逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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『中忍試験編』警告

ナルト達が、波の国から帰還した日の夜...

 

「これは...本当の事なんじゃな?」

 

三代目火影ヒルゼンは、カカシから波の国での任務報告を受けていた。

 

「はい。私が直接この目で見たものです。間違いありません。」

 

ヒルゼンは、カカシから貰った報告書に目を通すと、そのあまりの内容に、思わず聞き返してしまった。

 

そもそも、今回の任務はCランクの任務であり、他里の忍と戦闘になるとは考えていなかった。

 

それが、蓋を開けてみれば他里の忍どころか、『桃地再不斬』と言う大物が出てきた上、裏の世界でもかなり有名なガトーコーポレーションと全面的に対決するハメになるとは、誰が予想出来ただろうか...

 

もし、担当したのがカカシ班では無く他の新人たちの班や、中忍の小隊にやらせていたら、返り討ちにあっていた可能性がかなり高い。

 

戦闘の方の報告において、それは理解出来た。

 

木の葉において、トップクラスの戦闘能力を持つカカシ。そのカカシと再不斬はほぼ互角だったと言う。

 

最初の遭遇戦では、一度は敗北しかけた。

 

それを救出したのがナルトであり、再不斬をして強者と語る白と言う少年を退けたのもナルトだと言う。

 

さらに、何らかの手段でガトーの屋敷を一瞬で破壊したと報告書にあった...

 

「お前は、ガトーの屋敷が破壊されたところを見てはおらんのか?」

 

「はい。どうもナルトは戦闘中に影分身を残して本体は離脱していたようで、何をしたかまでは...」

 

「そうか...」

 

おそらく、ナルトにとっては切り札に近いものなのかも知れない...

 

ヒルゼンはそう考えた。

 

-まあ...その気になれば、この里を壊滅させるのは簡単だってばよ?-

 

思い出されるのは、ナルトがあの時に言った言葉。

 

ガトーの屋敷程の規模を破壊する力を使ってもなお、ナルトはまるで消耗した様子は無かったと言う。

 

この規模の術を連発出きるのか、或いはかなり加減して発動させたのか...

 

どちらにしても、木の葉を壊滅させる事が出来ると言う言葉がハッタリでは無い事がわかった。

 

ヒルゼンは、頭を抱えた。

なぜならナルト達が、任務で波の国に出ている間に、木の葉の里である事件があったからだ。

 

日向ヒナタが、ある者たちの手によって誘拐されかけたのだ。

 

もともと、ナルトの扱いについて、木の葉の上層部でも意見は分かれていた。

 

ナルトが出した条件を守らせるために、ナルトに許可をとって上層部には、ナルトの事情と力を伝えてあった。

 

その結果、ハッタリだと笑う者や、恐怖におののき、条件を守ろうと考える者、ナルトの暗殺を提案する者など様々な意見があった。

 

中でも鷹派で知られるダンゾウは、ナルトが手を出すなと言って挙げた人物を人質にとり、ナルトをコントロールすることを提案した。

 

「それほどの力があると言うなら有効に使うべきだろう?他里を侵略するチャンスだ。木の葉の発展の為、また里の脅威を取り除く為にも必要な事だ。」

 

ヒルゼンは反対したが、ダンゾウは聞く耳を持たず、自らの戦力である根を使い、ヒナタを誘拐しようとしたのだ。

 

その計画は、ヒナタ自身の抵抗で失敗に終わったらしいが...

 

「もしこの事がナルトに知られたら...」

 

ナルトがいないときの出来事であるし、もし追及された場合は犯人は他里の忍だと言えば良い。

 

そう考えていたが、何故か胸騒ぎを感じていた。

 

そして、その不安は現実のものとなる。

 

ナルトは、既にヒナタ自身から聞いていたのだ。

 

「誘拐?」

 

「うん。以前にもあったし、多分...他の里の人たちだと思うけど、その時ね、ナルト君から貰ったチャクラが私を守ってくれたんだよ。本当にありがとう。」

 

「.........。」

 

ヒナタのお礼の言葉に、しかしナルトは、難しい顔をしていた。

 

「ヒナタ、少し手を握っても良いか?」

 

「え?う、うん。」

 

ヒナタは顔を赤くしながら頷いた。

 

ヒナタの手を握るとナルトは、目をつぶり深く集中する。

そして渡した九喇嘛のチャクラを感じとると声をかけた。

 

ヒナタに渡したチャクラには、時間制限こそあれ、九喇嘛の意識があった。

ちょうど影分身に近い状態だろうか。

 

ヒナタの中の九喇嘛から話を聞いたナルト。

その犯人の目星も付いた。その黒幕も...

 

ナルトは、その日の深夜、行動を開始する。

 

木の葉の里から少し離れた山に登ったナルト。

 

「いるな...」

 

ナルトは、仙人モードでダンゾウのチャクラを探知した。現在は自分の屋敷にいるようだ。

 

「ヒナタに手を出した報いを受けて貰うってばよ。」

 

ナルトは、尾獣化する。そして...

 

尾獣玉をダンゾウの屋敷に向かって放った。

 

その数瞬前、ヒルゼンは突然現れた巨大なチャクラを感じ、飛び起きた。

 

「なんじゃ...この巨大なチャクラは...」

 

禍々しさこそ感じないが、まるで九尾と対峙したときのような、人ではその底を測れない程の膨大なチャクラだった。

 

そして、その直後爆音が辺りに響いた。

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオオン...

 

急いで、火影室に向かうヒルゼン。

緊急時には、火影室に情報が集まるからだ。

 

火影室の扉を開けるヒルゼン。

 

そこには既にナルトがいた。

 

「待ってたってばよ。三代目。」

 

「ナルト...そうか...さっきのはやはりお主か...」

 

ヒルゼンは、一人納得していた。

 

「契約違反だな。三代目...」

 

だが、ナルトはそんなことお構い無しに、話を続けた。

 

「.........なんのことじゃ?」

 

「ヒナタの誘拐...」

 

「あれは...」

 

「他里の忍じゃなく、この里の根に所属するやつらの仕業だってばよ?」

 

ヒルゼンの言い訳を、先回りして真実を告げるナルト。

 

「...証拠はあるのかの?」

 

「三代目は知らないだろうが、ヒナタには九喇嘛のチャクラを渡していたんだってばよ。その九喇嘛から直接聞いた。証拠は無いが...別に構わないだろ?それとも木の葉は俺と戦争がしたいのか?」

 

「そ、そんなつもりはない。」

 

ナルトの言葉を慌てて否定するヒルゼン。

 

ナルトと正面をきって戦う...数の力でいつかはナルトを倒せるかもしれないが、おそらくそうなってしまっては、木の葉は壊滅状態に陥る可能性があった。

 

「三代目...別に契約を守る気が無いならそれは構わないってばよ?もともと、木の葉が俺を警戒するのを軽くしてやろうとしての提案だしな。」

 

「いや、契約はそのまま継続して欲しい。下の者にも徹底させる。じゃから頼む。」

 

ヒルゼンは、恥も外聞もなくナルトに頼み込んだ。

 

「ハァ...わかったってばよ。今回のは警告だ。犠牲者は出たが、まあ首謀者だし問題ないだろ?」

 

「首謀者?まさか!?」

 

「三代目...末端が好き勝手しちまうのは、わからないでも無い。情報が制限されてるからな。でも、自分に限りなく近い人物すら好き勝手させるのは組織の長としてどうなんだってばよ?」

 

「.........。」

 

ナルトの指摘に、何も言えないヒルゼン。

 

「まあ、これで少しはやり易くなるだろ?じいちゃんの負担は増えるだろうけど...期待するってばよ?」

 

そう言うと、ナルトは消えてしまった。

どうやら影分身だったらしい。

 

それからしばらくした後、ダンゾウの屋敷が跡形もなく破壊されたと言う報告が上がった。

 

原因は不明だそうで、突然爆発したらしい。

 

里は大混乱になり、今は中忍以上の忍が総出で沈静化を試みているそうだ。

 

そんな中、ダンゾウが屋敷にいたことが判明。遺体こそ見つからなかったが、ダンゾウの死亡が確実であるとの話だった。

 

「ダンゾウ...」

 

ヒルゼンは、ダンゾウの訃報に密かに涙した。

 

その強引な手法を危険視され、他者からは理解されなかったダンゾウ。

 

幼い頃からの自分のライバルであり、未だ火影になることも諦めていないようだったが、その行動は全て木の葉のためであることを、ヒルゼンは知っていた。

 

だが、悲しんでばかりもいられない。

 

ヒルゼンは気持ちを切り替えると、改めて上層部を招集。

 

ナルトとの契約を守るよう徹底した。

今回ばかりは、火影として強行するつもりだったが、反対意見は出なかった。

 

皆、ダンゾウの二の舞は避けたいのだろう。

 

直に中忍試験もある。今回は木の葉で開催されるため、これ以上の混乱は避けたいと言う事情もあった。

 

ナルトの警告は、木の葉の上層部を畏怖させるのに十分な成果を上げたのだった。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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