ナルトVSネジ戦の興奮冷めやらぬ中、次の試合が始まろうとしていた...
シカマルvsテマリ
サスケが姿を現さない為に、急遽次の試合のカードを前倒しでやることになった。
本来なら、ここでサスケは失格になるのだが『うちは』を見たい他里のゲストや観客に配慮した結果である。
一回戦でボルテージの上がっている観客にとって、そのカードは消化試合と言って良い...
誰もが期待しないその戦いに、しかしシカマルは自ら出ていく。
ナルトの前世においては、ナルトに突き飛ばされて、引っ込みが付かなくなったという事情があった...
だが、今回は自分の意思で試合に望む...
それは、ナルトへの餞別...
『計画』を実行するには、サスケvs我愛羅の戦いのタイミングで、木の葉崩しが起こる事が望ましい。
何故なら、ナルトの経験した木の葉崩しがそのタイミングだったからだ...
始動がズレれば...どう進むか把握し辛くなる
...
計画とはそういうものだ...
そのために、サスケが会場に来るまでの時間稼ぎを行う必要があった。
せめて、ナルトが計画を実行し易くなるように...
ナルトの見守る中、シカマルはテマリと戦う。
時間稼ぎを目的としつつも、どこかシカマルは昂揚感を感じていた。
それは、一回戦のネジvsナルトの見せた殴り合い...
忍とは言えない戦いであったが、楽しそうに殴り合うナルトとネジを見て、シカマルもどこか心が熱くなっていた。
ナルト達のように殴り合いは出来ないが、自分なりに、力を尽くす...
一回戦とは、うって変わっての頭脳戦...
全く期待していなかったハズの観客は、知らず知らずの内に、その戦いに魅入っていた。
シカマルは、テマリを後一歩まで追い詰めた...
結局、ギブアップするシカマルだったが、その戦いに多くの拍手を得る。
(やっぱ...シカマルは凄ぇ...)
その戦いを、改めて見たナルトは素直に感心していた。
前世のこの頃は、シカマルのギブアップを見てバカだと言ったが、こうして改めて見てみると、その戦い方や引き際は見事としか言えたかった。
「ナルト君...行って来て良いよ?」
そんなナルトを見たヒナタが、ナルトに声をかける。
「え?」
「シカマル君に、声をかけたいんでしょ?行ってきなよ?」
ヒナタは、優しく微笑んだ。
「ありがとな...ヒナタ。」
正座から解放されたナルトは、シカマルに声をかけるべく、試合会場に降りていく。
「ちょっとだけ...羨ましいな...シカマル君が...」
そんなナルトの背中を見送りながら、ヒナタは独り言を呟いた。
今の自分は、ナルトの助けにはなれない。
でも、シカマルは違う。実力では今の自分とそう変わらないシカマルだが、その頭脳でナルトを助ける事が出来るのだ...
ナルトの隣に立ち、ナルトを助け...支える事を目標とするヒナタには、シカマルが眩しく見えた。
「凄ぇ戦いだったってばよ...シカマル。」
「結局、負けちまったけどな...」
ナルトの称賛に、しかし苦笑を浮かべるシカマル。
「確かに試合には負けたけど...これが小隊同士の戦いならお前の勝ちだってばよ...中忍試験の主旨を考えれば、充分過ぎる内容だ。」
「そっか...まあ、お前が言うなら...そうなのかもな...それより...」
シカマルが何を言いたいのかは、わかっていた。
「大丈夫だってばよ...ほら...来た...」
その時、試合場の中央に木の葉が舞う...カカシとサスケが登場した。
サスケの登場に会場は大きく沸いた。
すでに、先程までの戦いは忘れられたかのように、うちはの戦いに期待する声で埋め尽くされる。
遅刻したサスケだったが、後回しにされて失格になっていない事を聞いたカカシは、ホッと一息吐く。
「サスケ...次の試合の相手...我愛羅は相当強いってばよ...油断するなよ?」
「ああ...」
ナルトの忠告に頷くサスケ。
サスケは、リーと我愛羅の試合を見ているのだ。
当然、油断などする気は毛頭無かった。
観客席へと向かうナルトとシカマル。
その途中で、我愛羅と出会った。
我愛羅に八百長を持ち掛けていた忍を戦闘不能にしている所に出くわしたのだ。
「あんまし、やり過ぎるなよ?我愛羅。」
苦笑しながら声をかけるナルト。
「なんだ...ナルトか...一回戦は、随分と楽しそうな戦いをしていたな?」
ナルトの軽口に付き合う我愛羅。
「ナルト?もしかして...」
そのやり取りに、何かを感じたシカマル。
「ああ...我愛羅には計画の事を話してある。協力も取り付けてあるってばよ。」
「そうか...随分と段取りが良いな...」
「ああ...九喇嘛の提案でな...」
「成る程な...納得した...」
ナルトとの会話でシカマルの存在に気付いた我愛羅。
「お前は、奈良シカマルか...さっきの試合は、見事だった...まさかテマリをあそこまで追い詰めるとはな...」
「あ、ああ...サンキュー...」
無条件にシカマルを誉める我愛羅に、どこか居心地悪そうなシカマル。
「その様子だと...お前も計画を知っているようだな。」
「そりゃ、そうさ...この計画の大部分はシカマルが考えてくれた事だってばよ...」
ナルトの言葉に、納得する我愛羅。
「そう言えば、未来でお前はナルトの相談役をやっていたのだったな...」
そして、ナルトに向き直ると、
「ナルト...木の葉崩しのタイミングは、未来と同じタイミングで行う様に試合を進める...しくじるなよ?それと...わかっていると思うが...俺は、全力で暴れるぞ?」
そう言って我愛羅は不敵に笑った。
「心配すんな...ちゃんと止めてやるってばよ...」
ナルトもニヤリと笑いながら返す。
「じゃあ、後でな。我愛羅...行こうぜ?シカマル...」
「...ああ...」
ナルトと別れた我愛羅は、サスケと対峙する。
「始め!」
ゲンマの合図と共に、我愛羅vs サスケの試合が始まった。
歴史通り、体術をメインに戦うサスケ...
だが、それは我愛羅の砂の盾で防がれる。
我愛羅から、仕掛ける事は無かった。
タイミングを図っていたのだ...
『そろそろだぜ?我愛羅...』
「ああ...やるか...」
そして我愛羅は砂の球体の中に、完全に身を隠す。
これ幸いと、千鳥を発動するサスケ。
砂の球体を容易く貫く千鳥だったが、ここで歴史との差違が出る。
それは、守鶴が力を貸したことで、前世の時よりも大きい球体を作り出した為であった。
サスケのリーチでは、腕が我愛羅の体に届かなかったのだ。
無傷の我愛羅は、しかし歴史通りに球体から出る。
観客席のナルトと視線が合う我愛羅は、頷いた。
ナルトも頷く。
そこで、木の葉崩しが始まったのだ。
観客席全体に幻術がかけられ、ほとんどの観客は眠ってしまう。
幻術返しをした一部の忍たちだけが、意識を保っていた。
そして、ヒルゼンの所では風影に扮した大蛇丸が動き出す。
大蛇丸の木の葉崩し...
そして、ナルトの計画...
いよいよ歴史を変える事件が幕を開けるのだった...
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望する
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希望しない