逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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ナルト一行VS暁

我愛羅を救出することに成功した、老紫率いる救出班。

 

それに気付いたナルトは、ヒナタや再不斬たち、陽動班に合図を送る。

 

戦いを中断し、我愛羅たちの元に集まるナルト一行。

 

暁のメンバーもまた、仕切り直しとばかりにペインの元に集まった。

 

睨み合う両者...

 

と、ナルトが一人前に出る。

 

「戦う前に、一応聞きたい...人柱力...って言うか...尾獣から手を引く気は無いか?そうすりゃあ、無駄な争いをしなくて済む。」

 

ナルトはペイン...いや、長門に向かって話す。

 

「...それは出来んな。お前たちの中にある尾獣は、これからの世界の...平和の為に必要なものだ。」

 

長門は、当然これを拒否する。

 

「だから、俺たちに世界のために死ねって言うのか?」

 

「そうだ。世界のために死んでもらう。」

 

長門の返答に、ナルトは一度目を閉じる。

そして開くと、

 

「お断りだってばよ!」

 

大声で宣言した。

 

ザワつく暁のメンバーと、安堵するナルトの仲間たち。

 

「たかだか数人の命で、世界の多くの人が救えるんだぞ?そうわがままを言うな。」

 

長門に代わり、トビ(オビト)がそう言った。

 

「わがまま?」

 

その言葉に、ナルトが目を細める。

 

「生きたいと願う事の、どこがわがままなんだってばよ...」

 

ナルトは話ながら一歩、また一歩と前に出る。

 

「.........それが、世界の平和のためなのだ...」

 

長門が、ナルトの迫力に気圧されながらも、ペインを通じて言った。

 

「世界の平和?お前らのやり方じゃあ、例え世界が平和になっても、俺達は幸せになれねぇってばよ...」  

 

「さっきも言った。お前らと世界の人々...どちらを優先するか...考えるまでも無いだろ...」

 

オビトが、また答える。

 

「だから死ね?幸せを望むことを止めろ?そう言うのか?」

 

ナルトはそこで、一度歩みを止める。顔は少し俯き、体は小刻みに震えていた。そして...

 

「ふざけるなよ?」

 

ナルトの声は、決して大きくは無かった。

 

呟きにも等しい声量であったが、その声はその場の全員に届いた。

 

「俺達は、里や世界のための生け贄じゃねぇってばよ。例え世界中の人間が俺たちの死を望もうと、俺達は生きてみせる。例え世界中の人が敵になったとしても、そんなの関係ねぇってばよ。」

 

六道仙人モードになりながら、はっきりと告げるナルト。

 

その圧力に、暁のメンバーたちは無意識に一歩下がった。

 

その時...

 

「ああ...その通りだナルト!」

 

ふいに声がかかる。その場に集ったナルトの仲間ではない。その声は...

 

「ウタカタ!」

 

ウタカタだった。さらに...

 

「虫の知らせって言うのはあるようね。たまたま任務で出ていたら、胸騒ぎを感じて又旅に聞いてみたらこんなことになってるなんてね。」

 

ユギトもそこにいた。さらに...

 

「暁倒すは雲にも利益♪ブラザー兄のためにもなるZE!」

 

『こう言ってるが、ビーもお前に協力出来ない事を内心苦しく思ってたんだぜ?』

 

牛鬼がビーの本心を暴露する。

 

「ビーのおっちゃん!!!それにはっつぁんも。」

 

この世界に来て、初めてキラー・ビーに会ったナルトは喜ぶ。

 

三人とも、何かしら胸騒ぎを感じて尾獣を通して集まったのだ。

 

尾獣空間で知り合い、志を共にしたこの世界の人柱力たちは、精神的に繋がりが生まれているのかもしれない。

 

我愛羅の危機に何かを感じ、そして今この時、この場所に...仲間のために集う...

 

ナルトは改めて思う。

 

「俺達は化け物でも、ましてや兵器でも無ぇ...俺達は人間だ。そして、人間としてこの世界を生き抜いて、幸せを掴んで見せるってばよ!」

 

「「「「「おう!!!!」」」」」

 

その言葉を機に、動き出すナルトたち。

 

「戯れ言を!」

 

迎え撃つ暁。

 

「まずは厄介なのから片づけるってばよ!」

 

ナルトは、風遁螺旋手裏剣を作り投げる。

向かうのは角都。

 

「!?何かヤバい!」

 

その術に脅威を感じた角都は、避けようと上に飛んだ。

 

「大人しく食らっとくッス!」

 

だが、その角都の上にフウがいた。

 

フウは、角都に向かって尾獣のチャクラ腕を出し殴り付ける。

 

「ぐっ!」

 

ガードする角都だったが、吹き飛ばされる。

そして飛ばされた先には、ナルトが投げた螺旋手裏剣が迫っていた。

 

「しまった!」

 

螺旋手裏剣が、角都を襲う。

 

「ぎゃあああああああああああ...」

 

複数の心臓を持ち、また他人の心臓を奪うことで不死となっていた角都だったが、一瞬でその全ての心臓を消費されては一溜まりもなかった。

 

一方、角都とコンビを組んでいた飛段は、白と再不斬、そして老紫と戦っていた。

 

急造とは言え、三対一の状況では、「呪術・死司憑血」を発動する隙もなかなかなく、自身の不死の特性を持って戦う以外には無かった。

 

しかし、それも長くは続かない。

 

『秘技 氷遁...永久氷壁!』

 

「ぐ!動けねぇ...」

これは白のオリジナルの拘束術。

 

白のチャクラが続く限り溶けることも抜けることも出来ない氷で相手の動きを封じる技だ。

 

本来はこの技で動きを封じ、再不斬がとどめを刺すといった戦法で使われる技だが、相手が不死ではそれも意味がない。

 

それでも、この技を使ったのは...

 

「ナルト君からもらった九尾のチャクラは凄まじいですね。数時間はあなたを止めておけるでしょう。」

 

ナルトは、前世でシカマルに飛段を倒した方法を聞いていた。

そして、その末路も...

 

落とし穴に落とされ、動きを封じられた飛段は、身体も潰されてなお元気良く、様子を見に来たシカマルを罵倒していた。

 

しかし、一月もしない内に干からび、息を引き取っていた。

 

この事から、シカマルは飛段の弱点を見抜いていた。

 

「貴方の不死性は外傷や病気に限ってのもの。栄養を取らなければ、その身体を維持出来ない所は、ボク達と何も変わらない。戦いが終わるまで、貴方はボクが止めます。そしてその後は別の方法で拘束させてもらいます。食事や水を与えなければ貴方は容易に殺せます。」

 

白は、確かに相手を殺すことを躊躇うほど、心根の優しい人間だが、人を殺すことに快楽を得るような快楽殺人者にまで、優しくする人間ではない。

 

白の中では、飛段と言う男はナルトから聞かされた段階で、許されざる者と認識されていたのだった。

 

「よし、お前はそのままソイツの拘束を頼む。その間の護衛は俺がする。」

 

名乗りを挙げたのはウタカタだった。

 

後から合流した三人は暁の情報を持っていない。

その中でも、一番戦闘経験の乏しいウタカタは、自らが足手まといにならないために、自分の役割を白の護衛のみに集中することにしたようだ。

 

「頼みます。再不斬さんはナルト君の援護に行ってください。」

 

「フン!おい小僧!自分から名乗り出たんだ。しっかり白を守れよ。」

 

「小僧じゃない。ウタカタだ。」

 

憎まれ口を叩きつつ、ナルトの方へ向かう再不斬。

 

なんだかんだと、ウタカタに白を任せたようだ。

 

そしてデイダラとサソリはと言うと、老紫、我愛羅、テマリに苦戦していた。

 

一度は、テマリをだしにして我愛羅を屈服させた二人だったが、テマリはナルトから渡されたチャクラの衣で身体を覆っており、千本程度では傷を付けることは出来ず、テマリの攻撃や速さも上がっており、テマリはもはや足手まといとはなりえない。

 

テマリは、前回我愛羅の足枷になってしまった自分を責めた。

 

だから、今度は我愛羅の役に立ってみせる...とやる気に満ちていた。

 

そして、我愛羅はテマリを人質にされたこと、そしてようやく和解できた守鶴を抜かれそうになったこと、それらに心の底から怒っていた。

 

そんな二人を老獪な老紫がコントロールし、自らも攻撃に加わる...

 

デイダラやサソリの力を持ってしても、なお押されていた。

 

そして...

 

「バカな...」

 

サソリの本体を貫く砂の刃...

 

「借りは返したぞ?」

 

「サソリの旦那!?くっ...こうなったら自爆して...」

 

デイダラが自爆を決意するが...

 

「させると思うか?『溶遁 魔具魔溜まり!』」

 

突然、デイダラの両手、そして口をマグマで出来た球体が出現し覆う。

 

「がっ!」

 

「お前の技は、その掌にある『口』を起点に発動するのだろう?ならばその掌を封じてしまえば良い...」

 

念のため、本来の口も封じたのは老紫の観察眼の賜物だろう。

そして、それが正解でもある。

 

全ての『口』を封じられたデイダラは、なす術もない...

 

デイダラとサソリは、老紫達によって倒された。

 

残るは、ペインを率いる長門、小南、オビトとゼツのみとなった...

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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