綱手とナルトの勝負は、ナルトの勝ちで終わった...
ナルトに当てられた自身の腹部に手を当て、信じられないと言った表情でナルトを見る綱手...
確かに、油断はしていた。
子供とは思えない雰囲気を持ったナルトに、多少の警戒はしていたが、それでも所詮は下忍...
軽く揉んでやるつもりで始めた勝負だった...
しかし、つい先ほどナルトが見せたあの動き...
最大限警戒していたとして、どこまで反応出来たかどうか...
(...無理だな...全盛期の私ですらナルトの動きには付いていけないだろう...)
そう結論付けた綱手は、自来也を見る。
もともと、自来也が連れてきた少年なのだ。
人柱力と言うだけでは収まらない戦闘力について、何か知っているのでは無いかと考えたのだ。
その自来也は、驚愕していた...
ナルトから過去の事を聞いてはいた...
九尾と和解し、その力を自在にコントロール出来ることも聞いていた...
しかし...
(その力がこれほどの物とはのぉ...)
自来也は、ナルトと大蛇丸の戦いは見ていない。
木の葉崩しの折り、大蛇丸は各地に音隠れの里の部下や大蛇を口寄せして、木の葉の戦力を分散させていた。
自来也もまた、陽動と分かってはいても、その騒動を解決するために飛び回っていたのだ...
故に、自来也がナルトの戦闘を見るのは、これが初めてだった。
「お前は一体...」
自来也の様子から、問い詰めても分からなそうだと考えた綱手は、ナルトに直接聞く事にした。
「.........そうだな...ばあちゃんには話しておいた方が良いかもな...ただ...」
綱手に問われたナルトは、そう言うと周りを見る。
しかし...
「こんな人目の付くところで話せる内容じゃねぇんだよな...」
綱手はナルトの言に尤もだと思った。
「なら、私の宿まで来い。あそこはそう言った密談も漏らさない上等な宿だからな。」
綱手が、自分の宿に誘う。
しかし、ナルトもふと思い付く。
「いや...それよりももっと機密性の高い場所があるってばよ。ばあちゃん...俺を信用出来るか?」
「それはお前の話を聞いてからだ。」
「その為に、ばあちゃんに触れるのを許可して欲しいんだってばよ。」
「それは、必要な事なのか?」
「ああ...」
綱手は、少しの間黙考する...そして...
「.........良いだろう...」
「綱手様!?」
綱手の返答に驚くシズネ。
「ナルト君...それならまず、私に触れてください。あなたのやろうとしていることが安全だと証明して欲しいんです。」
シズネは、綱手のお付きとして無条件にそれを飲むわけにはいかなかった。
ましてや、ナルトがどんなことをするつもりかも解らない...
「ん?まあ、俺は構わねぇけど...」
ナルトは、別段気にせず言うが、
「いらん。さっさと私に触れろ。」
綱手がそれを拒否する。
「綱手様!」
「大丈夫だ。」
綱手が強い口調で言う。
その言葉に渋渋引き下がるシズネ。
ならせめて、自分の手の届く所で...
そう考えたシズネは、二人に近づいた。
「ナルト...何をするつもりなんだ?」
自来也もまた、ナルトがこれから行おうとしていることに興味があったのか近づいてくる。
「そう言えば、エロ仙人には話しただけだったな。折角だからエロ仙人にも見てもらうか。」
ナルトはそう言うと、右手で自来也に...左手で綱手に触れる。
その時、ナルトから強烈なチャクラが二人に流れ込む。
「これは...」
「なんと巨大なチャクラだ...」
二人の身体に入り込んだチャクラ...
それは九尾のものだ。
「「!?」」
気が付くと、二人はナルトの精神世界に入り込んでいた。
「わりぃな...二人とも...ここに招待するには九喇嘛のチャクラを内に宿していなきゃならないんでな...」
突然変わった景色に驚く二人に、見知らぬ青年が声をかける。
「誰だ...お前は...」
綱手が警戒しながら質問する。
「うずまきナルトだってばよ...本来のな...」
その反応には馴れた物で
苦笑しながら告げるナルト。
「そうか...ここはお前の内面の世界だな?だからお前の姿は、青年となっているんだのぉ...」
ナルトから事情を説明されていた自来也は、すぐに察した。
「そう言うことだってばよ...」
「どういう事だい...説明しな...」
一人、事情を知らない綱手が焦れて説明を求める。
「ここに招待したのは...外に情報が漏れないのと、説明に時間がかからないからなんだってばよ...今から二人には、俺の記憶を見せる...」
「記憶だと?」
「そう...俺が辿った前世の記憶だ...」
ナルトがそう言った瞬間、景色が変わる。
そして、綱手は知った。
うずまきナルトと言う人間の生涯を...
過酷な状況にも挫けず、人との繋がりを求め続けた..
その生きざまは、やがて世界まで救うことになった...
しかしその最後は、信じてきた木の葉の里の人間たちの裏切り...
ようやく得た家族を失った絶望...
里の人間に裏切られたことへの失望...
そして、世界を逆行するナルト...
「.........これが...お前の真実か?ナルト...」
あまりの悲惨な最後に、それしか言えない綱手...
話は聞いていたが、実際に見ると何も言えない自来也...
「...よくもまあ...人間不信に陥らないもんだな...私なら木の葉を灰塵にしてやるところだ...」
綱手は呆れたようにそう言うが、
「いや...流石に俺も少し考えを変えた...ついでだから、この世界に来てからの事も見て貰うってばよ。」
そして、続きを見せられた二人...
「随分と暗躍しておるのぉ...」
ナルトがこの世界に来てからの事を見て冷や汗をかく自来也。
まさか、あの木の葉崩しの時に大蛇丸に契約を持ちかけていたとは...
さらには、ダンゾウの殺害やイタチの説得...
「おい...自来也...私に火影就任の辞令が来たと言っていたが、お前の方に来てるじゃないか...」
綱手は、ナルトと自来也の話を見て怒りだす...
「そ...それは...あれだ...ワシも色々と忙しいからのぉ...」
後退りする自来也。
そんな自来也に、ナルトが助け船を出した。
「ばあちゃん...ばあちゃんの方が火影には向いてるってばよ...」
「お、おお...。その通りだっての...なにしろ綱手は頭がキレるからのぉ...」
「しかしな...」
「ばあちゃん...ちょっと良いか?」
尚も食い下がる綱手に、ナルトが耳打ちをする。
それを聞いた綱手は、ニンマリと笑う。
「ほぉ...それは面白い。ナルト...流石は元七代目火影だ。考えることがエグい。」
「フッフッフ...そうでも無いってばよ...」
お互いに笑い合う二人...
その二人を見て、何か不吉な予感がする自来也だった...
「さて...最後に現実に戻る前に、二人に紹介したいヤツがいるんだってばよ。」
ナルトはそう言うと、後ろに目を向ける。
その視線の先にいたのは、九尾の妖狐...九喇嘛だった。
その巨大な身体と、計り知れないほど強大なチャクラに固まる二人。
『そう警戒するな...お前たちが、ナルトに敵対しないなら、ワシが何かすることはせん...』
九喇嘛の言葉にホッとする自来也たち...
「そうか...もちろんワシも綱手もナルトの敵ではない...」
「ああ...」
『ふん...ワシは言葉だけで信用する気はねぇ...行動で示すんだな...』
「無論だ...しかし...こうして間近で見ると...でっかいのぉ...」
いち早く平静を取り戻した自来也が言う。
「大きさもだが、その力も強大過ぎる...本当に...ナルトが木の葉への復讐を志さなくて良かったと思うよ。」
改めて、そう思う綱手だった。
そうして、現実世界へと戻った二人...
シズネが急に黙り混んだ二人を心配して声をかけるが、問題が無いとわかると落ち着いた。
それから、一週間後...
木の葉に綱手が帰還した...
ここに、五代目火影が誕生するのだった。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望しない