再不斬の水分身が、カカシ達を襲う。
(見える...)
だが、サスケは冷静に再不斬の分身達の動きを把握していた。
「やれ...サスケ。」
カカシの言葉に、動いたサスケはあっという間に、再不斬の水分身達を片付けてしまった。
「ほぉ...水分身を見切ったか...あの黒髪の小僧...この短期間に随分と成長したみたいだな。」
「ええ...いくら水分身がオリジナルの10分の1程度の力しか無いとは言え、ああも簡単に片付けるなんて...」
「ライバル出現だな。白...」
「フフ...そうですね。...彼の話を聞いていなければ、素直にそう思えたかも知れませんね...」
だが、再不斬たちはサスケの動きに軽く驚きこそしたが、動揺する気配すら無かった。
ナルトの話を聞き、これまでのガトーの言動などからガトーが裏切るのは間違い無いだろうと確信した二人にとって、この戦いは既に茶番劇に成り下がっていた。
唯一、ナルトの力を試すという目的があるが、それもナルトがいない今、この戦いは前座の様なものだ。
最も、カカシ達は全力で来るため、気を引き締める必要はあるのだが...
そんな二人の心境を知らないカカシ達...
「どうやら、俺の予感は的中しちゃったみたいね...あのお面ちゃん...どう見たって再不斬の仲間でしょ...」
カカシの言葉を聞いたサスケ...
「アイツは俺がやる。下手な芝居しやがって...俺はああいうスカしたガキが一番嫌いだ...」
再不斬の水分身を見切り、自信を持ったサスケが自ら白の相手を志願した。
一方再不斬の方はと言うと、
「さて...先手は打った...行け。」
そう言って白をけしかける。
白の動きにすぐさま対応するサスケ。
二人は千本とクナイでつば競り合いを行う。
その動きに、カカシはサスケに白を任せることを決めた。
「君を殺したくは無いのですが...引き下がって...もらえはしないのでしょうね...」
「アホ言え...」
白の言葉を否定するサスケ。
「仕方ありませんね...」
白はそう言うと、自由な片手を使い印を結ぶ。
「片手の印だと?あんなの見たことが無い。」
それを見て驚くカカシ。
『秘術 千殺水翔!』
水分身が倒されて生まれた水溜まり...
それらが複数の氷の棘となり、サスケを刺し殺そうと殺到する。
それを、足に集めたチャクラを使い上空にジャンプして回避するサスケ。
そのまま上空から手裏剣を投げる。
避ける白の動きを予測して、後ろをとるサスケ。
なんとか対応する白だったが、サスケの蹴りを受けて、後方に吹き飛ぶ。
「どうやら、スピードは俺の方が上みたいだな。」
「ふむ...白をスピードで負かす...か...こいつは予想以上だったな...」
だが、それを見ても再不斬に焦りの色は見られなかった。
「白...このままじゃ返り討ちだぞ?お前が戦いたいのはあの、ナルトってガキの方だろ?このままじゃ...前座で終わりだぜ?」
「ふざけるな...誰が前座だと?今の戦いを見て、なぜそう言える?負け惜しみのつもりか?」
再不斬の言葉に白よりも先に反応し、思わず怒鳴るサスケ。
再不斬の言葉...それはサスケにとって容認出来る言葉では無かった。
(目の前の俺を無視してナルトと戦いたいだと?ふざけるな...戦ってるのは俺だ。今の一連の動きで押していたのも俺だ。ナルトじゃねぇ...)
苛立つサスケに対し、白は静かだった。
「ハァ...仕方ないですね。ナルト君が来るまでは、温存しておきたかったのですが...」
白は、そう呟くと印を結ぶ。
『秘術 魔鏡氷晶!』
術の発動と同時に、サスケを囲むように氷で出来た鏡が何枚も現れた。
そして、その全てに白の姿が写し出される。
「今から、僕の本当のスピードをお見せしましょう...」
「いかん!」
それを見たカカシは助けに入ろうとするが、再不斬が先回りして止める。
「お前の相手は俺だろ?迂闊に動けば、そっちの二人を殺るぞ?」
「クソ...」
再不斬が前にいるため、フォローに回れないカカシ。
「ぐあああっ」
サスケの悲鳴が辺りに響く。
サスケは、囲まれた鏡から縦横無尽に移動する白の攻撃に翻弄されていた。
「タズナさん...ごめん...少しだけ...ここを離れるね?」
サスケの悲鳴を聞いたサクラは、サスケを援護するため、動いた。
クナイを氷の鏡に、向かって投擲するサクラ。
しかし、その攻撃は鏡から姿を半分だけ出した白の手によって、無造作に止められてしまう。
「そんな...」
サクラが絶望しかけたその時...
その半分鏡から出ていた白の面に向かって、手裏剣が投げられる。
「うっ!」
手裏剣に当たり、鏡から弾き出される白...
「え?誰が攻撃したの?」
サクラは、手裏剣を投げた人物を探す。
カカシは、再不斬から目をそらせないため、違う。
タズナは、そもそも忍者ではない...
だとしたら...
「サクラちゃん...遅れて、すまなかったってばよ。」
「ナルト!」
白に手裏剣を投げたのはナルトだった。
「来たか...」
ナルトの姿を見付けて、ニヤリと笑う再不斬。
「全く...遅刻も良い所ですね。」
手裏剣を受けた白だったが、面に当たったため、無傷で立ち上がる。
いや...ナルトはわざと面に当てたのだと理解していた。
「待たせたってばよ。さぁて...暴れるぜ?」
ナルトは、不敵な笑みを浮かべて、全員に宣言するのだった。
しかし...
「手を出すな...ナルト...こいつは...俺が倒す。」
「あら?」
サスケは、ナルトの手助けを拒否する。
気合いを入れて参戦しようとしていた為に、思わず転けそうになるナルト。
「ナルト君が来た以上、貴方と戦う意味も無いのですが...」
白は、別にサスケが憎い訳でも無いし、戦う理由も無いため、それを否定する。
「ふざけるな...今、戦ってるのは俺だろ...俺は...うちはサスケだ...うちはを...嘗めるな!!!!」
その言葉と共に、サスケの両目に変化が起こる。
白や再不斬に相手にされない悔しさ...ナルトにだけ集まる注目...その嫉妬が、写輪眼を開眼させた。
その目を見たナルトは...
「だったら...やってみるってばよ?サスケ...」
サスケを見守ることにした。
「な、何言ってる!ナルト。サスケにはまだ無理だ。助けに行け。」
ナルトの言葉に慌てて指示するカカシ。
「そうよ...ナルト...サスケ君の悔しさもわかるけど...死んだら何にもならないじゃない...」
「サクラ...余計な事を言うな...」
サクラの説得を大声で止めるサスケ。
「サスケ君...」
サスケの苛立った声に、戸惑うサクラ。
(サスケ君...何を焦ってるの?私たちはまだ下忍...急いで強くならなくたっていいじゃない。)
「サクラちゃん...今、俺が助けに入ったら、サスケはサクラちゃんを一生恨むってばよ...」
「でも...」
「大丈夫だってばよ。本当に危なくなったら、止めに入るから...(それに...勝ち目ゼロって訳でも無いしな)」
サスケが写輪眼を開眼した今なら、白が止めを躊躇っている内に、動きを把握できれば、勝ち目も多少はある...ナルトはそう考えていた。
「折角、助けてもらえるって言うのに...それを拒否するなんて...あなたは死にたいんですか?」
「言ったろ?お前は俺が倒すって...」
「ふぅ...仕方ないですね...」
再び、鏡に入る白。
そして、全方位からの攻撃を再開する。
だが、先程と違いサスケは少しずつ、白の動きを見切り始めていた。
(なぜ、急に...!?アレは写輪眼!...そう言えば『うちは』と名乗っていましたね。)
サスケの目が写輪眼になっている事に気付いた白。
「完全に対応される前に...」
白は、サスケの足を狙った。
まだ、完全に白の動きに対応しきれていないサスケは、その攻撃により足を動かす事が難しくなってしまう。
こうなってしまうと、例え写輪眼で白の動きを追える様になっても、どうにも出来ない。
「クソ...」
鏡の隙間から、それを見てとったナルトは...
「ここまでか...」
そう呟いた...
「終わりです。」
サスケに向けて千本が放たれる。
「畜生...俺は...アイツを兄貴を殺さなきゃならないんだ。こんな所で...」
サスケはなんとか千本を避けようと試みるが、間に合わない...写輪眼を開眼した目は、無情にも自分に向かってくる千本をくっきりと把握していた...
思わずサスケが目を瞑る。
だが...いつまで経っても衝撃は来なかった。
サスケは目を開ける。
すると...隣にナルトが立っていた。
チャクラの衣を纏ったナルトは、自身とサスケの周りを狐の顔をした巨大なチャクラの壁で包み込み、千本を防いでいた。
「サスケ...選手交代だってばよ。」
ナルトは、サスケに言い放った。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望する
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希望しない