逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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サスケとサクラの戦い

隠れて休憩しているサスケ達...

 

そんなサスケ達を見付けた者達がいた...

 

「ふふ...見付けた...」

 

それは、試験会場で騒ぎを起こした音の下忍達の班だった。

 

「大蛇丸様の命令通りに、夜明けと同時にやるよ?あくまでもターゲットはうちはサスケだ。」

 

リーダー格のドスが確認する。

 

三人はサスケの力を測るために、中忍試験に大蛇丸が送り出した者たちだった。

 

「邪魔するようなら、他の二人も殺して良いんだよな?」

 

ザクが楽しそうに話す。

 

「もちろん。」

 

ドスも、即答して頷く。

 

一方、サスケ達の方は...

 

相変わらず目を覚まさないナルト...

長期戦になると考えたサスケは交代で休む様にサクラに指示した。

 

今はサスケが休み、サクラが見張りをしながらナルトを看ている。

 

「あ...もう、夜明け...」

 

木々の間から差し込む光に、夜が明けた事を知るサクラ。

 

と、その時後ろから物音がした。

クナイを取りだし構えるサクラ。

一気に振り向くと、そこには小さなリスがいた。

 

「何よ...あんまり驚かさないで...」

 

ホッとするサクラ。

リスがサクラに近づいてきた。

 

と、その時...リスにクナイが投げつけられた。

 

驚き、逃げていくリス。

 

「サスケ君。どうして?」

 

クナイを投げたのはサスケだった。

 

「あのリスには、起爆札が仕掛けられていた。あのまま近寄らせていたら...死んでいたぞ?」

 

「そんな...」

 

サスケは、とある方向に首を向けると、

 

「出て来いよ...俺に下手な小細工は無駄だ...」

 

鋭い声を発して、言い放つ。

 

すると...

 

「ふ...流石にあの方が気にかけるだけありますね...」

 

ドス、ザク、キンの三人が姿を現した。

 

「音忍...昨日あったヤツの仲間か...」

 

「!?」

 

サスケの言葉に、ドスはサスケ達が既に大蛇丸と接触していると理解して驚く。

 

(どう言うことだ?僕たちにサスケ暗殺を命じておきながら...)

 

大蛇丸の真意を図りかねるドス...

 

(とは言え、任務を受けた以上はやるしかないですね...)

 

「二人だけですか?もう一人はどうしました?」

 

「お前らに話す理由は無ぇな。」

 

ナルトが出て来ないのは、既に大蛇丸に殺られているのか、或いは怪我を負ったか...

 

「どちらにしても、二人で僕たち三人を相手にする気ですか?」

 

「当たり前だ...」

 

「あんた達なんて、私とサスケ君がいれば十分よ。」

 

二人の啖呵に、苛つくザク。

 

「上等だ。やれるものならやってみな。」

 

その一言で、突っ込んでいく。

キン、ドスもそれに続く。

 

「サクラ...お前は向こうのくの一をやれ。他の二人は俺が押さえる。」

 

「サスケ君...わかった。」

 

二人を一人で押さえられるのか?

 

...そんな野暮なことは聞かない...聞いても意味がない。

今は、自分のやれることをやる。サスケが二人を押さえている間に、自分が1秒でも早く、敵のくの一を倒してサスケに合流すれば、二対二だ。

 

(ナルトは私たちが守る...行くわよサクラ...)

 

サクラは、自分に気合いを入れると、自身の足にチャクラを貯めると一気に加速した。

 

「速い!」

 

その速度に驚くキン。

 

サクラは、ナルトとの修行を思い出していた。

 

「ハァ...ハァ...ハァ...」

 

サクラは、ナルトから課せられた体術の修行にヘバッて座り込んでいた。

 

「ねぇ、ナルト...なんで体術の修行ばかりしなきゃなんないの?こんなのより、術の修行をして欲しいんだけど...ほら、影分身...アレ、教えてよ。」

 

サクラは、体術の修行ばかりさせられて不満を感じたのかナルトに食ってかかる。

 

「影分身は、サクラちゃんには向いて無いってばよ。アレは自分のチャクラを等分しちゃうから、もともとチャクラの量が少ない人がやると、弱い分身しか作れないし、すぐに消えちゃうんだってばよ。ましてや、多重影分身なんて使ったら...」

 

「使ったら...?」

 

「使ったヤツは一気にチャクラを使い果たして、良くて気を失う...悪いと...死ぬってばよ...」

 

その話に、思わずゾッとするサクラ。

 

「も、もうちょっと軽めの術は無いの?」

 

及び腰になりながら、サクラがなおも訊ねる。

 

「俺は、あまり使える術は多くないんだってばよ。だから術を教えるのは無理だ。でも体術なら教えてあげられるし、体術は多くの場面で使えるから、覚えておいて損は無いってばよ。」

 

「でも、体術なんて一朝一夕で使いこなせるようになんて、ならないわよ?」

 

「もちろん、体術そのものはそうだってばよ。でも、サクラちゃんの才能があれば、大きな武器になる。」

 

「私の才能?」

 

サスケに足手まといと言われた事で、自分の力を信じられないサクラは、才能と言われてもピンと来ない。

 

「サクラちゃんは、チャクラコントロールがずば抜けて上手いんだってばよ。波の国での木登り...覚えてるだろ?」

 

サクラは、神妙に頷いた。

 

「あのとき、サクラちゃんはあっさり登って見せた。多分...今やってる水面歩行の行も、すぐクリア出来るってばよ。」

 

ナルトは、未来のサクラから怪力の理由を聞いて知っていた。

自分も真似てみたが、上手くは使えず結局チャクラモードになったほうが早いと習得を諦めてしまった程だ。

 

「もちろん、頭の良さとか...そもそもサクラちゃんは幻術タイプらしいって事もあるんだけど...」

 

「チャクラコントロールを極めていけば、自然と攻撃力が上がる。打撃の箇所にチャクラを集めれば...」

 

そう言ってナルトは右の拳にチャクラを込めると近くにあった岩を砕いてみせた。

 

もちろん実戦でこれが出来る訳ではない。

ナルトでは、チャクラを溜めるのに時間がかかる上、すぐに霧散してしまう。

 

チャクラを一定量、同じ箇所に留め続けるのは、とてつもなく難易度の高いことなのだ。

 

まさに、サクラの才能と努力があって初めて成せる妙技。

 

「サクラちゃんなら、俺よりも上手く出来るようになるってばよ...」

 

ナルトはそう言って笑った。

 

その言葉を信じて、サクラはチャクラコントロールに時間を費やし、体術も頑張ってきた。

 

ほんの数日では、体術の向上はあまり見られなかったが...

 

「しゃーんなろー!」

 

サクラの拳が、キンの腹部を直撃した。

 

チャクラコントロールによる怪力...まだまだ荒削りだが実戦で使えるまでになった事で、一撃の攻撃力は爆発的に上がった。

 

「ぐはっ...」

 

一瞬で後方に吹き飛ばされたキンは、大木をなぎ倒して意識を失った。

 

(ありがとう...ナルト...貴方のおかげで私も...戦える。もう足手まといなんて呼ばせないから。)

 

「キン!」

 

キンがやられた事で、驚くザク。

 

「サクラのやつ...やるじゃないか...」

 

その時、サスケの後ろ...サスケ達が隠れていた所から、巨大なチャクラが現れた。

 

「な...なんだ...このチャクラは...」

 

あまりに巨大なチャクラに、ドスは動揺する。

 

ナルトが目を覚ましたのだ。

 

ナルトは精神世界で九喇嘛と会話をしていた。

 

『ようやく目が醒めたかナルト...』

 

「俺は...どうなったんだ?」

 

『お前は...今の全力の力に身体が付いていけずに倒れたのさ...』

 

「そうか...大蛇丸との戦いで...」

 

現状を理解したナルト。

 

『今の子供の身体で、いきなり全力を出すには無茶が過ぎたな...』

 

「仕方ないってばよ...大蛇丸は手を抜ける程弱くねぇし...まさか全力を出すと、こうなるなんて思ってなかったからな...」

 

『まあ、慣れる必要があるだろうな。』

 

「第三の試験の本戦までには間に合わせたい所だってばよ...」

 

『ところでナルト...先の事も良いが...』

 

「?」

 

『サスケ達が戦闘中だぞ?』

 

「は?」

 

一瞬何を言われたのかわからなかったナルトは、思わず間抜けな声を出した。

 

「そう言うことは、もっと早く言えってばよ!」

 

『寝坊したのはお前だろうが。』

 

九喇嘛に文句を言うが正論で返され閉口してしまう。

 

「って...こんな事やってる場合じゃねぇってばよ。」

 

急いで覚醒したナルトは、サスケ達の所に駆けつける。

 

「サスケ、サクラちゃん。無事か。」

 

「ナルト。」

「ナルト...良かった...目を覚ましたのね。」

 

「二人とも、ありがとう。俺を守ってくれたんだな?後は俺がやるってばよ。」

 

状況を察したナルトは、今度は自分の番だと影分身の印を作り、参戦しようとする。

 

しかし...

 

「手を出すな...ナルト!これは俺達の戦いだ。」

 

サスケがナルトの参戦を拒んだ。

 

「サスケ?」

 

「そうよ、ナルト。ここは私たちに任せなさい。」

 

「サクラちゃんまで...」

 

サスケだけなら、またいつもの焦りから自分が倒したいと思っているだけか...と取れるが...サクラまでそれに同意している事に困惑するナルト。

 

「ナルト...俺達はお前に守られてばかりのひよっこじゃねぇ...」

 

「私たちは、同じ第七班の班員...同じ立場の仲間よ?貴方が私たちを守ってくれたように、私たちだって貴方を守って見せる。」

 

「見ていろ...俺達は...」

「私たちは...」

 

「「お前(貴方)と同じ...忍だ(よ)!」」

 

サスケとサクラの言葉を聞いたナルトは、一瞬きょとんとした...

だが、それも一瞬...

 

ナルトは、フッと笑うと...

 

「わかった...二人に任せるってばよ...」

 

ナルトは、サスケ達に任せる事にした。

 

サスケはニヤリと笑う。

 

「待たせたな...」

 

ドスとザクはナルトから放たれたチャクラに金縛りにあったように動けなくなっていた。

 

だが、ナルトが力を抜いた事で動けるようになる...

 

「いいんですか?あの人が参戦すれば貴方達の勝利は確実だと言うのに...」

 

「お前らには、俺達で十分だ...最初に言っただろ?」

 

「ふざけるなぁ...」

 

堪え性の無いザクがサスケに飛びかかる。

 

サスケはすぐに印を結ぶと、

 

『火遁 豪火球の術』

 

「ちぃっ」

 

自らに近づく火球を掌の空気砲で消し飛ばすザク。

 

「なるほど...そう言う攻撃か...」

 

それを見てザクの攻撃手段を分析するサスケ。

 

「ザク...二人で攻めます。」

 

ドスは、一対一では荷が重いと冷静に考えて連携を促す。

 

だが、サスケは写輪眼を出してドスの攻撃を見極める。

 

「お前の技は一度見た。紙一重でかわすつもりはない。」

 

と、そこにサクラが合流する。

 

「サスケ君。」

 

「サクラ...お前はあのツンツン頭の方をやれ。掌から空気の砲撃をしてくるから、それだけ注意しろ。」

 

「わかったわ。」

 

サスケが自分の力を当てにしてくれている。

サクラはそれが堪らなく嬉しかった。

 

「ちぃ...」

「ザク...一旦距離をとります。」

 

「そんな暇は与えるか...『火遁 鳳仙火の術!』」

 

複数の炎がドスとザクの退路を塞ぐ。

 

サクラがその隙にザクに接近していた。

 

「はあああっ。」

 

ザクは右腕でサクラの拳をガードする。

しかし...

 

「ギッ」

 

防いだにも関わらず、その威力はザクの腕の骨を粉砕し、ザクの身体ごと後方に吹き飛ばす。

 

「後はお前だけだな...」

 

残るドスにサスケが告げる。

 

「なるほど...君たちは強い...僕たちでは到底倒せない...」

 

そう言いながら、ドスは地の書を差し出した。

 

「これは、手打ち料...虫が良すぎる様ですが、僕たちにも、確かめなきゃならない事ができました...その代わり約束しましょう...今回の試験で次に君たちと戦う機会があるのなら、その時は逃げも隠れもしない...」

 

ドスは、仲間の二人を背負うと離れていった...

 

追わなかったのは、サスケもサクラも消耗していたからだ...

 

サスケは、昨日からの連戦...

サクラは、まだ馴れないチャクラコントロールによる戦闘で...

 

「二人とも...随分腕を上げたな...正直驚いたってばよ...」

 

ナルトは二人に近づきながら、二人の戦いを称賛した。

 

「フン...当たり前だ...いつまでもお前に守られてばかりでたまるかよ。」

 

サスケが憎まれ口を叩く。

だが、その声音は少し嬉しそうだった。

 

「そうよ、ナルト。私たちだって戦えるんだから...あんた一人が無理する必要は無いんだからね!私たちだって、あんたと同じ『第七班』なんだから...」

 

二人の言葉に笑みを浮かべるナルト。

 

「ありがとな...」

 

ナルトはそう言いながら、どこか複雑そうな顔をしていた。

 

だが、ナルトから称賛を受けて、はしゃぐ二人はその顔を見ることはなかった...

 

第七班...ナルトは、いずれそこから抜けなくてはいけない事に、少しだけ寂しさを感じるのだった。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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