ヒルゼンとの会談からの帰り道。
「これで、少しは暮らしやすくなると良いんだけどな。」
『ナルト。話は変わるが、目的が出来たのは良い...しかし、具体的にどうするか決めているのか?』
九喇痲の問いかけに、
「まだ、何も決めてないってばよ。明日、俺の相談役に相談してみるつもりだ。」
『...!?...話すのか?』
「そのつもりだ。アイツは心配無いってばよ。」
『そうだな。アイツなら大丈夫だろう。』
ナルトの言葉に、九喇嘛も同意した。
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翌日、ナルトは忍者アカデミーに登校していた。
「よぉ。ナルト。体調は大丈夫なのか?」
登校してきたナルトを見たシカマルがいかにもやる気の無さそうな顔で挨拶をしてくる。
「ああ。大丈夫だってばよ。」
「お前が体調不良なんて珍しいな。今日は雨にでもなるんじゃねえか?...しかし、今日も一日面倒くせぇなぁ。俺も体調不良で休みたいぜ。」
「ハハッ。そうだな。」
「......ナルト?やっぱ、お前ちょっと変だぞ?」
ナルトと会話をしていたシカマルは、いつもと様子の違うナルトに違和感を感じた。
「シカマル...その事なんだけど、ちょっと相談したい事があるんだってばよ。放課後、時間取れねぇかな?」
「はぁっ?お前が俺にか?」
ナルトの意外な頼みに、シカマルは一瞬思考を停止した。
これまでナルトと一緒に授業中居眠りをしたり、怒られたりしたことはあるが、相談を持ちかけられた事など一度も無かったのだ。
「ああ。頼むってばよ。」
真剣な表情のナルトに、面倒くさいと思いながらも、シカマルは了承するのだった。
ナルトとシカマルが教室に入ると、チョウジやシノが、ナルトを心配して声をかける。
「大丈夫だってばよ。」
ナルトは、軽く挨拶を交わすと、既に登校していたヒナタの方を見て、軽く微笑むと周りに気付かれない程度に挨拶をする。
ヒナタは、直ぐに気付いて挨拶を返すが、昨日の事を思い出したのか、顔を赤くしてうつむいてしまった。
(あちゃ~、今のヒナタに、プロポーズは刺激が強すぎたってばよ...)
その様子を見たナルトは少しだけ反省した。
...ほんの少しだけ...
それから、放課後になるまでの間、ナルトは無難に過ごしていた。
言動が落ち着いて、イタズラもしなくなった事から、多少不信を抱く者もいたが、座学は居眠りをしていたり、いつもと同じような行動も取っていたため、然程騒がれたりはしなかった。
実技に関しては、手を抜いており、気づかれる事も無かった。
そして放課後...
ナルトはシカマルに全てを話した。
逆行のこと、前世での出来事、そして、今生での目的を。
「なるほどな...話はわかった。」
「そんな簡単に信じるのか?」
「別に信じた訳じゃねぇよ。ただ、否定するにしろ肯定するにしろ、判断材料が少ねぇからな。その話が事実と想定して続きを促してるだけだ。それで?そんな話をして俺に相談したい事ってのはなんなんだ?」
(やっぱり、シカマルは頭良いってばよ...)
ナルトは、シカマルの洞察力に内心舌を巻きつつ本題を口にする。
「実はな、今の俺の状況で、俺が家族を持った時に、一番守るのに適した方法を考えて欲しいんだってばよ。」
「そんなの考えるより、まずは、将来の相手を見つける方が先なんじゃねぇか?」
シカマルは呆れた様に言ったが...
「いや。相手はもういるってばよ。もうプロポーズも済ませた。」
「へっ?」
ナルトの爆弾発言に、完全に固まるシカマルだった。
少しして、再起動を果たしたシカマル...
「ま、まあ。話はわかった...だが、結局正確な情報が無けりゃあ、策なんて練れないからな。お前が目指す方向性だけ提示する。一つは、前世のお前のように、里の人たちに認めて貰うことだ。それから、もう一つは...里を抜ける事だな。正直、全ての人間が誰か一人を認めるなんてあり得ないからな。そして、お前が憎悪されているのは、過去にあった、九尾の事件が原因だ。お前自身が木の葉を離れれば、この問題はクリアされた様なものだからな。」
「なるほどな...里抜け...か。」
「ただし、円満に里を抜けられなければ、追っ手を掛けられて逆に危険は増すことになる。話を聞く限り、人柱力ってのは里の切り札みてぇなもんだろ?そんな簡単に手放すとは思えねぇな。」
「............。」
ナルトは、しばしの間考える。
そして、何かを決意すると、
「サンキューな。シカマル。参考になったってばよ。やっぱりお前は、俺の最高の相談役だってばよ。」
そう言って、笑うと礼を言って帰っていった。
「あいつ...本当にわかってんのか?」
その後ろ姿を眺めながら、本当に里抜けをするのではないかと、少し不安になるシカマルだった。
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翌日、ナルトは普通に登校していた。
その姿にホッとするシカマル。
「昨日の話...まさかマジに考えている訳じゃねぇよな?」
シカマルは確認の意味を込めて、ナルトに聞いた。
「え?マジだってばよ。」
「お前...」
ナルトの言葉に絶句するシカマル。
「大丈夫だってばよ。考えがあるから...まあ、どっちにしても直ぐにどうこうって訳じゃねぇしな。」
「本当に大丈夫か?」
「ああ。」
そんなやり取りのあと...
ナルトはこの日も無難に過ごし、帰りにヒナタに声をかけた。
「ヒナタ。もう少しで卒業試験だろ?それまで俺と修行しないか?」
「え?あの...その...良いのかな?私なんかが一緒に修行して。」
「ああ...ちょっと話したいこともあるしな。」
「う。うん。」
修行の約束をしたヒナタは、内心かなり嬉しかった。
そして、いつもの川原にて...
柔拳を使うヒナタの為に組手をメインにした修行を行うナルトたち。
「ハァ...ハァ...ハァ...」
息を切らせながら、へたりこむヒナタ。
「凄いね...ナルト君...白眼を使って攻撃してるのに、当てるどころか、触ることも出来ないなんて...」
「そりゃあ、戦いの経験が違うからな。逆に、今のヒナタと良い勝負なんてしてたら俺が落ち込むってばよ。」
「プッ...アハハハハハ。」
ヒナタは楽しかった。修行でこんなに楽しいと思った事は無かった。
ずっと...この時が続けば良いのに...
ヒナタは、そう願っていたが空が暗くなり始め、修行はお開きとなった。
「ヒナタ...帰る前に...相談があるんだってばよ。」
帰り際、ナルトは真剣な表情でヒナタを呼び止めた。
「どうしたの?ナルト君。」
ナルトは意を決して、ヒナタに問いかける。
「ヒナタ...もし俺が、木の葉を離れるとしたら...一緒に着いてきてくれるか?」
「え?勿論だよ。」
ヒナタはあっさりと答えた。
「え?いや、一時的にって言うんじゃなくて、里を抜けるって意味だってばよ?勿論、今すぐにって訳じゃ無いけど...」
勘違いしているのかと考えたナルトは、もう一度問いかけた。
だが、ヒナタは笑いながら、
「私の答えは変わらないよ。ナルト君のいるところが、私の居場所だから。」
ナルトはその笑顔を眩しいと思った。
「ありがとう。」
ー君に会えて良かったー
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望する
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希望しない