逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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密談

翌日...

 

修行のため、森に来ていたナルトたち。

 

「さて、お前たちの修行内容を発表するぞ。それは...」

 

「それは?」

 

サクラが緊張した声で反復する。

 

「木登り...だ」

 

「木登り~?そんなことやって修行になるの?」

 

サクラは疑わしい目でカカシを見る。

 

「まあ、話は最後まで聞け。ただの木登りじゃない。手を使わずに登る。」

 

「???どうやって?」

 

ますます疑わしい目をするサクラ。

 

そこでカカシはナルトを見る。

 

「ナルト...実演よろしく。」

 

「え?そこはカカシ先生が自分で見せる所なんじゃないか?」

 

自分に、話がまわって来ると思っていなかったナルトは思わず聞き返す。

 

「ナルト...俺の状況を見てくれない?まだ松葉杖付いてるんだよ?そこら辺わかって欲しいな~先生...」

 

「ハァ...仕方ないってばよ...」

 

ナルトは一つ溜め息を付くと、足にチャクラを集め、登り始めた。

 

その様子を、唖然として見つめるサスケとサクラ。

ナルトが木の上に登りきったのを確認したカカシ。

 

「と、まあ、あんな感じだ。」

 

そうして、カカシはこの修行について説明を始めた。

 

「ナルト...もう良いぞ?お前は...タズナさんの護衛を頼む。」

 

「って。俺ってば、この為だけに着いてきたの?」

 

「え?そうだけど...」

 

「ハァ...サスケ、サクラちゃん、修行頑張ってな。」

 

肩を落として、帰るナルトであった。

 

程なくして、修行は始まった。

 

カカシにとって意外だったのは、サクラがすぐに出来るようになったことだろう。

 

(なんだと!?...クソ...俺はサクラにも劣るって言うのか...ふざけるなっ!?)

 

サクラの成功を見たサスケは、苛立ちと焦りを混ぜたような、形相をしていた。

 

「.........。(マズイな...あれは)」

 

サクラを残して、サスケに助言させる事を考えていたカカシだったが、今のサスケに、それは悪手だと判断し、自分が残って助言をすることにした。

 

(本当なら自分達で試行錯誤して会得して欲しかったんだけどな...今のサスケはサクラの言うことなんて聞かないだろうし...)

 

(木の葉のエリート...うちはの生き残り...か)

 

そのプライドと、復讐の為に強くならなければならないと言う強迫観念にも似た焦りが、サスケの成長を妨げていた。

 

(ハァ...なんとも...難しいねぇ...コイツは...ミナト先生もこんな事を思ってたのかな...俺たちを教えていたとき...)

 

少しだけ、ミナトの苦労を理解したカカシであった。

 

カカシの指導により、本来よりも早く...三日程で木登りを成功させることが出来たサスケ。

 

その為、以降はローテーションを組んでタズナの護衛を行うこととなった。

 

そして、六日目...

 

ナルトは、白に充てた手紙で指定した場所に来ていた。

 

そこに、白が姿を現す。

 

「よぉ...待ってたぜ?白...」

 

「...!?」

 

白は面を被っていなかった。それでも、ナルトは自分を「白」だと認識していた。

 

(やはり...僕を知っているのか...でも何故この子が僕を知っている?この子は...一体...)

 

警戒する白に、苦笑するナルト。

 

「そう、身構えなくたって良いってばよ。別にここでお前をどうこうする気はねぇからよ。」

 

笑いながら、そう言ったナルト。

 

「そうですか...正直...僕は君を信用できないのですが...話は聞かせて頂きます。」

 

「ちょっと傷付くってばよ...」

 

「自業自得でしょう?君は正直、正体不明過ぎる。君の強さ...それに、何故僕の事を知っていたのか?何故、知りながら僕たちを逃がしたのか...」

 

「それは、これから話す内容でわかるってばよ。」

 

白の言葉に、まずは話を聞くように諭すナルト。

 

そして、ナルトは語り始めた。

未来から来たこと、自身の生涯...そして白と再不斬の最後。

 

その話は白にとって衝撃的な話だった。

 

俄には信じがたい...しかし、自分の事を知っていた理由はこれで説明がつく。

それにナルトがあれほど強い理由も...

 

そして、何よりもナルトの言葉に、体験してきた者にしか出せない『重み』を感じていた。

 

「白...お前の事情も、前世で聞いた。お前にとって再不斬がどれほど大事なヤツなのかも...」

 

「.........。」

 

「その上で聞きたい。お前は...このままで良いのか?」

 

ナルトの問いに対し、白は、

 

「僕は、再不斬さんの道具です。再不斬さんが望むことが、僕の望むこと。」

 

そう言った。

 

「そいつは...違うってばよ。」

 

だが、ナルトはそれを否定した。

 

「違いません。」

 

間髪入れずに反論する白。

 

「まあ、聞けって。前世で、お前が死んだ時な、再不斬を問い詰めたんだ。本当に、白を道具としてしか見ていなかったのかって。」

 

「白はこんなに再不斬の事が好きだったのに、何も感じていないってのが許せなくってさ...再不斬自身、カカシ先生に追い詰められていて、もうほとんど戦いは終わってたからな...」

 

「.........。」

 

「再不斬は泣いていたってばよ。お前を道具と思い込もうとして...でもやっぱり再不斬も忍である前に人間だった。お前の死を悲しんでいたんだってばよ。」

 

「再不斬さんが...僕のために...」

 

ナルトの話を信じられないと言った表情で聞く白。

 

「白...俺はさ...未来から逆行して、またチャンスをもらった。そして、前世とは違う夢を持ってるんだってばよ。」

 

「夢...ですか...」

 

「ああ...俺の愛した女性ともう一度家族を作って...家族を幸せにすることだ...」

 

「フフ...良い夢ですね...」

 

白は微笑んだ...良い夢だ...本当に...出来るなら...自分もそうしたい...

 

「その為に...俺たちが憂い無く過ごせる居場所を作りたいんだってばよ...」

 

「居場所...」

 

「俺や白みたいに...他に居場所が無い奴等を集めてさ、皆で互いの居場所になれるような...そんな所をな...」

 

夢を語ったナルト...そしてナルトは続ける。

 

「白...もし、明日の戦いで生き残れたらさ...俺に協力する気はねぇか?」

 

「え?」

 

一瞬、何を言われたのかわからなかった白。

やがて、理解すると、

 

「正気ですか?僕は敵ですよ?」

 

逆に問い返していた。

 

「それは、雇い主が敵対してるからだろ?俺たちが敵対してるのは状況に過ぎないってばよ。」

 

「.........。」

 

「それで、どうだ?白...」

 

なおも、問い続けるナルト...

 

白は、悩み...そして...

 

「君の夢は、わかりました。それは僕たちのような人間にとって素晴らしいものだと思います。ですが...それにはとてつもない力が必要になります。世界にそれを認めさせるだけの力が...」

 

「ああ、そうだろうな。」

 

「僕たちに見せてください。君の夢に懸けるに値する力が、君にあることを。明日の戦い...僕は本気で君を殺しにかかります。だから見せてください。貴方の力を。」

 

白は、そう答えた。

 

「ああ...わかった。見せてやる。俺と...九喇嘛の力をな。」

 

ナルトは、力強く頷いた。

 

ナルトと別れた白は、再不斬にナルトとの会話を報告していた。

 

「スミマセン。再不斬さんの意向も聞かずに決めてしまって。」

 

白は、再不斬に謝っていた。

道具である自分が、再不斬を無視してナルトの提案を受けてしまったのだ...

 

本当なら捨てられてもおかしくない程の罪だ...

白は、そう考えていた。

 

だが、再不斬は、それには答えず、情報について考えていた。

 

そして、

 

「白、まあ今回の事は大目に見てやる。たまには、お前の判断に乗ってやるのも一興かもしれん。だが...」

 

「それも、明日...お前の言う通り、うずまきナルト...ヤツが俺たちが懸けるに値する男か試してからだ...それにカカシの野郎に借りを返さなきゃならねぇしな...」

 

再不斬は、白に乗ることにした。

 

「はい。」

 

「とは言え、負けるつもりもねぇ。ヤツの夢とやら...叩き潰してやるぜ。」

 

再不斬は、不敵に笑うのだった。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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