さてそんなことは置いておいて第5話‼︎
今回は、輝の競技かるた部の大会、梨子ちゃんのピアノコンクール。2人のそれぞれの挑戦を描きました。「 輝の競技かるた? んなもんどうでもいいんだよ‼︎ 」と思う方が多くいらっしゃると思いますがどうかお付き合い下さい。 なるべく競技かるたの試合描写は少なめでいきます。
あの日の夜の公園での出来事から2週間が過ぎた。輝は、七海に読手をやってもらい静矢と競技かるた中学選手権予選に向けての練習をしていた。桜木先生や他の1年生部員もいつまでやっているんだろう? と思いながら少し遠くからずっと見ていた。
「ハァ、ハァ…」
練習をかれこれ続けて1時間がもう経つ。3人とも体力がピークを迎えかけていた。
「静矢、もうちょっと頼む」
「輝…。わかった」
輝の気の済むまでやろう。静矢はそう思い輝の要望を承諾した。
「ちょっと待ってよ⁈ 今日はこのくらいにしようよ。2人とも疲れているでしょ? 明日に響くよ? 」
いくらなんでもやりすぎ。明日、動けなかったら元も子もないよ?
「けど、やり足らないんだよ。なんか 」
3人のやり取りを見ていた桜木先生もそろそろ注意しようと思った時、悠矢先輩が輝達に「相沢の言うとおりだよ、輝。 今日はもう終わりにして足りない分は明日に取っといたら? 」と輝に言った。
「あぁ、そっか。そう言う手もあり…か…。その方がいいかも」
輝は、練習を完璧にやって明日を迎えることしか考えてなく明日に取って置くなんて選択肢が全くなかった。 流石に2人が可愛いそうなので今日はやめることにした。
「はー…。もう足痛い」
静矢は、ずっと正座でいたせいで足が痛く畳の上で足を広げた。
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部活が終わり夜、時刻は19時を回っており静矢は、おつかいを親に頼まれたらしく輝は七海と2人で一緒に帰っていた。
暗い夜道を二人で歩いていた時のことだった。
「ねぇ、輝。そういえばさ、梨子ちゃん、ピアノコンクール出るんだって。今日、学校終わったら会場近くの宿泊施設に行ったらしいよ」
「知ってるよ。そのくらい」
「輝、あんた、何か梨子ちゃんに言わなくて良かったの? 頑張ってとか? 」
「言ったよ。お互い頑張ろうって 」
「それだけ? 2人って意外にドライなんだね。もっとくっついたっていいと思うのに」
「なんか言った? 」
「なんでもない」
「あのさ、七海。前から言おうと思ってたんだけどさ…」
輝は、七海をじっと見つめる。
「何? 」
「もうちょっと女の子らしくした方がいいと思う」
輝がそう言葉を放った瞬間、輝の脛に七海の蹴りが飛んだ。
「女っ気ない輝に言われたくないんだけど! それ」
バシバシと七海は、連続で輝の脛に蹴りを連続する。
「悪かったってば‼︎ 七海! 」
(七海は、黒髪のセミロングで見た目はせっかく可愛いのに落ち着きなかったりはしゃぎっぽかったりするからせっかくの可愛いのが台無しなんだよな…)
5発くらい蹴りを受けた所でようやく七海の蹴りは止まった。この後、輝は、何回も謝った。輝の誠意が伝わったのか七海は、今度アイスおごってくれたら許してくれると言ってくれた。
歩きながら喋り、気がつくと既にもういつも七海と分かれる道に着いてしまっていた。
「じゃあな。七海、明日な」
「明日ね、輝」
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輝は、自分の家に着き玄関のドアを開けた。
「ただいまー」
「おかえり、輝。あなたが部活行ってる間、梨子ちゃん来たわよ。それでこれ輝に渡してって」
玄関で靴を脱いでると母が出迎えてくれて輝に小さな紙包みを渡した。
「何これ? ありがとう」
輝は、母から紙包みを受け取ると2階の自分の部屋に向かった。制服を脱いでハンガーに掛けて部屋着に着替えると机に座って梨子からの紙包みを見た。
(よいしょ。なんだろう? )
輝は、「なんだろう? 」と思い裏表を見返し手探りで紙包みの中身を探ってみる。柔らかい感触がして気になって袋の中を開けるとなかには、一枚の手紙とピンク色のリストバンドが入っていた。 手紙は四つ折りになっていて開くと中にはこう書かれていた。
『突然ごめんね。輝君、いよいよ明日予選大会だね。私も明日ピアノコンクールだよ! お互い頑張ろうね! 』
「梨子…」
輝は、梨子の優しい字で書かれた手紙を見て勇気づけられたような気がしてきた。
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次の日、輝は、競技かるた中学選手権予選大会、梨子は、ピアノコンクールが来た。輝は、学校のジャージに着替えて集合場所である桜ヶ丘中学へと向かって行った。
「おーい、輝! 」
校門を入ると七海が昇降口の駐車場に止まっているバスの前で手を振って静矢と待っていた。
「おーい‼︎ 静矢、七海‼︎ 」
輝は、駆け足で七海達の所に向かっていった。
「おはよう、2人とも。イェイ! イェーイ」
輝は、2人と拳を合わせあった。
「おい。お前ら、そろそろ出発するぞ」
「「「はい」」」
3人は、桜木先生に言われるとすぐにバスに乗った。2人は、バスから降りて自分のことを待っていてくれたんだと輝はわかった。
「あれ? 珍しいね。輝が腕にピンク色のリストバンドつけてるなんて」
七海が輝の左腕を見て言った。
「あぁ、これ? これ梨子からのプレゼントなんだ。昨日梨子家に来たんだよ」
輝は、左腕を嬉しそうに七海に見せながら言った。
「梨子さんって神崎先輩の彼女ですか?」
後ろの席の一年生の女子部員の1人が2人の会話を聞いて2人に話し掛けてきた。
「うーん、彼女ってわけじゃないかな。ただ…俺にとってはたった一人の大切な人って感じかな…」
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バスで走ること、1時間経ち輝達桜ヶ丘中学競技かるた部は、選手権予選会場である市立武道館に到着した。バスを降りて武道館の中に入ると中には、他の中学のかるた部が大勢いた。
「他の中学って結構部員多いっすね」
1年生の部員の1人が言った。
「東京都内の競技かるた部が毎年ここに集まるからな…。大体1000人くらいの人がここにいるよ。中でも一番注目なのは…」
輝が一年生に説明していると周囲から「うおー」等の声が聞こえた。気になって輝は、振り返ってみた。去年の全国大会出場校、
「城星学園だ。」
「去年の全国大会出場校。今年のメンバーもすごいって噂だぜ」
他の学校の生徒が、小声で言っていた。
城星学園の部員達は、輝達の前を通りかかる。途中、城星学園の中で中学生とは思えない風格を持ったの男子生徒が輝の前に止まり輝に視線を向けた。輝も負けずと目を向けた。
「久しぶりだな、神崎」
「久しぶりだな、
「神崎。決勝でお前を倒す」
そう言うと修という1人の生徒は、輝達の前から去っていった。七海は、輝が心配だった。
「今の誰ですか? 神崎先輩」
「
輝は、難しそうな表情を浮かべていた。去年の決勝戦、輝は修と当たりなす術が無く惨敗し自分のせいで全国行きの夢が潰えたことを思い出していた。
「輝、大丈夫?
「うん…大丈夫。心配しないで」
絶対、去年みたいなことは起こさない!
輝達は、部活Tシャツとジャージに着替え終えた。最初は、まず四つのブロックに分かれての予選リーグ。輝達桜ヶ丘中は、Bブロックだった。城星学園は、Aブロック。とりあえず城星学園が同じブロックにいなくて一安心だ。
「輝、梨子ちゃんから連絡来た? 」
七海が聞いてきた。
「うん。着替えてるときに、『会場に着いたよ。発表番号22番だった。頑張ってね』ってLINEが来た」
「そっか。輝、頑張ってよ‼︎ 私、今回は大会出れないけど、輝達を全力でサポートするから。思いっきり戦って来て‼︎ 」
そう言って七海は、輝の背中を思いっきり叩いた。
「ありがとう。七海」
開会式が終わりいよいよ予選が始まった。輝達、桜ヶ丘中学は難なく予選リーグを勝ち進んでいった。特に輝は、調子が良く一戦も個人での敗北がなかった。
試合終った後、「クッソ‼︎ 強すぎる」「桜ヶ丘中ってこんなに強いトコだっけ?」「あのメガネの男子、手のスピードが早すぎる」等の相手校からの声が聞こえた。
桜ヶ丘中は、予選リーグを通過し見事決勝トーナメントへと進んだ。桜ヶ丘中学は、決勝トーナメント準決勝を突破。決勝戦の前のお昼休憩、輝が、部員のみんなと一緒にお昼を食べていると輝のスマホが鳴り出した。
「梨子からだ」
スマホを開くと梨子からのLINEのメッセージが来ていた。
「梨子ちゃんから⁈ なんだって輝? 」
七海が輝に聞いてきた。
「お昼過ぎて13時30分、最初に発表だって」
「そっか。じゃあ、ウチらの決勝戦と同時に梨子ちゃんの発表があるんだ…。輝、何かメッセージ送ったら? 」
「うん」
輝は、梨子に「こっちも決勝戦だよ! 俺も頑張るね‼︎ 」とメッセージを打ってLINEを送った。
輝と梨子、お互いお昼休憩が終わりいよいよそれぞれにとって最大の試練の時がきた。
「それじゃあみんな勝つよ‼︎ 桜ヶ丘中学、ファイトー‼︎ 」
「「オー‼︎ 」」
(あっ…)
皆で円陣を組んで掛け声を叫んだ時、輝は自分の手に梨子の手が重なっているような気がした。
「どうした? 輝」
「なんでもない。行こう、静矢」
いよいよ決勝戦、オーダーが読まれ輝は、修と当たることになった。
「よろしくお願いします」
札を混ぜてる最中、修が輝に言ってきた。
「まさか、神崎とあたることになるとはな」
「言っとくけど、去年の時とは違うから」
同じ頃、梨子も右手に輝が付けているリストバンドと同じものをつけステージの上に立ってピアノの前でお辞儀をしてピアノの前に座った。輝も札を並べ終えて暗記時間も終わった。いよいよそれぞれの試練が始まった。梨子はピアノの鍵盤蓋を開けてピアノにむかう、また輝も札へと向かっていく。
梨子は、ピアノを弾く前に小声で「輝君、頑張って」と囁いた後ピアノを弾き始めた。
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同じ頃、輝達は序歌が読み終わり最初の一枚が読み始められようとしていた。一ミリたりとも気の抜けない中、最初の一枚が読まれた。
「……⁈ 」
輝は、最初の一枚を修に抜かれた。輝は、静矢や悠矢先輩の方を見る。静矢は、なんとか相手から先取、悠矢先輩は取り損ねたが「みんな、落ち着いて一枚、一枚」とフォローの言葉を仲間達にかける。
(落ち着け‼︎ 集中だ…、集中‼︎ 梨子だって自分の場所で頑張ってるんだ。俺だって負けない‼︎ 負けるわけにいかない‼︎ )
輝は、次へと切り替える。
最初の一枚目が読まれた後、2枚目が読まれ始める。2枚目は、2字決まりの「かく」だった。輝は、自分の陣に置かれた「かく」に勢いよく手を伸ばして払った。
「やった。輝、抜いた」
畳の外から七海と桜木先生が見守る。
輝と修、互いに取って取られての激しい戦いが続く。同じ頃、梨子も自分自身のために、輝に
輝と修の試合は、両者全く引けを取ることなく運命戦にまでもつれ込んだ。互いに体力が限界までに近づいていた。今は桜ヶ丘中学が2勝、城星学園が2勝、もう試合終盤だ。
「あー、もうこれ去年のパターンと同じじゃん‼︎ もう見てらんない‼︎ 」
観客席で見てる七海は、じっと見ていられない様子だった。
(なんでだ⁈ なんでだ⁈ 神崎。 全く離せない。 一体お前の何がそこまでお前を強くするんだ? )
(梨子と約束したんだ‼︎ 絶対に勝つって‼︎ )
「失礼します‼︎ 」
リズムを立て直すために手を挙げて一旦立ち上がった。
「スゥー…ハァー…」
輝は、深呼吸をする。ふと輝は、自分の左腕につけた梨子からもらったリストバンドを見る。リストバンドの真ん中についているエメラルドグリーンのひし形のクリアパーツが窓の光の反射で光り輝く。まるで梨子が輝に「頑張って」と言っているかのようだった。
「失礼しました」
そう言って輝は、再び座り札に向かった。
再び読手が札を読み始めた。今、輝の陣にあるのが「ゆらのとを」修の陣にあるのが「しのぶれど」だ。どちらかの陣にある札が読まれたら勝ちだ。
読まれた札に反応して双方、自分の陣に置かれた札を手で取られないように囲う。静矢や悠矢先輩や桜ヶ丘中の選手、城星学園の選手、七海を含めた桜ヶ丘中学競技かるた部の部員や桜木先生、他校のかるた部の部員達も輝と修の試合を見守る。
次に読まれたのは、「たれをかも」だった。輝と修は読まれた札に反応して自陣の札を手で囲う。
静矢、七海、悠矢先輩や他の桜ヶ丘中学競技かるた部の部員は輝が勝利を祈りながら見ていた。
(もう空札はない。次の一枚で決まる)
静矢は、この試合中に読まれた札を全て記憶しており次の一枚が勝敗を決めることはわかりきっていた。「輝の札が読まれろ‼︎ 」と静矢や桜ヶ丘中学の部員は、祈っていた。
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同じ頃、梨子の発表もラストスパートに突入した。輝に向かって
『梨子ちゃん。梨子ちゃんは、この曲をどんな思いで誰に届けたくて弾くの? 』
(先生。私は、この曲を
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(次だ…。次の一枚が勝敗を決める‼︎ )
輝は、次の一枚が勝負になるとわかっており次の一枚に勝敗をかけていた。
そして、勝敗を決める一枚が読まれた。その瞬間、輝と修は読まれた札に反応して動き出した。読まれたのは、輝の陣に置かれた「ゆらのとを」だった。輝の手が修の手よりも早く札に触れていた。この瞬間、桜ヶ丘中学3勝、城星学園2勝で桜ヶ丘中学競技かるた部の優勝となった。
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同じ頃、コンクール会場でピアノを弾き終えステージ上でお辞儀をした梨子が会場の観客席にいる審査員や観客から拍手を浴びていた。
いかがだったでしょうか? 最後、輝の決勝戦と梨子のピアノコンクールを同時にうまく描けていたでしょうか? うまく描けていたら幸いです‼︎
次回からは、夏休みに突入します‼︎
では、また‼︎