逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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サバイバル演習 前編

次の日...

 

「やー、諸君。おはよう!」

 

悪びれもせず、遅刻してくるカカシ。

 

「おっそーい!」

 

そんなカカシをサクラの怒鳴り声が迎える。

 

サスケは我関せず。

ナルトも諦めている為、何も言わない。

 

「.........。」

 

リアクションの薄い二人に苦笑いを浮かべるカカシだった。

 

その後、カカシは時計を取り出すと、タイマーを操作する。

 

「よし、12時セットOK!」

 

「さて、演習内容だが...ここに鈴が二つある。これを俺から昼までに奪い取ることが課題だ。もし、昼までに俺から鈴を奪えなかったヤツは昼めし抜き。目の前の丸太に縛り付けた上に、目の前で俺が弁当食うから。」

 

「!?」

 

先日、今日の任務はキツくなるから朝ご飯は抜いた方が良いとカカシに説明されていた為、サスケとサクラは思わず冷や汗を掻いた。

 

むろん、この事を知っていたナルトはしっかりと食べて来ていたが...

 

「鈴は、一人一つで良い。二つしかないから必然的に一人は丸太行きになる。それから...鈴を取れなかったヤツは任務失敗ってことで失格だ。つまりこの中で最低でも一人は学校へ戻ってもらうことになるわけだ。」

 

「手裏剣を使っても良いぞ?俺を殺すつもりで来ないと取れないからな。」

 

カカシの説明は終わった。

 

サクラはカカシに手裏剣を向けると言う言葉に戸惑っていた。

 

「先生...確認だってばよ?俺『たち』が、先生から鈴を奪えば良いんだな?」

 

「ん?...ま、そうだな。お前『たち』が、俺から鈴を奪えれば合格だ。」

 

「?」

 

ナルトの確認の言葉とカカシの返答に疑問を抱くサスケ。

 

「じゃ、よーいスタートで始めるぞ。『よーいスタート』」

 

だが、深く考える前に演習が始まってしまった為、仕方なく場所を移動した。

 

それから...

 

ナルトも含め、基本通り姿を隠すサスケたち。

 

しかし、サスケ、サクラは史実通りにカカシにやられてしまう。

 

そして...

 

「後はナルト...お前だけだ。」

 

ナルトはそのタイミングを見計らった様に姿を現した。

 

「わかってるってばよ...」

 

「......はじめる前に聞いておきたい事がある。お前は本当に『うずまきナルト』か?」

 

カカシはナルトを見ながら質問する。

 

「どういう意味だってばよ?」

 

「一応、俺たち担当上忍は受け持つ班員のアカデミーでの様子や成績、情報なんかを得ている。それによると、成績は断トツのドベ、授業中は居眠りばかり、イタズラ好きで、周りを巻き込んでバカやっては、イルカ教諭に呼び出されていた。集中力も無く卒業試験に三度も落ちる典型的な落ちこぼれ。だがミズキの事件の解決に協力したことで、その功績によりおこぼれで卒業できた...と。」

 

(改めて聞くと...俺ってば...ものすごーく問題児だったなぁ。ボルトなんて可愛いもんだ...イルカ先生...苦労かけてゴメンってばよ...)

 

カカシの言葉に、軽く落ち込むナルト。

 

「さて、その情報と昨日の様子から今日の演習の様子を見て考えると...どうにも違和感を覚えるんだよね。これが...」

 

「さて、ナルト...もう一度質問するぞ?...お前は本当に『うずまきナルト』か?」

 

鋭い目付きでもう一度同じ質問をするカカシ。

 

その質問は、ナルトにとって想定されたものだった。

今の自分はこの頃の本来の自分とは違う...

精神的にも実力的にも...

 

だから、あらかじめ九喇嘛と相談し用意していた返答をする。

 

「ああ...間違いなく俺は『うずまきナルト』本人だってばよ?」

 

「だったら、この情報の食い違いはどういう事なのかな?」

 

「三代目からは、何も聞いてないのか?」

 

「いや、特には聞いてないな。精々が...」

 

「俺が九尾を封印された子供だって事くらい...か?」

 

「.........ああ。」

 

カカシに先んじて、それを口にするナルト。

 

九尾を封印された子供...それは里にとってタブーにも似た存在...カカシは、後ろめたさを感じながら頷く。

 

「カカシ先生...カカシ先生なら、俺が里でどんな扱いを受けてきたか...知ってるんじゃないのか?」

 

「.........ああ。」

 

直接見た事は無いが、カカシもある程度想像が付いた。

 

「じゃあ、逆にこっちからも質問だ...そんな俺がかなりの戦闘能力を持っていると里に知られたら...どうなると思うってばよ?」

 

「それは...」

 

「今まで俺を蔑んできた里の連中は、復讐を恐れて徒党を組んでの襲撃か、暗殺か、はたまた俺を追い出すのか...」

 

「つまり、学校では意図的に落ちこぼれを演じていた...と?」

 

「アカデミーの卒業試験を三度も落ちる落ちこぼれ...これだけ噂が広まれば取り合えず暫くは安泰だってばよ。小隊で、多少本気を出したところで、事実を知るのは小隊員と、三代目のじいちゃんのみだしな。」

 

「そう言う事か...」

 

カカシはようやく、合点がいった。

 

「それでナルト...これだけは確認しておきたい。お前は木の葉の里の『敵』か?」

 

カカシは殺気を飛ばしながら聞いた。

 

「火影のじいちゃんにも言ったんだけどな。俺から木の葉に何かをする気はねぇってばよ。木の葉が俺や、俺の大事な人たちに敵対するなら話は別だけどな。」

 

「そうか...」

 

しかし、ナルトはその殺気を受け流し、あろうことか苦笑しながら答えた。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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