忍連合が誕生してから、三ヶ月が経過した。
ナルト...いや光の里の真意を疑っていた、エーやオオノキだったが、自身の里の安全には代えられないと矛を納め、里に戻り状況を見定める事にした。
一時的ではあるが、世界は平穏な時を迎えていた。
そしてその日、光の里に再び綱手が訪れていた。
「よぉ、ナルト。来てやったぞ。」
「なんだ、ばあちゃん...また来たのか?」
呆れながら返事をするナルト。
「そう言うな。向こうでは上役のクソどもがネチネチと文句言うわ、下からも突き上げを食らうわ居心地が悪いのだ。少し位羽目を外しに来ても良かろう。」
この三ヶ月の間に、綱手がこの里を訪れるのは二度目だ。
火影と言う地位に就いている綱手は、決して暇では無い。
その忙しい中、往復で一週間は掛かるだろうこの里に何度も訪れるのは、大変だろう。
そこまで木の葉の雰囲気は悪いのか...
ナルトがそんな事を考えていると、綱手が今回の訪問の目的を告げる。
「まあ、今回はちゃんと目的があって訪れたのだ。お前が以前約束した医療忍者の件だ。」
「ああ。もう編成が済んだのか?」
ナルトが打診していたのは、光の里での医療忍者を増やすこと。
その為に、木の葉の同盟の条件として、医療忍者の派遣を入れていた。
とは言え、木の葉でのナルトの評価を考えれば、派遣できる医療忍者もなかなか集まらないだろうと考えていた。
予想より早く編成が出来たことに、驚くナルト。
「と言うより、もう連れてきてる。扉の前で待機中さ。」
「はっ!?」
綱手の言葉は、さらにその上を行っていた。
「い...いやいや、いくら何でも早すぎるってばよ。こっちは何の準備もしてねぇし...なんで先に連絡くれなかったんだってばよ。」
ナルトがもっともな意見を述べる。
すると綱手は、
「勘違いするな。今日連れてきたのはその代表さ。どっちにしても、里に受け入れるには例の面接をするんだろ?まずは代表だけを連れてきたって訳さ。残り10名を派遣予定だが、その編成自体は済んでる。一応、お前への心証は確認済みだ。」
「そうか...まあ、それでも先に連絡が欲しかったけど...わかったってばよ。じゃあ取り敢えずその代表者を連れてきてくれるか?」
「二人とも、入ってきな。」
ナルトの許可を得た綱手は頷くと、扉の外にいる二人に声をかける。
入ってきた人物を見て、更に驚くナルト。
「サクラちゃん!それに、サスケも...」
そう...その二人とはサスケとサクラだった。
「ヤッホー、ナルト。久しぶりね!」
「.........久しぶりだな。ナルト。」
予想外の人物の登場に、固まるナルト。
「アッハッハッハッ。驚いたろ。だから連絡しなかったのさ。サクラは私の直弟子だ。ここでの医療忍者の代表になる。サスケはその護衛だな。二人ともここに派遣となる。よろしく頼むぞ。」
ナルトの予想通りの反応に笑いながら説明する綱手。
「ち、ちょっと失礼するってばよ。」
ナルトは焦りつつ、綱手を誘って外に出る。
「なに考えてるんだってばよ!ばあちゃん。サクラちゃんはともかく、ここにサスケを連れてくるなんて。」
小声で綱手に抗議するナルト。
「なんだ。私の説明を聞いてなかったのか?サスケはサクラの護衛だ。」
あくまでも冷静な綱手に、
「そうじゃねぇってばよ。ここには
ナルトは自分が焦っている理由を伝える。
「だからこそだ。ナルト...お前もこのままで良いと思っている訳ではあるまい。」
綱手は強い口調で言った。
「そ...それは...」
その言葉にナルトは動揺する。
「サスケにとっても、そしてアイツにとっても...いつまでもこの事から逃げていては、いつかまた、すれ違いから新たな悲劇を生むことになりかねん。」
「だけど...」
それでも悩むナルト。しかし綱手は言った。
「ナルト...サスケを信じてやれ...」
「え?」
「サスケとて、いつまでも子供のままではない。今のサスケなら受け止められる。そう思ったから連れてきたのだ。」
「.........わかったってばよ。」
綱手に説得され、ナルトは執務室に戻った。
「悪いな。二人とも。ちょっと予想外の事に驚いちまってな。」
ナルトは二人を待たせた事を謝罪した。
「う、うん。」
「ふん。」
「変わって無いな...二人とも...」
二人の対応に、懐かしさから笑みを浮かべるナルト。
「ちょっと...変わってないこと無いでしょ?こんなに女らしくなったじゃない。...って、ナルトは随分大きくなったわね...」
変わって無いと言う言葉に不満の声を上げるサクラ。
「ははは...わりぃってばよ。サクラちゃん...」
頭を掻きながらそう言ったナルトは、サスケに、顔を向ける。
「サスケ...」
「ナルト...」
ナルトの意識が自分に向けられている...それを感じたサスケはナルトの眼を見据える。
そして...
「サクラともども...これから世話になる。...よろしくな...」
サスケがそんな挨拶をした。
「ぷ...あっはっはっはっ...」
ナルトは笑いだした。
「ち、ちょっとナルト。サスケ君が挨拶したのに笑うなんて失礼じゃない。」
サクラが抗議を上げる。
「.........。」
笑われる理由に自覚があるのか、サスケは不満そうな顔をしながらも、何も言わない。
「すまねぇな...サスケ。まさか、正面からおれに挨拶するとは思わなくってよ...(確かに信じてみても良いのかもしんねぇな。ばあちゃん...)」
ナルトはサスケに改めて向き直ると、
「サスケ...今のお前の夢はなんだ?」
と聞いた。
「なんだ?突然...」
「教えてくれ...」
ナルトの目は真剣だった。茶化すつもりはない...それを感じ取ったサスケは、
「......今の俺の夢は...サクラを...幸せにすることだ...」
サスケはしっかりと言い切った。
ナルトが里を抜けてから少しして、二人は付き合い始めた。
サスケは、その付き合いを通して安らぎと、深い愛情を知った。一族の復興のためではない...
春野サクラと言う女性を幸せにしたい...ただそれだけ...
サスケの答えを聞いたナルトは決意する。綱手を見て頷くと、二人に声をかけた。
「二人とも...まず挨拶の前に、会って貰いたい人物がいる...」
そう言って、立ち上がると執務室を出る。
綱手も後に続く。
「「???」」
二人は、頭に疑問符を浮かべながらナルトのあとを追った。
そこは、一軒の小ぢんまりとした家屋だった。
「ここに...二人...って言うかサスケに会って欲しい人物がいる。」
そう言ってナルトは、扉を開ける。
「.........ナルトか?今日はどうした?」
その人物は、ナルトに、声をかける。
「兄...さん...」
驚愕の声を上げるサスケ。それもそのハズ...
そこにいたのは、サスケが復讐のために追い求め、しかしナルトに殺されてしまったハズの人物...
「その声...まさかサスケか?」
うちはイタチであった。
イタチは、眼を何かの術の掛けられた布で覆っていた。
「ナルト...なぜサスケを連れてきた。」
サスケにとって、自分は既に死んだ人間...なぜ、わざわざ苦しませる様なことをするのか...
イタチは、ナルトに抗議の声を上げる。
「どういう事だ。ナルト!何故兄さんがここにいる。兄さんは、お前が殺したハズだ!」
驚きのあまり、声を荒げるサスケ。
「実は、あの時イタチは生きてたんだってばよ。まあ、一時的に仮死状態にはしたけどな。」
そう言って、イタチが社会的に死んだあの時の事を語るナルト。
サスケは改めて、兄を見る。
「兄さん...その布は?」
眼を覆う布に何かを感じたサスケは、イタチに聞いた。
「少し前、私はナルトの打診でイタチを看たんだが...あのままだと、イタチは後数年の命だった...」
「そ、そんな...どうして...」
綱手の言葉に驚きの声を上げるサクラ。
「写輪眼の使いすぎさ...カカシを見ればわかると思うが、写輪眼ってのは身体への負担がデカイ。うちは一族は、写輪眼に適した身体ではあるが...それでも負担がゼロになるわけではない。」
「だから戦闘時以外で写輪眼を使うのは避けるべきなんだが...コイツは、あの同族殺しの事件からずっと写輪眼を使い続けていた...追い忍の追跡をかわすため、そしてダンゾウの指示で暁のスパイをして...休まる時間も無かったのだろうな...」
「.........。」
「その結果、自分の寿命をすり減らしていったのさ。その布には写輪眼を封じる印を施している。寿命をすり減らしている要因の目を封じ、安静にすることで、まあ、10年位は延命できるだろうさ...それ以上は経過を観てみないとなんとも言えないね...」
ナルトの力でも、イタチのすり減った寿命を戻すことは出来ない...
綱手の診察で延命をすることは出来たが、未だ予断を許す状態では無かった。
「.........五代目...サクラ...ナルト...すまないが、兄さんと、二人だけにしてくれないか?」
「でも...」
サクラは不安な声を出した。
「頼むよ...サクラ...」
悲しそうな顔をしてサクラに言ったサスケ。
サクラは頷くと、外に出た。
ナルトと綱手も後に続く。
「............。」
しばし、沈黙が支配する。
「フッ...不様だろ?俺は両親を...友を...一族をこの手にかけながら、それでもこうして生き恥をさらしている...」
イタチが沈黙を破り、自嘲気味に口を開いた。
「...確かに...父を母を...一族を殺したあんただ...当然の報いと言えるな...」
サスケが答える。
「フッ...それも今日までだな。今の俺は何も見えん...音や気配で戦闘も出来ない訳ではないが...それでも限界はあるだろう...今ならおれを殺せるかも知れんぞ?サスケ...」
イタチの挑発...それを受けてサスケは一度目を瞑る。
そして...
「確かに...俺はあんたを憎み...あんたを殺すために生きてきた...」
「なら殺すが良い。」
サスケの言葉を受け入れるイタチ。
「以前まではな...」
しかし、サスケの言葉には続きがあった。
「ナルトから、あんたの事情も...うちはの真相も聞いた。その後俺なりに調べて、それが事実だったとわかった。」
「確かにあんたのやったことは、今でも許せない。でも...俺だっていつまでも子供のままじゃない...こんな俺にも、大切な人が出来た...今なら...今の俺になら...兄さんの気持ちも理解出来るんだ...だから...」
サスケは泣いていた...泣きながら話し続けるサスケ...
「俺を生かしてくれて...ありがとう...生きていてくれて...良かっ...た...」
「!?」
イタチは、我慢してきた。ずっと...一人で何もかもを背負い...愛するものを守るために愛するものの命を手にかけて...
恨まれても良い...サスケに生きていて欲しかった。
それでも...
ありがとう...
サスケから言われた、たった一言の言葉...
その言葉にイタチは救われた...
イタチの頬を一筋の涙が伝う。
サスケはイタチの胸に飛び込んでいた。
本来の歴史では、すれ違ったまま殺し合いをすることになってしまった兄弟...しかし今、この瞬間、その運命は変わるのだった。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望する
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希望しない