ナルトの挑発を受け、居酒屋を出る綱手。
「綱手様。いくらなんでも大人げないですよ?」
綱手の後を追いかけてきたシズネが、綱手を嗜める。
「ふん。わかっている。私とて本気で相手にするつもりはない。手加減はするさ。ただ...」
「ただ?」
「どうにも、あのガキの雰囲気が気になる...世間知らずのバカ...と言うには落ち着きすぎている...」
「そうですか?私にはわかりませんでしたが...」
「そうか?まあ、そうは言っても下忍に変わりはあるまい。せいぜい、軽く揉んでやるさ...」
「やり過ぎないで下さいよ?綱手様。」
「わかっていると言ったろ?」
綱手とシズネがそんな会話をしていた時...
店からナルトが出てくる。
遅れて自来也も現れた。
「ふん...遅かったじゃないか...怖じ気付いたのかと思ったよ。」
「わりぃな...ばあちゃん...ちょっとエロ仙人に引き止められてな...」
「まあ、大方そんな所だとは思っていたけどな。」
対峙する両者...
「さて...これからお前にお灸を据えてやる訳だが...こう見えても、私は三忍の一人に数えられた事もある。下忍相手に本気も無いな...」
「.........。」
「これ一本で十分だ。」
綱手はそう言うと、右手の人差し指を挙げて見せる。
「それは構わねぇけど、戦う前に一つ賭けをしないか?ばあちゃん...」
綱手の挑発に乗ること無く、ナルトは何か賭けないかと提案する。
「ほお?この私を相手に賭けを提案するとはね。...面白い...なら私が勝ったら、お前の有り金を全て戴くとしようかね。」
「つ...綱手様...」
『賭け』の言葉に気分が乗った綱手は、そんな事を言ってきた。
その言葉を聞いて、呆れるシズネ。
下忍相手に、綱手が負けるハズが無いのに、有り金を置いていけなど、大人気無いにも程がある。
「さて...ナルト...あんたは私に何を賭けさせたいんだい?」
綱手の問いに対し、ナルトは少し考えて口を開く。
「そうだな...一応、俺がここにいるのは、エロ仙人から綱手のばあちゃんの火影就任の説得をするって事になってるんだってばよ...だから...」
「俺が勝ったら、火影就任の打診...受けて貰うってばよ...」
「.........。」
ナルトの言葉に沈黙する綱手...
一方、自来也は納得する。
(上手いのぉ...ナルトのヤツめ...賭け好きの綱手に賭けを求めつつ、こっちの要求を突き付ける...綱手からしたら、ナルトは所詮は下忍...これで、乗らなけりゃ三忍の沽券に関わるしのぉ...)
「ふん...お互いが賭ける物が不釣り合いだが...まあ良いだろう...私とお前との実力差を考えれば、丁度良いかも知れん...良いだろう...これで、賭けは成立だね。」
案の定...綱手はナルトの提案を受ける。
「勝敗はどう決めるんだってばよ?」
ナルトが聞くと、
「そうだな...お前をノックダウンすれば私の勝ち...お前は...私に一発でもクリーンヒットの攻撃を当てられればそれで勝ちで構わない...」
綱手は、勝敗のルールをそう定めた。
「良いんだな?それで本当に...」
ナルトが確認を求める。
「くどい...もし、お前が本当に私に勝てるなら、火影にでもなんでもなってやろうじゃないか。」
大きく啖呵を切った綱手。
「よし、じゃ...それで行くってばよ。シズネのねぇちゃん...悪いけど、審判と...開始の合図を頼むってばよ。」
「え?えぇ...それは構わないけど...本当に良いの?ナルト君...今ならまだ...」
急に話を振られたシズネが、心配そうにナルトに聞くが、ナルトは笑って頷くだけだった。
シズネは、あまり乗り気ではないが、言われた通り両者の間にたった。
そして...
「えー...それでは、お互いに気を付けて...はじめ!」
開始の合図と共にナルトは六道仙人モードを発動する。
ただし、求道玉は背負っていない。
アレはあまりにも危険すぎるため、命の懸からないような戦いでは使えなかった...
一方、綱手はナルトの変化に驚く。
「な!なんだ...その姿は...」
「わりぃな...ばあちゃん...秘密だってばよ!」
綱手の問いには答えず、言い終わると同時に飛び出すナルト...
(速い!?)
そのスピードにまたも驚愕する綱手。
ナルトのスピードは、明らかに下忍のそれを遥かに凌駕していた...否...下忍どころか上忍すら超えている...
想定していたスピードを大きく凌駕して動くナルトに、その姿を見失ってしまう綱手...
綱手が気付いた時には、ナルトは既に自分の懐に迫っていた。
「ちっ!」
自らの勘を信じ、横に飛ぶ綱手。
それは長年の戦いの経験の成せる、正に神業と言っても良い回避だった。
ナルトの拳が空を切る...
着地した綱手...今度はこちらの番...とばかりに、指先をナルトに向けるが、その時ナルトの背中から、チャクラで出来た腕が飛び出し、回避してまだ体勢の整っていない...無防備な綱手に向かい攻撃を繰り出す...
「ぐっ...!」
なんとか、ガードするも勢いで吹き飛ばされる綱手...
着地したとき、目の前にナルトがいた。
「俺の勝ちだってばよ...ばあちゃん...」
ナルトはそう言うと、拳を軽く綱手の腹に当てるのだった。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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