サスケとサクラが光の里に来て、一週間が経過した。
今日は綱手が木の葉に帰る事になっている。
ナルトとヒナタ、シカマル、それにサスケとサクラが見送りに訪れていた。
「サクラ...増員が来るまでは、しばらくお前一人で指導しなければならん。大変だとは思うが頼むぞ?」
「はい、師匠。」
サクラに声をかけた綱手。
さすがに、今回の訪問の目的は忘れていなかったようだ。
この一週間、綱手はのんびりと過ごしていた。
綱手からしてみれば、この里に来るのは自分の骨休めに来ている様なものだ。
他里の長との会談と称して、堂々とこの里に来ても、特に会談らしい会談もしていない。
せいぜいイタチと長門の診察をしている位だ。
木の葉では、上役との軋轢や里人の対応などストレスばかり溜まる。
気楽に過ごせるこの里を気に入っていた。
唯一賭け場が無いのが不満だが...
「サスケ...必要無いとは思うが、サクラの護衛はしっかり頼むぞ?」
「ああ...任せてくれ...」
次にサスケに声をかける。
サスケは相変わらず、ぶっきらぼうに答える。とても、自里のトップに話す話し方では無いが、綱手は気にしない。
名残惜しいと感じながらも、最後にナルトの方を向いた綱手は、
「また近いうちに来させて貰うぞ。」
そう言って、ナルトに笑いかける。
「そりゃあ構わないけど...大丈夫なのか?火影の仕事は...あんまり、エロ仙人に負担かけるなよ?」
ナルトは呆れながら答えた。若干自来也に同情しながら...
「何を言う...出来るヤツが出来る事をする。それで良いじゃないか。だいたいあのバカを、相談役にする案を出したのはお前だろ...」
「うっ...いや...でも...もう少し労ってやってくれってばよ...それに...」
「それに?なんだ?」
「長門や小南もエロ仙人が来るのを待ってるだろうからな...」
「.........。」
自来也はあの時以来、この里を訪れていない。
仕事が忙しいためだ。
もともと、木の葉と言う大きな里の幹部としての仕事があり、綱手が色々と押し付ける上に、上役との調整役まで行っている。
今や自来也は、前世の火影だった頃のナルトに匹敵する程の忙しさであった。
「まあ、考えておく。」
少しだけ、自分の行動を改めようと考える綱手であった...
しかし、次の瞬間真剣な顔をする。
そして...
「ナルト...出来るだけ、この里の土地を拡張しておいてくれないか?」
「はっ?突然なんだってばよ...」
綱手の突然の頼み事に困惑するナルト。
「これは火影としてでは無く、私個人の頼みだ。」
「だから、どうしてだってばよ...」
尚も言い募る綱手に、ナルトは益々困惑する。
綱手は言うかどうか一瞬悩んだが、やがて口を開く。
「恐らく、近い将来...木の葉隠れの里は崩壊する。」
「「「「「はっ!?」」」」」
綱手からもたらされた爆弾発言に思わずその場の誰もが固まってしまった。
「つ、綱手様...木の葉が崩壊するってどういう事ですか?」
最も早く復帰したヒナタが、綱手に詰め寄った。
木の葉には自分の家族もいる。心配になって当然だ。
「私が何度も説得して、上役になんとか納得させて成立させた、今回の光の里との同盟...それを良く思っていない連中がいるのさ...」
忌々しそうに話す綱手。
「そうか...そういうことか...」
シカマルは綱手の言葉で理解した。
「シカマル...お前何か知ってるのか?」
ナルトがシカマルに、訪ねる。
「...俺は木の葉の連中を見限ってここに来た。それは言ったよな?」
「ああ...」
「お前が抜けてからの木の葉を、俺はずっと見てきた。あいつらは...特に一般の人間や下忍、それに中忍の一部のやつらはダメだ...何もかも...悪いことは全部お前のせいにして、現実を見てねぇ。自分達でそれを変えようともしねぇ...そして、悪いことに、そんなやつらが大勢を占める...」
「.........。」
「そんな状況で綱手様が、お前が治めている光の里と同盟を結んだ...」
「でも、今の木の葉の状況を改善するには必要なことでしょ?」
サクラが思わず口を挟む。
「言っただろ?あいつらは現実が見えてないって。理屈じゃなく感情で考えてるのさ...」
かつてのナルトは、過酷な運命に逆らい...そのひたむきな行動が木の葉の人々の心を変えていった。
しかし、今生のナルトは進んで木の葉を変えようとはしていない。ナルトに偏見を持ち恨み固まった心のままだ。
「そういうことだ。はっきり言おう...今の木の葉に...おじいさまが残した『火の意思』は存在しない。」
はっきりと断言する綱手。その顔は苦渋に歪んでいた。
綱手とて、故郷に思い入れはあった。
火影をクソだ...などと言っていた当時の綱手でさえ、木の葉の忍を辞めたりはしなかった。
当然だ。
祖父が目指し、亡き恋人や弟が命懸けで守ったものなのだから...
しかし、ナルトの前世を見たからこそ、今の木の葉に愛着を持てない。
今の木の葉は、亡き祖父が残し、ダンやナワキ...自らが愛したものたちが愛した木の葉では断じて無い。
「私なりに、木の葉のためにとやって来たが...それすら否定されたんだ...愛想も尽きるさ...ただ...皆が皆、愚かな訳ではない。そうなった時...彼らを受け入れる場所が必要なのだ。」
綱手の言葉を受けたナルトは悩む...
「...うちの強みは少数であることだってばよ?万が一...流通が止められても自分たちは生活出来るだけの生産性を持っている...だからこそ大国であっても俺達を無視出来ない...まあ、これは白からの受け売りだけど...それをわかっていて言ってるのか?ばあちゃん...」
そう...光の里は五大国の隠里とは規模がまるで違う。しかし保有する力は強大だ。
こう言う場合、他国は相手への流通を止めることで相手を干上がらせる手段にでる。
しかし光の里の場合、自里で生産しているもので生活が賄える程規模が小さい。
その手段すら封じられているのだ。
力でも、絡め手でも手が出せない...だからこそエーやオオノキも同盟にしぶしぶながら同意せざるを得なかったのだ。
その里に、木の葉の一部とは言え、人々を受け入れるのはリスクが大きい...
「わかっている。それでも私はお前に頼むしか無いのだ...その時はどうか民たちを受け入れてくれ。頼む...ナルト。」
綱手は頭を下げた。傲慢で不遜とも言える綱手がナルトに頭を下げるほどに追い詰められているのか...ナルトは綱手に同情すら覚えた。
「わかった。頭を上げてくれ...ばあちゃん。出来るだけの努力はするってばよ。どれだけ出来るか分からねぇけど...」
ナルトは綱手の頼みを引き受けた。
「恩に着るよナルト。」
「どちらにしても、向こうにはヒナタの家族やシカマルの家族もいるしな。まあ、ばあちゃんの予想が外れてくれるのが一番だけど...」
頼みを引き受けて貰えて、ほっとした綱手は、迎えに来ていたゲンマの小隊の飛雷神の術で帰っていった...
「ナルト君...父様やハナビは大丈夫かな...」
「大丈夫だってばよ。何しろ日向は木の葉にて最強...だろ?」
心配そうなヒナタに、ナルトは肩に手を置いて慰めるのだった...
それから1年後...綱手の予想は現実の物となる。
木の葉にてクーデターが起きたのだ。
それを主導した人物は...志村ダンゾウであった...
ダンゾウは生きていた!!!(笑)
説明は次回します。
今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。
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希望する
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希望しない