最近、仕事の疲れがたまってしまいなかなか執筆が出来ずまたかなり間が空いてしまいました。
この物語も残りわずかになりました。
それでは16話目です。
どうぞ!
あの日から数日が過ぎた。梨子のおかげで自分のやりたいことを輝は、担任の先生と進路相談をしていた。
「そうか…。今の神崎の成績だと…。うん。3年になってもこの調子で頑張り続ければ問題なく狙える。このまま頑張れば大丈夫だ」
「はい、ありがとうございます」
それから先生とちょっとした世間話をして輝の進路相談は終わった。
今日の放課後、輝は静矢、七海の三人で帰り道を共にしていた。会話の内容はクリスマスのことだった。
「ねぇ、静矢と輝はクリスマスどう過ごすの? 」
「俺は、家族でご馳走やケーキ食べたりするけど、輝は? 」
「えー、そうだなぁ。今年は舞がクラスの友達の家のクリスマスパーティーに行くって言ってたしそれ以外わからないな」
「お前は、桜内さんとは約束してないの? 」
「特にしてないよ。梨子は、クリスマスにどこかで合唱部のコンサート? やるとか言ってたし、特に何もねぇよ」
「なんで? 一緒にどこか行ったりは? しないの? 」
七海は興味深々に聞く。
「行かないよ。別に」
「えーつまんない。いいの? それで。来年の今頃、受験なのに。告白とかしなくていいの? 」
「……」
来年。七海の言葉が、輝の胸に突き刺さる。
(そうか…。来年って受験なんだよな)
輝は、これから先のことに一瞬不安になった。
静矢と七海と別れて家に着いた輝は、制服から部屋着に着替え部屋のベッドに寝転んで七海が言ったことを一人考え込んでいた。
「告白か…。梨子って好きな人とかいるのかな…? 梨子だって女の子だしいてもおかしくない。どうなんだろう? 」
悩んでると輝のスマホが鳴り出した。スマホには「桜内 梨子」と書かれていた。
「もしもし? 輝君? 」
「あー梨子か? どうした? 」
「輝君? ごめんね、急に。クリスマスの日って何か予定ある? 」
「特にないけど。梨子は、クリスマスの日って予定ある? 」
「いや…特にはないけど。梨子は、学校で合唱部のクリスマスコンサートあるんだろ? 」
「私、コンサート終わった後、空いてるけどそのもし良かったら一緒にイルミネーション見に行きたいんだけど駄目かな? 」
「え…? 別にいいけど」
「ほんとうに⁈ じゃあ、コンサート終わった後の6時半頃でいいかな? 」
「うん。いいよ」
電話越しから聞こえる梨子の楽しそうな声を聞いて輝はなんだか嬉しかった。
それから日は流れていき、いよいよクリスマスの日がやってきた。この日は、
「お母さんと舞は、舞の友達の家でクリスマス会があるから帰るのはちょっと遅くなると思うわ。お父さんは、町内の集まりの後多分すぐに帰ってくると思うから今日はお父さんと2人でご飯食べて」
「うん。わかった」
俺は、服装を整えると学校へ電車を使って向かった。学校に着くと既に駐車場には何台か車が止まっていた。俺は玄関で靴を履き替え談話室に向かった。
談話室には、合唱部の部員の何人かと地域の人達が既に集まっていた。
「よっ、梨子」
俺は、まだ時間があり隙を見て梨子に声をかけた。
「あっ。輝君、来てくれたんだ! 」
「うん。梨子は、今日、伴奏やるの? 」
「うん。せっかくだし顧問の先生がやってみたらって」
「へぇ。楽しみにしてる」
梨子のピアノを聞くのは秋にピアノコンサートで聞いて以来だ。俺は、そう言い残すとすぐに梨子と別れ観客席の方に向かった。
それから合唱部の部長の始めのあいさつが終わった後、合唱部の発表が始まった。
最初に歌いだした曲は、今年の夏コンで歌った曲らしい。梨子の伴奏と共に部員達が歌いだす。梨子のピアノの伴奏と部員達の歌に俺も他の聴きにきた人達も黙って耳を澄ませていた。
コンサートが終わった後、梨子は制服だったので一回私服に着替えてくると言ったので駅前で待ち合わせすることにした。
「ひい…寒い」
「お待たせ、輝君。待った?」
梨子が来た。梨子は、白いコートを羽織り下はグレーのスカート、上はピンク色のTシャツとデニムのジャケットに身を包んで現れた。
「(やばい…。可愛い)」
俺は、梨子のあまりの可愛いさに言葉が出なかった。
「君…輝君‼︎ 」
「へ? 何、梨子」
俺は、ぼうっとしてしまっていた。
「待たせなかった? 」
「いや、全然。そんなこと」
ない、と言おうとした時、梨子が輝の手を握った。
「やっぱり。結構冷たい。無理に待ってくれなくてよかったのに…」
梨子が、俺の手を握ってくる。輝は、梨子の手のぬくもりを感じていた。
「あー、わかっちゃったか」
「行こう? 輝君」
「うん」
それから俺と梨子は、電車に乗り街の方に向かった。電車を降り改札を出ると駅の中もクリスマスムード一色だった。
歩きながら二人は、いろいろと喋った。
「結構、綺麗だね…」
「うん。俺、イルミネーション来たの、舞が幼稚園の頃以来だよ。結構すごいなぁ」
途中、梨子がアクセサリーショップを見つけ中に入りたいと言ったのでいろいろ見ることにした。
「あ、ねぇ。輝君、これ見て。輝君、こういうの好きそうじゃない」
梨子が見つけたのは、可愛い子犬のストラップだった。
「へぇ、可愛い」
「輝君って以外に可愛いの好きだよね」
「えーw そうかな」
「だって今背負ってるショルダーバッグにそのネコのキーホルダーつけてるじゃん」
梨子は、俺のショルダーバッグに付いているネコのマスコットキーホルダーを指差した。
「これは…別に…。ただ自分でいいなって思って付けてるだけだけだって…」
俺は、慌ててバッグにつけてるネコのマスコットキーホルダーを手で隠した。
「い…行こう! 早く」
「うん」
結局特にお互い何も買わず、その後はいろいろ見てから店を出た。二人で街中を歩いている時のことだった。梨子が、俺の手を優しく握ってきた。
「梨子?」
「輝君、手冷えて冷たいから手握って欲しい…」
俺は、黙って梨子の手を優しく握ってあげた。
それからイルミネーションを見終わり電車に乗り駅に着き解散しようとした時のことだった。
「じゃあ、また学校でな」
俺は、梨子と駅で別れ自宅に帰ろうとした時、ギュッと梨子が俺の服の袖を握ってきた。
「あのね…輝君。今日、私のお父さんとお母さん、二人で一緒に出かけてて明日の朝まで帰ってこないみたいで家にいなくて朝まで帰って来なくていいって…その、もしよかったら輝君の家に行っちゃダメかな?」
「マジか…」
おいおい…、梨子のお母さん、梨子が変な遊び覚えたらどうするんだよ…。
「ダメ? 」
梨子は、手を握り上目遣いで俺を見ている。
「…行こうか? 」
「うん! 」
俺と梨子は、一緒に俺の家に行くことになった。
「ただいまー」
俺は、家のドアを開けて玄関に入る。玄関の靴を見ると母さんと舞の靴しかなかった。
(あれ? 父さん、まだ帰って来てないのか…)
家の中に2人が入ると母さんと舞がリビングの扉から慌てた様子で出てきた。
「舞、母さん、どうしたの? 」
「あー輝おかえり。梨子ちゃんいらっしゃい。舞が忘れ物しちゃって、これからまた出かけるところ」
「父さんは? 」
「お父さんは、商店街の人の集まりから帰って来てないの」
「マジか…」
何やってるのさ…。
「ごめんね、輝。お母さん、舞とこのまま出かけるから。梨子ちゃん、ゆっくりしていって」
「お兄に襲われないようにね〜」
「襲うわねーよ‼︎ 」
舞と母さんは出かけて行ってしまい俺と梨子は、家で二人だけになってしまった。
「……」
「……」
お互いどうしようか…、部屋でずっと立ち尽くしてしばらく経ち俺から沈黙を破った。
「そうだ、梨子。俺の部屋行かない? 」
「へ? う…うん」
俺と梨子は、2階に上がった。梨子が2階に上がり先に部屋に入っていった。
「なんか、輝君の部屋入るの緊張する…」
梨子は、今日がクリスマスだからか部屋に入った時の様子がいつもと違った。
「な、なぁ梨子、なんか温かい飲み物飲む? 身体冷えただろ? 」
きっと身体が冷えたかもしれない。俺は、何か温かい飲み物を勧めてみた。
「え? う…うん」
「ココアでいい? 」
俺が梨子に聞くと梨子は、黙って頷いた。それを確認した俺は、1階のキッチンに戻りやかんでお湯を沸かし始めた。
俺が一階にいる間、梨子は2階の俺の部屋にずっといて床に敷いた絨毯の上でずっと待っていた。
お湯が沸くまでの間、俺は梨子への告白を悩んだ。
(どうしよう…。今日、言おうか…。いやでももし上手くいかなかったら…、いや今日しかチャンスはない。それにクリスマスに言った方が…)
しばらくしてやかんがピーッと音が鳴りお湯が沸いた。俺は、ガスコンロの火を消し、2つのマグカップにココアの粉とお湯をら入れかき混ぜた。
ココアを2杯、作った俺は2階にある自分の部屋にいる梨子に持っていった。
「梨子、おまたせ。はい」
俺は、梨子にココアの入ったマグカップを渡した。
「ありがとう。輝君」
梨子は、それを受け取りココアを一口口にした。
「温かい…」
ココアを一口口にした梨子が言った。
「ごめんな? こんなのしか出せなくて」
「うんうん。身体暖まるし美味しいよ」
「よかった」
ホッとした俺。しばらくして梨子が、
「輝君、外、雪降って綺麗だよ」
俺と梨子は、部屋のベランダから外を見るとあたり一面、雪が積もっていた。今夜はホワイトクリスマスだ。
「なんかもう一年経っちゃうんだね」
「うん。いろいろあったよな…」
外の景色を見ているとこの一年に起きたことがいろいろと思い出してくる。
「夏は梨子はピアノコンクール、俺は、かるたの予選大会に出たよな」
「それで梨子は、コンクール金賞、俺は、かるたの全国大会に出場が決まった」
「宿泊研修で二人でこっそり抜け出して見た夜空は綺麗だったよな。俺、もう一度見たいよ」
「私も。あとウォークラリー、私のせいでビリになっちゃったよね…」
「でも、それだっていい思い出」
「輝君が風邪ひいちゃった時、私家に来たこともあったよね」
「あの時は、お粥ありがとうな」
あの時の梨子のお粥の味は覚えてる。きっともう味わうことはないだろう。
なんだか話すと全て語りきれずいろいろなことがあった一年だった。
「もう2年生も終わりだなぁ」
「来年は受験生だよね…。輝君、高校決めた? 」
「うん。俺、静矢や七海みたいな大きな夢は今のところない。だから自分の将来の夢を見つけるためにも桜ヶ丘高校の普通科を受験しようと思ってる。桜ヶ丘なら電車で1本で行けるし。梨子は? 」
「私は、音ノ木坂学院を受験しようと思ってる。お母さんの母校だし今の家からも近くて歩きで通えるから」
お互い、それぞれの卒業後の道を語り合う二人。
(来年は受験。きっと来年の今頃はこんな風に言葉を交わせないかもしれない。それに音ノ木坂学院は女子校だしきっと会うのも難しい。言うのは今しか…)
(やっぱり輝君は、私と別の道を進んでいくんだ…。卒業したらもうこんな風に二人で出かけたり遊んだりできないかもしれない。それどころか会うことすら…)
沈黙する二人。
しばらくして輝が…
「あのさ…梨子! 」
と声を振り絞って言った。
「何? 」
(輝君が真剣な顔してる…)
「えーと…」
言葉に一瞬詰まってしまいしばらくして俺は、
「その…お風呂入ってくる! 」
俺は緊張して言葉がとんでしまい、そう言って部屋を出てしまった。
俺は、湯船に浸かり顔を湯船に潜らせた。
(何やってるんだよ、俺。言うチャンスだったじゃん…。でも、もし言ってフラれたら…。いや、絶対大丈夫だ。上手くいく…絶対)
俺がいろいろ考えていると脱衣所に梨子がきた。
「輝君、私、家から着替え取ってくるね」
梨子は、家に着替えを取りに一回戻るみたいだ。梨子が脱衣所から出てしばらくして俺は湯船から出て身体を洗い、風呂から出て着替えて部屋に戻った。
それから15分くらい経ち梨子が自分の家から着替えを持ってきて戻ってきた。 かなり身体が冷えたらしく梨子もお風呂に入った。
それから梨子もお風呂から出て着替えた後、俺と梨子は、俺の部屋のベランダで一緒になりしばらく沈黙が続いた。
「輝君!」
「梨子! 」
二人が同時に沈黙をやぶった。
「あ、えーと…梨子から言っていいよ? 」
「輝君は、いいの? 」
「うん」
「私、輝君に言わなきゃいけないことがある」
「私、輝君に会えてよかった。同じクラスにまたなれてよかった。同じ時間を過ごすうちに私の輝君を見る目が変わったの」
「梨子…」
「私、輝君が好き‼︎ 友達としてじゃなくて一人の男の子として好き‼︎ 」
はぁ…言っちゃった。でもここで引いたらダメ。たとえ輝君の返事がノーでもちゃんと受け止めなきゃ。
「梨子…。その…」
嬉しかった…。けど。
「ごめん…」
(え…フラれたの? 私)
梨子はそう思った瞬間、涙がポロポロとこぼれ落ちてきた。
「違うんだ! 梨子。ごめんって言ったのはそういう意味じゃないんだ
その、梨子から言わせてごめん」
「え…? 」
涙でかおがぐしゃぐしゃの梨子。
「梨子。俺も梨子が、好きだ」
「俺と…付き合ってください! 」
「はい、喜んで」
嬉し涙を流しながら梨子は輝を抱きしめた。
「梨子! 」
「輝君! 」
ベランダで二人は抱きしめあった。
(よかった。梨子と別のクラスになって梨子が他に好きな人ができたんじゃないかってずっと思ってた。けどそんなことなかった。ありがとう、梨子)
(輝君とは一度別のクラスになった。そのせいで輝君の気持ちが離れてしまってるような気がした。けどそんなことなかった。ありがとう、輝君)
雪が降る中、ベランダで二人は抱きしめあった。
その後、ベランダを出て部屋のベッドで二人は掛け布団をかけて一緒に寝た。二人の手は優しく強く握られていた。その後、舞と母さんが帰ってきて、二人にたくさん祝福された。
今回の話の告白シーン、上手くかけたでしょうか?
描けてたなら何よりです。
では、また。