逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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闇の中を歩く

現実世界へと意識を向けたナルト。

 

(俺は...一体これから何を目指したら良いんだってばよ...)

 

九喇嘛に言われた事を考えるも、まるで答えは出なかった。

 

そうこうしている内に授業が終わったようで、教室からイルカが出てきた。

 

「ナルト。もう入って良いぞ?」

 

「......。」

 

イルカが声をかけるが、ナルトは気づく様子もなく、自分の考えに没頭していた。

その表情は、いつものナルトからは考えられないほどに暗く、辛そうだった。

 

「ナルト!」

 

「えっ?」

 

イルカはもう一度大声でナルトを呼ぶ。

その声に、ようやく気付いたナルトはイルカを見た。

 

「ナルト...お前、やっぱり変だぞ?体調が悪いんじゃないのか?」

 

イルカが心配そうに声をかける。

 

「そ...そんなこと無いってばよ?」

 

ナルトは慌てて否定した。だが、自分の悩みに没頭する余りにイルカが近づいてくるのにさえ気付けなかった事に、反省していた。

 

「ナルト...今日はもう帰れ。」

 

イルカはナルトを心配してそう告げる。

 

「だ、大丈夫だってばよ。」

 

「良いから。な?」

 

イルカの強引な勧めにより、ナルトは早退することになった。

 

そして...

 

ナルトは今、里の中を歩いていた。

そこでの出来事はナルトの傷ついた心を更に打ちのめすものだった。

 

「ちっ...」

 

ナルトを見て露骨に舌打ちをする男。

 

「やだ...例の子よ?」

「学校さぼったのかしら...やっぱりろくでもないわね。」

「三代目様も、なんであの子を野放しにしておくのかしら?」

 

ナルトを見て、陰口を言い合う主婦たち。

 

.........。

 

里のほとんどの大人がナルトを汚物を見るような目で見ていた。

 

(ハハッ...わかっていた事だけど...これはキツいってばよ。昔の俺ってば、よくこんな環境に耐えられたな...)

 

(いや...そうじゃねえ...知らなかったから...この環境が当たり前だったから...か...)

 

(多分、この状況を作ったのは、この里の上役たちなんだろうな...)

 

(三代目のじいちゃんの考えじゃないんだろうけど...おそらくダンゾウ辺りの提案なんだろうな...。)

 

(里を第一に考えたとき、俺を英雄として扱うよりも、憎しみの対象にすることで、木の葉が空中分解しないようにしたって所か...憎むべき対象がいた方が纏めやすいのは確かだからな...)

 

(三代目のじいちゃんが、俺を気にかけるのも、じいちゃんの性格もあるんだろうけど、それ以上に罪滅ぼしの面が強いんだろうな...。あの時、禁術の巻物を簡単に盗めたのも...きっと...そうでなきゃ、下忍にもなってないガキが、あんな簡単に火影室に忍び込んで、ましてや禁術の巻物なんて重要な物を盗めるハズ無いってばよ。)

 

(...火影として、里のため...その考えはわかる...それでも...)

 

ナルトは、この状況が起こした未来の結末を思い浮かべた。

 

ヒナタが、ヒマワリが死んだ時の光景...

 

(三代目...俺はあんたを恨むってばよ...)

 

浮かない表情のまま、ナルトはこの時代の自分の家に帰宅した。

 

「ただいま。」

 

『おかえりなさい。』

『パパ...おかえり~』

『父ちゃん、聞いてくれってばさ。今日、任務で...』

 

玄関を開けたナルト...

つい、今までの...平和なうずまき家の幻を見てしまう。

 

ナルトは苦笑して、中に入った。

 

そこは、ごちゃごちゃと床一面をゴミが散乱していた。

誰もいない薄暗い部屋...

 

『父ちゃんが、ガキの頃は火影のじいちゃんはもうこの世に居なかったって言うじゃん。そしたら、親子のこの楽しい状況も知らずに済んでたんじゃねえのかな...』

 

(いつだったか...ヒマワリの誕生日に影分身を使った時、ボルトがそう言っていたってヒナタが言ってたっけ...)

 

「ボルト...お前の言う通りだってばよ...知らなかったから耐えられた。一人は寂しいし...辛ぇし...痛ぇってばよ...」

 

ナルトは泣かなかった...ただ胸を強く押さえてジッとその場に蹲るのだった。

 

その後、なんとなく部屋にいることに嫌気がさしたナルトは、目的も無く外を歩いていた。

 

そして、いつの間にか自分が昔修行をよくしていた川原に辿り着いていた。

 

「ここは...俺ってば、なんでここに来たんだってばよ...」

 

(もしかしたら...この時代の自分がここに来させたのかもな...)

 

ナルトはふっと手裏剣術の修行に使う丸太を見上げた。

 

そして、おもむろに手裏剣ホルダーから数枚の手裏剣を取り出すと投擲した。

 

あるものは弧を描き、あるものは真っ直ぐ、

 

ナルトが投擲した手裏剣は、寸分違わず狙いの場所へと突き刺さる。

 

「ハハッ...昔の俺はこんなことも満足に出来なかったんだよな...」

 

ナルトが独り言のように呟く。

 

その時...

 

「凄い...」

 

林の方から、小さな呟く声が聞こえた。

 

「誰だ。」

 

ナルトは声のした方へ向かう。

 

そこにいたのは...

 

「ヒナタ...」

 

この時代のヒナタだった。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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