逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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ナルトとミナト 前編

「ここは...」

 

ミナトは見知らぬ場所に立っていた...

 

「ここは、俺の精神世界...尾獣の住む場所だってばよ...」

 

ミナトの疑問に答えるように、見知らぬ青年が声を掛けてきた。

 

「君は...誰だい?」

 

ミナトは、自分にとって見知らぬ場所、そして見知らぬ人物に警戒する...

 

「なんだ...さっき会ったのに忘れちまったのか?俺は...うずまきナルトだってばよ...」

 

その人物は、自らをミナトの息子であるナルトだと名乗った...

 

「ふざけるのは止めてもらえないかな?さっき会ったナルトは、まだ子供と言って良い年齢だった。あなたとは別人だ...」

 

そう...ナルトを名乗る男は、どう見ても子供ではない...自分と同じ...あるいはそれ以上の年齢に見える。

 

「まあ、確かに、さっき会った時の身体が子供なのは間違ってねぇんだけどな...本来の俺の姿は...こっちなんだってばよ...」

 

「いい加減にしてくれ...オレは息子を騙られて怒らない程、温厚な人間じゃない。あなたは...何者だ...あの仮面の男の仲間なのか?」

 

ミナトは、怒っていた...

 

例え...息子に親らしい事を何もしてあげられなかったとしても...ミナトはナルトを愛していた。

 

その息子を騙る目の前の人物を許す気は、とうてい無かった。

 

だが、そのミナトを諭す者がいた。

 

『落ち着け...ミナト...』

 

「九尾?」

 

自分の後ろに、自分が命を賭けて封印したハズの九尾の半身がいた。

 

『ソイツの後ろを見てみろ...』

 

九尾の半身に促され、男の後ろに目を向ける。

 

「な!?九尾...まさか...」

 

そこにもまた、九尾がいた...

 

『ワシを半分に分けて封印したのは、ミナト...お前だろ?ワシの残りの半分を内に宿すのは、お前の他には一人しかおらんだろ?』

 

確かに、男の後ろの九尾のチャクラには覚えがあった。

 

そして、その存在感は幻術ではあり得なかった...

 

「じゃあ...あなたは本当に...でも、だったらさっき会ったナルトの姿は...」

 

目の前の男が、ナルトだと認めたミナトだったが、ならばさっき拳を合わせた少年のナルトは、なんだったのか...

 

「まずは、そこから話すか...このままじゃ話どころじゃ無いみたいだしな...俺は...未来から魂だけが逆行してきた存在だってばよ...」

 

ナルトは、自分の状況を話はじめた。

 

「未来から?」

 

「未来で...ある事件で俺は殺された...それを九尾...九喇嘛がこの時代に魂を送ることで助けてくれたんだってばよ...」

 

「九尾が?」

 

驚くミナト。

 

九尾のチャクラをコントロールしてくれることを期待していた...

 

だが、まさか九尾が自らナルトを助けようとするほどに親密な関係になれるなど...想像していなかった...

 

「未来の俺の体は、既に死んでいたんでな...この時代の俺の魂と同化する事で、なんとか生き延びたんだってばよ...」

 

「そうか...だから...本来のナルトは、こっちだと言ったんだね?」

 

ミナトは先程のナルトの言葉を思い出していた...

 

「そういう事だってばよ...」

 

「それじゃあ、ナルト...君をナルトと認めた上で...聞かせてくれないか?君の事を...オレを恨んでいる理由を...」

 

ミナトは本題に入った...

そもそも、その為にここに来たのだ。

 

親として...ナルトの事を知りたかった。

例えそれが恨みや憎しみと言った負の感情であっても...

 

「今から、俺の過去をあんたに見せる...まずはそれから話を聞いてもらうってばよ...」

 

「そんなことが出来るのかい?」

 

「ここは精神世界だからな...外とは時間の流れも違うし...見せたいものを見せることも出来るってばよ...」

 

「そうか...なら頼むよ...ナルト...」

 

ナルトの言葉に頷き、ミナトはナルトの過去を見ることに同意する。

 

「わかった。じゃあ...始めるってばよ...」

 

『待て、ナルト...』

 

だが、それを九喇嘛が止めた。

 

「ん?どうした九喇嘛?」

 

ナルトが九喇嘛に聞き返す...

 

『それは、ワシがやる...』

 

「なんでだ?」

 

『ワシは、お前が物心つく前から、お前を見てきた...ワシの方がお前の過去には詳しい...それに...お前は頭が悪いから、結構いろんなことを忘れているだろう?』

 

「一言余計だってばよ!...まあ...お前がそう言うなら...頼むってばよ...」

 

ナルトは、九喇嘛に任せる事にした。

 

ナルトと九尾のやり取りには、確かに信頼関係を感じた。思わず笑ってしまうミナト...

 

『ミナト...ワシの近くに来い...』

 

しかし、ミナトに声をかけた九喇嘛の声は、先程ナルトとやり取りをしていた声とはまるで違う...憎悪に満ちた声をしていた。

 

「あ...ああ...」

 

思わず、怯みそうになるのをなんとか堪えるミナトは、九喇嘛の元まで来た。

 

『さて...ミナト...お前にはこれから、ナルトの過去を体験してもらう。』

 

「え?」

 

ナルトの過去を見る...そう思っていたミナト...

 

実際にナルトも見せると言っていた為に、そう考えていたのだが、今、九喇嘛は『体験してもらう』と言っていた。

 

「九喇嘛?」

 

事実...ナルトも驚いた表情で九喇嘛を見ていた...

 

『お前を憎んでるのはナルトだけじゃねぇ...あんな結末になった原因を作ったお前を、ワシは許せん...お前には、ナルトの過去を追体験して、お前の行いの結果を後悔してもらう...』

 

九喇嘛は、ナルト以上にミナトを憎んでいた...

 

なぜ、ナルトがあんな結末を迎えなければならない...

なぜ、ミナトはナルトにこれほど過酷な運命を背負わせた...

 

「一体...ナルトに何があったって言うんだ...」

 

九喇嘛の憎悪は、明らかに自分に向いていた。

 

九喇嘛がナルトに心を開いているのは、先程のやり取りから理解できた...

 

ならば、その理由はナルトに起こった不幸が、自分の行いに起因しているからなのだろう...

 

聞かずにはいられなかったミナト...

 

『これから、わかる...さあ...しっかり体験すると良い...お前が息子に背負わせた絶望と...その結末を...』

 

光がミナトを包む...

 

次の瞬間...

 

自分と、クシナが目の前にいた。

巨大な爪に腹を貫かれ、それでも最愛の息子を守った二人。

 

ミナトは死鬼封尽を使い、九喇嘛を二つに分け、一方を自分に...もう一方をナルトに宿らせ、ナルトに八卦封印を施した。

 

それから、三代目のチームがナルトを回収する。

 

しばらくは、問題なく進んだがナルトが自由に町を出歩けるようになると、否が応でも気付いた。

 

ナルトがほとんどの人間から憎まれている事に...

 

(これは...ナルトの感情...寂しさ...怒り...憎しみ...)

 

里のほとんどの大人が、ナルトを汚物を見るような目で見る。

 

(三代目様...何故ですか?何故、ナルトがこんな目で見られなければならないのですか...)

 

ミナトは、ナルトを英雄として見て欲しかった...

 

里のために、その身を使って九尾を封印した英雄...

 

それがどうだ...里のほとんどの大人は、ナルトを英雄どころか、九尾そのものだと言わんばかりの憎悪の視線を向ける...

 

それからも、ナルトへの迫害は続く...

 

(何故、オレをそんな目で見るんだ...止めてくれ...そんな目で僕を見ないでくれ...)

 

いつしか、ミナトはナルトの過去と意識を共有したような気になっていた...

 

だが、意識を共有しても、そこから受ける感情は別だった...

 

ナルトがその目に反発したのとは対照的に、ミナトはその目に膝を折る。

 

元々、才能があり...周囲の期待を受けて育ってきたミナト...

もちろん、それなりに挫折はしたし、苦労もした...

戦争で仲間や部下を失った経験もある...

 

だが、こんな目で見られ続けた経験など無かった...

 

憎い化け物...そんな目で見る周囲の人間に、ミナトの心はズタズタになる。

 

見かねた、ヒルゼンはナルトを早めにアカデミーに入れた。

 

それはせめて、友達を作って欲しいと言うヒルゼンの親心もあったが、ナルトが里を憎んで暴走するのではないかとの不安から監視をしたかったと言う考えもあった。

 

だがここでもナルトは、迫害を受けることになる。

 

親を見て子は育つ。ナルトを迫害する親を見て育った子供は、同じようにナルトを忌避する。

 

それはイジメと言う行動を以て、再現された。

 

或いは、嘲笑し...或いは、罵倒し...或いは無視する...

子供のイジメは、陰湿だ...

 

ナルトの心は、日に日に疲弊していった...

 

(嫌だ...嫌だ...こんな...なんでこんな目に会わなきゃならないんだ...)

 

ミナトの心は既に折れかかっていた...

 

そんなナルトにとって、唯一ヒルゼンといる時だけは、救いだった。

 

ヒルゼンは、里の大人で只一人、ナルトをナルトとして見ていた。

 

ナルトのイタズラを叱ることはあっても、そこに愛情が感じられた。

 

ナルトが火影に憧れるようになったのも必然だったのかもしれない。

 

ナルトにとってヒルゼンは、全ての里の人から尊敬される人物だった。

 

自分も火影になれば、里の人達が自分を見る目も変わるかもしれない...

 

そう考えた。

 

(ナルト...君は強いな...オレならそんな選択肢は取れなかったかも知れない...)

 

ナルトが掲げた目標...

それを感じたミナトは、少しだけ救われた。

 

こんな目にあって尚、ナルトは里を憎むのではなく、見返そうとしている。

 

それが、自分の息子だと言うことが誇らしかった。

 

ナルトの過去は、まだ続く...

 

その先に何があるのか...ミナトはまだ知らない...

 

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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