逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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いつも誤字報告をしていただいている方々、ありがとうございます。
大変助かっております。この場を借りて感謝を...

また、感想や高評価も誠にありがたく思います。
完結までどうかお付き合いください。


緊急会議

「だから、あれほど止めたんじゃ!」

 

「この責任、どうとるつもりなんじゃ!ヒルゼン...」

 

ヒルゼンが、緊急に木の葉の上層部を招集して開いた会議...

 

だが、その会議はヒルゼンを糾弾する席となっていた...

 

当然だろう...なにしろ今回、上役たちの制止を聞かずに式典を開いたヒルゼン。

 

その結果、ナルトは多くの人間がいる前で里を抜ける事を宣言する事になってしまった。

 

ヒルゼンは、その相談のため会議を開いたが、一向に話は進まない。

 

ヒルゼン自身、自分の撒いた種であるため、立場が弱く、今は糾弾を受け入れるしかなかった...

 

「ヒルゼンを責めるのはここまでにしよう。今は、早急にナルトについてどうするか決めねばならん。」

 

そんな中、今までヒルゼンを糾弾する他の上役たちを静観していた、ご意見番であるホムラが、口を開いた。

 

「しかし...」

 

「三代目を責めた所でなんら状況は変わらん。それとも、お主に何か良い案でもあるのか?」

 

「それは...」

 

流石にご意見番と称されるだけあり、その言葉は上役たちを黙らせる程に重かった。

 

「ただし...今回、ヒルゼンの失態が明らかなのも事実じゃ。ヒルゼンには追ってなにがしか責任は取ってもらう。今はこれで納得してもらおうか?」

 

「はい...」

 

ヒルゼンにも責任を取らせるとの言葉で、ようやく落ち着く上役たちは会議を開始した。

 

進行役は、ご意見番のホムラだ。

 

「まず、ナルトの要求だが...ナルトが里を抜けること...これに関しては要求を飲まざるをえないじゃろう...」

 

「な...なぜですか...ナルト...いや尾獣の力を持つ人柱力は他里に対する武力としての抑止力となっているのですよ?それを手放すなど...正気とは思えません。」

 

当然、否定する者が現れる。

 

「ワシら上層部の人間にとってはそうじゃな...しかし、ワシらは木の葉の里の者たちにナルトを化け物とする噂を流してきた...一般の者たちにとって、ナルトは得体の知れない化け物なのだ...」

 

「そしてマズイ事に、その木の葉の里の者たちにナルトの力が明るみになった。もはや里の者たちにとってナルトは脅威以外の何者でもあるまい...」

 

「.........。」

 

ホムラの言葉に沈黙する上役。

 

「そんなナルトが自ら里を抜けてくれる...これを歓迎する者はいても、止めるものはほとんどおらんだろう...そんな中でワシら里の上層部がナルトの里抜けを認めなんだらどうなると思う?」

 

「住民が一斉蜂起してのクーデターに発展しかねん...それだけはなんとしても回避しなければならんのじゃ...わかるな?」

 

「.........はい...」

 

頭を垂れて頷く上役...

 

現状を一つ一つ説明され、ヒルゼンへの怒りから思考が鈍っていた上役も、現状がいかにマズイ状況なのかようやく理解する。

 

「ナルトの放逐は決定じゃ。ワシらが考えねばならんのは、その後じゃ。」

 

「後...と言うのは?」

 

「今回...公式の式典と言うことで不特定多数の人間が集まっていた...つまり...他里のスパイも当然あの場におったことだろう。」

 

皆、その言葉を聞いて一斉に顔を青くする。

 

「そんな中でヒルゼンはナルトの活躍を発表した...恐らく、ナルト=人柱力と勘付かれたじゃろう...五里に平等に振り分けられた人柱力がいなくなる...と言うことは、お主が言った通り、他里に対する抑止力を失うと言うこと...同盟国との外交面...貿易面...そして依頼...多くの面でかなりの不利益を被る覚悟をしておいた方が良いじゃろう。」

 

「うむ...なるべく被害を最小限に留め置く必要がある。まずは、大蛇丸に唆されたとはいえ、実際に侵略してきた砂との同盟を強化すべきじゃな...」

 

会議は、既にナルトの里抜け後の話し合いになり始めていた。

 

しかし、もう一つ決めなくてはならないことがある。

 

「その前に、ナルトの要求のもう一つの方はどうする?」

 

恐る恐るヒルゼンが口にする。

 

「?」

 

皆、何を言っているのかわからないと言った顔をした。

 

「日向ヒナタのことじゃ。」

 

言われてようやく思い出す。

 

「ああ...そのことか...」

 

「まあ、本人が納得しておるなら良いのではないか?」

 

「そうじゃな..白眼の秘密を探ると言うのならともかく、ただ嫁としてってだけなのだし...むろん、分家同様に呪印を施す必要はあるだろうが...」

 

「ナルトは、日向ヒナタを大切に思っているのだし、乱暴な事はせんじゃろ。」

 

本来、木の葉にとって、日向の本家...白眼を持つヒナタの優先度はそれなりに高い。

 

しかし、ナルトの目的が、白眼ではなくヒナタそのものにある以上、然程重要な事柄に思えないのだ。

 

当事者を除いて...

 

「な!?上役方...その言い方はあんまりではありませんか!」

 

ヒナタの父であるヒアシである。

 

今回のナルトの要求が、ヒナタの事に絡むため、ヒアシも召集されていたのだ。

 

「しかし、お前も娘のヒナタには冷たく当たっていると聞いているぞ?」

 

「しかり...紅が挨拶に行った折りも、どうなろうと知らんと言ったそうじゃないか。」

 

「それとこれとは違いましょう...ナルトの厄介払いのために、ヒナタをやる...これではまるで生け贄ではありませんか!」

 

ヒアシは、食い下がる。

確かに才能が無く、妹のハナビにすら劣るヒナタを忍としては見限っていた。

 

しかし、だからと言って娘としての愛情が無いわけでも無いのだ。

 

辛く当たっていたのも、自らを発奮させ強くなって貰いたいとの考えから...

 

ようやく、ネジと和解したと言うのに、今度は娘がいなくなる...

 

日向家とは、やはり呪われた一族なのか...

 

ヒアシは、悲嘆にくれる。

 

「ヒアシよ...」

 

そんな中、ヒルゼンがヒアシに声をかける。

 

「ナルトには、ヒナタが了承するなら連れていって良いと言ってある。お主が説得し、ヒナタを留められるならば、ナルトが強引にヒナタを連れていくことは無いハズじゃ。」

 

「それは...本当ですか?三代目...」

 

ヒルゼンの言葉に光明を見出だしたヒアシは、急ぎ家へと戻る事にした。

 

扉を出ていくヒアシを見送った木の葉の上層部たちは、再び会議を再開する。

 

その会議は、夜遅くまで続けられるのだった。

 

そして、この日...

ナルトの里抜けのきっかけを作ってしまったヒルゼンは、責任を取って火影を辞任する事になる。

 

また、次の火影の候補として自来也の名前が挙がるのであった。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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