観客席に羽が舞う。
(始まったってばよ...)
その瞬間、ほとんどの観客は眠ってしまった...
現在、起きているのは幻術に長けた忍や、上忍クラス...そして仕掛けた側の砂と音の忍だけであった。
ナルトもまた、幻術に対抗すべくチャクラを練る。
『解!』
幻術を解くナルト。
「ふぅ...流石にイタチ程強力な幻術じゃなかったみてぇだな。俺でも解ける程度だったってばよ...まあ、例え幻術にかかっても、九喇嘛に起こして貰えばいいから俺に幻術は効かねぇんだけどな...」
ナルトは独り言を呟くと、隣で幻術にかかって寝ているヒナタを起こす。
『解!』
「あ!...ナルト君?」
一瞬状況が飲み込めず、周りをキョロキョロと見渡すヒナタ...
しかし、周りを見て状況を察したヒナタ。
「そっか...とうとう始まったんだね?」
「ああ...大蛇丸が動いたってばよ。ここからはかなり危険になる。ヒナタにはまた、九喇嘛のチャクラを渡しておくけど...まずはカカシ先生達と合流するってばよ。」
「わかった。」
ヒナタの了解を得て、九喇嘛のチャクラを渡すナルト。
「シカマルも取り敢えず着いてきてくれ。」
次にシカマルに声をかける。
「ああ。」
今回は、寝たフリはしておらず、すぐに幻術返しを使っていたシカマルもナルトと一緒に動く。
カカシ達の元へと向かうナルト達。
「二人とも、俺から離れるなよ?ここは混乱の真っ只中...音や砂の忍が狙ってくるだろうけど...俺が片付けるから心配は要らないってばよ。」
「うん。」
「わかった。」
と、言ったそばから音の忍数名が襲いかかってきた。
「二人に手は出させねぇってばよ!」
ナルトは九尾チャクラを纏いチャクラの腕を使って敵の身体を貫く。
「がはぁ...」
一瞬で絶命する音の忍たち...
「行くぞ。」
ナルトは死体には目もくれず、二人の移動を促す。
二人も、余計なことは言わずナルトに無言で頷くと、移動した。
「カカシ先生!」
カカシの姿を見つけるナルト。
カカシはサクラを守りながら、戦っていた。
「ナルトか...流石に無事だったみたいだな。」
「ああ。サクラちゃんも無事で良かったってばよ...」
「ナルト...サスケ君がいないの...それに我愛羅って人も...」
サクラは会場から、サスケの姿が見えなくなっていたのを心配していた。
「ナルト...サクラと...シカマル...それにヒナタもいるのか...ちょうどいい...お前たちに任務を伝える...」
「サスケの後を追い、合流してサスケを止めろ。そして別命あるまで安全な所で待機!サスケの所までは、このパックンが案内してくれる。」
カカシは、集まった下忍の四人に任務内容を伝え、忍犬であるパックンを口寄せする。
「悪いけど、カカシ先生...そっちの任務は俺の影分身で当たるってばよ...それからサスケは、自前で追える。その忍犬は要らねぇってばよ。」
だが、ナルトは影分身を作り、その任務に条件を付けた。
「何を言ってる!サスケの命がかかってるんだ...我儘を言うな!」
その言動に苛立ち、いつになく声を荒げるカカシ。
「そうよナルト...サスケ君が心配じゃないの?」
サクラも堪らず反論する。
「別にそんなこと言ってねぇってばよ?そっちの任務は影分身で充分だと言ってるだけだ。」
睨み合うナルトとカカシ...
先に折れたのはカカシだった。
状況は切羽詰まっていたし、我愛羅を追ったサスケに、時間が経つほど追い付くのが難しくなるからだ。
「わかった...だが、パックン無しでどうやってサスケを追跡する?」
カカシの質問に、分身していたナルトは目を閉じ、暫しの間瞑想する。
次の瞬間、分身ナルトの目には仙人の証である隈取りが浮かんでいた。
「ナルト...お前...その力は...」
その力が仙人の操る自然エネルギーだとすぐに気付いたカカシは、冷や汗を流した。
九尾の力に加え、さらに仙人の力すら扱えるとは思っていなかったのだ。
一体どうやって仙人の力を...疑問に思うカカシ...
「そんなことはどうでも良いってばよ...重要なのは、任務遂行に必要な力があるかどうか...それだけだ。この状態の俺は、皆のチャクラを感知できる。もちろんサスケのもな...それに、パックンを加えると基本小隊の四人を超えちまうってばよ。」
「わかった...サスケの事は頼んだぞ。ナルト...」
聞きたいことは山ほどあったが、今は非常時だ...
カカシは何も聞かずにナルトの分身を送り出した。
「で...わざわざ残った本体のお前は何をするつもりだ?ナルト...」
そして、残った本体のナルトを問い詰める。
だが、ナルトはそれには答えずヒルゼンと大蛇丸がいる屋根の方を見上げていた。
そこは、既に結界によって遮断され、誰も応援に入れない状態になっていた。
いや...例え結界が無くとも影クラスの戦いに割って入れる技量のある暗部はいない...むしろ足枷にしかならない...
その時、ナルト...と言うよりも九喇嘛があるものを感知する。
『来るぞ...ナルト!』
「カカシ先生...ここは頼む...俺は、じいちゃんの援護に入るってばよ。」
ナルトは、カカシの返事を待たずに九尾仙人モードになると、ヒルゼン達の戦いの場へと向かった。
「待て!ナルト...くっ!」
慌てて止めに入るカカシだったが、一瞬で遠くに行ってしまったナルトを止めることは出来なかった。
「カカシ...あの子は一体...」
カカシとナルトの会話から、ナルトの異常性を感じたガイがカカシを問い詰める...
「今は、話してる暇はない...一つ言えるのは...アイツの戦闘能力は俺たちより上だってことだ...」
「...そうか...」
ガイは特に驚かなかった...なんとなく察していた様だ。
「取り敢えず、ここを切り抜けるのが先だな...」
「ああ...」
カカシとガイは背中合わせに互いを守りつつ、敵を蹴散らしていった。
一方ナルトは、結界の側まで来ていた。
「貴様は...一体...何をしに来た!」
そんなナルトに、火影直属の暗部が怒鳴る。
ナルトは、それに答える事無く術を発動した。
『風遁 螺旋手裏剣!』
両手に作り出した螺旋手裏剣...その一つを結界に向かって投げつけるナルト。
「な...なんだこりゃ!」
突然結界に向かって攻撃を受けた左近は、戸惑いの声を上げた。
それもその筈で、この結界は本来内側の自分達を倒さなければ破壊できない。しかし、螺旋手裏剣は、その結界を力尽くで破壊しようとしていた。
ましてや、その術は自分の担当する場所を攻め立てている。
ドガガガガガガガガガガガ...
結界にぶつかる螺旋手裏剣...
「ぐっ!なんて...力だ...」
予想以上の威力に、思わず意識が遠のく左近...
「左近...てめぇ...しっかりしやがれ!ゲスチンヤロー!」
そんな左近を多由也が責める。
「うる...せぇ!」
なんとか結界を保つ事に成功した左近...
「な...ん...とか...凌ぎきっ...!?」
だが、ナルトはそのタイミングを見計らったかのように二つ目の螺旋手裏剣を投げる。
二発目の攻撃により、抵抗する間もなく完全に意識を飛ばしてしまう。
その瞬間、結界に綻びが生じ、ナルトはその隙に飛び込んだ。
「!?」
暗部達も中に入ろうと試みたが、左近の代わりに出てきた右近が結界の維持を行うことにより、完全に結界が崩れる前に、立て直すことに成功した為、中に入ることは叶わなかった。
時間は戻って、ナルトが結界に入る少し前...
ヒルゼンと大蛇丸は対峙していた。
「フン...そう簡単には出られそうにないのぉ...」
四方を結界に囲まれ、また結界を作った四人も結界で身を守る姿を見たヒルゼンは、そう呟いた。
「心にもない...あなたにとっては、足手まといに入ってこられる方がやりにくいでしょう?」
大蛇丸は、ヒルゼンの呟きに答える。
実際、この戦いに入ってこれる様な戦闘力を持った忍は限られている。
同じ三忍の者達...
そして...
(ナルト君は、いつ介入してくるつもりかしら...)
大蛇丸は、ナルトを警戒していた。
対峙から、同時に二人が動き出す...
互いに印を組む。
ヒルゼンは手裏剣を大蛇丸に向かって投げる。
『手裏剣影分身の術!』
ヒルゼンの投げた手裏剣は、その術によって一気にその数を増やし、大蛇丸を襲う。
対して、大蛇丸の方は...
『口寄せ 穢土転生!』
「ひとつ...」
大蛇丸の前に出現した『初』の書かれた棺が、手裏剣を止める。
(口寄せを盾に使うとは...しかも、この死人は...)
大蛇丸が召喚した者に、心当たりがあったヒルゼン...
「ふたつ!」
二つ目の...『二』と書かれた棺が出現する。
(くっ!三人目はなんとしても...)
ヒルゼンは、手裏剣を操作して三人目の召喚をなんとしても止めようとする。
と、その時...
ドガガガガガガガガガガガ...
結界を外から攻撃する音がした...
「な、なんじゃ!?」
それに驚き、一瞬動きを止めてしまうヒルゼン...
それを見た大蛇丸は、ニヤリと笑う。
「みっつ!」
『四』と書かれた棺が出現した。
「しまった!!」
自分の失態に気付いたヒルゼン。
と、その時...結界に入り込んだナルトが、その場に姿を現した。
「...間に合ったってばよ...」
ナルトは、大蛇丸とヒルゼン...
そして、大蛇丸の周りに出現した三つの棺を見て呟くのだった...
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望する
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希望しない