それから更に数ヵ月が経過した。
その間に、他の人柱力の数名がナルトのもとに集まっていた。
真っ先に合流したのはフウ。
彼女は、その性格から滝隠れの里長に全てを話していた。
全てを聞いた里長は、フウの言葉を信じ、ナルトと敵対するよりも親交を深める方が里にとって、利となると判断した。
また、同じ人柱力としてフウにとってもナルトの元にいた方が良いだろうとの考えもあった。
里長は、フウの里抜けを認める条件としてナルトと直の面談を要求した。
ナルトはこれを了承し、フウの里と非公式ながら協力し合う事を約束するのだった。
次に合流したのは老紫。
彼は、元々尾獣の力の修行の為、各地を転々としていた。
尾獣の力をある程度コントロール出来る様になってからは、岩隠れでもそれなりに信用されるようになったが、ナルトの前世を知り、それが今の自分にも起こり得る事だと考えた老紫は、そのまま里を抜ける事を決意した。
ナルトは、老紫の胸の内を聞くと静かに頷いた。
老紫は、ナルトやフウと違い抜け忍として岩隠れから追われる立場になるが、ナルトは特に何も言わず、老紫を受け入れた。
ユギト、ウタカタは、もう少し時間が掛かると連絡が入っている。
そして、今、ナルトたちは我愛羅と合流するために、とある場所に向かっていた。
木の葉崩しの後、ナルトと別れた我愛羅は、砂隠れの里から抜ける事を決めていた。
その事を兄姉たちにだけは伝えようと、テマリとカンクロウに告げる我愛羅。
当然、二人とも最初は反対した。
しかし、木の葉にて劇的に成長し、安定した我愛羅。
その変化をもたらしたナルトの元へ向かいたいと言う弟の、最初で最後のわがまま...
そして、砂隠れでの我愛羅の扱いを考え、我愛羅の幸せの為にとこれを受け入れるのだった。
しかし、弟を一人抜けさせる事に抵抗があった二人は、話し合いの末、テマリが我愛羅に着いていくことにした。
そしてカンクロウは、一人里に残る事を決意する。
これまで、兄として我愛羅に何一つしてやれなかった事...それどころか我愛羅を化け物と恐れていた事を、カンクロウは気に病んでいた...
我愛羅の為、自分が出来ることをずっと考えていたカンクロウは、自らが里に残ることで、里を抜けることになる我愛羅たちの風評を和らげようと考えたのだ。
もちろん、三人の姉弟の内二人が里を抜けるのだ...
残ることになるカンクロウへの里の心証は相当に悪くなるだろう。
もしかしたら、心無い迫害を受けることになるかもしれない...
当然、話し合いの中でテマリは三人とも抜けた方が良いのではないかと考えていた。
そして、それをカンクロウに提案もした。
しかし、カンクロウはそれらを考えた上で、自ら残る事を選んだ。
全ては、これまで向き合ってこなかった弟のため...
カンクロウに迷いはなかった。
結局、カンクロウを残し砂隠れの里を抜けた我愛羅とテマリ。
その二人と、これから落ち合う事になっていた。
待ち合わせ場所へと向かうナルトたち。
後、十分も歩けば到着するといった距離に差し掛かった時...
「ナルト君...何か様子が変だよ?」
真っ先にヒナタが気付いた。
前方...ナルト達が向かっている方向に煙が上がっていた。
「フウ!悪いけど、上空から探ってみてくれっか?」
ナルトがフウに指示する。
「了解ッス!」
フウは二つ返事でOKすると、羽を出して飛び上がる。
ナルトも念のため、仙人モードで辺りを探る。
数分後、フウが偵察から戻ってきた。
「どうも、戦闘があったみたいッスね。あちこちにクレーターが出来てるッス。」
「!?...急ぐってばよ!」
フウから報告を聞いたナルトは、皆の返事も待たずに飛び出した。
そして、待ち合わせ場所に到着すると、そこはフウが言った通り、かなり大きな戦闘があったと思われる跡があちらこちらに見られた。
「我愛羅!どこだー。返事をしてくれってばよ!」
ナルトは大声で我愛羅の名前を呼んだ。
しかし、返事はない。
「ナルト君!」
と、そこにヒナタたちも合流してきた。
手分けをして探すと、ヒナタが気を失ったテマリを発見した。
テマリは毒を受けて危険な状態だったが、ナルトが右手でテマリの身体に触れ、テマリの身体の中にあった毒のみを分解して、助けることに成功した。
これは、六道の『陽』の力によるものである。
「ここは...」
程なく、テマリが意識を取り戻した。
「テマリ。俺が分かるか?」
ナルトがテマリに声をかける。
「あ...ああ...」
まだ意識がはっきりしない中、答えるテマリ。
「一体、ここで何があったんだってばよ?それに我愛羅はどうしたんだ?」
「!?我愛羅...我愛羅はいないのか?」
ナルトが聞くと、思い出したかのように辺りを探し出すテマリ。
しかし、そこに我愛羅の姿は見当たらない。
「俺たちが見つけたのはお前だけだってばよ。何があったのか聞かせてくれねぇか?」
もう一度、ナルトが質問すると、落ち着いたテマリが話し出した。
待ち合わせ場所に、一足早く着いた二人は、そこで二人組の忍の待ち伏せにあった。
その二人の内、一人はカンクロウ以上の傀儡師であり、一人は爆発系統の術を使う忍...どちらも恐ろしく腕のたつ忍だったが、我愛羅は砂を巧みに使い善戦していた。
しかし、テマリが傀儡師の毒を受けてしまい、助ける代わりにと我愛羅は自ら敵の手に落ちた。
テマリが覚えているのはここまでだった。
「頼む!ナルト。我愛羅を...弟を助けてやってくれ。私にできることならなんでもやる。だから...」
「我愛羅は、ようやく自分の夢を見つけたんだ...カンクロウもそんな我愛羅をサポートするために里に残った...このままじゃカンクロウに顔向けできない...頼む!」
テマリは必死な顔でナルトに助けを求めた。
「安心しろ。テマリ。我愛羅は、必ず助け出す。」
ナルトは、強い口調でそういった。
「その二人には、心当たりがあるってばよ。おそらく『暁』と呼ばれる組織のメンバー。奴らは、俺たち人柱力を狙ってるんだってばよ。そんで、俺たちから尾獣を抜き出し、その力を得ようとしてる。」
ナルトは、そう言うと周りの皆を見た。
「少し早いけど、計画を前倒しにするってばよ。暁と決着を付ける。我愛羅を助けて、奴らを壊滅させる。」
「それなら、ついでにその暁って組織の拠点を頂くってのはどうだ?」
再不斬が提案する。
「確かに、人数も多くなって来てますし、拠点は必要ですね。」
白も再不斬の案に同意した。
「人柱力の敵って事はあっしたちを殺そうとしてるってことッスよね。そんな奴ら退治してやるッス。」
フウは息巻いていた。
「ワシらに敵対したことを後悔させてやろうぞ。」
老紫が宣言する。
「ナルト...それに皆...弟をどうか頼む...」
テマリは、頭を下げた。
「奴らが、尾獣を人柱力から抜くには、かなり時間がかかるらしい。それでも、動くなら早い方が良いってばよ。拠点の位置は既に把握してる。これから乗り込むぞ。」
ナルトは、そう言うとカバンからあるものを取り出す。
それは、イルカに手渡された額当て...
(イルカ先生...これから俺たちは戦いに赴く...だから見守ってくれってばよ。)
心の中で、イルカにそう言ったナルトは、その額当てを付けるのだった。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望する
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希望しない