第3話です。
どうぞ!
梨子が家にお泊りしてきた日から数週間が過ぎた。ある土曜の早朝、輝はジャージに着替えてランニングしていた。丁度ランニングを終えて家の前にいた。
「ハァ、ハァ…」
(朝のランニングは、やっぱり気持ちがいい。1年生の時から始めたけど、あの頃に比べたら体力ついたかな…)
「よし‼︎ 」
今日も1日頑張るぞ‼︎ そう思いパンっと手を叩いた輝は、家の玄関に足を運んだ。
「ただいまー」
輝は、靴を脱いでリビングの方に向かう。
「あ、お兄。おかえり」
「おう、ただいま」
「おかえり。輝 」
輝は、朝ご飯を食べ終えると今日は部活があるので学校に行く準備をし始めた。
「母さん、ジャージのズボンと部活動Tシャツ洗ってある? 」
「あるわよ。丁度乾燥機かけ終わったところ」
「ありがとう。母さん」
輝は、ジャージのズボンと部活動Tシャツを母、明穂から受け取ると2階へ上がっていった。
「じゃあ。俺行くから」
輝は、玄関で靴を履いて家を出ようとした。
「待って! お兄。お母からお弁当と水筒! 忘れてるよ」
舞が、玄関を出ようとする輝を呼び止めてお弁当と水筒を渡した。
「あれ? ごめん、忘れてた。ありがとう」
輝は、舞からお弁当と水筒を受け取った。
「行ってきます」
「うん」
玄関から出て行く輝を舞は見送った。
それから学校に着いて活動場所である茶道部が使ってない古い部室に移動し先輩や顧問の桜木先生の話の後今日の部活が始まった。苦手な部分や足りない部分、それの解決方法も見つかり今日の部活は、有意義なものになった。今日の部活は、午前中に終わり輝、静矢、七海の3人は、3人で一緒に帰っていた。
「ねぇねぇ。もうすぐゴールデンウィークじゃん。みんなで遊ぼうよ! 」
「僕は、無理。ゴールデンウィーク中は、ばあちゃん家行くから」
「俺も。喫茶店の手伝いあるから」
輝は、午後は家の喫茶店の手伝いをした。お客さんのオーダーを受けたり接待をしたり休日なので大いに忙しかった。
「あぁ〜、疲れた‼︎」
輝は勉強が一段落してベッドで休憩していた。突然、輝のスマホのブザー音が鳴り出した。こんな時間に誰だろうと思いベッドに置かれていたスマホを取って画面を見ると画面に梨子の名前が表示されていた。輝は、電話に出ることにした。
「もしもし? 輝君? 」
「梨子? どうしたの? 」
「ちょっと、輝君の声聞きたくて」
「ハハ…。そっか」
電話越しから梨子の声が聞こえる。
「部活今日もあったんでしょ? パート練習してる時、遠くからだけど畳叩く音聞こえた 」
「マジか。そっちも練習してたんだろ? 休憩中ほかのパートの歌声聞こえた。何か合唱部って発表会みたいなのあるの? 」
「うん。5月の下旬にショッピングセンターのイベントで合唱部に歌って欲しいって依頼が来たの。今日はそこで歌う曲の練習してたよ」
「そうなんだ。今度聴きに行く」
「うん」
「あのさ…輝君」
「何? 梨子」
「ゴールデンウィークの最初の日、友達と一緒に桜ヶ丘文化パークでお花見に行く予定だったんだけど友達が急に来れなくなってもしよかったら一緒に行かない? 」
桜ヶ丘文化パークというのは、輝達が住んでいる桜ヶ丘市にある大きな総合公園のことである。
「いいよ。その日は部活は無いし、家の喫茶店は休みだから」
こうして輝はゴールデンウィーク、輝は梨子と桜ヶ丘文化パークにお花見に行くことになった。
ゴールデンウィーク初日、輝は早く起きて朝食を済ませて歯を磨き紺色のジーンズを履きグレーのTシャツを着て上に水色のパーカージャケットを羽織り財布とスマホやその他いろいろな物を入れたショルダーカバンを肩にしょって梨子との待ち合わせ場所である桜ヶ丘駅前に30分以上も前から立って待っていた。
(母さんと舞の奴、何もこんなに早く行かなくても大丈夫なのに)
輝が今朝の出来事を思い出している時だった。
「あれ? 輝君? 早いね。まだ30分前だよ? 」
(梨子…)
声が聞こえる方向を向いて見るとそこには、梨子がいた。
「いや…母さんと舞が早く行けって言ってさ… 」
「ハハ…そうなんだ。私もちょっと早く起きすぎちゃって」
それから2人は、改札口に入り、ホームの方に降りていき桜ヶ丘文化パークの方に向かっていった。電車を降りた後、桜並木の道を歩いていた。
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それから2人は目的地である桜ヶ丘文化パークに着いた。ゴールデンウィーク中で桜ヶ丘文化パークは、花見やピクニックに来た大勢の家族連れで賑わっていた。
「流石に結構人混んでるな…」
「ゴールデンウィーク中だもんね…。取り敢えず私、レジャーシート持ってきたからどこか場所取って敷こう、輝君」
それから2人は、芝生の上にレジャーシートを敷きそこで横になって一休みした。
「久しぶりだよなー。ここ来るの」
「うん」
「昔、俺の家族と梨子の家族と一緒にピクニックに来たことあるよな? 覚えている? 」
「覚えてるよ。あの頃は、お花見やピクニックや忘年会っていう時には必ず家族で集まってたよね」
「うん」
俺の母さんと梨子の母さんは、高校の時の同級生で小学校の頃は家族同士での付き合いが多かったんだよな。
レジャーシートの上で一休みして10分くらい経った。突然、梨子のほうに一匹の小さい蚊がゆっくり飛んできた。
「キャッ⁈ 虫‼︎ 」
梨子は、びっくりして輝に抱きついてしまった。輝は、思わずドキッとしてしまった。
「びっくりした梨子。相変わらず虫苦手なんだな…」
「うん。アリはそうでもないけど、クモとか飛ぶのは絶対に無理。ごめんね…びっくりさせちゃって」
「俺は、大丈夫だよ」
「「あっ…」」
梨子が顔を上げると2人の顔は、間が10センチしかないぐらいに近づいており互いの息がかかるほどだった。梨子の頰は、赤く染まってしまっておりお互い心臓の鼓動がバクバクと鳴ってしまっていた。
(遠くから見てもわかるけど、梨子の肌ってめちゃくちゃ色白い。それになんかいい匂いする。シャンプーの匂いかな? 前髪、おでこ出しているのがなんだか可愛い…。梨子の唇が近い…って心臓の鼓動がますます早くなりそう…‼︎ )
「ごめんね。 輝君」
梨子は、素早く輝から離れた。輝も梨子から離れた。
「いいよ…気にしないで梨子。そうだ、せっかくだし何かして遊ぼう」
何だったんだ? 今の?
「何して遊ぶの? 私何にも持ってきてないけど」
「大丈夫! こんなことがあろうかとバトミントンのラケットと羽根持ってきたから。やろうよ、梨子」
輝はそう言いながら自分のバッグを開けてバトミントンのラケットと羽根を出した。
それから2人は、自分達が敷いたレジャーシートの近くでバトミントンをやった。
「いくよ。輝君、それっ! 」
梨子からラケットを使って羽根を高く飛ばし始めた。
「えいっ!」
輝が梨子の飛ばした羽根をラケットで返し、梨子も輝の飛ばした羽根を思いっきり強くラケットで返した。 梨子の返した羽根は空高く飛んだ。
「どこ飛ばしてるんだよ。梨子」
輝は、梨子が飛ばした羽根を追い狙いを定めてラケットを振ろうとするが空振りして頭に羽根がコツンと当たった。
「痛て…。飛ばしすぎだってばもう…」
それから2人は、バトミントンの他にキャッチボールをして遊んだ。気がつくともうお昼の時間となってしまっていた。
「お昼どうしよっか…」
輝は、お昼のことは全く考えていなかった。
「あのね…輝。私お弁当作ってきたんだ」
「マジ⁈ 梨子のお弁当? 早く見たい」
「いま、出すね」
梨子は、バッグから2つ弁当箱を出して一つを輝に渡した。輝が開けると中身は、玉子やツナのサラダなどいろいろな具が挟まれたサンドイッチ、アスパラのベーコン巻き、ポテトサラダ、ブロッコリー、かぼちゃの煮物が綺麗に入っていた。
「朝早くに起きて作ったんだ…」
「すごい美味しそう‼︎ いただきます」
輝は、そう言うと最初に玉子が入ったサンドイッチを、一切れ食べた。
「味、どうかな…」
「ありがとう! 梨子!すごく美味しい‼︎ 」
輝は、思わず過剰な反応を取ってしまった。
「フフッ…良かった。」
輝が喜んでくれて梨子は優しく微笑んだ。
「あー食べた。梨子、ごちそうさま。お弁当すごい美味しかった。今度は俺が何か作るよ」
「ありがとう、輝君。でも料理とか大丈夫なの? 」
「大丈夫! これでも神崎喫茶の一人息子だよ。日頃から母さんに教え込まれてるんだから」
「そうなんだ」
「あれ? 梨子ちゃん? 」
梨子と輝が2人で仲良く話していると2人の女の子が輝達の所にやって来た。片方は、長く艶やかな黒髪で眼鏡をかけておりもう片方は、茶髪のショートヘアだった。黒髪で眼鏡をかけている女の子が輝達に話しかけてきた。
「
「まあね」
「誰? 梨子」
「同じ合唱部の先輩」
「こんにちは、はじめまして。梨子と同じクラスの神崎 輝です」
輝は、先輩達に挨拶した。
「神崎 輝…。あ〜君が輝くんか‼︎ 」
その女の先輩は、頭の中で思い出したように言った。
「俺のこと知ってるんですか⁈ 」
「知ってるも何も梨子ちゃんがいつも部活の休憩時間に君のこと楽しそうに喋っているんだよ。そっか君が〜」
「〜っ‼︎ 先輩、その話しないで下さい〜」
梨子は、恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら言った。
「で、ところでお二人は付き合っているのかな? 結婚はいつ? 子供は何人欲しいの? ねぇねぇ 」
その女の先輩は、輝にグイグイと質問してきた。
「いえ…。結婚とかそういうのは…」
輝は、あまりにグイグイと質問されてどう答えたらいいか悩んだ。
「
「え〜、いいじゃん。もうちょっとぐらい」
有季先輩は、楽しそうな様子だった。
「行くって言ったら行くの‼︎ 」
「じゃあね〜梨子ちゃん。部活でね〜」
有季先輩は、楽しそうに笑いながら友達に背中を押されてその場を去っていった。
「いい先輩だね」
「うん。同じパートで一年生の時からお世話になっているよ」
それから2人は桜ヶ丘文化パーク内を並んでおしゃべりしながら散歩した。
「輝君、そのパーカーカッコいいね」
「そう? 自分で選んでみたんだ。梨子がそう思ってくれて良かった」
「そうなんだ」
(輝、小学校の時はなんだか地味な感じだったのにいまなんだかちょっと格好いいな。私が知らない間に男らしくなったなぁ、輝)
(可愛いな、梨子…)
輝は、梨子の方に軽く目を向けた。手を繋いでみようと梨子の手に触れようとしたが、まだその時じゃないと思い輝は手を引っ込めた。
しばらく歩くと噴水のある場所に着いた。
「ここ時間不定期で水吹き出すんだよな」
「ねぇ、輝君。ちょっと靴脱いで行こう」
「いや、足濡れて後で大変だよ」
「平気だよ。タオル持ってきてるし」
「まぁ、いいよ」
せっかく梨子と来てるんだし楽しまなきゃ! 輝はそう思い噴水のある場所に行くことにした。
「きゃっ⁈ 」
下から噴き出してきた水にびっくりした梨子は、転びそうになった。
「危ない! 梨子」
転びそうになる梨子を輝は、抱えた。
((あっ…))
梨子が顔を上げると梨子の目の前には輝の顔があった。2人は目があったままだった。輝は、ドキドキしていた。
2人はすばやく離れて背を互いに向けた。
「ごめん、またびっくりさせて」
「俺は大丈夫。けどケガするなよ。特に手とか」
(あっ…)
輝の言葉を聞いて梨子は、輝が自分のことを大事に思ってくれてるんだと思い胸の奥が暖かい気持ちでいっぱいだった。
2人は濡れた足を拭いて桜ヶ丘文化パークを後にして電車で桜ヶ丘駅に着くともう3時ぐらいになってしまっていた。
「梨子。今日ありがとう。小学校3年以来、梨子と遊ぶことが全くなかったから久しぶりに一緒に遊べて楽しかった。また良かったら誘って欲しい」
「うん。私の方こそ、ピクニック一緒に行ってくれてありがとう。また学校でね。」
「ちょっと待って‼︎ 」
輝は、自分の家に向おうとする梨子を呼び止めた。
「何? 」
「渡したい物あるんだけどいい? 」
「何? 」
梨子は、首を傾げた。
「こ、これ…」
輝は、小さな紙袋を梨子に渡した。梨子は、輝の紙袋をドキドキしながら受け取った。
「開けていい? 」
「いいよ」
梨子は、少しだけワクワクしながら紙袋を開けた。中には、音符の形をしたアクセサリーが一つ入っていた。
「輝君、これ何?…」
梨子は、驚いて言葉が出なかった。
「いや…前に買ったんだ。梨子のイメージに合いそうだったから。ダメかな? 」
「そんなことないよ。ありがとう。大事にするね 」
別れ際、2人は手を振ってそれぞれの帰路へと向かって歩いて行った。輝は、家に帰って舞と母さんに今日の事をいろいろ話すことにした。
ちなみに輝のかるた部の顧問である桜木先生は女の先生です。
では、また。