逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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本選開始

それから、一月が経過した。

 

その間、ナルトはヒナタやサクラの修行を見つつ、自身の限界を探っていた。

 

その結果...現状では取り敢えず、全力の七割位までなら、なんとか負担に耐えられることが分かった。

 

それを超える力を使うと、ナルトの身体がそのチャクラに耐えきれず、大蛇丸戦後のように、回復のために倒れてしまう。

 

当面は、その出力を超えないように、気を付けて戦う必要があった。

 

それでも、火影クラスと互角に戦う力はあるし、チャクラのスタミナに関しては、まず相手より先に無くなる事は無いだろうが...

 

そして、いよいよ中忍選抜試験...第三の試験の本選が始まる日を迎える。

 

会場には、すでに多くの観客が集まっていた。

 

娯楽として見る金持ちから、未来の強者をチェックしようとするもの、依頼を頼むのに相応しいか見極めようとするもの等、木の葉のみならず、他里や他国からの人間も多くいた。

 

その一番の目当ては、『うちは』最後の生き残りであるサスケなのだが...サスケの姿は、本戦に進んだ受験者の中には見られなかった。

 

「おい、ナルト...サスケのヤツはやっぱり...」

 

姿を現さないサスケの事を聞こうとシカマルがナルトに声をかける。

 

「ああ、カカシ先生と特訓。本当なら失格になってるところだってばよ...」

 

ナルトの前世の話は聞いてはいたが、それでも大事な試験に遅刻するとは...

 

シカマルは、驚きを隠せなかった...

 

まさか、自分を超えるマイペースさを持つ人間がいるとは...

流石のシカマルでも、面倒だとは思っても遅刻などしないと言うのに...

 

その驚きから復帰すると、もう一つ気になることがあった。

 

「あれ?俺とやるドスってヤツもいねぇじゃねえか...」

 

シカマルの相手が変わった事は、ナルトも自身に関係が無かったからか覚えていなかった為、シカマルは知らなかった。

 

ただし、今回の理由はナルトの前世の世界とは異なる。

 

本来の世界では、この時既にドスを含むドスの班員三人は穢土転生の為の器にされていた。

 

しかし、今回は違う...

 

「ああ...ソイツなら...棄権して、キンってくの一と旅に出たってばよ?」

 

シカマルの呟きに、ナルトは心当たりがあり、理由を告げた。

 

ナルトはその時の事を思い出す。

 

 

それは、ナルトが修行を終えて帰宅しようとしていた時のこと...

 

「誰だ!」

 

気配を感じたナルトは、気配の主に叫んだ。

 

「...流石ですね...気配は消していたハズなのですが...」

 

そう言って出て来た二人の男女...

 

「お前らは、確か...中忍試験に参加していた音の...」

 

ナルトはその人物達に見覚えがあった。

 

「そう言えば名乗ってはいませんでしたね...僕はドス。こっちのくの一はキン...」

 

「もう一人は、どうしたんだってばよ...」

 

「.........。」

 

ナルトの言葉に沈黙する二人。

 

「その事は、後で説明します。今回、僕たちが貴方のところに来た理由から説明させて貰えますか?」

 

ドスは丁寧な口調で、そう言ってくる。

 

ナルトは無言で続きを促した。

 

「実は、今回の中忍試験...僕たちの班には、音の長である大蛇丸様から、ある任務を受けていました。それは『うちはサスケ』君を殺すこと...」

 

「.........。」

 

「その絶好の機会である第二の試験...しかし、大蛇丸様...いえ...大蛇丸は、僕たちよりも先にサスケ君に接触していました。僕らの力を信用していない...その線も考えられましたが...恐らく僕らは、サスケ君の当て馬に使われたのだと思います。」

 

「だから、僕は大蛇丸を見返してやろうと考えた。サスケ君を本戦で殺し、大蛇丸を笑ってやるつもりでした。そのために、本戦でサスケ君と当たる予定の我愛羅君を殺して、僕が代わりにサスケ君と当たるようにしようと考えたのですが...」

 

「返り討ちにあったんだろ?はっきり言って、我愛羅の力は下手な上忍よりも遥かに上だってばよ...お前らも下忍としてはかなり強ぇけど...」

 

「はい...勝負にもならなかった...」

 

ナルトの言葉を肯定するドス。

ドスは悔しさに震えていた。結局、自分は捨て駒でしか無いのだと痛感していた...

 

「僕は、彼を殺そうとしましたが、彼は僕を殺す気が無かった様で、逃がしてくれました...そして逃げ帰った僕の前に、大蛇丸が現れたんです。」

 

 

-あら...生きて戻って来れたのね...とっくに殺されたんじゃ無いかと思ってたんだけど...-

 

-僕の行動はお見通し...という訳ですか-

 

-フフ...貴方の様に察しの良い子は嫌いじゃないのよ...貴方は私の目論見を看破して見せた...その褒美に好きにさせてあげようと思ってね...-

 

-でも、僕が彼に勝つとは思っていなかった...-

 

-そうよ?我愛羅君は、砂でもとびきりの戦闘力を持ってるわ...貴方では相手にならない...-

 

-.........。僕を...処分なさるのですか?-

 

-最初はそのつもりだったのだけどねぇ...このあとの計画で使う予定の術があるのだけど...それには、器となる肉体が三体必要でね...貴方達には、どのみちその器になってもらう予定だったのだけど...-

 

-予定外に、器が手に入ってね...貴方達を確保する必要が無くなったのよ...あの子...うずまきナルト君のお陰でね...感謝なさい...彼のお陰で生き延びる事ができたのだから...-

 

-僕はこれから、どうしたら...-

 

-好きにしたら良いわ...私の計画を密告しようとするならともかく、貴方はそんな愚は犯さないでしょう?だったら、このまま私の部下として音の里に残るも良し、抜けても追わないと約束してあげましょう...-

 

-何故...僕を自由にするのですか?僕を殺した方が早いでしょうに...-

 

-言ったでしょ?察しの良い子は嫌いじゃないの...それと...貴方には興味がないのよ。貴方がどうなろうと、私に不利益をもたらさないなら、どうでも良いの...-

 

 

「そう言って、大蛇丸は姿を消しました...多分、興味がないと言った言葉が本心だったのだと、僕は思います。」

 

「それで?」

 

「僕は班の二人に話して、里を抜ける事にしました。キンは賛成してくれたのですが...」

 

「そこからは、私が話すわ...ドス。」

 

キンが話を引き継ぐ。

 

「ザクは、大蛇丸を信奉していたわ...私たちは、皆、幼少の頃に大蛇丸に拾われたの...その才能を買われてね...」

 

「それまであまり良い思いはしてこなかったから、多かれ少なかれ、皆、大蛇丸には感謝していたわ...ザクは特にその思いが強すぎた...ドスの話を聞いても、ザクは頑なに大蛇丸の元に残ることを主張したわ...私たちは、そんな彼を止める事が出来なかった...」

 

ドスもキンも、そのまま大蛇丸の元に残れば、使い潰されて殺される事を理解していた。

 

それでも、ザクが自身で決めた事だ...

止める事は出来なかった...

 

「これからどうするんだ?」

 

ナルトは二人に聞いた。

 

「わかりません...取り敢えず、中忍試験は棄権します。それで旅でもして考えようかと思います。」

 

「しばらくは、私もドスと行動を共にするつもり。そこからは私もわからないわ...」

 

二人は、憑き物が落ちたかのように晴れ晴れとした顔をしていた。

 

音忍として、失敗が許されない環境で育ったが故に、ずっと緊張して強張った顔になってしまっていたのだろう。

 

「そっか...忍が里のバックアップを受けずに生きていくのは大変だと思う...それでも、生きてりゃ、きっとなんとかなるハズだ...二人とも頑張れよ?」

 

ナルトにとって、この二人はまるで接点もない、赤の他人と言って良い。

特に思い入れがあるわけでも無いが、自分の行動をきっかけに、二人が救われたと言う。

 

それに、自分もまた、里を抜ける予定なのだ、先に里を抜けて生きていく事になる二人を、せめて応援してやりたいと思った。

 

「では、僕たちはそろそろ発ちます。最後に...ナルト君...貴方と大蛇丸の関係はわかりませんが...大蛇丸を信用しすぎないようにしてください。彼は危険です...この忠告を、助けられた礼とさせてください。」

 

ドスは、そう言って頭を下げた。

 

「私からも、改めてお礼を言わせてもらうわ。正直、直接助けられた訳でも無いから実感は無いけど...こうして大蛇丸から離れる事が出来たからね。」

 

二人はそう言って、木の葉を後にするのだった。

 

 

ナルトが物思いに耽っていると、会場が一気に賑やかになる。

 

いよいよ、本戦が開始されるようだ。

 

一回戦は、ナルトvs ネジ。

 

ナルトが視線をネジに向けると、ネジは不敵に笑みを浮かべていた。

 

二人の戦いが、今始まろうとしていた...

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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