逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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自来也VS大蛇丸

所変わって、戦場のある場所では激しい戦いが繰り広げられていた。

 

ドォォォォン!

 

「くっ!」

 

土煙の中から出てきたのは自来也。

 

「ふふふ...自来也...貴方ももう年ね...随分と、動きが衰えて見えるわ...」

 

余裕の笑みを浮かべながら自来也を追って出てくる大蛇丸。

 

「余計なお世話だってぇの。」

 

軽口を叩く自来也は、すぐに真面目な顔をすると、

 

「大蛇丸...お前がダンゾウなんぞに降ろうとはのぉ...思っても見なかったぞ。大蛇丸ともあろうものが、落ちたもんだのぉ。」

 

そう言って大蛇丸を挑発する。

 

「あら、私はダンゾウの配下になったつもりは無いわよ?彼と私の関係は、あくまでも協力者。この戦いで協力する見返りに、私はサスケ君を貰う事になってるのよ...」

 

「まだ、諦めておらんかったのか...」

 

「誰かさんのせいで、手に入れそびれてたからね。ついでに今回のことは、その誰かさんへの意趣返しも兼ねてるのよ?」

 

「全く執念深い事だのぉ...」

 

大蛇丸の言葉に半ば呆れ顔の自来也。

 

「私は貴方と違って、向上心が強いのよ。今より上へ...いずれはこの世のあらゆる術を使いこなす。その為にも、写輪眼は是非手に入れておきたいのよ。」

 

「お前さんのは、向上心とは言わん。ただの欲望だのぉ。自分の欲を満たそうと他人に迷惑をかける...そこいらのガキと変わらん。」

 

「ふふ...私を子供扱いする気?よりにもよって貴方が...いつまで子供の様な理想を語り、成長しないのはあなたでしょう?いつまでも私が改心するなんてバカな夢を見て...」

 

「はっ!確かにワシはバカだった。だが理想は捨てんよ。それにのぉ...ワシはある男の人生を見てわかった...バカはバカでも、大馬鹿なら...バカを貫き通せば、道理など跡形も無く粉砕できるってのぉ...」

 

(そうだろう?ナルトよ...)

 

自来也は、ナルトの前世の記憶を見た。

 

特に、ナルトとサスケの関係はまるで自分と大蛇丸の関係のようであり、かなり興味を持って見ていた。

 

例え才能にどれだけの差があろうとも決して認めなかった...

 

そして、サスケが里を抜け敵となっても、連れ帰ることを...何度サスケ自身に突き放されても諦めなかった。

 

最後には、互いの片腕を犠牲にしつつも、和解し、認めあった。

 

そのナルトの師が自分であることが誇らしかった。

 

そして...

 

(ワシも大馬鹿になってみせる。お前の前世での生き方...あれこそ、ワシにとっての理想の体現...)

 

「ならば、ワシも負けてはおられんからのぉ!!!」

 

自来也が自身の決意を口にした。

 

「私を説得したかったら、あくまでも力で来なさい。とは言え、老いて術にも動きにもキレが無くなってきてる貴方にそれが出来るとは思わないけどね。三代目もそう。木の葉崩しの時...彼と相対した私は失望したわ...彼の全盛期を知っているだけにね...そして、自分の考えが間違ってないことも確信したわ。」

 

「そいつは、早合点が過ぎるのぉ。確かにあの時、三代目の実力は衰えていた。だがそれは、老いによるものと言うよりも、一線から退いていたからだ。火影として木の葉全体の運営に関わってきた三代目に、身体を鍛える時間も無いしのぉ。だが...お前は三代目を...猿飛先生を見くびり過ぎだ...」

 

ドォォォォン!!!

自来也が言った時...二人の間を何かが高速で吹き飛んでくる。

 

「な!?」

 

それは、初代と二代目火影...

 

それを追って現れたのは...

 

「ん!なんじゃ...自来也よ...まだ決着を付けておらなんだか...あまり時間がかかる様ならワシが代わるぞ?」

 

多少の傷はあるが、まだまだ余裕そうな三代目火影...ヒルゼンであった。

 

あまりのことに驚き硬直する大蛇丸。

 

(どういうことなの...確かに木の葉崩しの時も、二人を相手に互角に戦ってはいたけど、あの時よりも穢土転生の術の制御は上がってる。今の二人は全盛期にそれなりに近い力を持っているのよ?それがどうしてこうも一方的に...)

 

「勘弁してくれ。三代目。コイツとの決着は、ワシが付ける。」

 

苦笑いを浮かべながら、ヒルゼンに言う自来也。

 

「ならば、さっさと決着を付けるんじゃな。いつまでも待ってやるほどワシもお人好しではないぞい。」

 

そう言うと、ヒルゼンは柱間と扉間を追って飛び去っていった。

 

「何故...」

 

呆然と呟く大蛇丸。

 

「さっきも言ったろうのぉ...お前は猿飛先生を見くびり過ぎだと。あの人は木の葉崩しで己の力不足を痛感した。そして火影を辞めて時間が取れたあの人は己を鍛え直したのだ。」

 

「老人がいくら鍛えた所で...」

 

「確かに身体のキレや、体力などは、全盛期には比べるまでも無ぇのぉ。だが、猿飛先生はプロフェッサーと謳われた忍だ。多くの術を使いこなし、あらゆる戦場から生還してきた...今の動きが全盛期に及ばないなら、今の動きのまま全盛期を超える戦い方を身につければ良い...ただそれだけのこと...」

 

「そんなに都合良く行くハズがないわ!」

 

ヒルゼンの考えを否定する大蛇丸。当然だ。老いとは能力の低下を意味する。それを覆すことは出来ないと考えているからこそ、他人の身体を乗っ取って若さを保って来たのだから。

 

「確かに限界はあるだろうがのぉ...少なくとも猿飛先生の限界は『今』では無いのだろうのぉ。そしてそれは、ワシにも言えること!」

 

「くっ!三代目はともかく、さっきまでの戦いで貴方の力はわかってるわ。貴方に私は倒せない。」

 

大蛇丸が否定する。

その言葉を受けた自来也はニヤリと笑う。

 

そして...

 

「それは、どうかのぉ...」

 

「な!?」

 

自来也の姿に驚愕する大蛇丸。

 

自来也の目の周りには仙人の証である隈取り...そして、若干カエルのように顔が変化していた。

 

「仙人モード!バカな...オマエは妙木山のカエルと融合しなければ仙人モードを上手く扱えないハズ。」

 

仙人モードは『動くな』が基本である。

 

しかし動かなくては戦闘は出来ない。

その為、フカサクとシマ...妙木山の二大仙蝦蟇の二人と融合し、『動くな』を行う者と戦闘を行う者...その役割を分担して初めて実戦で使える術となる。

 

しかし...

 

「オマエは普通に動いていた...一体何をした。」

 

驚きのあまり、声を荒くする大蛇丸。

 

「なに...これもある男の戦いを見て教わったやり方でのぉ...悪いが種明かしは無しだ。さあ...戦いを再開するかのぉ。」

 

そう...それは、ナルトがかつて編み出したやり方...

影分身に自然エネルギーを集めさせ、分身を解くことで仙人モードとなる。

 

ナルトと違うのは、自来也は自然エネルギーの扱いはナルト程上手く無いが、術の扱いはナルトよりも上手い点。

 

それゆえに、ストックしている分身の人数もナルトよりもかなり多かった。

 

「確かにフカサク様達の助力を得られれば楽だろうが...それじゃあ、お前さんは納得せんだろうからのぉ。大蛇丸よ...お前はワシが直々に叩き直してやる!」

 

戦いの流れは一気に自来也へと傾いた。

 

仙人モードで、知覚能力も身体能力も、更には術の威力すら一気に上がった自来也。

 

自力では、大蛇丸にやや分があるとは言え、そこまで一方的な差があるわけではない。

 

こうなると大蛇丸は、仙人モードの弱点である制限時間を突くしかないが、自来也は仙人モードが切れても、すぐにストックしている影分身を解くことで還元し、仙人モードを維持し続けた。

 

そして...

 

「終わりだ...大蛇丸...」

 

自来也は右手に螺旋丸を作る。

 

「くっ!!!何故...何故私が自来也なんかに...」

 

「お前は、術にばかり傾倒し、忍の本質を理解しなかった。だからワシに負けたのだ。忍者とは文字通り『忍び耐える者』の事だ。」

 

自来也はそう言うと、螺旋丸を大蛇丸に叩きつけた。

 

「ぐおおおおおっ!」

 

「いくら、脱皮できるといっても、内部にダメージを与える螺旋丸をその中心に食らえばすぐには復活出来まい?この勝負はワシの勝ちだ。」

 

自来也はそう言うと大蛇丸を見下ろした。

 

大蛇丸は仰向けに倒れ動けない...

何を考えているのか、その顔からは窺い知ることが出来ない。

 

しかし...

 

「くくくくく......あっはっはっはっ...そうね...私の敗けだわ...」

 

突然笑い出した大蛇丸...

その顔は、どこか吹っ切れたように見える。

 

そして、自らの敗北を口にした。

 

「私を説得するなら力で示せ...そう言ったのは、他ならぬ私だもの...潔く認めるわ...」

 

「そうか...ならばもう良いだろう?術を探求したい。それはわかる。だが、仲間を裏切ってまでそれを探求したところで、お前さんの手元には何も残らんよ。」

 

「.........。」

 

「大蛇丸...今さらワシらの元に戻ってこいとは言わん。お前にも立場があるからな。だが、せめてワシらに迷惑をかけるのは辞めてくれ。ワシも猿飛先生も...お前を手にかけたいとは思っておらんのだからな。」

 

「ええ...わかったわ...負けたのは事実だしね。この場は貴方の言葉に従うわ。」

 

大蛇丸はそう言うと、ヨロヨロと立ち上がると、カブトを呼び寄せる。

 

「カブト...これより、私たちは忍連合に協力する。文句はあるかしら?」

 

「いえ、ありません。」

 

大蛇丸の表情に、何を思ったかわからないが、カブトは柔らかな笑みを浮かべた。

 

カブトは、自分の存在価値を求めて大蛇丸についていた。

 

しかし、大蛇丸に対し、敬愛の心が無かったわけでもない。

 

前史においては、大蛇丸がサスケに討たれてなお、大蛇丸を様付けで呼んでいた事からもその事は伺える。

 

あるいは、大蛇丸の心変わりに真っ先に気付いたのかもしれない。

 

「穢土転生を解くのは後、まずは白ゼツを片付けるわ。」

 

「了解しました。大蛇丸様。」

 

自来也の活躍により、戦場の流れがまた変わろうとしていた。

 

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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