ナルト達が、暁襲撃作戦を話し合っていた頃...
暁のメンバーたちは、我愛羅から尾獣を引き剥がす術を行っていた。
「ちっ...時間のかかる...」
メンバーの一人、サソリが苛立ちの混じった声音で呟く。
「仕方あるまい。この術は本来、暁のメンバー全員で行うものだ...イタチと鬼鮫が倒され、メンバーが欠けている以上、通常よりも時間がかかってしまうのは避けられん...」
長門が嗜めるように言うと、その言葉に異を唱える人物がいた。
「その事だけど、オイラは未だに信じられないんだよな...うん。」
デイダラである。
「どういう意味だ?」
「チャクラのデカさと馬鹿力だけの鬼鮫の旦那ならともかく、イタチの旦那が...例え相手が人柱力や三忍が相手とは言え、むざむざと殺られるとは思えないってことだ。うん。」
「.........。」
「確かにな...イタチは例え子供が相手であっても油断するようなタイプの人間ではない。それ所か、より万全を期して任務に当たる人物だからな。」
角都が同意する。
「だが、現実に奴らは帰ってこない。」
「だから、イタチの旦那は最初から木の葉のスパイで、イタチが鬼鮫を殺して、そのまま木の葉にトンズラしたんじゃないかって言ってんの。木の葉の方で死んだことにしとけば、足は付かないし...」
「考えられんこともないが、イタチ程の男をスパイのために、使い潰すとも思えんが...」
「どちらにしろ、ここにいない事実は変わらない。それにイタチと鬼鮫が戻らなかった段階で拠点も移している。ヤツから漏れる情報など、たかが知れている。」
長門がメンバーにそう言った時...
ドオオオオオオオオン!!!!
大きな爆発音と共に、地面が揺れた。
「!?これは...どこからかの襲撃か?」
「ほら...やっぱりオイラの言った通りじゃん。イタチのヤツがオイラたちの情報を売ったんだ。うん。」
「有り得んな。その時点で拠点を移している。しかも、元々幾つかあった拠点とは別に、新しく購入したばかりの土地だ。」
「デイダラ、サソリ...悪いが外を見てきてくれ。拠点を移したばかりで、トラップを施せなかったのが痛いな...」
長門の指示で、動く二人。
「我愛羅を返せ!!!」
外に出た二人が見たのは、一人の少年。
ナルトだった。
「なんだ?ただのガキじゃないか。うん...。あの我愛羅ってヤツの弟分か何かが助けに来たのか?」
デイダラが呟く。
「それは無いな。」
サソリがその言葉を否定する。
「何でだ?」
「あの額当ては木の葉のものだ。それに一尾の人柱力は、自分の故郷である砂隠れの里ですら、忌み嫌われていた...救いに来るとは考えられん。」
「だったら...」
「木の葉の人柱力は、里を抜けたそうだ。大蛇丸の木の葉崩しの折りに、遭遇して共感していたとしたら...」
「嫌われもの同士の傷の嘗め合いってことか?...うん。つまりコイツは...」
「ああ...九尾の人柱力だ。」
サソリの言葉を証明するように、巨大なチャクラを纏うナルト。
「てめぇら...我愛羅はどこだ!」
「教えてやんねぇ。」
デイダラがからかうように告げると、ナルトが一気に間合いを詰めて襲いかかる。
デイダラが迎撃をしようと起爆粘土を出すが、それより早くサソリの尾がナルトを攻撃した。
「くっ!」
間一髪、攻撃を避けるナルト。
ナルトは、勝てないと悟ったのか、少しづつ逃げるように、アジトから離れていく。
「獲物が向こうから来たんだ。逃がすかっての!」
それを追って、デイダラとサソリは少しづつアジトから離れていった...そう...ナルトの分身体を追って...
「どうやら、上手く行ったみたいだってばよ...」
「そうですね。欲を言えば、もう一組位出てきて欲しかった所ですが...」
「いや...充分だってばよ。白も、頭良いんだな!」
アジトに突入する前に、白が敵の戦力を分散させる為に、自分と再不斬が陽動に回ることを提案した。
しかし、ナルトはその役目を自分の影分身にやらせることを思い付く。
暁の目的である、人柱力の一人である自分の方が目立つ。そして、影分身ならやられても問題ない。囮役には最適だった。
「奴等が分身に気づく前に、一気に突入するってばよ。」
「「「「「おう!」」」」」
そして、魔像の前に辿り着くナルトたち。
「!?」
「誰だ!お前たちは...」
ナルトと、ヒナタ、白と再不斬を見て、問いただす弥彦の姿をした長門。
「我愛羅の仲間だってばよ。返してもらうぜ?我愛羅を。」
その瞬間、角都と飛段が飛び出す。
その二人は、再不斬と白が押さえる。
予め、ナルトから九尾のチャクラを渡されていた二人は、互角の戦いを見せる。
「.........。」
次に飛び出してきたのは、弥彦を含む六体のペイン。
ナルトは影分身を出して、これに応戦。
小南も参戦し、ヒナタが相手を務めた。
さらに、見かねたトビ(オビト)とゼツも加わり、乱戦となった。
そこに、救出班のテマリ、フウ、老紫が突入し我愛羅を奪還した。
「我愛羅...大丈夫か...我愛羅!」
テマリが心配そうに声をかける。
「!?...ここは...」
我愛羅はすぐに目を覚ました。我愛羅の尾獣チャクラの三割程を吸いだした所で術が中断された為、今回は命に影響が無かった。
「我愛羅!良かった。」
思わず、我愛羅を抱き締めるテマリ。
その温もりに、ようやく意識を完全に取り戻した我愛羅。
「テマリ!?無事だったんだな。」
最後に我愛羅が見たのは毒を受け、倒れていたテマリ。しかし、目の前のテマリはどうやら毒の影響は無いようだ。
ほっと安堵のため息を吐く我愛羅。
「ああ。ナルトたちに助けられた。我愛羅...あんたもナルトたちに助けられたんだ。後で礼を言いなよ?」
「ナルト?」
思いがけない名前を聞いた我愛羅。
「二人とも、話は後じゃ。ここは戦場。気を引きしめよ。」
老紫が我愛羅とテマリを窘める。
「戦場?」
未だに状況が呑み込めない我愛羅に、テマリがかいつまんで説明する。
「なるほど...手間をかけたようだ。感謝する。」
「礼は後ッス。それより...」
フウが何かに気づく。
「ああ...こっちにも来たようだ...」
「やっぱり陽動だったか...うん。」
「嘗めた真似をしてくれたもんだ。しかも、せっかく捕らえた一尾のガキが逃げちまってる...」
ナルトの分身を追いかけていたデイダラとサソリが、分身に気付き、引き返してきたのだ。
ここに、人柱力vs暁の戦いが始まろうとしていた。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望する
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希望しない