逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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ヒナタVSネジ

会場は騒然としていた...

 

当然だ...今、ナルトが試合で見せた動きは、とても下忍が出来るようなものではない...

 

それどころか、この場に集った上忍や中忍の中で、一体どれだけの人数がナルトの動きを捉えられたのか...

 

特に、ナルトのアカデミーでの成績を知る人間の驚きは顕著だった。

 

もはや、成長うんぬんで誤魔化せるレベルではない。

 

「カカシ...ナルトのヤツ。...あいつは一体なんだ...」

 

「そうよ...あれは本当にナルトなの?アカデミーでは、万年ドベだったのよ?」

 

カカシ同様、ナルトと同期のメンバーを預かるアスマと紅は、試験中にもかかわらず、直接カカシに尋ねた。

 

「ん?まあ、その...なんだ...一応火影様から守秘義務を課せられてるから詳しくは話せないんだが...ナルトのアカデミーでの成績は、わざと取っていたみたいよ?」

 

「わざと?」

 

「なんで、そんな事をしたんだ?」

 

ナルトが力を隠す理由がわからない...

 

「そこから先は、こんな所では言えんな...」

 

カカシは、周りに人がいるため迂闊に話せないと告げた。

 

「.........後で教えろよ?」

 

「火影様の許可が降りたらね...」

 

なおも言い募るアスマに、カカシは上から許可が降りればと条件を付けた。

 

一方ナルトは、周りの反応にも我関せずと言った感じで、ゆっくりとヒナタの元に戻った。

 

「お、お帰りなさい。ナルト君...怪我とかしてない?」

 

ヒナタは、思わず『お帰り』と言う言葉を使ったが、まるで夫婦みたいだと妄想してしまい、真っ赤になってしまった。

 

「ただいま...ああ...大丈夫だってばよ...それにキバも大した怪我はないから心配ねぇからな?」

 

そんなヒナタを可愛いと感じながらも、ナルトはヒナタに合わせて『ただいま』と言ってから、笑って問題無いことを告げる。

 

しかし、次の瞬間には真剣な顔になった。

 

「ヒナタ...俺の事よりも、次は多分...ヒナタの番だってばよ...そして...相手はおそらく...」

 

「ネジ兄さん...なんだよね?」

 

「.........ああ...。」

 

ナルトから、この試験での事を聞いていたヒナタ...自分がネジによって殺されかけた事も、当然聞いていた。

 

その後、かなりの期間入院生活を送る事になった事も...

 

「ナルト君...私は...戦うよ?」

 

「.........。」

 

「ナルト君が心配するのはわかる...でも、私は確かめたいの...私がナルト君に着いていくのに相応しいのかを...」

 

「ヒナタ...俺は...」

 

ヒナタの決意に、ナルトは何も言えない...

 

正直、資格なんて無くたって、自分の側にさえ居てくれればナルトはそれで構わなかった。

 

だけど、それはヒナタを人形扱いしているのと同じ...

 

ヒナタが、自分の意思で着いてきてくれなければ意味がなかった...

 

もちろん、心配はある。

だが、それを口にすることは出来ない...

 

ー自分を信頼して欲しいー

 

ヒナタからの頼みだ...自分がそれを蔑ろにするわけにはいかない...

 

だからナルトは...

 

「わかった。でも約束してくれ...無茶だけはしないって...」

 

そう言うしかなかった。

 

「うん...私たちには予定があるからね...大怪我するまで戦うつもりは無いよ?」

 

ヒナタはニッコリと笑ってナルトを安心させようとした。

 

「わかった...気を付けてな...」

 

「うん。」

 

ナルトの言葉に頷くヒナタ。

 

「ふん...随分と気楽なものだな...ヒナタ様...」

 

そんな二人の様子を見たネジは嘲笑した。

 

その時、次の対戦カードが発表される。

 

第八試合...

 

ヒナタvsネジ

 

「行ってくるね!」

 

ヒナタはナルトの目を見て、言った。

気負いのない、真っ直ぐな瞳だった。

 

「ヒナタ...頑張れよ。」

 

ナルトは、せめて笑って送り出す事にした。

 

「うん。」

 

(ありがとう...ナルト君...私を信じてくれて...)

 

そうして、試合場へと向かった。

 

ネジと相対するヒナタ...

 

「まさか、貴方とやり合う事になるとはね...ヒナタ様...」

 

ネジは、ヒナタを見下している。

嘲笑混じりに、そう言ったネジ。

 

「それでは、試合を始めてください。」

 

ハヤテの合図がかかる。

 

「試合をやり合う前に、ヒナタ様...ひとつ...忠告しておく...」

 

だが、ネジは動くことは無くヒナタに話し始めた。

 

「貴方は、忍には向いていない...棄権しろ...」

 

断言するネジは、続ける。

 

「貴方は優しすぎる...調和を望み、葛藤を避け、他人の考えに合わせることに抵抗がない...しかも、自分に自信が無い...いつも劣等感を感じている...だから、下忍のままで良いと思っていた...」

 

「...............。」

 

ネジの言葉を静かに聞いているヒナタ。

 

(ネジ兄さんの言う通り...ナルト君に出会わなければ...きっとそのまま変わることなく、言った通りの自分になっていただろう...でも...)

 

ネジの言葉は続く...

 

「しかし、中忍試験は三人で無ければ登録できない。同チームのキバ達の誘いを断れず、この試合を嫌々受験しているのが事実だ...違うか?」

 

そんなネジの言葉...ヒナタはネジを真っ直ぐ見ると、

 

「言いたい事は、それだけですか?ネジ兄さん...だったら、その問いは的外れです。私は...私の意思でここにいます。」

 

ネジの問いに、はっきりと否定の言葉を口にするヒナタ。

 

「虚勢だな...今までこの白眼で、あらゆるものを見通してきた...だから分かる。貴方は強がっているだけだ。本心ではこの場から逃げ去りたいと考えている。」

 

ネジは、そう言うと白眼を発動した。

 

ヒナタを威圧するためだ...

 

「ネジ兄さん...貴方は何も見通せてなんていない...貴方は、ただ決めつけているだけ...私は、私自身の力を試すためにここに立っています...(ナルト君と、一緒にいるために...)」

 

ネジの目を真っ直ぐ見返すヒナタに、ネジは、困惑していた...

 

今までのヒナタなら、自分が白眼を発動しただけで、怯え、震えていた。

 

だが、目の前のヒナタはどうだ...

自然体で...怯える所か笑っている...

 

強がっている様子も見られない...

 

(どうなっている...これが本当に...あのヒナタ様なのか?)

 

「棄権しないんだな?どうなっても知らんぞ...」 

 

ネジの最終忠告にも意思を変える様子の無いヒナタに、ようやく、構えを取るネジ。

 

「ネジ兄さん...勝負です。」

 

ヒナタも白眼を発動させると構えを取った...

 

同時に動き出す両者...

 

柔拳による攻防を繰り返す。

 

最初に攻撃を当てたのはヒナタだった。

 

「なにっ!」

 

ヒナタの攻撃は正確さ、速さ、威力、全てにおいてネジの予想を大きく上回っていたのだ。

 

その力に驚いた一瞬の隙を突かれ、攻撃を受けてしまったネジ。

 

「くっ...」

 

予定では、わざと攻撃を受けている間に、点穴を突いてヒナタを絶望させるつもりだった...

 

所詮はこの程度だと...

 

以前のヒナタの実力なら、充分可能な力の差があったハズなのだ...

 

例え、ヒナタがアカデミーを卒業して、実力を上げたとしても、甘えた考えのヒナタの事だ...むしろ自分との差は拡がっている...そう考えていた...

 

それが、わざと受けるのではなく、素で受けてしまった上、かなりのダメージを負ってしまった...

 

自身のように、点穴を突くことはまだ出来ないようだが、それでもヒナタの実力が予想を遥かに超えて上がっていることがわかった...

 

(一体、何があった...)

 

ネジが、ヒナタの成長に思考を巡らせたその時...

 

「考えている暇なんて無いですよ?ネジ兄さん...」

 

ヒナタは、更なる追撃を仕掛けてきた。

 

「ちっ...」

 

慌てて迎撃をしようとするネジだったが、始動が一瞬遅れてしまった為に、防戦に追い込まれる。

 

(攻撃が鋭い...点穴を突く隙がない...)

 

その苛烈な攻撃に冷や汗を流すネジ...

 

もはや、認めるしか無かった...

 

ヒナタは、強い...

自分は思い違いをしていたと...

 

「あのネジが...追い込まれてる...」

 

一方、その様子を驚きの目で見ていたのはリー...

 

これまで、どんな時でも余裕の表情を崩すことがなかったネジ...そのネジが表情を崩し、追い込まれる姿を見た事が無かった...

 

と、そこでヒナタの攻撃が止んだ...

 

「?」

 

思わずネジも動きを止めてしまう。

 

「やっぱりネジ兄さんは凄いね...殆ど独学なのに...そこまで強くなるなんて...今の私じゃ...まだ勝てそうにないよ...」

 

「え~、ゴホッ...それは棄権を宣言すると言う事ですか?」

 

ハヤテが念のために、尋ねる。

 

「はい。日向ヒナタは棄権します。」

 

自ら棄権を宣言するヒナタ。

 

「えー、日向ヒナタ...棄権により日向ネジの勝利。」

 

その宣言を受け、ネジの勝利を告げるハヤテ...

 

だが、納得いかないのはネジ...

確かに、あのまま戦っていれば、いずれ攻守が逆転して自分が勝っていた...

 

あくまでも防戦に追い込まれたのは、ネジの油断が原因だった。

スピード、技のキレ、スタミナ...全てにおいてネジの方が一枚上手だ。

 

それでも、ヒナタもまた余力を残していた事は事実...

 

不完全燃焼に終わった宗家との戦いに納得出来るハズがなかった。

 

「なんなんだ...ヒナタ様...あなたは一体なんのために戦った?俺を見返す為だったんじゃないのか!」

 

ネジが、叫ぶ。

 

「ごめんなさい...ネジ兄さん...私は別にネジ兄さんに勝つことが目的じゃなかったの...私はただ...確かめたかった...私がちゃんと強くなってるって...(自信を持ってあの人の隣に立つために...)」

 

ヒナタはナルトの顔を見て言った。

 

「くっ...そんなこと...認められるかぁ!」

 

ネジはまるで自分を当て馬のように扱われた事に怒りを感じて、ヒナタを攻撃しようとする。

 

だが、その攻撃はヒナタに届くことは無かった...

 

一瞬でネジとヒナタの間に移動したナルトが、ネジの腕を掴んでいたのだ。

 

「貴様ぁ...」

 

「ネジ...もう試合は終わったってばよ...ここでヒナタを攻撃したら失格になるぞ?」

 

ナルトが忠告する。ハヤテも頷くが、

 

「うるさい...こんな決着認められるか!」

 

激昂して、ネジが叫ぶ。

 

「まあ、そうだよな...ならこうしよう...ヒナタの代わりに...俺がお前と戦ってやるってばよ...」

 

「なに?」

 

ナルトの提案に驚き、幾分冷静さを取り戻すネジ。

 

「お互い本戦に出場が決まったんだ...そこでヒナタの代わりに俺がお前と戦うって言ってるんだってばよ。」

 

「ふん...お前がか...」

 

「不服か?」

 

「良いだろう...お前に免じて今回は退いてやる...だが...本戦で俺と当たった時...覚悟しておくんだな...」

 

ネジはそう言うと、試合場から出ていった。

 

ナルトも、ヒナタを伴い試合場を後にする。

 

観客席へと向かう間に話をする二人。

 

「ナルト君...ゴメンね?」

 

「いや...無事で良かったってばよ。」

 

ヒナタの無事にホッとするナルト。

 

「ナルト君...」

 

そんなナルトをヒナタは呼んだ。

 

「うん?」

 

聞き返すナルトに、

 

「私は、いつまでもナルト君と一緒だよ?今度は自信を持って言えるから...」

 

ヒナタは、そう言って微笑んだ。

 

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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