アークと言います。
pixivで投稿していたナルトの小説がブクマ2000を超えた記念になにかやろうと考えた結果...
こちらに投稿してみようと考えました。
当方、特に物書きの勉強をしたこともない素人のため、お手柔らかにお願いいたします。
ゴオオオオオオ
目の前の建物が炎に包まれる様を、ナルトは呆然と見つめていた。
その日、ナルトが一日の激務を終えて帰宅した時...そこで目にしたのは最愛の妻と娘が床で倒れている姿だった。
「ヒナタ!ヒマワリ...一体どうしたんだってばよ...」
ナルトは急いで二人の側に駆け寄ると、二人の安否を確認する。
ヒマワリは既に息を引き取っていた。
「ヒマワリ...クソッ、誰がこんなことを...」
「ナルト...く...ん...」
ナルトの声に、意識を戻したのか、ヒナタが息も絶え絶えに、ナルトを呼ぶ。
「ヒナタ。良かった。一体何があったんだってばよ。」
ヒナタは、返事をする力も無い様子で、目線を食卓の方に向けた。
そこには、食べ掛けの夕飯の残りがあり、毒を盛られたのだと気付いた。
「ヒナタ、待っててくれ。今、サクラちゃんを呼んで来るってばよ。」
ナルトが立ち上がりかけたその瞬間...
ドオオオオオオオオン
近くから、耳をつんざく大きな音がしたと思った瞬間、ナルトはとてつもない衝撃を受けて吹き飛ばされた。
一瞬、意識を飛ばしたナルト。
そして、目を覚ましナルトが目にした光景は、自分の家が燃え、朽ちていく所だった。
「ヒナタ...ヒナタはどこだってばよ...」
毒で動けなかったヒナタ。まだ息をしていたのだ。早く探さないと死んでしまう。
ナルトが必死に周囲を探そうとした時、自身の背中から腹部にかけて衝撃を受けた。
「えっ?」
見ると、自分の腹から鋭利な刃物が飛び出していた。
後ろから刺されたのか...ナルトは他人事のように考える。
「ちっ...あの爆発でもまだ生きてやがったのか。化け狐め。九尾の回復力ってやつか。」
「ああ...だが、それもここまでだ。」
男たちの会話から、この一連の出来事の犯人だと確信したナルト。
「お前らか...これを...やったのは...」
「ああ。そうとも。」
男の一人は、平然と答える。
「なんで...こんな事を...したんだってばよ。」
ナルトは、いつもより痛みを強く感じる事を自覚しながら、なんとか男たちに理由を聞く。
「そんなの決まっているだろ。復讐だ。俺たちの家族は九尾に殺された。それでも俺たちは、死んでいった家族の為に必死に生きてきた。だが、その九尾のバケモノが火影になり、俺たちの上に立った。一体それはなんの冗談だ...こんなバカげた話があるか!」
「俺たちは、お前に復讐する権利があるのさ。」
「そのために...そのためにヒナタや...ヒマワリを...巻き込んだってのかよ...」
「そうとも。これでわかったろ。家族を殺される痛みが...憎しみを終わらせる?ふざけるな!...こんな理不尽な世界で生きて、人を憎む気持ちまで奪われてたまるか。」
「.........。」
ナルトは何も言えなかった。
自分は、憎しみの連鎖を断ちたかった。
長門と約束した世界を作るため、歯をくいしばって自分の憎しみを昇華した。
少しでも里の人たちが笑顔でいられるようにと、ようやく手に入れた自分の家族との時間を犠牲にして頑張ってきたつもりだ。
だが、ナルトの思いは一番理解してほしい木の葉の里の人たちに理解されなかった。
家族を失った悲しみ、里の人々に理解されなかった哀しみ...
ナルトは、憎しみは感じなかった。
ただ、大きな喪失感だけがそこにあった。
「この刃物には、尾獣の力を遮断する特殊な術がかけてある。もうすぐお前は死ぬ。」
そうか...どうりで、いつもより痛いわけだ。
どこか他人事のようにナルトはその言葉を聞きながら、全身の力が抜けたナルトは、倒れた。
「化け狐め。ようやく倒れたか。」
「おい、行くぞ。」
去り際に、ナルトを一瞥し男たちはその場を離れた。
「ヒナタ...ヒマワリ...俺のせいで...すまねぇ...。」
ナルトは、独り言のように呟いた。
そして...
「ボルト。お前だけでも幸せになってくれってばよ。...不甲斐ない父ちゃんで...ゴメンな。」
任務のため、この場にいないが為に助かった息子を思い、その言葉を最後にナルトは、息を引き取った。
...ト...ルト...ナルト...
その時、
九喇嘛は必死にナルトに声をかけていた。
ナルトが刃物で刺された瞬間、ナルトとの間にあったチャクラの繋がりが途絶えた。
いくら呼び掛けても反応はない。
尾獣の力を遮断する術によるものだった。
今の九喇嘛には、ナルトが死に近づいていく所を見ている事しか出来なかった。
犯人の言葉を聞いた時には、自分が原因だと知って、例え操られていたとしても...否...操られたからこそ、そんな不甲斐ない自分を責めた。
そして...
ナルトは息を引き取った。
「ナルト...ワシは...ワシはこんな結末認めんぞ...。こんな...こんな世界...絶対に認めん。」
「待て、九喇嘛。」
九喇嘛が憎悪に飲まれる寸前、九喇嘛に声をかけた人物がいた。
「じじい...」
それは、ナルトに六道の力を授けた六道仙人。ナルトの精神世界に残されたその残留思念だった。
「ナルトを助けたければ、ワシの話を聞け。ナルトは今、生命活動を停止した。本来なら輪廻天生の術を使えば甦らせることができるのじゃが...ここからナルトの身体に干渉する事ができん。おそらく、あの刃物に仕掛けられた術のせいじゃろう。」
「能書きはいい。早く方法を教えろ。じじい。」
「良いか?...ナルトの身体エネルギーはゼロとなったが、精神エネルギーはまだ残っておる。だから、ワシがナルトの思念を呼び寄せ乗せる。お前はナルトの思念を乗せたチャクラとお前自身に時渡りの術を使い、過去に戻るのじゃ。」
「そう言うことか。」
九喇嘛は、六道仙人の意図を理解した。
「これから、時渡りの術の印を教える。」
「ああ。」
「ナルトはワシの後継者じゃからな。ワシとて、こんな結末は望んでおらん。」
六道仙人は笑いながら九喇嘛に答えた。
「ただし、本来時渡りの術は肉体ごと転移する術じゃ。チャクラのみを過去に送った例は無い。できればナルトが襲撃される前に戻したい所だが、調整ができん。どれくらい過去に戻るかはワシにも検討がつかん。」
「ああ。ワシはナルトを助けられればそれで良い。ナルトを殺したこの世界にも興味はない。」
「そうか...九喇嘛よ。ナルトを頼んだぞ?」
「じじい。ありがとよ。」
「達者でな。」
そうして、ナルトと九喇嘛は時を渡るのだった。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
-
希望する
-
希望しない