ナルトとネジは、会場の中央で対峙していた。
白眼で、ナルトを観察しているネジ...
(自分を信じきっている目だ...まるで気負いがない...)
ナルトの目を見たネジは、そう評価した...
「では、第一回戦...始め!」
試験官のゲンマの合図で、試合が始まる...
「フフ...その方がやりがいがある...本当の現実を知った時...その時の落胆の目が楽しみだ。ヒナタ様に受けた屈辱...約束通り、お前に返そう...」
ネジは、そう言って構えた。
「お得意の白眼による洞察か?はっきり言って、今のお前の曇った眼じゃ、宝の持ち腐れだと思うけどな...」
ナルトも、構えた。
「曇った眼?何を言っている...俺の白眼は宗家をも超える...」
「白眼の事を言ってるんじゃ無ぇってばよ...」
ナルトの言葉が理解できないネジは、
「フン...曇っているかどうか...お前に教えてやる!」
そう言うと、ナルトに向かって走り出した。
もともと、白眼による柔拳を得意とするネジは、戦闘に関しては近接特化型の忍だ。
その手の届く範囲に、近づく必要がある。
そして、ナルトは今や目の前だった。
「...終わりだ!」
ネジから動くとは思っていなかったのか...ナルトは棒立ちだった。
ネジの攻撃が、ナルトに当たる...
「な!?」
...と思われたが、その攻撃はナルトの手によって手首を捕まれ、止められていた。
「くっ...離せ!」
ネジは残った方の手を使い、ナルトの点穴を突こうとする。
ナルトは、掴んでいた腕をあっさりと離して距離を取った。
「お前は、その目で全てを見通すと言ってたな?今のも見通せたのか?」
ナルトは、ネジを挑発した。
「くっ!」
完全に予想外だった。
確かに、ナルトは強い...それはキバとの戦いでも理解できた。
だが、それでも自分には敵わない...そう考えていた。
「言ったろ?お前の眼は、曇ってるって...」
「俺の眼のどこが曇ってると言うんだ!」
激昂して、なおもナルトに挑みかかるネジ。
だが、その攻撃は全てナルトによって捌かれてしまう。
「お前は、その眼で色々なものを見てきた。それは確かにソイツの真実の一端ではあったんだろうな...でも...」
ネジの攻撃を捌きながら、ナルトは続ける...
「その眼で見通せるのは、あくまでもソイツの表層に過ぎねぇってばよ。だが、お前はその眼で見たことがソイツの全てだと決めつける...」
「そして、お前は人は変われねぇと考えて、今のソイツを見ようとしねぇ...だからヒナタの心を見誤った...お前のその後ろ向きな考えが、お前の眼を曇らせてるんだってばよ...」
「違う!」
ナルトの言葉を否定するネジは、更に攻撃を苛烈にする。
「違わねぇ...ヒナタを見ればわかるだろ?アイツは日向家で、落ちこぼれなんて言われながらも、必死に努力して、強くなった...そのヒナタに追い詰められたのは他でもねぇ...お前だろ...ネジ。」
しかしナルトは、苛烈になる攻撃にも冷静に対処しながら、ネジを諭すように話し続ける。
「くっ!」
ナルトの指摘に、思わず攻撃を止めてしまうネジ。
「お前なんかに...お前なんかに何が解る...何も知らないクセに...知ったような口を聞くなぁ!」
ナルトの言葉は、ネジの心を容赦無く抉る...
それを否定するために、ネジは吠えた。
「『運命は変えられない』...お前の口癖だったよな?」
それはネジの根幹を支える言葉...その言葉を聞いたネジは、幾分落ち着きを取り戻す。
「そうだ...運命は変えられない...人はそれぞれ違う...逆らえない流れの中を生きるしかない。...ただ一つ...誰もが等しく持っている運命は...『死』だけだ...」
「お前に教えてやる...日向の...憎しみの運命を...」
そうして、ネジは語りだした...
宗家と分家の呪われた関係を...
一度前世で聞いているナルトだが、黙って聞くことに徹する。
ただ、ヒアシより後に生まれた...
それだけで、己の父はヒアシの身代わりとなって殺された...
「運命は変えられない...そして、人も...そう簡単に変わりはしない...俺はそれをこの眼で見てきた。」
ネジは、そう言って断言する。
だが、ナルトはそれを聞いても、特に同情はしなかった...
それどころか...
「運命...か...やっぱりくだらねぇってばよ。」
「なに!」
ネジを嘲笑するナルト。
ナルトの言葉に、再び怒りがこみ上げてくるネジ。
「確かに、逆らえない運命ってのはあるのかも知れねぇ...けどな...お前の場合は違うってばよ。」
「どういう意味だ...」
「お前は、ただ...運命って言葉を自分の都合の良いように使ってるだけだって言ってるんだってばよ。」
「なんだと!」
「お前は、自分には出来ないって諦める事を、運命って言葉を使って正当化してるだけだ...」
「違う!」
ナルトの言葉を強い口調で否定するネジ。
「お前は、運命って言葉をおためごかしに使って、ただ逃げてるだけの臆病者だ。」
「違う!!」
否定するネジに、いつもの余裕は見られなかった...
「お前に比べたら、落ちこぼれだと言われても、努力を続けて、強くなろうとするヒナタの方がずっと強い...お前は...諦め癖がついた弱虫だってばよ...」
「違う!!!」
ナルトの糾弾を聞いていられなくなったネジは、闇雲にナルトを攻撃する。
ナルトの言葉は、ネジの核心に触れていた...
だが、ネジはそれを認めようとはしない。
認めてしまえば、父の死も...変えられたかもしれない...
そう思ってしまうから...
これまでの生き方を否定されている様で、恐ろしかったから...
「そんなに、日向のあり方が気に入らないなら、お前が火影になって日向を変えれば良いってばよ...」
「火影になるものは、あらかじめそうなる運命と決まっている...誰もがなれる訳じゃない。それは俺とてそうだ...日向の分家と言う身分ではな...」
その返答を笑うナルト。
「そら見ろ...今、お前は運命って言葉で、諦めた...それが今のお前だってばよ...」
「ぐっ...」
ナルトの指摘にネジは固まってしまう。
反論のために用いた言葉だったが、意識して使ったわけではない...
運命と言う言葉は、ネジの中で、それほど浸透していた...
だが、やはりそれを認めることは出来ない...
ネジは、頭に血が昇りそうになるのを懸命に堪える。
そして...
「だったら...この技を受けきれるか?お前が言うように、運命を変えられると言うなら...見せてみろ。」
ネジは、静かに構えた。
『柔拳法...八卦六四掌...』
ネジは既に、全ての点穴を見れる程に白眼を使いこなしていた。
その力を使い、ナルトを攻撃する。
ナルトは、その攻撃を見て、口の端を上げると、何故か避ける事もせずに、その攻撃を全て喰らってしまった。
「ぐわっ!」
後ろに飛ばされるナルト。
なぜ、避ける素振りすら見せなかったのか...
疑問を感じるネジではあったが、どちらにしても、全ての点穴は閉じた...
「ハァ...ハア...これが、現実だ...今やお前はチャクラを練ることも出来ない...お前の敗けだ。」
もう、ナルトに出来ることは無い...ネジは勝ったと確信して、その場を後にしようとする。
その時、ナルトがヨロヨロと立ち上がった。
「何...勝った気になってるんだってばよ...運命を変える所をみたいって言ったのは、お前だろ。」
ナルトは笑っていた。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望する
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希望しない