逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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戦闘開始

白との密談から翌日...

 

「さて...俺の体調も完全に戻った。そして、再不斬が生きているなら...おそらく今日辺り仕掛けてくるだろう...」

 

カカシはそう予測した。

そして、それは正しい。今日がこの波の国の任務においての山場であり、決着の日でもある。

 

「カカシ先生、俺は少しの間別で動きたいんだけど...良いかな?」

 

そんな中、出発前にナルトが切り出した。

 

「ん?何か考えがあるのか?」

 

「ああ、もし俺がガトーだったら、再不斬を泳がせて本命にしつつ、失敗したときの為にイナリかツナミさんか...はわからないけど人質にするんじゃないかって思うんだってばよ。」

 

「再不斬の襲撃は陽動にも使えるし、別動隊がここを襲撃する可能性もあるんじゃないか?」

 

「.........。」

 

カカシは、ナルトの言ったことについて考える。

 

(ナルトの推測は、確かにあり得るものだが...再不斬とあのお面の少年を相手にするのに、ナルトの戦力が抜けるのは痛すぎる。)

 

「カカシ先生...何も問題無さそうなら、影分身を置いてすぐに駆けつけるってばよ。」

 

ナルトは、カカシが何を考えて悩んでいるのか想像が出来たため補足した。

 

実際、前世の世界に置いて、ツナミを狙った刺客は来ていたのだ。その刺客たちは、然程強くはない者達だった為問題は無かったが、この世界も同じとは限らない。

 

故に、分身では無く自分が護衛に付く必要があった。

 

(白達には悪いけど、少しの間カカシ先生達の相手をしてもらうってばよ。)

 

「わかった。だが俺たちの任務はあくまでもタズナさんの護衛だ。何も問題が無ければ、すぐにこっちに来てもらうぞ?」

 

「わかってるってばよ。」

 

ナルトと別れたカカシ達は、建設中の大橋に到着した。

 

「な、なんだあ、これは。」

 

そこに、タズナの大工仲間が何人も倒れていた。

 

「どうした、いったい何があったんじゃ。」

 

急いで仲間の元に駆け寄ったタズナは、何があったのか聞くが...

 

「ば、化け物...」

 

聞いた仲間はそれだけ言うと気を失ってしまった。

 

(やはり...)

 

それを見たカカシは原因を予測していた。

そして...

急に辺りを霧が立ちこめた。

 

(やっぱり生きてやがったな...早速おでましか...)

 

「来るぞ。」

 

カカシの言葉に身構える一同。

 

「ねぇ、カカシ先生...これってあいつの霧隠れの術よね。」

 

「ああ...」

 

サクラの確認の言葉に頷くカカシ。

 

そこに、再不斬...そしてお面を付けた白が姿を現す。

 

「よぉ...カカシ...借りを返しに来たぜ?」

 

再不斬は、カカシ達を見ると一人足りないことにすぐ気付いた。

 

「あのナルトってガキはどうした...ヤツにも借りを返さなきゃならねぇんだが...臆したって訳でも無いだろ?」

 

ナルト不在の理由を訪ねる再不斬。

今回の戦い...半分はナルトを叩き潰すことを目的としているからだ。

 

「ナルトはガトーの別動隊を警戒してタズナさんの家族を護衛してるよ...何も問題無ければその内こっちに来るさ...」

 

カカシは素直に応じた。それはナルトと言う強力な増援を気にさせることで、再不斬たちの集中力を削ぎたいといった狙いがあったからだ。

 

「フン...まあ、ガトーのヤツは俺達を信用なんぞしてないだろうからな...それくらいやるかもしれん...」

 

いかにもガトーがやりそうだと、再不斬も同意する。

 

「だったら...ヤツが来るまでにお前らを皆殺しにして、ヤツを絶望させてやることで、借りを返すとしよう...」

 

その発言とともに、再不斬の水分身が、カカシ達を襲った。

 

 

一方その頃、ナルトはツナミに辺りを見回って来ると言って外に出ていた。

仙人モードになり、周囲を警戒する。

 

「!?」

 

そして程なく、二人の刺客の気配を捉える。

その二人は、前世の時と同じだった。

 

「さて...どうすっかな...」

 

(あいつらを倒すのは簡単だけど...イナリの見せ場を取るのもな...少し様子を見るってばよ。)

 

様子見を決めたナルト...

 

二人の刺客は、タズナの家に浸入すると、ツナミを連れて行こうとした。イナリを守るため、自分の命をかけて人質をかって出るツナミ。

 

(母ちゃん...ごめんよ...僕は...ガキで弱いから...母ちゃんは守れないよ...それに死にたくないんだ...僕...怖いんだ...)

 

泣きながら震えてうずくまるイナリ...その時、ナルトの声が聞こえてきた。

 

『俺だって死ぬのは怖ぇ...』

 

それは、ナルトと初めてあった時に交わした言葉だ。

 

『でも...それ以上に怖いのは、自分の大切な人を失う事だってばよ。』

 

(そうだ...死ぬのは怖い...でも...母ちゃんが死ぬのは...もっと...怖い...)

 

『イナリ、俺が...お前の戦う力だ。』

 

(ナルト兄ちゃんは、辺りを見回るって言ってた。きっと近くにいる。だからそれまでは...僕が...時間を稼ぐんだ。)

 

「待てぇ...か、母ちゃんから離れろ。」

 

勇気を振り絞り、刺客たちに突進するイナリ。

 

二人の刺客は、イナリを手に持った刀で切り裂こうとした。

 

「イナリ!?...」

 

思わず目を覆ってしまうツナミ。

 

だが、イナリの悲鳴も、切り裂かれるような音も一向に聞こえては来なかった。

 

恐る恐る、目を開けるツナミ...そこには...

 

刺客達の刀をチャクラの腕で止めたナルトが立っていた。

 

「イナリ...よく...頑張ったな。」

 

「ナルト兄ちゃん!」

 

ナルトの姿を見たイナリは、ナルトの背中にカイザを重ねた。

自分が憧れたヒーローの姿...

 

「お前が、あいつらを引き付けてくれたお陰で母ちゃんも救えたってばよ。お前が母ちゃんを救ったんだ。」

 

見ると、ツナミはナルトの影分身が既に保護していた。

 

「クソ...なんなんだこれは。」

 

刀を掴まれている刺客たちは、なんとかその腕から抜こうとするが、びくともしない。

 

それどころか...

 

ビキッ

 

少しずつ刀身にヒビが入っていき...やがて...

 

バリン

 

耳触りの悪い音を立てて、刀身が砕け散ってしまった。

 

「な、なんなんだよ...お前は...」

 

得物を失った刺客達は、ナルトの力に恐れを抱く。

 

「イナリに雇われた忍さ...それよりも...お前達にいつまでも構ってる訳にもいかないんでな...そろそろ終わらせてもらうってばよ。」

 

そう言ったナルトは、チャクラの腕を操作すると大きく振りかぶる。

 

「おい...何をするんだ?やめてくれよ...な?」

 

「お、俺たちは命令されただけなんだ。許してくれよ。二度と悪さをしないと誓うから。」

 

二人の刺客は往生際悪く、言い訳を言って許しを請うた。

 

「悪いが、お前らみたいなのを信用する気は無えってばよ。」

 

ナルトは、二人を無視すると森の方へと投げ飛ばした。

 

投げ飛ばした...と言っても、尾獣の力で投げ飛ばされたのだ。そのスピードは容易に二人の意識を奪い、さらに森の木々に身体を激突させ、そのまま二度と目を醒ますことは無かった。

 

二人が死んだ事を仙人モードのチャクラ探知で確認したナルトは、

 

「さて、ここはもう大丈夫だろう。ここはお前に任せるってばよ。」

 

「ナルト兄ちゃん...うん。」

 

ナルトが、自分を認めてくれた。その事実が堪らなく嬉しい...

 

イナリは、高揚感を感じながら、大きく頷いた。

 

「イナリ...お前の依頼は必ず果たす。」

 

最後に、イナリに約束したナルトは、

 

「じゃ...行ってくるってばよ。」

 

そう言って橋を目指すのだった。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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