逆行したナルトの物語 完結   作:アーク1

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今話は、オリジナルの設定があります。
突っ込みは無しでよろしくお願いいたします(笑)


ダンゾウの切り札

一方、ダンゾウの元へと向かったサスケとイタチは、今まさにダンゾウと対峙していた。

 

「ダンゾウ...もう逃げられないぞ...一族の仇...覚悟しろ。」

 

サスケが感情を圧し殺した声でダンゾウに言った。

 

「........................。」

 

しかし、ダンゾウはちらりとサスケを見るも、何も言うことは無くイタチに視線を向ける。

 

「イタチ...まさかお前が生きていようとはな...どうだ?もう一度、ワシの為に働く気は無いか?」

 

ダンゾウは、サスケを無視してイタチにだけ語りかける。

 

「てめぇ...ふざけるな!俺を人質にして兄さんを利用し、一族を皆殺しにさせた挙げ句、この上まだ兄さんを利用するつもりか!!!」

 

「サスケ...落ち着け。ヤツの口車に乗るな。ここは戦場だ。冷静さを忘れ、闇雲に戦いを挑めば、そこに待つのは死だ。」

 

激昂するサスケを、あくまでも静かな口調で窘めるイタチ。

 

「残念だ...お前は任務の為ならば、己の心を偽れる忍の中の忍だと思っておったのだがな...イタチよ...ワシ程お前を評価している者もおらんかったのだぞ?」

 

失望の表情をして、ダンゾウは言った。

 

「先に契約を破ったのはお前だ...ダンゾウ。大蛇丸の木の葉崩しの折り、お前は大蛇丸と内密に密談を交わしていた。ヤツの狙いがサスケであることを知っていて、お前はヤツを手引きしたな?」

 

しかし、イタチはそもそも、ダンゾウが先に裏切ったことを指摘する。

 

「必要があったのだ。その代わりにヤツに必要以上の襲撃を控えてもらい、木の葉が衰退することの無いように交渉したのだ。三代目が仮に大蛇丸に殺される事になっても、その後ワシ自らが木の葉を率いて復興するつもりだった。」

 

イタチの言葉に反論するダンゾウ。

 

「俺にとっては木の葉よりも弟が大事だ。両親を...親友を...一族を自分の手にかけてでも守った命...今更奪われてなるものか...」

 

イタチは己の心の声を言葉にした。

 

「兄さん...」

 

両親を...一族を殺された恨みは無くなった訳ではない。

 

しかし、兄にうちはの者たちへの愛情が無かったとも思えない。

それでも、兄は己の心を殺して自分の手を汚してでも自分を守ってくれた...

 

サスケは、イタチの心からの声に感謝の念を覚えた。

 

「イタチよ...お前の弟に、それほどの価値があると言うのか?戦場にありながら己の私怨を優先して行動する...忍としての能力もお前とは比べるまでもない...」

 

ダンゾウは、哀れみを持った目をイタチに向けた。

 

「忍として...か...我が里の長は良く口にしている言葉がある...『俺たち忍は、忍である前に一人の人間だ』とな...。俺がサスケを大事に思っている事は、忍としての価値ではない。うちはイタチと言う一人の人間にとって、うちはサスケと言う人間の価値は、何にも勝ると言っているのだ。」

 

「.........これ以上、何を言っても無駄か...仕方あるまい...ワシとしてもお前の力は惜しいが...ここで葬るしか無いか。」

 

ダンゾウは、全ての写輪眼を解放した。

印を結び、イザナギの準備に入る。

 

「やってみろ。」

 

「兄さん、俺も...」

 

ダンゾウの前にうちはの兄弟が並び立つ。

 

「「「行くぞ!!!」」」

 

 

戦いは、一方的だった。

 

元々、ダンゾウの戦闘能力は良いところ今のサスケとそう変わらない。

 

この上、イタチの相手等出来るハズも無かった。

 

イザナギが無ければ、とうの昔に殺されていただろう。

 

そして、その肝心のイザナギも...

 

「これで、お前の腕に移植された写輪眼は全て閉じた。もはやお前に勝ち目はない。投降しろ。ダンゾウ。」

 

既にそのシステムを解明され、時間制限も見破られた。

 

最後の眼が閉じ、ダンゾウに勝ち目は無くなった...

 

そう判断したイタチは、投降するように持ちかけた。

 

「兄さん!?こいつは俺の手で殺させてくれ。」

 

投降を呼び掛けるイタチに驚くサスケは、自分の願望を口にする。

 

「ダメだ。こいつは、今の木の葉の責任者。そして宣戦布告をした張本人。処分は、忍連合によって決まる。」

 

「でも...」

 

「こいつを殺せば、木の葉に残った何も知らない者たちに被害が及ぶ事にもなるんだ。我慢しろ。」

 

責任者は責任を取るためにある。ならばその責任者が死んでしまえば?

 

当然、残った者たちの中で、責任を負うものを決めねばならない。

 

生け捕りにできるなら、それに越したことはないのだ。

 

「くっ!」

 

それを理解したサスケは悔しそうに歯噛みする。

 

「ふっ...どのみち死は免れんさ...ダンゾウ、お前の行ってきた罪...白日のもとにさらけ出した上で汚名を受けたまま死ぬんだな...」

 

ある意味、ここで死ぬよりもダンゾウにとっては苦痛であろう...

 

イタチは、それを思い笑った。

 

「.........もう、勝ったつもりか?ワシを殺した所で、戦争は終わらん。ワシの兵団は不死...お前たちに勝ち目は無い...」

 

「そう思うなら周りを見るんだな。ダンゾウ」

 

「なに?」

 

ダンゾウが周りを見渡すと、穢土転生の部隊が反旗を翻し、白ゼツの兵団を襲っていた。

 

その中には、マダラの姿も見られた。

 

カブトとは違いマダラの危険性を理解していた大蛇丸は、自分が操作可能なレベルまで再現度を落とし、マダラを穢土転生していた。

勿論、印を教える等間違ってもあり得ない。

 

「大蛇丸め...裏切ったのか...」

 

呆然とその光景を見つめるダンゾウ。

 

「ダンゾウ...もうお前に勝ち目はない...大人しく投降しろ...」

 

イタチは再度投降を呼び掛けた。

 

「予想外の展開だね...ダンゾウ...もう、切り札を出すしか無いんじゃない?」

 

と、その時、ダンゾウの隣にゼツが現れた。

 

「.........致し方あるまい...出来ればこの手は使いたく無かったが...」

 

ダンゾウは少し悩むようにしながらも、決断する。

 

「何をする気か知らんが、やらせると思うのか?」

 

イタチはサスケと目配せをすると、ダンゾウを止めようと駆ける。

 

「そうはさせないよ...」

 

しかし、それをゼツが白ゼツたちを向かわせて止める。

 

『口寄せの術!』

 

ボンッ!!!

 

ダンゾウの口寄せの術により辺りを煙が覆う。

 

その煙が晴れた時、そこにあったのは...

 

「な!?なんでアレが、口寄せされるんだってばよ...」

 

ダンゾウが口寄せしたものに驚き焦るナルト...

 

それは、光の里の奥深くに封印されていた十尾の脱け殻...外道魔像であった。

 

「ふむ...大蛇丸に移植させた初代様の細胞と、うちはシンの腕...理論上は可能だったとは言え...アレを口寄せできるか、賭けに近かったが...どうやら上手く行ったようだな...」

 

ダンゾウは、その結果に安堵した。

 

「どういう事だ...アレは口寄せ封じの札を貼っていたし、監視もしていたハズだ...」

 

我愛羅も呆然として呟く。

 

「何...お前たちの元に送ったスパイがやってくれたのよ。」

 

「バカな...この里に悪意を持つものは入れないハズ...」

 

ダンゾウの言葉を反論するようにシカマルが言った。

 

「確かに骨が折れたぞ...貴様らの里に入るには、ナルトに悪意を感知される訳にはいかない。普通のスパイではどうやっても潜り込む事は出来ぬ...良く考えたシステムだ...だが...何事にも穴がある...」

 

「何!?」

 

「要はナルトに悪意が無ければ良いのだろ?ワシに協力することが『ナルトの為になる』と言う幻術を掛けたのだ...この右目の写輪眼でな!」

 

ダンゾウが真相を明かす。

 

「そうか...その眼...それはシスイの...」

 

イタチは状況を察した。

 

「そう...最強幻術『別天神』...この術は普通の術とは違う...何しろ術にかかってる事に本人さえも気づくこと無く、己の意思で行動しているのだからな...これは例えナルトの力でも気付けまい...」

 

ダンゾウは得意満面と言った表情で語った。

 

「はっ...上機嫌な所悪いがな...その魔像は空っぽだ...確かに口寄せ召喚されたのには驚いたが、それでどうするつもりだってばよ...」

 

しかし、魔像の中身が空であることは、誰よりもナルト自身が知っている。余裕を崩す事無くダンゾウに事実を告げた。

 

「その程度の事は、ワシとてわかっておる...その為の準備も当然しておるわ...」

 

ダンゾウはさらに口寄せで、金銀兄弟の忍具を呼び寄せた。

 

これらは、戦争の前の段階で大蛇丸に穢土転生された兄弟から取り上げていたものだ。

 

「この忍具には九尾のチャクラが宿っている。これを魔像に吸わせる。」

 

「その程度で、十尾が復活するかよ...十尾の復活には、一尾から九尾の尾獣を全て魔像に納めなきゃならねぇんだ...今更どうにもならねぇってばよ。」

 

「それは違うな...確かに尾獣のチャクラは必要だ...しかし、元を正せば尾獣とはチャクラの塊に過ぎぬ。ならば足りぬチャクラを他で代用してやれば良い。」

 

「そんなこと出来るかよ。尾獣たちのチャクラの強大さは、お前も知ってるだろ。」

 

ナルトは、ダンゾウの言葉を否定しながらも、焦りの口調が見え始めた。

ダンゾウの自信がどこから来るのか...

 

何をするつもりなのかもわからない...それもまた不安を掻き立てる。

 

「確かに人と尾獣のチャクラを比べればそのチャクラ量は数万...あるいは数十万倍違うだろう...しかし...ならば人のチャクラを数十万人分用意すれば良い。木の葉の里には未だそれだけの数の人々が住んでおる。」

 

「な!?」

 

「魔像を呼び寄せ、九尾のチャクラを吸わせる...そこに数十万人分のチャクラを入れれば、十尾は復活する。」

 

「お前は...自分の里の人間を犠牲にする気か!!!」

 

「フッ...そんな事はせん。里の者たちには、命の危険にならない所で吸い上げを止めるよう調整しておる...それでも危険な事に変わりはないからな...出来ればこの手は使いたく無かったが...ここまで来ては致し方無い...さあ、木の葉の民たちよ...ワシを信じ、ワシに付いてきてくれた愛すべき民たちよ...明日の木の葉の繁栄のため...ワシに力を貸してくれ!!!」

 

その瞬間、木の葉を巨大な術式が覆った。

今回、逆行したナルトの物語は完結です。他にpixivに幾つか投稿してる作品があるのですが、投稿を希望させるかどうか聞かせて下さい。

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