逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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白との邂逅

再不斬の首に千本手裏剣が突き刺さった。

 

それを放った人物...お面を被った子供が姿を表す。

 

カカシは再不斬の脈を計り、確かに心臓が止まっていることを確認した。

 

(白...)

 

ナルトはその人物を見て、少しだけ感傷に浸っていた。

 

恐らく、自分にとっての忍の原点は彼と、再不斬の不器用なまでの生き様...そしてその最後...それに反発したいと、心から願った事が始まりだったと思う。

 

ナルトが感傷に浸っている間に白とカカシのやり取りは終わり、白は再不斬を連れて姿を消した。

 

戦闘は終わった。

 

カカシは額当てで左目を隠すと、一つ溜め息を付く。

 

「さ...俺たちもタズナさんを家まで連れていかなきゃならない。元気良く行くぞー。」

 

その掛け声と共にカカシは倒れた。

 

写輪眼の使い過ぎによるものだった。

 

「ハァ...カカシ先生...締まらないってばよ...」

 

ナルトは、呆れながら一つ溜め息を着いた。

 

(さて...白はアレに気付くかな?)

 

ナルトはこの戦いで、あることを仕掛けていた。白達を救おうとするナルトの手を取るか...その一つ目の試しだった。

 

しかしそれに白が気付けずに、このまま敵対したとしても仕方がないと覚悟もしていた...

 

 

一方その頃...

 

白は、ナルト達から離れた場所で、再不斬の蘇生を行おうとしていた。

 

再不斬の口布を切ろうと、クナイを近づける白の手を、再不斬が掴んだ。

 

「良い...自分でやる。」

 

再不斬は、自力で蘇生していた。

 

「一週間程度は痺れて動けませんよ?...でも再不斬さんならじきに動けるようになりますかね?」

 

「次...大丈夫ですか?」

 

「次なら...写輪眼を見切れる。だが問題は...」

 

再不斬は、先の戦いでカカシの攻略についてある程度予測を立てていた。しかし...

 

「あの少年...ですね?」

 

そう...問題はもう一人...カカシをして自分より強者であると断言させた少年...その少年の実力は把握できていない...

 

「うずまきナルト...とか言ったな...」

 

「彼は...何者なのですか?」

 

「ヤツは...人柱力...尾獣と呼ばれる意思を持つ巨大なチャクラの塊...それを体に封印されたものだ。」

 

「なるほど...それでアレほどのチャクラを...」

 

再不斬の説明を聞いて、あのチャクラの衣を纏ったナルトの姿を思い出す白。

 

寒気がするほど強大なチャクラだった。

 

自分は、彼と正面から戦って勝てるだろうか...

自問自答する白...

 

「木の葉は過去、人柱力の封印が解かれて、尾獣が暴れまわったことがあるそうだ...そんなものを内に抱えて、ヤツはどんな生き方をしてきたのだろうな...」

 

再不斬は独り言のように呟いた...

 

「.........。」

 

白はその言葉に想像する...

人は弱い...自分より強いもの...得体のしれないものに、嫉妬し、或いは恐怖してそれを排除しようとする。

 

自分の父が母を殺したように...そして父が自分を殺そうとしたように...

 

(あの子も...きっと...)

 

ナルトの境遇に思いを巡らしていた白は、再不斬の口布...その間に何かが挟まっている事に気付いた。

 

「再不斬さん...ちょっと失礼します。」

 

白はそれを取り出す。

 

(手紙?)

 

「白...なんだそりゃ?」

 

「再不斬さんの口布...に挟まってたんですけど...」

 

その内容を見た白は、冷や汗を感じた。

 

差出人はうずまきナルト...

そして、その宛先は...自分だった。

 

(僕と再不斬さんの関係に気付いていた?いや、そもそも、なぜ僕の名前を...)

 

「白...何が書いてある...」

 

『白へ...話したいことがある。六日後、指定の場所まで来てほしい。うずまきナルト。』

 

「な...どういうことだ...あいつはお前を知っているのか?」

 

その内容に、驚く再不斬。

 

(考えられるのは白とナルトが知り合いだった...もしくは、既に自分達の情報が出回っていたか...いや...それはあり得ない...もしそうなら、カカシがあの時見逃すハズが無い。)

 

「そんなハズはありません...僕は彼とは初対面のハズです。」

 

白は、驚きながらも答える。

 

「だったら、一体これはなんなんだ...」

 

「.........わかりません。」

 

再不斬は、冷静になるため軽く息をはく。そして...

 

「.........わかった。一先ずそれは良い。それで...どうするんだ?」

 

「え?」

 

「ヤツに...うずまきナルトに会いに行くのか?」

 

手紙の内容...それについてどうするかを白に尋ねる。

 

「僕は...話してみたいです...彼と...」

 

「...好きにしな。」

 

再不斬は、そう言うと力を抜いた。

まだ回復には時間がかかる。

 

ナルトに対する対策も思い付かない。ナルトは再不斬との戦い、あきらかに手を抜いていた。

現状、勝てる要素が見つからない。

 

ならば、直接白が会うことで、少しでも情報を得られれば...そう考えていた。

 

 

一方、ナルト達は、倒れたカカシを運び、なんとかタズナの家までたどり着いていた。

 

「大丈夫かい?先生。」

 

タズナの娘、ツナミが寝込んだカカシに声をかける。

 

「いや...一週間程、動けないんです。」

 

カカシの返答に、

 

「なあによ。写輪眼って凄いけど、体にそんなに負担がかかるんじゃ考えものよね。」

 

サクラが、カカシの様子に呆れていた。

 

「そう言えば、凄いって言えばナルト...あんた一体なんなの?」

 

サクラが再不斬との戦闘を思い出して、ナルトに聞いた。

 

「なにって?」

 

「おかしいじゃない。アカデミーでドベだったあんたが、なんであんなに強いのよ。」

 

サクラの追及は続く。

 

「そうだ。演習の時から、おかしいとは思っていたが、お前アカデミーでは落ちこぼれを演じてやがったのか?それに、あのチャクラを纏った姿...アレはなんだ?」

 

サスケも、ずっと疑問に思っていたことを聞く。

 

サスケは、演習の時から不審に思っていた。

なぜ、ナルトだけが鈴を取れたのか。

なぜ、ナルトは演習の目的に気付けたのか?

 

アカデミーでのナルトからは考えられなかったのだ。

 

それからの任務では目立った動きこそしていなかったが、それでもアカデミーの頃のナルトなら、自分が活躍しようと躍起になり、足を引っ張る位はしていたハズなのだ。

 

二人の注目を集めたナルトは...

ちらりとカカシを見ると、

 

「まあ、アカデミーでの話はサスケの言う通りだってばよ?」

 

「落ちこぼれを演じてたってこと?なんでそんなこと...」

 

サクラがその言葉に疑問を持つ。

 

「そうする必要があった。俺が言えるのはここまでだってばよ?」

 

「どういう事よ?」

 

サクラは理解できない。ナルトの境遇を知らないが故に。

 

だが、サスケは気付いた。ナルトの境遇を知るが故に。理由は知らないが、ナルトは里の大人達に迫害を受けていた。

 

そんなナルトが力を持つと知られたら...恐らく里の者達は大勢でナルトの排斥に動くだろう。

 

「そうか...ならそれは良い。だが...あの力はなんだ?あんな術...見たことも聞いた事もない。」

 

サスケは更に追及する。

 

「それは...話して良いの?カカシ先生。」

 

「ダメ。言ったでしょ?機密事項だって。」

 

しかしカカシがそれを止める。

 

「そんな。」

 

「ちっ。」

 

「それよりも...さっきからどうにも引っ掛かってる事があるんだよね...」

 

「引っ掛かるって?なにが?」

 

サクラが聞くが、それには答えずカカシは考えに没頭する。

 

「いやね...あの再不斬...仮面の少年...死体の処理...そうか...俺としたことが...完全にしてやられた...恐らく...再不斬は生きている。」

 

カカシは仮説から、再不斬生存説を導きだした。

 

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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