逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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第七班

ナルトはアカデミーを卒業した。

 

その後、前世の時と同じように木の葉丸との邂逅を果たした。

 

今生において、火影を目指していないナルトだったが、肉親が火影であるために、寂しさを感じている木の葉丸に、ボルトの姿を重ねたナルトは、少しアドバイスを送る事にした。

 

「木の葉丸...お前は勘違いしてるってばよ。」

 

「勘違いって...なんだコレ。」

 

「ある人が言ってた...『火影になった人間が認められるんじゃない。皆に認められた人間が火影になるんだ』ってな...」

 

「.........。」

 

「今のお前を、里の皆が見た時、皆はお前を認めてくれると思うか?」

 

「それは...」

 

「だったら...どうしたら良いか...わかるな?」

 

「でも...じじいに滅茶苦茶怒られるぞコレ。」

 

ナルトの説得に、しかし木の葉丸はなかなか一歩を踏み出す事ができない。

 

木の葉丸の様子を見たナルトは、木の葉丸の頭に手を置くと...

 

「良いじゃねえか。怒るってのは相手の事をそれだけ思ってるからだってばよ。心配すんな...俺も一緒に謝ってやるから。自慢じゃねえが、俺ってばよくイタズラをして怒られ慣れてるからな。」

 

「あ...うん!」

 

そう言って笑ったナルトに、木の葉丸は笑顔で頷いた。

 

そして、木の葉丸を連れてヒルゼンの元に向かったナルトは、一緒に謝る。

 

水晶玉でナルトを監視出来なくなってしまったヒルゼンは、当初こそ怒りに震えていたが、素直に謝りに来た木の葉丸の成長...それを促したのがナルトだと理解すると、複雑そうな顔をしつつ、許すのだった。

 

こうして、前世とは違った形で木の葉丸に慕われる様になるナルト...

 

そしてとうとう、班分けの日がやってくる。

 

「第七班、うずまきナルト、春野サクラ、うちはサスケ。」

 

(...今更だけど、この班分けには意味があったんだな...俺たちの班は人柱力の俺と、うちはの生き残りであるサスケ...監視対象を集めたって事か...カカシ先生は担当上忍ってだけじゃなくて、俺たちの監視役も兼ねてるんだな...サクラちゃんには悪いけど...多分サクラちゃんは余りなんだろうなぁ...)

 

ナルトがそんな事を考えている間に、各班の担当上忍が自分の担当の班を迎えに来て、次々と退出していった。

 

ヒナタも紅と共に出ていく。

出ていく際にナルトと視線を交わすヒナタ。

 

(ヒナタは強いってばよ。自信を持って行け。)

 

ナルトは視線に思いを乗せて一つ頷くのだった。

 

それからしばらく経つが、一向に第七班の担当上忍は現れなかった。

 

「ねぇ...なんで私たちの担当はいつまで経っても来ないわけ?」

 

サクラがしびれを切らせて、怒鳴り出した。

 

(う~む...今更だけど、遅刻魔のカカシ先生が良く六代目に選ばれたってばよ。重要な会談で遅刻なんてしたらどうするつもりだったんだろ?)

 

サクラの怒りのボルテージとは対照的に、ナルトもサスケも落ち着いていた。

 

「ねぇ、ナルト...あんた最近おかしくない?」

 

ナルトもサスケも冷静なため、サクラのテンションは急激に下がっていった。

 

そして、落ちついたサクラは、ナルトを見るとせっかくだからと、ここ最近感じていた違和感を聞くことにした。

 

「ん?おかしいって...なんの事だってばよ?」

 

「いや、最近妙に落ち着いてる感じがするし、イタズラもしなくなったし、サスケ君につっかかってもいかなくなったし、何よりも...私に言い寄って来なくなったじゃない。」

 

サスケもこの話には興味があり、気にしないフリをしながら、聞き耳を立てる。

 

(う~む...この頃のサクラちゃんは俺の事を嫌ってたし、俺の事...関心がないと思ってたんだけど...意外と見てたんだな...)

 

ナルトは、どう説明するか少し考える...

 

そして...

 

「そうだな...きっと...俺にとって何よりも大事だと...そう思える物を見つけたからだってばよ。」

 

結局、曖昧に...しかし、今の自分の心境を話すのだった。 

 

「それって...どう言うこと?」

 

サクラには理解出来なかった。

 

サスケも理解は出来なかったが、ナルトが本当の事を言っている事だけは感じられた。

 

ナルトが何かを口にしようとすると、扉が開き、

 

「やあ、待たせたかな?」

 

カカシが軽い調子で入ってきた。

カカシは、三人を見回すと、

 

「うーん...お前たちの第一印象は...ま、普通だ。」

 

(前の第一印象は『嫌い』だったってばよ...)

 

『お前がガキみてぇなイタズラ仕掛けたからだろ?』

 

(そう言えば、そんなこともあったな...ハハハハハ...)

 

九喇嘛のツッコミを笑って誤魔化すナルトだった。

 

 

場所を移して、自己紹介を行うことになった。

カカシは名前以外の情報は出さなかったが...

 

「じゃ、今度はお前らだ。まずはお前。」

 

そう言ってナルトを見るカカシ。

 

「名前は、うずまきナルト。好きなものは、俺を認めてくれる人と、一楽のラーメン。嫌いなものは、俺と...俺の大事な人たちに危害を加える奴ら。将来の夢は...家族を持って、その家族を幸せにする事だってばよ。」

 

「は?あんたの夢って火影になることじゃ無かったの?いっつもバカみたいに言ってたじゃない。」

 

ナルトの言葉に、サクラが疑問を口にする。

 

「ようやく、身の程を弁えたってことだろ?それにしても...随分とちっぽけな夢だな。まだ火影になると言ってた時の方がマシだったぜ?」

 

サスケは、ナルトの現状を少なからず知っている為、その夢に少しだけ共感していた。しかし、何故かとてつもない不快感を感じたサスケは、憎まれ口を叩く。

 

「そうか?例えちっぽけな夢でも...俺にとっては大事な事だってばよ...そう...とても大切な事だ。」

 

「.........。」

 

カカシは、ナルトの言葉を聞きながら、強烈な違和感を感じていた。

 

ナルトの言葉には、大切な人を失った経験のある人間特有の重味を感じた。

 

だが、ナルトには大切な人間はいない。生まれてすぐに、両親を失い、里の大人からは白い目を向けられて育ったナルト。

 

ごく限られた大人は、ナルトを等身大で見ていたが、それもナルトにここまで思わせる人物とは言えない。

 

唯一、海野イルカがそれに該当するかも知れないが、イルカは健在である。

 

(少し、探りを入れた方が良いかな、こりゃ。)

 

ナルトに対し、情報を集める事を決めたカカシは、続いてサクラに自己紹介を要求する。

 

サクラの自己紹介は、とても忍と言えるようなものではなかった...

 

呆れの混じった瞳をサクラに向けるカカシ。

 

(うーん...サクラちゃんは、ちょっと気楽過ぎるってばよ。少し怖い思いをさせておかないと、この先、危険かも知れないな...)

 

サクラの様子に、今後を心配したナルトは、サバイバル演習の時に、少し痛い目を見てもらおうと決めた。

 

そして、最後にサスケの番となる。

 

「名はうちはサスケ。嫌いな物はたくさんあるが、好きなものは無い。それから...夢なんて言葉で終わらせる気は無いが...野望はある。一族の復興と...ある男を必ず...殺すことだ。」

 

「今のお前には無理だってばよ。」

 

サスケの言葉を聞いたナルトは、サスケの言葉を真っ向から否定した。

 

「なんだと!?俺にアイツが殺せねぇってのか?」

 

サスケにとって、一族の仇を取ることは何よりも優先することだった。

 

それを否定されたサスケは、例え実力的にとるに足らないと思っているナルトの言葉とはいえ、無視することは出来なかった。

 

ナルトの胸ぐらを掴み、殺意の混じった目を向けるサスケ。

 

「そっちじゃ無ぇってばよ。」

 

だが、ナルトはまるで動じる事はなく、冷静に告げた。

 

「まあ、その男を殺すのも今は無理なんだろうけどな...だから大人しく下忍になったんだろうし...けど...俺が無理だと言ったのはもう一つの方だってばよ。」

 

「なに?」

 

「お前...俺の夢を聞いた時、笑ったろ?」

 

「それがどうした...くだらねぇ夢じゃねぇか。」

 

「家族を幸せにしたい。その夢を笑うヤツが、どうやって一族を復興するつもりだってばよ...」

 

「そ、それは...」

 

ナルトの言葉に思わず詰まるサスケ。

 

「はっきり言ってやろうか?今のお前は復讐しか頭に無い。一族の復興なんて、今のお前は考えちゃいないんだってばよ。」

 

ナルトは断言した。

 

「違う。」

 

「違わねぇ。」

 

激昂しナルトを睨むサスケ。

しかし、ナルトは意に返さずあくまでも冷静にその瞳を受け流した。

 

サクラはいつもと逆の構図をハラハラしながら、見守る。

 

二人の対峙を見ながらカカシは一つため息を付くと、

 

「ま、落ち着きなってサスケ。ナルトも『今の』お前にはって、言ってただろ?」

 

そう言ってサスケを宥めた。

 

「くっ...」

 

サスケは、イラつきながらもナルトの胸ぐらから手を離す。

 

「さて、それじゃ自己紹介も終わった事だし、早速任務を行うぞ?」

 

サスケが落ち着くと、カカシは『サバイバル演習』についての説明をするのだった。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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