今回は、いよいよ最終回です。
話は、一気に一年後、卒業式になります!
では、どうぞ!
— 1年後。
去年のクリスマス、梨子に告白されて1年の月日が流れた。桜ヶ丘中学の校舎の桜の木は桜が満開だ。
輝の制服の左胸にはコサージュがついてる。今日は、桜ヶ丘中学の卒業式だ。卒業式が終わって輝は、制服姿で3年間通い続けてきた校舎内を一人で見て回る。
1年の時の教室、2年の時の教室、3年の時の教室、音楽室や中庭、図書館を見て回る。3年間の過ごしてきた思い出がいろいろ蘇る。
そして輝にとって一番の思い出の場所についた。
そう、桜ヶ丘中学競技かるた部の部室だ。茶道部が使ってない古い部室。
(ここってこんな小さかったっけ…。3年前の春、初めてこの部室に入ったんだよな)
部室の畳を見ているといろいろな思い出が蘇る。静矢と七海、他の部員達と一生懸命練習した思い出や桜木先生に怒られたこと、3年間いっぱいあった。
(あの時よりは大きくなれたかな? 俺)
いろんな思い出に浸っていると後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「神崎」
「桜木先生…」
桜木先生がスーツ姿で俺の前に現れた。
「卒業おめでとう。あと桜ヶ丘高校普通科、合格おめでとう。よく頑張ったな」
「ありがとうございます。それと3年間お世話になりました。俺、桜木先生のおかげで部活を頑張ることができました」
輝は、桜木先生の言葉にいつのまにか嬉し涙が出てしまっていた。桜木先生には、感謝の気持ちでいっぱいだった。
「高校でもかるた続けるんだろ? 」
「はい。それに俺、この部で将来の夢を見つけました」
「何だ? 」
「俺、将来、桜木先生みたいな誰かの力になれる学校の先生になりたい」
「そうか。見つけたんだな、自分の夢。大変だぞ、頑張れよ」
涙を制服の袖で拭いながら輝は黙って頷いた。
「そうだ、神崎。お母さんが下でお前を呼んでるぞ」
輝は、それから桜木先生と一緒に昇降口へと向かった。そこには梨子もいて二人とも卒業証書を片手に持ち記念写真を撮った。二人はそれぞれの道を歩んだ。
—8年後—
神崎 輝 23歳。
輝は桜ヶ丘高校普通科を卒業後、大学を卒業し教員免許を取得し晴れて桜ヶ丘中学で数学の教師になった。同時にかるた部の副顧問になり桜木先生と一緒にかるた部の部員の指導をしている。
「よし、今日の練習はここまでだ! 」
桜木先生が皆に練習を切り上げ部員達は片付けをする。片付けが終わり来週以降の部活の話が終わり解散した後、何人かの女子生徒が輝に話しかけてきた。
「桜木先生から聞いたんですけど、輝先生って
「そうだよ。って言っても8年も前だけどな」
8年前、静矢や七海、梨子と過ごしたのがつい昨日のことのようだ。
「彼女とか好きな人いたんですか? 」
「うん…いたよ」
彼女とか好きな人…。輝は言葉を一瞬詰まらせたが答えた。
ふと脳裏に浮かぶ、梨子の笑顔。
中学卒業後、お互い別々の高校に通いながらも交際は続いた。夏には二人でプールに行ったりしたしたまに出かけたりもした。しかし高1の春に梨子が父親の都合で家族で静岡県の内浦に引っ越してしまい会えなくなった。
初めの一ヶ月程度は、遠距離で連絡をとり合ったりメールやLINEでやり取りしていたがGW頃から輝は部活が忙しくなり梨子も内浦での新しい友達との生活が楽しくなったのかお互いそれ以降、全く連絡を取らなくなってしまった。
夏頃に輝は母さんに梨子が内浦の友達とスクールアイドルとかいうのを始めたのを聞き動画で梨子の活躍をたまに見ていた。だが本人と話そうとはなんとなく思わなかった。
いつの間にか梨子のいない生活が当たり前になってしまっていたのだ。輝は夕方、学校が終わり帰り道、一人で歩きながら思う。
「あの時、梨子ともっと一緒にいたら今は違ったかな? 」
帰る途中、輝は高校生らしき男女が二人で仲良く手を繋いで歩いているのを見かけ懐かしく感じた。
(カップルかな? 懐かしいな…。あの頃に戻りたい。 梨子に会いたいよ…)
輝は、ふとスマホの待ち受け画面を見る。そこには梨子と高1の時のデート写真が。
しばらく待ち受け画面を眺めていると静矢からメールが来た。
メール文には
「久しぶり! 今度の休み会わないか? 七海と3人で」
と表示されていた。
俺は、「いいよ。また話したい」とすぐ返事をした。翌週の休み、俺は、静矢と七海の3人で久しぶりに会った。場所は駅前の喫茶店だ。
「久しぶり、静矢、七海」
「久しぶり、輝。成人式以来だな。最近どう? 教師になったんだろ? 」
「大変だよ。まだなりたてだし。今、かるた部の副顧問やってる。桜木先生もまだ元気だよ。静矢と七海は? 二人とも病院で働いてるんだろ? 」
「俺はまだ研修医。大したもんじゃないよ。七海は看護師やってる」
「私なんか大変だよ〜。先輩がもうキツくて」
「人の命を扱う仕事だもんな。でも元気そうでよかった」
「輝は、その…大丈夫か? 無理してない? その…桜内さん」
「あー…。全く連絡とってないよ。でも平気だよ。きっと元気でやってるだろうし。それにきっといつか会えるって信じてるから」
「…そっか」
それからちょっとした世間話をした後、解散。輝は、帰り道一人でなんとなく桜ヶ丘の方に行ってみた。
2年生の秋頃、進路で悩んでた頃、二人で来て一緒に座ったベンチ。
輝は、そこに腰を下ろして景色を見上げた。あたりは夕方だ。
(後ろを振り向いちゃいけない。今は前に向かって進まなきゃ…。戻ることはできないんだ)
そう思っていた時だった。
「神崎先生‼︎ 」
聞き覚えのあるどこか懐かしさを感じる声が聞こえた。
(え?…)
声が聞こえた方を向くとそこには、綺麗な赤味かかった髪をシュシュでサイドテールでまとめた見覚えのある控えめな感じの女の子。あの時より大人びてるが俺には、すぐわかった。
「梨子…? 」
会いたかった。ずっと…会いたかった。
俺と梨子は、ベンチに座りいろいろと話をした。
「え⁈ なんで? どうして、梨子がここに? てっきり梨子、静岡で就職してると思った」
「私、就職は
「マジか。梨子、ピアノ教えてるんだ。すごいな」
梨子はピアノすごい上手かったもんな。そんな梨子が今はピアノの先生。俺はなんだか感慨深かった。
「輝君は? 」
「俺は、桜ヶ丘中学で数学の教師やってる。今、かるた部の副顧問なんだ。桜木先生も元気にしてるよ」
「そうなんだ。すごいね。輝君、夢叶えたんだね」
梨子の顔が夕日に照らされ頬がほんのり赤く見えた。口紅を塗っておりあの時より大人びて見える。8年の月日がお互いを成長させたんだろう。
「梨子、ずっと8年間会いたかった」
「私も…ずっと輝君に会いたかった」
お互い顔を近づけていく中俺は、梨子に言った。
「梨子、この先もずっと俺のそばにいてください」と。
梨子は、
「はい、喜んで」
と言った。
夕方、春風がたなびく中、二人は、優しくそっとキスを交わした。
——end
書き始め当初考えていた物とは、違う終わり方をしましたが、いかがだったでしょうか?
卒業後、大人になって再会する場面も入れてみましたがいかがだったでしょうか?
気に入ってくれたら嬉しいです!
次回作は未定です。
読んでくれた方々、ありがとうございました。