逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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変わる歴史...

ナルトがヒナタの危機を救うところから、時間は少し遡り...

 

 

場所は大蛇丸たちの所に戻る。

 

大蛇丸は、ヒルゼンと戦いながらもナルトの方を気にかけていた。

 

というのも、ミナトと拳を合わせてから数分...動きを見せなかったからだ...

 

だからと言って、試しにクナイを投げつけてみたが、それは九尾のチャクラがナルトを守るように防いでしまい、手が出せないでいた。

 

(何をしているのかしら...四代目に会う理由があるって話だったけど、動きが無いのは面白く無いわね...)

 

と、その時...

ミナトの身体が光輝く...

 

「な!?」

 

その様子に、穢土転生から魂が解放され、あの世へと旅立とうとしているのだと理解した。

 

慌てて拘束しようと試みたが、それは失敗に終わってしまう。

 

四代目の身体が崩れ、中から穢土転生に使った器の遺体が出てくる。

 

「やられたわね...まさか、浄化されるなんて...最初から縛っておけば良かったかしら...」

 

「おぉ...ナルトめ...やりおったか...」

 

一方のヒルゼンは、ミナトを解放したナルトを称賛する。

 

「おい!猿飛...しっかり戦闘に集中しろ!」

 

と、そこにヒルゼンによって口寄せされた猿魔の叱咤が飛ぶ。

 

「わかっておるわい。」

 

再び、戦闘に集中するヒルゼン。

 

柱間、扉間との戦闘に没頭する。

 

「...おかしいわね...四代目の浄化に成功したというのに、ナルト君が動かない...」

 

だが、大蛇丸の方はナルトが気になって仕方ない様だった。

 

「...少し、仕掛けてみようかしら...」

 

これまでは、クナイを投げたり、術を使って様子を見てきたが、ナルトが一向に目を開けずに棒立ちしていることに、逆に不安を感じた大蛇丸は、接近戦にうって出る事にした。

 

ヒルゼンとの戦いで使っていた草薙の剣...

 

それを構えた大蛇丸は、ナルトに向かって駆け出した。

 

「いかん!」

 

それを見たヒルゼンが止めに入ろうとする...

しかし...

 

「くっ!」

 

間に割って入った柱間に進路を塞がれてしまう。

 

「ナルト君...目を覚まさないなら...これで終わりよ!」

 

例え、九尾のチャクラが迎撃してきても、大蛇丸自らが接近戦に出ればかわして攻撃に移る自信があった。

 

だが、予想に反して九尾のチャクラに反応は無い。

 

訝しく思う大蛇丸だったが、そのまま草薙の剣の届く所まで接近した。

 

大蛇丸が草薙の剣を、ナルトの頭目掛けて降り下ろす...

 

「な!?」

 

だが、その攻撃がナルトに当たることは無かった...

 

いつの間にか目を開けていたナルト...

 

その手に、これもまたいつの間にか持っていた黒い棒に止められていたのだ...

 

いや...止められたのも一瞬...その黒い棒に触れた矢先、草薙の剣が触れた先から削り折られた。

 

「ナルト君...貴方一体...」

 

呆然とする大蛇丸...

 

大蛇丸が見たナルトは、先程の九尾チャクラモードとは、また少し変化していた。

 

顔の部分まで覆っていた九尾のチャクラ...今は顔は覆っていない。

 

だが、有するチャクラの量、質は格段に跳ね上がっていた...

 

そして、何よりも目を引くのは後ろに背負った黒い玉...

 

ナルトが手に持つ棒と同じ物の様に見える...

 

草薙の剣すら折る程の力を持つそれに、恐れを抱く大蛇丸。

 

そんな大蛇丸にナルトが口を開いた。

 

「大蛇丸...感謝するってばよ...お陰で四代目に封印されていた九喇嘛の半身を取り戻す事ができた...」

 

「...なるほど...それが貴方の目的だったって訳ね...てっきり、自分を人柱力にした父親に恨み言でも言うのかと思っていたのだけど...」

 

「まあ、それについては...結局言っちまったけどな...さて...」

 

大蛇丸との会話を止めたナルト...

 

「じゃあ、ここからは...俺もそっちの戦いに加わらせて貰うってばよ?」

 

「私に協力...する訳じゃ無いわよね...やっぱり...」

 

ナルトの力を、間近で感じてしまった大蛇丸は、とても敵う気がしなかった。一応、聞いてみるが...

 

「当然だってばよ?何しろ今の俺は...木の葉の忍だからな...」

 

ナルトの言葉は無情...

 

「四代目に会えたのは私のお陰でなんだけど...」

 

「ああ...だから...」

 

そこで一旦切ったナルト...

 

「...だから?」

 

大蛇丸が聞き返す。

 

「命だけは助けてやるってばよ?」

 

ナルトはそう言うと、大蛇丸を通り過ぎヒルゼンの元へと向かう。

 

「じいちゃん!後は俺に任せてくれってばよ!」

 

「ナルトか!しかし...先代達は穢土転生によって攻撃しても再生してしまう...術者の大蛇丸を倒さねば...」

 

だが、ヒルゼンは柱間たちの相手より大蛇丸を倒すのが先だと主張する。

 

「まあ...見てろって。」

 

しかしナルトは、自信を窺わせる声でヒルゼンの言葉を否定する。

 

そして、後ろに背負った求道玉を操作すると、柱間たちの四肢に向かって飛ばした。

 

「!?」

 

求道玉に触れた箇所は簡単に吹き飛ぶ...

そして、何故か再生することが出来なかった...

 

動けない二人に、ナルトが陽の紋様を持つ右手で触れる。

 

すると穢土転生の呪縛は解かれ、柱間たちの魂は昇天していった。

 

残ったのは穢土転生の為に使われた器の遺体のみである。

 

「ナルト...お主...一体何をしおった...」

 

二人の先代を止めるには、己の命を賭けて死鬼封尽をするしかない...

 

そんな悲痛な決意をしていたヒルゼンだけに、その呆気ない結末に呆然としてしまう。

 

「上手く説明は出来ねぇからな...まあ、今の俺にはそれが出来る...ただそれだけだってばよ...」

 

「.........。」

 

正直に言うつもりが無いのか、それとも本当に説明が出来ないのか...判断に困るヒルゼンだったが、今の状況で深く考える余裕もない。

 

「さて...大蛇丸よ...お主の敗けじゃな...」

 

大蛇丸に向かって、敗北を告げるヒルゼン。

 

「.........えぇ...認めるしか無いでしょうね...ですが...私は貴方に敗けた訳ではありませんよ?猿飛先生...そこのナルト君に敗けたんです。」

 

「確かにの...じゃが、お主の敗北に変わりはあるまい?そして...これで、命の終わりだ...」

 

手に持った如意棒を構えるヒルゼン。

 

だが、それをナルトが止める。

 

「わりぃけど、じいちゃん...大蛇丸は見逃して貰うってばよ?」

 

「なんじゃと?」

 

ナルトの言葉に驚くヒルゼン。

 

「何故じゃ...大蛇丸は木の葉に侵略した者...助ける訳にはいかん!既に犠牲者も出とるのだからな...」

 

ヒルゼンが、理由を尋ねる。

 

「こいつには、四代目に会わせて貰った借りがある...それに...」

 

「それに?」

 

「大蛇丸も言ってたろ?勝ったのは俺であって、三代目...あんたじゃねぇってばよ...」

 

「むぅ...」

 

痛い所を突かれて、唸るヒルゼン。

それでも...

 

「それでも火影として、ソヤツを見逃す事は出来ん...」

 

そこは、どうしても譲れなかった...

 

「ハァ...なら、俺の契約...願いを叶えるってのを行使しても良い...」

 

「むっ...」

 

「それも、拒否するって言うなら、このあと俺は大蛇丸に付いても良いんだぜ?じいちゃん...」

 

ナルトの最後通告に、

 

「ハァ...仕方あるまい...」

 

渋々了承するヒルゼン。

 

それを聞いたナルトは、大蛇丸に向き直り、

 

「さて、大蛇丸...これで、借りは返したってばよ?これで貸し借りは無しだ...あまりろくでもない事を企むなら...次は...容赦しねえってばよ...」

 

そう言って、大蛇丸に釘を指すのだった...

 

「え...ええ...わかったわ...」

 

なんとか、頷いた大蛇丸は多由也達を連れて、その場を離脱する。

 

暗部が後を追おうとするが、ヒルゼンがそれを止める。

見逃す約束をした上、どのみち暗部達では返り討ちに会うのがオチだったからだ。

 

「ふぅ...なんとか乗り切ったの。ナルトよ...助太刀感謝するぞぃ。」

 

ヒルゼンがナルトに感謝の言葉を伝える。

 

「いや...まだ終わってねぇってばよ...」

 

だが、ナルトはその言葉を否定する。

何故なら、我愛羅の方はまだ決着が着いていないからだ。

 

「三代目...ここはもう大丈夫だな?」

 

「あ、ああ...」

 

「俺は、ヒナタ達の応援に向かうってばよ...」

 

「今から向かっても間に合わんじゃろ...」

 

ヒルゼンの言葉にニヤリと笑うナルト...

 

「俺は、四代目...黄色い閃光の息子だってばよ?」

 

「まさか!」

 

ナルトの言葉に驚くヒルゼン。

 

「四代目とは、少しやり方が違うけどな...」

 

未来で...ゲンマの小隊から飛雷神の術を教わっていたナルト...だが、マーキングを施す...と言う事が上手く出来なかったナルトは、影分身のチャクラを探知して跳ぶと言う、独自のやり方で飛雷神の術を習得した。

 

今、向こうには自分の影分身がいる...

 

「じゃ...行ってくるってばよ...」

 

そうして、ナルトは消えた。

 

それを見届けたヒルゼンは...

 

「フゥ...ナルトのおかげで、命拾いしたわい...やはり...木の葉にナルトは必要じゃ...なんとしてもナルトを繋ぎ止めねばの...」

 

ナルトの重要性を再確認し、ナルトを繋ぎ止める為の策を思案するのだった。

 

そして、飛雷神の術で跳んだナルト...

着いてすぐ見えたのは、動けなくなっているヒナタ...

 

そして、ヒナタにクナイを投げようとするテマリの姿だった。

 

「ヒナタ!」

 

全速力で駆けるナルト。

 

間一髪...ヒナタとクナイの間に割って入り、クナイを掴む事に成功した。

 

「待たせて悪かったな...ヒナタ...」

 

「ナルト...君...」

 

ナルトを見て、涙を流すヒナタ...

 

それを見たナルトは、

 

(間に合った...今度は守れた...良かった...本当に良かったってばよ...)

 

心の底から安堵するのだった。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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