休憩時間、輝は一人で渡り廊下の椅子で休憩していると静矢が隣にやってきた。輝は静矢に「静矢、ごめん‼︎ 練習中、ぶざまなかるたとって、副部長失格だ…俺」と謝った。

 

「気にすんなよ。誰だって調子悪い時だってあるよ。その調子悪い原因さえちゃんと解決したら何も言わないよ。お前、何かあったの? 」

 

「何が? 」

 

「何がって…。お前、なんか今日一日ずーっと変だからさ」

 

「…」

輝は、正直に静矢に自分の今の悩みを話した。

 

「やっぱりかぁ」

静矢は、輝が黙っているのを察して何かあったのだと確信した様子だった。

 

「うん…」

輝は、思い切って静矢に自分の悩みを打ち明けた。ピアノコンサート以来、ずっと頭の中が梨子のことでいっぱいなこと、梨子のことが好きだということを。

 

「なるほどね…。そういえば前から気になってたけど、輝と桜内さんってどういう仲なの?」

 

「あー…。梨子とはお互いの母親が高校時代の同級生でさ…最初に梨子とあったのは俺が小学生の頃だったかなぁ」

輝は、静矢に梨子との出会いや今までの梨子との出来事を当時を思い出しながら語り始めた。

 

 

_________

確かあの日は天気が良くて友達と紙飛行機を飛ばして遊んでたんだっけ…。

 

『よーし、次は僕だ! 』

 

輝が紙飛行機を飛ばすと飛ばした紙飛行機は、風に流されて梨子の所に飛んでっちゃってあの時ブランコで遊んでた梨子の足元に輝の紙飛行機落ちたのだ。。

 

 

『これ、あなたの? 』

梨子が、そう言って落ちた紙飛行機を拾ってくれたことを思い出した。

 

『うん。ねぇ、良かったら一緒に向こうで遊ぼうよ』

 

あの時はそれから梨子も入れて一緒に遊んだんだよな。今思えばこれが梨子との出会いだったのかもな。

 

「それからは家族ぐるみでの付き合いが多くなってよく遊んだり一緒に家族でキャンプ行ったりしたんだ」

 

「へぇ、そうなんだ 」

 

「けど4年生への進級を機に梨子とは別クラスになって、それからは家族での付き合いが一切無くなったんだ。けど今、同じクラスになって一緒に遊びいったり夏の時は家族で旅行行ったりしてすごい楽しい。あのピアノコンサート以来気がついたら俺…ずっと梨子のこと考えちゃってさ…梨子が好きなんだ」

 

 

「そうか、いいんじゃない? 桜内さんと輝、案外お似合いな気するよ。応援するよ、俺」

 

「静矢…。ありがとう」

 

「そうだ‼︎ 一つだけ方法あるんだけど」

少し静矢は微笑んだ後、輝にある提案をしてきた。

 

「何? 」

輝は、一瞬首を傾げ静矢の話を聞いてみることにした。

 

 

 

その日の夜、輝は期末試験の勉強を一人部屋でやりながら静矢の話を思い出していた。

 

「なるほどね…」

 

 

休憩時間中…。

 

「テスト勉強を一緒にやらないか誘う? 」

 

「うん。期末試験が近いしそういうことから始めてみたらどう? いきなり言ったら一直線に嫌われるよ。まずは距離を縮めることから始めないと」

 

「なるほど…。よしやってみるよ」

けど今までだって一緒に遊んだり出かけたりすることはあった。けどそれは、あくまで友達としてで異性として見られていたわけじゃない。そう思った輝は、次の日、思い切って挑戦してみることにした。

 

 

次の日…。放課後、皆が帰る準備をしている中、俺は思い切って動き出すことにした。

 

「じゃあ、梨子ちゃん、またね」

 

(よし! 今がチャンス‼︎ )

梨子の席は、輝から少し離れた場所にある。俺は思い切って梨子の席に向かった。

 

「り、梨子、あのさ」

 

「? 何、輝君? 」

梨子は、? と首を傾げた。

 

「今日、部活無いしもし良かったら一緒にテスト勉強しない? 」

ああ…言っちまった。けど…ここでやっぱいいなんて言ったらアウトだ! 止まっちゃダメだ…。俺‼︎

 

「いいよ。輝君」

 

「ホントに⁈ じゃあ、図書館で一緒にやろ‼︎ 」

こうして輝は、梨子と距離を縮める為の第1歩を踏み出した。

 

「(やったな、輝)」

その近くで2人の様子を見ていた静矢は、そう心の中でつぶやいた。

 

それから2人は、図書館に向かった。図書館の扉を開けると既にたくさんの生徒が座って勉強しており2人が座れるスペースが無かった。

 

「どこにも座れる場所…、無いね」

 

「そう…だね…。まぁ期末試験近いし…」

輝は、まいった。せっかく誘っても場所が無ければ意味がない。

 

「じゃあさ…。家でやらない? 梨子」

 

「え? 輝君の家? でも喫茶店大丈夫なの? 」

 

「うん。今日は手伝い無いし、それに舞は友達と遊ぶ約束するって今朝行ってたから、それに静かにしてやれば母さんも何も言わないし」

 

「いいよ、輝君」

輝君の家で勉強か…。なんだろうな、この不思議な感じ。輝君から言ってくるなんて…ドキドキする。

 

 

「じゃあ、家、行こうか」

2人で話し合い輝と梨子は、輝の家で勉強することになった。

 

 

そして二人は他愛もない話をしながら学校から、俺の家までの道のりを歩いていった。

 

そして二人は家に着き輝が玄関のドアを開けて入ると真っ先に厨房の方から母さんがやってきて2人を思いっきり茶化してきた。

 

「あら〜。梨子ちゃん、いらっしゃい♫ 2人揃って〜。なになに〜?もしかして付き合い始めたの? 」

 

 

「違うから、母さん。ちょっとテスト勉強一緒にするだけ。もう頼むから店の方行って! 」

ったく、まだ付き合ってねぇよ…。

 

 

「はいはい、わかりました。後でおやつ持ってくからね〜」

 

俺は、「わかった」と適当に返事を返し母さんを追っ払うと梨子と一緒に2階の階段を上がり輝の部屋に向かった。そして輝と梨子のテスト勉強が始まった。

 

「先、数学から一緒にやらない? 俺、ちょっとわからないところあってさ…。ここんとこなんだけど」

輝は、梨子にわからない箇所のページを見せた。

 

「ココね、いいよ。この問題は…」

 

それから梨子は、俺の隣に座り勉強を教えてくれた。教えてもらっている最中、梨子の髪の匂いが輝の鼻をくすぐった。

 

(梨子、髪綺麗だな…。いい匂いする。シャンプーいいやつ使ってるのかな? 触ったらサラサラするのかな? )

梨子が隣で口を動かして説明してる最中、梨子に目がいきそんなことを考えてしまいぽかーんとしてしまっていた。

 

「輝君、聞いてるの? 」

梨子は、輝がぽかーんとしてしまっているのを察したのか顔を覗き込んで聞いてきた。

 

「え⁈ あ、あー…ごめん。ちゃんと聞いてなかった」

そりゃ、梨子が目の前にいるんじゃ…ちょっと集中できないよ。

 

「もう〜! ちゃんと聞いてよ〜‼︎ せっかく人が説明してるんだから〜‼︎ 」

梨子は、頰を可愛らしく膨らませた。

 

「ごめん、梨子。もう一回お願いします」

可愛い…何ですか、この生き物は…。

 

それから輝は、もう一度梨子に説明してもらった。その後は、梨子が理科でわからない箇所があると言うので教えてあげたり、互いにそれぞれ勉強したい教科を勉強したりした。

 

部屋の中は、シャーペンの走る音だけが響き渡り無言になった。だが途中、その無言の空間を引き裂くかのように梨子の消しゴムが机から床に落ちた。

 

梨子は、拾おうと手を伸ばすが輝の近くにあったので輝が拾ってあげようと思って手を伸ばした。その瞬間、互いの手が消しゴムに触れ二人の手は重なった。

 

((アッ…))

二人は、一瞬ピタリと動きが止まった。そして輝は、しまった‼︎と思い、梨子の手から自分の手を離した。梨子もバッと自分の手を輝から離した。

 

「ご、ごめん、梨子‼︎ 」

 

「いいよ! 輝君。そんな」

 

(しまった…。せっかくの集中が切れちゃった…。なんか、気まずい…。えーと、どうしたら…)

輝がそんなことを考えていると部屋の扉が勢いよく開いて母さんがトレーにおやつを乗せて部屋にきた。

 

「梨子ちゃん、輝。おやつ持ってきたわよ〜…って二人ともどうしたの? 」

 

「あのさ…、母さん‼︎ ノックぐらいしてよ…。びっくりするだろ」

輝は、ノックもなしに部屋に入る母さんに思わず怒った。

 

「ごめんってば、輝。ところで二人ともどうしたの? もしかして梨子ちゃん。輝に何かされた? 」

母さんは茶化すように言ってくる。輝は、梨子が何か喋り出す前に「何もねーから早く行って‼︎ 」と言い母さんを部屋から追い出した。

 

「ハァ…。おやつせっかくだし食べちゃおうか、梨子」

 

「うん」

 

それから二人は、おやつを食べ終わるとさっきまで何事も無かったかのようにまたテスト勉強に戻り互いの苦手分野や足りない箇所を教えあったりしてかなり捗った。気がつくと18時を回ろうとしていた。

 

「今日は、この辺で終わりにするか」

 

「うん、そうだね」

 

輝が、そう喋った途端部屋の扉がガチャと開き輝の母さんが顔を出してきた。

「輝。もう遅いから梨子ちゃん、送ってってあげて」

 

「わかってるから、もう」

輝は、母さんに怒ったような声でそう言い返すと梨子と一緒に家を出て梨子を家まで送ってあげた。

 

______

 

そして、2学期期末試験もあっと言う間に終わりついに全てのテストが返ってきた。 輝は、心の中で思いっきり喜びの声を上げた。理科の点数がいつもよりも高く今回は82点を取ることが出来たのだ。これで心置きなく期末試験明けにある大会に臨めると思い俺は放課後皆が荷物をまとめている中、素早く荷物をまとめた。

 

 

そして教室を出ようとする時、後ろから輝を呼ぶ声が聞こえた。振り返ってみると梨子だった。梨子は、振り返った途端すぐに輝にくっついてきた。輝は梨子を反射的に受け止めて抱きしめてしまった。

 

「輝君、ありがとう! 輝君のおかげで数学のテスト良い点数取れたよ! 輝君は? 」

梨子は、嬉しそうな笑顔で俺に言った。輝は、とても幸せな気持ちだった。

 

「俺も、梨子のおかげで理科のテスト、良い点数取れたよ。ありがとう」

 

クラスの皆が、神崎と桜内がイチャついてる、ヒューヒューと周りが茶化す中、輝は、周りにうるせえと言い返してやった。

 

 

 

そして部活が終わって家に帰って部屋着に着替えた輝は、ベッドに寝転がっていた。放課後の梨子との出来事を思い出しながら自分の右手のてのひらを眺めた。輝は、思わず「あ〜‼︎ 」と叫びたくなるくらいで足をジタバタさせてしまった。

 

 

「輝! うるさい。何やってるの⁈ 」

輝がゴロゴロしていた時、廊下から足音がバタバタと聞こえ明穂が輝の部屋の扉を勢いよくバタン‼︎ と開け輝の部屋に入ってきた。

 

「か、母さん…」

輝は、部屋の扉が開いた方向を見た。そこには、エプロンを着た明穂が扉の前で立っていた。

 

「うるさい、輝。最近どうしたの? あんた」

 

「正直に話しなさい。ここ最近のあんた変よ」

うっ…。母さん、鋭いな…。

 

「別に何もないって…」

 

「嘘。正直に言いなさい。コラ‼︎ 」

そう言い母さんは、輝の上に乗っかって輝の身体をゆさゆさとしてきた。

 

「わかった。言うからやめてってば‼︎ 」

輝は、正直に母さんに自分の今の心境を話した。

 

「嘘でしょ⁈ あんた…。梨子ちゃんが好きなの⁈ 」

母さんは、輝の話に衝撃を受けたような様子だった。

 

「うん…」

輝は、母さんの反応に少し戸惑いながらそう答えた。

 

「はぁ…。まさかとは思ってたけど…、よりにもよって梨沙子ちゃんの娘かぁ…。はぁ…」

母さんは、悩んだ表情で頭を抱え込んだ。

 

「ごめん…。びっくりするよな…」

 

「いいわよ…別に。そのかわりちゃんと節度保ちなさいよ。いかがわしいことしたらお母さん承知しないからね‼︎ 」

 

「はい…」

その後、母さんは部屋を出て行った。

 

(そうだよな…。万が一にも子供作っちゃったなんてなったらとんでもないよなぁ…)

輝は、最近テレビでやった子供が子供を作っちゃうドラマを見たからか母さんの言葉が胸にグサリと突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。
では、また
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