逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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ヒナタVSテマリ

ヒナタを助けることに成功したナルトは、ヒナタを抱えて一旦距離を取り、影分身でテマリを牽制する。

 

「ごめんね...ナルト君...私...また、ナルト君の...足手まといに...なっちゃった...」

 

ヒナタはナルトの胸にすがり、泣きながら謝り続けた。

 

「今度こそ、ナルト君と一緒に戦えるって...ナルト君の隣にいられるって...そう...思ってたのに...私は...」

 

ヒナタはハゴロモから陰の力を授かった...

その力で、ようやくナルトの隣に立てる...そう思っていた。

 

しかし、結局ナルトに助けられてしまった...

 

自分は、いつまで立ってもナルトの背中を追うことしか出来ない...支えることも出来ない...

 

一度考えてしまうと、悲観的な考えが止まらなくなってしまった...

 

ナルトは、そんなヒナタを強く抱き締めた。

そして、自分の思いを伝える。

 

「ヒナタ...お前は俺の心を守ってくれたってばよ...」

 

「心?」

 

未だ泣き続けるヒナタだったが、ナルトの言葉を聞き返す。

 

「この世界に来て...俺は、何をどうして良いかわからなくなっていた...木の葉の連中の目には、殺意を覚えたし、三代目のじいちゃんがそれを容認してるのも恨んだ...あのままなら...きっと...俺は、復讐に心を支配されて壊れていたと思う...」

 

「.........。」

 

「そんな時...ヒナタが俺に道を指し示してくれたんだってばよ...ヒナタがいてくれたから、俺は、壊れずに済んだ...」

 

「力なんて持ってなくたって、ヒナタは俺のパートナーだ。だから...そんなに自分を責める必要は無いってばよ...」

 

ナルトの言葉を聞き、ようやく涙を止めたヒナタ。

 

「ナルト君...ごめんね...そして、ありがとう...(大好きだよ...)」

 

ナルトの言葉を受け入れたヒナタだったが、

 

「でも...やっぱり私は、忍としてもナルト君の隣に立ちたい。」

 

自分の今の思いを口にする。

 

その言葉に頷いたナルトは、ある提案をした。

 

「わかった...ならテマリの相手はヒナタに任せるってばよ。」

 

「え!?」

 

ナルトの提案に驚くヒナタ。

 

「でも、今の私はチャクラが枯渇しかけていてマトモに動く事も出来ないんだよ?」

 

ヒナタは、自身の状況を伝える。

 

だが、ナルトは当然理解していた。

 

「ヒナタ...お前には事前に九喇嘛のチャクラを渡していたろ?」

 

「う、うん...」

 

「そのチャクラを、自分で感じて練ってみるってばよ...」

 

「わかった...」

 

ナルトの言う通り、自分の中の九尾のチャクラを探るヒナタ。

 

一度、忍に襲撃された時に感じた力だけに、探せると思った...

 

何よりも、ナルトの言葉だからこそ疑う余地は無かった...

 

(これだわ...)

 

九尾のチャクラを感じたヒナタは、チャクラを練り始める。

 

ポコ...ポコ...

 

すると、点穴からチャクラが溢れ、身体を覆い始める。

 

それは、ナルトが前世において第四次忍界大戦の折り、忍連合にチャクラを渡した時と同じ現象であった。

 

むろん、ナルトがその気になればナルトの意思で目の前の現象を作り出すことは出来る。

 

しかし、それではヒナタの願いは叶わない...

 

-忍としても...ナルト君の隣に立ちたい-

 

ヒナタの思いを叶えるには、ヒナタ自身が、自分の意思でこの力をコントロールする必要があった。

 

「これ...凄い...身体から力が溢れてくるみたい...」

 

「ヒナタ...頑張れよ?」

 

「ナルト君...うん...行ってきます。」

 

ナルトに託された戦い...

 

ヒナタは、気を引き締めて、テマリの元へと向かった。

 

ナルトは、テマリの相手をしていた影分身を解く。

 

それと同時に、ヒナタがテマリの前に立ちふさがる。

 

「また、あんたか...さっきの戦いであたしらの決着は着いたと思うんだけどねぇ...」

 

テマリの言葉に、

 

「そうですね...さっきの戦いは私の敗けです...でも...私は生きている...そして、今度は負けません...」

 

ヒナタは、自信に満ちた目をして、答える。

それは、先程の慢心した目とは明らかに違っていた。

 

「...良いだろう...今度こそ完膚無きまでに叩き潰してやるよ!」

 

テマリは気を引き締めながら、宣言する。

 

「行きます!」

 

ヒナタが突っ込む...

 

「ちぃ...『風遁 かまいたち!』」

 

テマリは先ほどと同様に術を使い、ヒナタから距離を取ろうとする。

 

ヒナタの瞳術によってかわされる事は織り込み済み。

それでも柔拳使いに接近戦を挑む事に比べれば、テマリに分があった。

 

予想通り、ヒナタは瞳術で移動してかわした。

 

本来、九尾の衣に守られたヒナタを傷付けるのは、容易では無いのだが、自分の力で戦いたいヒナタは、あくまでも自分の瞳術や体術を使いかわし続ける。

 

先程の戦いと違うのは、ヒナタが瞳術に頼りきった戦いをしていない所だ...

 

基本は体術でかわし、どうしても避けられないもののみ、瞳術を使い移動する。

 

「さっきも思ったけど...一体...あんたは...なんなんだ...あんたの移動がまるで見えない...何かの術か何かなのか?」

 

テマリは、少しずつ追い詰められているのを感じ、焦りの色を見せた。

 

「それを言う気はありません...そして...これで終わりです。」

 

ヒナタはテマリの身体を、自分の前にある石ころと入れ換えた。

 

ヒナタ自身...気付いていなかったが、九尾の衣を纏ったヒナタの目は、輪廻眼となっていた。

 

通常では、今のヒナタにはまだ出来ない...他者の身体を、自分の見たものと入れ換えること...

 

今のヒナタには、使用することが出来た...

そして、ヒナタは今なら使える...それだけは理解していたのだ。

 

「な!?」

 

突然目の前に現れたヒナタに驚くテマリ。

 

ヒナタが消えて目の前に現れる事は警戒していた...

だが、自分が移動させられる事など想定していなかったテマリは、硬直してしまう。

 

そして、柔拳使いであるヒナタの間合いに入ってしまった事に気付いた時には遅かった...

 

「しまった!」

 

「私の勝ちです!」

 

ヒナタは、テマリの身体の一点を突く。

 

それは休止の点穴...

 

突かれた相手は強制的に、気絶させられてしまう...

 

相手を殺さず...無力化させることが出来るため、ヒナタが真っ先に覚えた場所だ。何度も修練を重ね、その点穴を見切ることは100%の精度で出来るようになっていた。

 

休止の点穴をつかれたテマリは気を失ってしまった...

 

(ナルト君...私...勝ったよ!)

 

ヒナタは、心の底から喜んだ。

 

そして、最愛の男性の戦いを見守ろうと、その戦いに目を向けるのだった。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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