大蛇丸を撃退したナルトは、無理に全力を使った反動で意識を失った。
サスケとサクラは、ナルトが倒れる姿を初めて目の当たりにした為驚くが、直ぐに気持ちを切り替えるとサスケがナルトを背負い隠れる場所を探すため、移動を開始した。
移動先で、巨大な木の根...その間に隠れられそうな空間を見つけた為、そこで休憩する二人。
ナルトを背中から下ろし、下に寝かしたサスケ。
「「.........。」」
しばし、無言になるサスケとサクラ...
と、サクラが口を開いた。
「ナルト...大丈夫かな?サスケ君...」
「今のところ、目立った外傷はない...気を失っているだけのようだ...」
ナルトの容態を軽く診断するサスケ。
「そうなんだ...良かった...」
少し安心するサクラ。サクラは続けて話しだす...
「私...勘違いしてた...アカデミーを卒業して...第七班に入って、本当のナルトを知った気になってた...」
「.........。」
サスケはサクラの独白を黙って聞いていた。
「本当のナルトは、強くて...私たちとは違う人種なんだって...どんな状況でも笑って切り抜けて...絶対に負けないんだって...勝手にそう思ってた...」
「でも...ナルトだって、倒れることもあるし、負けることだってあるのかも知れない...私...ナルトに頼りすぎてたんだって...今のナルトを見て、ようやくわかった...」
サスケはサクラの言葉に、ちらっとナルトを見る。
そして、サスケが口を開いた。
「俺も...ナルトに甘えていたのかも知れねぇな...」
「サスケ君?」
「前にも言ったよな?俺には殺したいヤツがいるって...」
サスケは自分の事情をサクラに話した...
「そんな事って...」
サスケの独白に呆然とするサクラ。
「じゃあ...サスケ君が殺したい相手って...」
「ああ...俺の兄...『うちはイタチ』だ...」
サクラはなんと声をかけたら良いかわからなかった。
一族の全てを兄に殺され、兄に復讐する為に生きる弟...こんな悲劇があるだろうか...
「俺は、それ以来一人だった...誰も俺の気持ちなんて理解できやしない...ただイタチを殺す...それだけを考えていた...」
「.........。」
その言葉を聞いたサクラは、アカデミーにいた頃のことを思い出していた...アカデミー時代、サスケは多くの女の子にモテていた...でもその誰に対してもサスケが振り向くことは無かった...
当たり前だ...サスケは他人を拒否していたのだから...
「そんな中でも、たった一人だけ...気になるヤツがいた...ソイツはアカデミーで、実力も無い癖に俺に絡んできては返り討ちにあっていた...騒がしくて、ウスラトンカチで...だが...俺と同じ目をしていた...」
「サスケ君...それって...」
サスケが誰の事を言っているのか、サクラにはわかった。
「ナルトだ...アイツが親も兄弟もいない...一人なのは知ってるだろ?」
「う...うん。」
「それだけじゃねぇ...アイツは、木の葉の大人から疎まれ、蔑まれて生きていた...」
「え?それって...ナルトがイタズラしてたから...とかじゃ無いのよね?」
サクラは、突然のサスケの言葉に驚きの声を挙げた。
「理由はわからねぇ...けどアイツがアカデミーで演技をしていたとしたら、それは木の葉の大人が原因なんだろうな...アイツがあれほど強いとなれば...復讐を怖れて何をするかわからないからな...」
「そんな...」
サクラは木の葉の里が好きだった。
両親も、時には口やかましかったり逆に構いすぎだったりで、鬱陶しいこともあるが、基本的には好きだと言えるだろう。
そんな自分の好きな人達が、ナルトを疎んでいる所なんて想像出来なかった...いや...想像したくなかった。
だが、サスケが嘘を付いているとも思えない...
「ただ...例え演技だったとしても、あの孤独な目は演技じゃない...それだけは確信できる...」
サスケの独白は続く。
「アカデミーを卒業してから、ナルトの本当の実力を目の当たりにして、焦りを感じてた。ナルトは本当は俺の事なんて、路傍の石としてしか見てないんじゃ無いか?ナルトにさえ勝てない俺が、イタチに勝てるのか?そんな焦りが不安となってずっと付きまとっていた...」
「.........。」
サクラもサスケが何かに焦っているのは感じていた。その理由がこんなに重い物だとは、想像していなかったが...
「ナルトは、俺たちよりも大人だ...年齢とかじゃなくて、精神的に...な...俺が焦って周りに当たり散らそうが、笑って仲裁に入ってくれる...俺が危ない時は、アイツがフォローしてくれる...いつの間にか、そう考えるようになっていた。」
「ナルトが倒れた時、俺はナルトに甘えていたと痛感した...ナルトだって苦しんでた...俺は、それを知っていたのに...」
「サスケ君!」
サクラは、サスケに抱きついた。
サスケは自己嫌悪に陥り、自分を責め続けている。
自分の甘えがナルトを苦しめたのではないか...
サクラはなんとかサスケを慰めたかった。
「サスケ君...まだ挽回できるわ?サスケ君も、私も...ナルトに甘えてた...でも気付いたなら、直せば良い...そうでしょ?」
「サクラ...」
「私たちは、同じ第七班の班員だもの。カカシ先生も言ってたじゃない。チームワークが何よりも大事だって。今、ナルトは私たちを守ったために倒れてる...だったら今度は私たちがナルトを守りましょう。それがチームって事なんだから...」
サクラの言葉に、サスケは顔を上げた。
「そう...だな...俺たちにも...まだ出来る事はある。すまない...サクラ...俺は自信を失いかけてたみたいだ。」
サスケは、ナルトと大蛇丸の戦闘を見て自信を失っていた。
だからこれほど素直に、自分の心を表に出したのだろう。
だが、サクラの言葉で今の自分にも、出来る事がある。そう気付かされた。
「サクラはナルトを頼む。辺りの警戒は俺がやる。」
サスケの力強い指示に、サクラは満足そうに頷いた。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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