逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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中忍試験...始まる

カカシから中忍試験の志願書を受け取ったナルト達。

 

その後、ナルトとサクラは修行の為修行場に向けて、連れ立って歩いていた。

 

「はあ、明日試験なんて急すぎるわ...」

 

「文句を言っても試験日は変わらないってばよ。」

 

「でも、まだ修行を始めて一週間も経ってないのよ?私...やっていけるかしら...」

 

前回のように、気弱な様子は見せないサクラ。

それは、サスケに認めてもらうと言う明確な目標が出来たからだろう。

 

「一応、サクラちゃんに課してる修行は即効性が高いから、多少は実力も上がってるってばよ。」

 

ナルトは、我愛羅との出会いからすぐに中忍選抜試験が始まる事を知っていた。

 

だからサクラや、ヒナタにはそれからの修行は水面歩行の業によるチャクラコントロールの修行をメインに、コントロールしたチャクラを使った体の動かし方等を教えていた。

 

もともとチャクラコントロールの得意なサクラ、柔拳でチャクラをコントロールしながら戦うヒナタには、この修行は効果的だった。

 

一気にレベルアップ...とは行かないが、それでも全体的な向上は見られた。

 

「それは、わかってるけど...でもせめて後一ヶ月あればなぁ...」

 

自分でも、それなりに強くなっている実感はサクラも感じていたが、それでも時間が足りない事は不安だった。

 

「まあ、明日は試験だから今日は軽めに終わらせようってばよ。」

 

「ええ...ますます不安なんだけど...」

 

段々落ち込んでいくサクラ。

 

そんなサクラを見かねたナルトは、

 

「サクラちゃん...サクラちゃんは確かに戦闘面は俺やサスケよりも下だろう...でも、頭脳面では飛び抜けて高いってばよ。もし、座学系の試験ならサクラちゃんが頼りだってばよ?」

 

そう言って慰める。

 

「そっか...そうよね。その時は任せて頂戴。」

 

サクラは、復活も早かった...

 

そして、ヒナタと合流したナルト達はお互いに中忍試験の予想や対策について話し合い、軽めの修行を終えて解散となった。

 

サクラを見送った後、ナルトとヒナタは、今後の計画について話していた。

ヒナタはナルトの計画を事前に聞かされていたのだ。

 

「ナルト君...いよいよだね。」

 

「...ああ。」

 

「ナルト君?」

 

歯切れの悪い返事をするナルトに、ヒナタが名前を呼んだ。

 

「ヒナタ...本当に良いんだな?このまま俺に付いてきて...」

 

珍しく不安そうなナルト...

 

このままナルトに付いていくと言うことは、ヒナタに日向家を捨てろと言っているようなものだ...

 

ヒナタの顔を見た時、本当にこれで良いのか...ナルトは急に不安になったのだった。

 

だが、そんなナルトにヒナタは気負った様子もなく静かに微笑む。

 

「今更だよ。ナルト君。...ナルト君のいるところが、私の居場所だよ。」

 

「...ありがとな...ヒナタ......そしてゴメン...」

 

迷いもなく即答するヒナタに、ナルトはそれしか言うことが出来なかった。

 

翌日...

 

指定された場所に集合した第七班。

そこにはナルト達の他、中忍試験に挑む下忍が集まっていた。

 

そんな中、301の教室の前で歴史通り、騒ぎが起こっていた。

ロック・リー、テンテンが扉の前に立っていた下忍二人に殴られる。

 

リーばかりか、女の子のテンテンまで容赦なく殴る二人を非難する他の受験者。

 

だが、二人は悪びれもせず、

 

「中忍試験は難関だ。かくいう俺たちも三期連続で合格を逃している。この試験を受験したばかりに忍を辞めていく者...再起不能になった者...俺たちは何度も目にした...どっちみち受からない者を、ここでフルイにかけて何が悪い?」

 

そう言い放った。

 

だが、その言葉に動じず前に進む者がいた。

 

「正論だな...だが...俺は、通して貰おう。」

 

サスケであった。

 

「そして、この幻術でできた結界をとっとと解いて貰おうか?俺は、三階に用があるんでな。」

 

「?何言ってるんだ...アイツ。」

 

サスケの言葉を理解できない多くの受験者達。

 

「ほう...気づいたのか...キサマ。」

 

だが、扉の前の下忍たちは、サスケに感心していた。

展開していた幻術を解く。

 

しかし...

 

「だが...見破っただけじゃ...ねぇ!?」

 

結界を解くと同時にサスケに攻撃する下忍。

 

迎撃しようと蹴りを放つサスケ。

 

だが、二人の攻撃は第三者の乱入により、止められてしまう。

 

そう...二人の間に高速で割って入ったリーの腕によって...

 

「おい、リー。約束が違うじゃないか。下手に注目されて警戒されたくないと言ったのはお前だぞ?」

 

そのリーを、同じ班の日向ネジが嗜める。

 

「だって...」

 

そう言ってサクラを見るリー。

 

リーは、サクラに近寄ると自己紹介を始める。そして...

 

「僕とお付き合いしましょう。死ぬまであなたを守りますから...」

 

熱烈な告白をした。

 

「絶体イヤ。あんた濃ゆい...」

 

速攻で拒否するサクラ。

 

(うーむ...会っていきなり告白って...ゲジマユってば改めて見ると...スゲーな...)

 

ナルトは、妙な事に感心していた。

 

そんな中、サスケに興味を抱いたネジがサスケの名前を聞くが、お互いに憎まれ口を叩き、結局名乗り合うことなくその場を別れる。

 

そんな二つの班を、騒ぎを起こした下忍二人が隠れて見ていた。

 

「あれが、カカシとガイの秘蔵っ子ってガキたちか...まあ、取り合えず志願書提出は通過ってところだな。」

 

「ああ...」

 

二人は下忍に扮した試験官だったのだ。

 

「今年の受験生は楽しめそうだな。」

 

そう言って姿を消す二人。

 

一方、301の教室に向かうナルト達は、ネジ達と別れたリーに呼び止められていた。

 

「目付きの悪い君...ちょっと待ってくれ。今ここで...僕と勝負しませんか?」

 

そして、お互い同意の上で軽い手合わせが始まった。

 

リーの体術に、翻弄されるサスケ。

 

だが、ナルトの評価は違っていた。

 

(へぇ...サスケのヤツ...体術が上達してるってばよ。)

 

写輪眼を使ってなお、リーに翻弄されるサスケだが、ナルトが知るこの時点のサスケに比べ、リーの動きに少しだけ付いていっていた。

 

それは、サスケの修行の賜物。

 

波の国で、白に殺されかけたサスケ。

目では攻撃を見切れていたのに、足を負傷してかわすことが出来なかった。

 

その時に、写輪眼の弱点について理解していたのだ。

 

それから、写輪眼を体に慣らしながら、ひたすら体術の修行を行っていたサスケ。

 

しかし...確かに体術は向上していた...だが所詮は独学の付け焼き刃...

 

指導者を仰がず、一人での修行では限界があった。

 

むしろ、それでも向上しているのは、サスケの天性の才能故であろう。

 

戦いは佳境に差し掛かる。

 

サスケを蹴りで跳ね上げ、後ろを取ったリー。

 

「知っていますか?強いヤツには天才型と努力型がいます。君の写輪眼がうちはの血を引く天才型なら、僕は、ただひたすら体術だけを極めた努力型です。」

 

「言ってみれば、君の写輪眼と僕の究極の体術は最悪の相性...そして、この技で証明しましょう。努力が天才を上回る事を...」

 

リーが技に入ろうとした、その瞬間...

 

リーの腕に巻き付けられた包帯...技の為にほどかれたその一部に風車が刺さった。

 

「そこまでだ、リー。」

 

突然現れた亀がリーを叱る。

 

「くっ...」

 

サスケはなんとか姿勢を正すと、着地した。

 

写輪眼の弱点を知っていたサスケの動揺は少ない。

 

リーを叱っていた亀だったが、その上にとてつもなく濃い男が現れた。

その男こそ、リー達の班の担当上忍『マイト・ガイ』その人である。

 

「まったく青春してるなー、お前ら。」

 

相も変わらずの、熱血テンション劇を繰り広げるガイとリー。

 

一通り終わると、ナルト達にガイが気付いた。

 

「君たち、カカシ先生は元気かい?」

 

「カカシを知ってんのか?」

 

突然話を振られて驚きながらも、なんとか返すサスケ。

 

「知ってるも何も...」

 

ガイはそこまで言うと、目の前から姿を消した。そして次の瞬間にはサスケ達の後ろから...

 

「人は僕らの事を『永遠のライバル』と呼ぶよ...」

 

そう声をかけた。

 

「「!?」」

 

ガイの動き...その初動すらまるでわからなかったサスケとサクラは思わず固まる。

 

(相変わらず目立つのが好きだってばよ...ゲキマユ先生...)

 

ナルトは、特に驚きもせずガイを見ていた。

 

「(この子は...).........。」

 

自分の動きを目で追っていた...

ナルトを驚きの目で見るガイ。

 

だが、すぐにもとのテンションに戻り、

 

「50勝49敗...カカシより強いよ...俺は...」

 

(カカシより上だと?ちくしょうハッタリじゃねぇ...)

 

ガイの動きを追えなかったサスケは、少なくともその言葉が偽りではないと感じた。

 

その後、リーやガイと別れたナルト達。

サスケはまだショックから立ち直れていない。

 

「ビビってるのか?サスケ...」

 

「!?」

 

「ちょっとナルト...」

 

(身体が震えている...それは恐怖から?

違う...)

 

「フン...面白くなってきたじゃないか...」

 

強いヤツと戦える...それは強くなりたいサスケにとって、この上もなくありがたい環境だった。

 

「いくぞ。ナルト、サクラ。」

 

サスケは率先して先頭を歩く。

 

301の教室の前でカカシが待っていた。

三人ともいることを確認したカカシ。

 

「お前らは俺の自慢のチームだ。さあ行って来い。」

 

カカシはそう言って三人を送り出すのだった...

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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