ベルの兄は異世界人   作:ごーたろんす

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一応ここで異端児編は終わるかなぁ?

終わらなかったらごめんなさい!


地上での異端児パーティー!フィンさんの胃は大丈夫か?

助けた異端児には隠れておくように伝える。そのままベルとウィーネを探して下に降りていく。

 

かなり下に潜ったが一向にベル達の電磁波を感知できない。焦りが募っていくが探し続ける。

そこで魔道具が光る。

 

「ベルか!?兄ちゃんもクノッソスにいるんだがお前らはどこにいるんだ!?」

 

「え、ゆ、ユウたん違うで?ロキやロキ。ベルたんもクノッソスにおるんか!?どないなってんねん!ユウたんこっちも事件や!ウラノスのアホに聞いてんけど異端児がウィーネたんを拐われたあと暴走してイケロスのアホんとこを追いかけ回しとるらしいねん。んで地上に出てくるかもしれんのや!そないなことなったらウィーネたんも討伐しようとするかもしれん!」

 

ユウはロキの話を聞いて焦る。

 

「ロキ様!!俺はどうしたらいい!?かなり下まで潜っててロキファミリアと別れてるんだ!!」

 

「ユウたんまず落ち着き!とりあえず地上に出てきぃ。ほんでフィンにはうちから異端児について話しとるから上手いこと異端児をクノッソスに戻し!ベルたんはあんたの弟や。信用しとき。簡単にやられるような子やないし絶対妹のウィーネたんを助ける。」

 

ロキに礼を言い、全力で来た道を戻る。すると一階部分に着いた時にベルを感知する。その近くの大きい電磁波も…。

 

ベルが暴走してるヴィーヴルを背に守りロキファミリアの第一級冒険者と対峙していた。

 

「ベル・クラネル。ああ。ユウ君も来たか。そのヴィーヴルは我を忘れて暴れている。それは危険だ。ヴィーヴルの涙が無いと言うことはもうダメだ。討伐させて「こらウィーネ!ふんっ!」

 

フィンさんが喋ってる途中に頭にゲンコツをいれる。すると正気に戻ったウィーネが泣きながら頭を抑えている。その光景を口を開けてみているロキファミリア幹部と他の派閥の冒険者連中。

 

「ったく。ベル!お前も何やってんだ!ロキファミリアと敵対してる場合じゃねーだろ!壊れたやつは叩いて直すって教えただろーが!」

 

「ご、ごめん兄ちゃん。僕も叩いたんだけど直らなくて…そしたらディックス?ってやつが邪魔ばっかりしてくるし。」

 

おいおいおい。お前らちょっと待て。暴走したヴィーヴルを叩いて直すとか聞いたことねーよ。しかも弟の方も試したのかよ。

 

全員この考えが頭をよぎっていた。

 

「あー騒がせて悪かったなみんな。このヴィーヴルはウチのペットなんだわ。普段は大人しい子なんだけどな。闇派閥のやつに涙奪われて暴走してたみたいだわ。」

 

「そ、そうだったのかい。ヴィーヴルをテイムするなんてさすがユウ君だね。他も騒ぎが起こってるみたいだし僕らもそっちに向かうよ。」

 

フィンさんは顔を引きつらせながら上手いフォローをしてくれた。周りの冒険者もああ。愛狂兄貴か。あいつならテイムもできるだろ。だから叩いて直せたんだな。と口々に言って他の場所に向かう。

 

「ウィーネ!痛かっただろう?ごめんな??つかその額の石無くても大丈夫なのか?」

 

「ユウ兄ちゃん…ウィーネ多分消えちゃう。でもね真っ暗で寒くてすごく寂しかった時にベルが助けてくれたんだぁ。そしたらユウお兄ちゃんにあってね、お兄ちゃんが出来て美味しいご飯も食べれて家族も友達もできてウィーネすっごく嬉しかったよ。みんな居ないから2人にいっぱいありがとうって言いたかったんだぁ。

 

ベル…ユウお兄ちゃん…大好きだよ。ありがとう。」

 

ウィーネはその言葉を残して灰になった。ベルは声を上げて大泣きし、ユウは唇を噛んで血を流し身体を震わせている。

そこにフェルズがやってきた。2人の前にある灰をみて全てを察した。

 

「そうか。間に合わなかったか…。今から唯一私だけに許される魔法を使う。失敗すると二度も喪失感を味わうことになるが蘇生魔法を使ってみよう。」

 

フェルズの言葉に驚く2人。頼むとフェルズに任せる。フェルズは長い詠唱を開始する。

 

「未踏の領域よ、禁忌の壁よ。今日この日、我が身は天の法典に背く―ピオスの蛇杖、サルスの杯。治癒の権能をもってしても届かざる汝の声よ―どうか待って欲しい。王の審判、断崖の雷霆。神の摂理に逆らい焼きつくされるというのなら―自ら冥府へと赴こう。開け戒門、冥界の河を越えて。聞き入れよ、冥王よ。狂おしきこの冀求を。止まらぬ涙、散る慟哭。代償は既に支払った。光の道よ。定められた過去を生贄に、愚かな願望を照らしてほしい。嗚呼、私は振り返らない。ディア・オルフェウス。」

 

眩い光が灰の部分を覆う。光が薄くなるとウィーネが寝ていた。ガシャっとフェルズが倒れる。まさかと思ったが生きているようで普通に喋ってビックリした。ただでさえ骨でホラーなんだからやめてほしい。

 

「フェルズありがとう。妹とこうしてまた触れ合えるのはあんたのおかげだ。異端児は任せてくれ。俺が責任持ってダンジョンに押し込んでやる。」

 

フェルズは満足そうだ。あのフェルズの詠唱。あれはアスクレーピオスの神話をなぞった祝詞だろう。冥王ハーデスが死者蘇生で冥界の民を奪われて秩序が乱れるだかなんだかをゼウスに言って雷霆で撃ち殺したんだっけ?もしかしたら爺ちゃんが俺とベルの大切な妹だったから許してくれたのかな。なんて思ってしまう。

原作を知っていたのに妹を失った時、ユウは涙を流す資格さえないと思った。だがこうしてフェルズが蘇らせてくれた。この恩は返せるようなものではない。だからこそフェルズが大切にしている異端児達を1人残らずダンジョンに戻す。

 

「フェルズ。ウィーネはウチのペットってみんなに言ったからもう大丈夫だから地上で預かるぞ。俺だからで納得してくれるやつ多いし。それでも何かしてくるやつがいれば即座に対応する。とりあえずフェルズとベルはホームにウィーネを連れて行ってくれ。俺はフィンさんとロキ様のとこに行く。」

 

ベル、フェルズはウィーネを連れてヘスティアファミリアへ。ユウは雷を纏いフィンのところに向かう。

 

「フィンさん!さっきは助かりました。すみません。」

 

「ユウ君か。いや、あれで終わらせれたのは君が今まで築き上げた信頼のおかげだよ。まぁウィーネちゃんを叩いて混乱から直すのは驚いたけどね。僕、リヴェリア、ガレス、ベート、レフィーヤはウィーネちゃんのことを知っているし異端児についても知っている。特にロキがウィーネたんウィーネたんってうるさくてね。

それでだけどウチは探索系ファミリアだからあまり異端児と仲良くするわけにはいかないんだ。ダンジョンで攻撃を躊躇ってやられたなんてお笑いにもならないからね。」

 

「ええ。それは理解してます。ロキ様とも話しましたがフィンさん達は普通に討伐しようとしてください。あとはこっちでなんとかしますんで。ガチンコのロキファミリアVSユウ・クラネルと愉快な仲間たちと行きましょうか」

 

「へぇーフィンVSユウたんみたいな感じやなー。ええやんええやんおもろそうや!」

 

フィンさんがもの凄く嫌な顔をしている。

 

「ロキ。ベートとレフィーヤが向こうに着くのは間違いないんだよ?はぁ。これなら深層の方が楽だよ。それに魔道具で連絡を取り合ってみんなを上手く誘導するじゃダメなのかい?」

 

「ほほう。天下のロキファミリアの団長様が、勇者の2つ名を持つフィン・ディムナさんが勇気を示さないと。レベル3以下が主体のユウたんと愉快な仲間達に怯えると?」

 

この言葉にはロキ様もフィンさんもイラッときたのかこちらをジッと見てくる。ニヤニヤしながらお2人を見て待っている。

 

「ほーん。ユウたん自分おもろい事言うやん。ウチの1番最初の1番信頼しとるフィンがオラリオに来てまだ数ヶ月のひよっこに負けるやと?フィンやったれぇぇぇぇ!!もうこの際とことんやったれ!!!」

 

「ふぅ。その気にさせるのが随分上手いねユウ君は。その喧嘩ありがたく買わせてもらうよ。ベートとレフィーヤは上手いこと言ってこっち側についてもらうから後で泣き言言ってもしらないよ?」

 

「ふっふっふ。お2人はそうでなくては!あ、すいません。レフィーヤはもう既にウチのホームにいますんでこっち側ですわ。さっき回収しときました。そんじゃ勝敗の付け方ですがこっちの勝ちはクノッソスに異端児を全員ぶち込む。ロキファミリアの勝ちはそれをさせない。期限は明日明後日の2日間でいいですかね?あ、あと異端児は仮に捕まえたならウラノスんとこに放り込んどいてください。

 

んで地上から異端児が居なくなったらそのままクノッソスに突撃って感じでいいっすか?」

 

2人とも頷き笑う。まさかオラリオを使って擬似戦争遊戯が始まるとは思いもしなかっただろう。

 

すぐにホームに帰る。ホームに着くとベートさんとフィルヴィスもいた。すまんフィンさん。ベートさんもこっちにいたわ。

そしてみんなに擬似戦争遊戯の話をするとすごいやる気に満ち溢れていた。罰則なしでオラリオトップクラスのファミリアと戦って自分達の力を試せるのが楽しみみたいだ。

 

「それとウィーネはウチのペットって感じになって地上にいても問題ないからウチのホームに住むから。フェルズがギルドのテイム済みのマーク持って来てくれるらしいからそれが来るまではホームから出ちゃダメだよ?」

 

「うん!フェルズにいっぱいありがとうしたよ!」

 

ウィーネの頭を撫でながら話を続ける。

 

「まぁこっちの勝ちはほぼ決まってるんだけどな。各ポイントポイントで足止めが成功したらウチの勝ち。」

 

「お兄ちゃんどういうこと?あっちはベートさんとレフィーヤがいなくてもトップファミリアだよ?それで勝ちがほぼ決まってるってよくわからないんだけど。」

 

クククと笑いながら説明するとみんなドン引きしていた。ベートさんとレフィーヤは「「フィン(団長)、ロキ。相手が悪すぎた。どんまい。」」と呟いていた。

 

ーロキファミリア目線ー

 

「っちゅうわけや。ベートもおらんとこみたら向こうについたみたいやな。こりゃ厳しくなっとるな。でもなウチのフィン、リヴェリア、ガレスは最初の子供でウチの誇りや。ヘスティアファミリアにユウたんがおるとは言え、負けるとは思ってへん!吠え面かかしたろうやないか!」

 

「ロキ。話はわかったがオラリオが揺れている時にそんなことをするな!フィンもお前らしくない。何故止めなかった?」

 

「ガハハハ。良いではないかリヴェリア。大方ユウに煽られたんじゃろう。あやつは人を乗せるのが上手いからのぉ。」

 

「くくっ。ガレスの言う通りだよ。この僕に、勇者の2つ名の僕に勇気を示せと挑発してきたからね。僕も丸くなったとはいえ、そんなことを言われて大人しく引き下がることなんて出来ないよ。」

 

リヴェリアは肩を落とし、ガレスは大笑いし、フィンはにやけながら策を考える。

 

「リヴェリア。僕は正直今を楽しんでるよ。レベルとか強さとかを抜きにして、ユウ・クラネルとベル・クラネルに挑戦したいんだ。彼らは僕達が考えつかないような行動で僕達ができなかったことを悉く解消、解決していった。しかも僕なんて命まで助けられているからね。幼稚かもしれないけど僕は彼等と対等に居たいんだ。絶対に負けたくない!!」

 

フィンの心の声を聞き、リヴェリアとガレスも思うところがあったのか頷く。

 

「確かに彼ら兄弟には世話になりっぱなしだな。ここら辺で年長者とはなんたるかを指南するのも良いな。」

 

「そうじゃのぉ。感謝はもちろんしとるがヒヨッコ共に儂らの武勇を示す時かもしれんの。」

 

3人の意志を聞きそれを暖かい目で見守るロキ。これがロキファミリアの本当の強さなのかもしれない。

 

「とりあえずこの話はこの4人までや。他の子にはベートとレフィーヤが向こうについた。ウチらはそれを加味した上で異端児を捕らえるのを最優先するって感じで指示するで?擬似戦争遊戯なんて教えられんからな。特にアイズたん…ウラノスに聞いたら「なるべく討伐はしてくれるな。しかしロキ達の立場が悪くなるなら討伐も仕方ない。今はまだオラリオに混乱を招くだけだからな」とのことや。」

 

「おそらく1番討伐しようとするアイズはあちらにとっても不穏分子だ。ベートかユウ君かベル君がつくだろう。アイズも動けなくなるが向こうの主力も1人動けなくなるから問題ない。向こうで警戒すべきはユウ君、ベート、レフィーヤ、ベル君、アイシャ・ベルガだ。この5人の動きを止めてしまえば数はこちらが上だから勝つことは容易だ。」

 

「だが止めるのが難しい…か。」

 

「そうだ。向こうにはロキのトリックスターも顔負けの何をしでかすかわからないユウ君とユウ君を1番理解して実力以上のものを発揮するベル君がいる。それにユウ君に頼られたレフィーヤは脅威すぎる。」

 

「話聞いとるだけでも厄介なんてもんやないな。これマジで深層攻略より難易度高ない?」

 

4人全員黙り込む。ふとガレスが口を開く。

 

「そもそもなんじゃがユウ達を倒そうとするから行き詰まるんじゃないのか?儂は考えるの得意じゃないから簡単な事しか言えんが異端児をクノッソスに帰ささんようにすれば良いんじゃろ?ならマッピングもしたし入口で待機する部隊を作ったらええんじゃないのか?」

 

フィンはハッとする。

 

「感謝するよガレス。どうもユウ君に対して意識が強すぎたみたいだ。そうだね。それは最優先だ。1つはウィーネちゃんとベル君が潰しちゃったから残りの出入口は2つだ。そこをリヴェリアのエルフ部隊で魔法の詠唱をしつつ待機。もう1つはガレス。君に任せるよ。僕は指示と動くべきだと思ったら動く。場をかき回す為にアイズは自由行動でティオナ、ティオネはコンビで動いてもらう。残りは何部隊かに分ける。ラウルとアキに指示してもらおう。」

 

「存在するだけで厄介ってユウたんエグすぎるやろ。ま!フィンの策は今考える限り1番ええわな。ほな気張っていくで!!全員集めて指示するで!」

 

ーヘスティアファミリア目線ー

 

「と、フィンさん達は考えるはずだ。俺がフィンさんの立場なら絶対そーする。フィンさんは頭が切れるからこの推測は間違いない筈だ。でも頭が切れるからこそさっき言った事までたどり着かない。」

 

「ああ。ユウの考えはほぼ間違ってないだろーぜ。ずっとフィンとあのババアとジジイを見てきたからな。想像が簡単だ。」

 

「でもどうするの?出入口封鎖されちゃうとレベル6組と戦闘になっちゃうよ?ユウ君とベート君がいるから負けはしないだろうけどフィン君の言ってた足止めになっちゃうけど…」

 

「ヘスティア。だから言ってんじゃん擬似戦争遊戯って。戦争遊戯じゃないんだからルールは取り決められてないの。勝敗を決める前提しかないんだよ?入口が封鎖されてるなら別の場所を壊して入口にしちゃえば良いんだよ。」

 

あまりの暴論に全員黙り込む。たしかにアダマンタイトの壁くらいならオリハルコンを壊すユウだ。余裕で壊す事が出来るだろう。

 

「それにさっきベートさん達には説明したけど勝ちは決まってる。後はどれだけ自分達の力を試せるか。それだけ。脳筋天然娘にはベルをぶつける。ベルならやれる。だって俺の弟だもん。しかも色々技も考えてるみたいだし。」

 

「任せてよ兄ちゃん!僕は強くなった事をアイズさんに戦闘で伝えてくるよ!」

 

 

「凸凹姉妹にはヴェルフの魔剣、ミコっちゃんの剣技、春姫ちゃんのブースト、アイシャさんをぶつける。あいつらも脳みそスッカラカンだけどレベル6だから身体だけは頑丈だ。ヴェルフ。お前の研鑽してきた魔剣の強さ見せてもらうぞ?」

 

「任せろ!ユウに言われてずっと壊れない魔剣を作ってきた。でも何かが足りてない。それを見つけてくる。ついでにユウとベルとロキファミリアの2人の魔法に良いアイデアをもらったからな。その魔剣の試し斬りもしてくるぜ。」

 

「あのパスパレードの一件から自分がどれ程強くなったか試すにはもってこいですからね。全力でいかせてもらいます。」

 

「わたくしはサポートしか出来ませんが新しい魔法も覚えましたしウィーネちゃんと約束したみんなを助けるを微力ながらお手伝いします!」

 

「任せな。あんたらに教えてもらった技術と春姫と一緒に作ったコンビ技を食らわせてやるよ。それにアマゾネスだからね。同じアマゾネスにはヘスティアファミリアとしても負けられないよ!」

 

「ベートさんはガレスさん。ベートさんが1番しんどいかもしれませんがお願いします。レフィーヤはリヴェリアさん。師匠を超えるのが弟子の役目だと俺は思うし何よりも俺は可愛い妹を信じてる。フィルヴィスは悪いけどホームでウィーネと神様を守ってくれ。」

 

「そろそろロートルに引退宣言させようと思ってたんだよ。丁度良いぜ。ぶっ飛ばしてきてやらぁ。」

 

「ユウお兄ちゃん!!私絶対リヴェリア様を倒してきます!!よーしやってやりますよー!!」

 

「ユウ兄上任せてくれ。ウィーネはユウ兄上の妹なら私の妹でもある。絶対に守り抜こう。それに死妖精と呼ばれた私を笑顔で招いてくれた神ヘスティア、神イシュタルにも感謝しているんだ。必ず皆を守りきる。」

 

みんなやる気に満ち溢れている。頼もしすぎる仲間をもった。俺は本当に恵まれてると思う。

 

「俺は異端児を連れて今言ったメンツがぶつかるようにするからみんな頼んだぞ!」

 

「「「「おう!!」」」」

 

のちにオラリオ1盛り上がった「狂乱の戦闘事件」と呼ばれる事件が幕を開ける。

 

ーベルサイドー

 

ユウお兄ちゃんに言われてアイズさんを探す。ダイダロス通りですぐに見つかり使わないナイフを投げた。

ナイフは弾かれアイズさんは僕を見て悲しそうな顔をしつつ困った顔をする。

 

「ねぇ…ベル…?なんでモンスターの味方をするの?なんで私達の敵になるの…?」

 

「アイズさんはなんで人間の味方をするんですか?なんで僕達の敵になるんですか?なんて聞いても答えは出ないでしょう?」

 

「モンスターは敵…だよ?人を傷つけて殺しちゃうんだよ…?」

 

「人も敵になりますよ?闇派閥の人間は傷つけたり殺したりしてませんでしたか?」

 

アイズは目を泳がして無言になる。

 

「アイズさん。僕は貴女に憧れて追いつきたくて実力を磨いてきました。ですが…それ以上にお兄ちゃんに憧れて追いつきたいんです。その為にアイズさん。貴女を今!ここで!超えます!!異端児なんて今はどうでも良い!アイズさんに憧れてる様じゃユウお兄ちゃんには追いつけない!!勝負だ!アイズ・ヴァレンシュタイン!!」

 

真剣な表情で目に炎を燃やしナイフを構えるベルを見るアイズ。アイズも剣を構える。

 

「ベル。私に憧れてくれたのを知って…その、嬉しかったよ。でもまだ追いつかせない。まだ憧れててもらうもん…。ベル・クラネル。勝負!」

 

 

ーベートサイドー

 

「おう。ジジイ。ジジイは知ってるんだったなぁ。なんの気兼ねもなくボコボコにできるぜ。」

 

「ほう。ベートが来たか。あのヒヨッコがデカイ口を叩くようになったもんじゃのぉ。じゃがの儂をちとナメすぎてはおらんか?」

 

「ハッ!てめぇの毛むくじゃらのツラ舐めるやつがいるなら見てみてぇわ!俺は生憎お喋りに来たんじゃねぇからなぁ。」

 

「儂もお前みたいな口の悪いガキと仲良くお喋りなんざ嫌じゃ。」

 

「「ぶっ飛ばす!!」」

 

 

ーレフィーヤサイドー

 

「リヴェリア様…。今日はリヴェリア様を倒しにきました!!」

 

「レフィーヤ何言ってるのよ!!リヴェリア様に失礼でしょ!それになんでモンスターなんか庇ってるのよ!あのヒューマンにまた何か言われたんでしょ!今ならまだ間に合うか「アリシアさん今何とおっしゃいましたか?ユウお兄ちゃんの事を貶しましたか?貴女から潰しますよ??」ッッッ」

 

以前のレフィーヤとは思えない殺気がアリシアと呼ばれるエルフに降り注ぐ。リヴェリアはため息を吐く。

 

「レフィーヤ。その殺気は家族に向けて発してはいけないな。アリシアもレフィーヤがどれ程慕っているか分かっているだろう。全く貴様達は。まだまだ教育が必要な様だな。レフィーヤ。お前は私を倒すと言ったな?ならばかかってこい。馬鹿弟子のワガママを聞いてやるのも師匠の務めだ。」

 

「リヴェリア様。ありがとうございます。ですがお兄ちゃんから弟子が師匠を超えるのを信じていると言われました。私は!ロキファミリア副団長リヴェリア・リヨス・アールヴの1番弟子であり、誰よりも優しく誰よりも大好きなユウ・クラネルの妹のレフィーヤ・ウィリディス!!絶対にあなたを超える!!」

 

「よかろう。お前等は離れてここら辺一帯に結界を張れ。レフィーヤはお前達が考えている以上に強い。下手をすれば私も食われかねん。レフィーヤ。手加減はせんぞ!」

 

 

 

ーヘスティアファミリア軍団サイドー

 

「よう。ティオナ・ヒリュテとティオネ・ヒリュテだな?俺はヴェルフ・グロッゾ。ヘスティアファミリアのレベル2だ。」

 

「自分はヤマト・命です。同じくレベル2です。」

 

「あたしはアイシャ・ベルガ。レベル4だよ。」

 

「わたくしはサンジョウノ・春姫と申します。レベル1です」

 

唐突な自己紹介に眉をひそめるティオネ。笑顔のティオナも自己紹介を始める。

 

「顔合わせも済んだ事だしもういいか?俺達はこの4人でお前らをここに足止めする。俺達の方がレベルは低いし殺す気でやらせてもらう。あーと勘違いしてくれるなよ?別に手加減してくれなんて言うつもりはない。というか全力で来ることをオススメする。」

 

「ごちゃごちゃごちゃごちゃとウルセェな!!あたしは団長に任された仕事があるんだ!!テメェらに構ってる暇はねぇんだよぉ!!ぶっ殺されたくなかったらそこをどけ!!」

 

ティオナは素直に疑問に思って聞いてしまう。

 

「ねぇねぇ。ユウ君とベル君のとこと敵対するのはわかってたし君達が来るのもわかるんだけどなんでティオネがぶち切れてるのにビビったりしないの?」

 

その言葉にヘスティアファミリアの面々は苦笑いしてしまう。

 

「あーなんだ。ユウがこう言えばヤンデレはブチ切れるからチョロいよって言われててその通りになったからな。それにだ…ティオネ・ヒリュテ。お前、俺らをナメてるだろ。はっきり言ってその程度の怒気や殺気くらいならこっちは何度も経験してんだよ!!」

 

春姫以外からティオネと同等の怒気が放たれる。ティオネ、ティオナは驚き身構えてしまう。

 

「ふざけんなよお前等。俺達はユウ・クラネルの愉快な仲間達だぜ?その辺の雑魚と思われちゃやってらんねーぜ。行くぞヒリュテ姉妹。雑魚の矜持と意地を見せてやる。」

 

ティオネとティオナは構えを取る。

 

「団長すみません。しばらくかかりそうです…」

 

「よーし!楽しくなってきたぁ!!」

 

 

ーリリサイドー

 

「全くユウ様は。でもこれでリリも動きやすくなりましたね。一族の英雄、フィン・ディムナ様。でもリリの英雄はクラネル兄弟です。底辺を味わったからこそできることをフィン様にお教えしてあげます。」

 

ーユウサイドー

 

ふむふむ。概ね結果は良好っと。フェルズから借りたこれ完全に透明マントだよな。

 

「さてリド君。まずは説教だ。暴走して地上に来た?それは良い。ダンジョンに戻す?それも良い。てめー等ウィーネ任せて2日で攫われたってどーいうことだコラ。フェルズのおかげで失わずに済んだけど死んでたら俺ブチ切れてオラリオ消滅させてテメェ等も全滅させてたぞこの野郎。」

 

「「「「すみませんでしたー!!」」」」

 

全力で謝る異端児達だった。特にフィアは責任を感じていたのかかなり落ち込んでいる。

 

「まぁいい。ウィーネはウチで預かるから。それと今からだけど普通に一般人の中を歩いていくから俺の後ろついて来て絶対喋ったり睨んだりすんなよ。テイムしたって事にすれば俺なら許されるから。」

 

その言葉に全員驚く。ついでに外の世界がどんなのか見とけとも言われ言葉を失う。

 

「ソレハホントウニ、ダイジョウブナノカ?」

 

「おう。グロスだっけ?お前って口悪いけど相手のことちゃんと考えれるいい奴だな。俺の友達にそっくりだよ。俺がどんだけ信用されてっか見せてやるよ。」

 

ユウは普通に商店街をゾロゾロと歩きながらダイダロス通りを目指す。

 

「あらユウちゃんモンスターをそんなに連れてどうしたんだい?」

 

「おーおばちゃん!元気にしてる?いやテイムしたからギルドに申請しに行ってたんだよ!本当は騒ぎにならないように夜帰ろうと思ったんだけど最近忙しくて眠くてさー!」

 

「ユウちゃんは本当に面白い子ねぇ。みんなーユウちゃんがモンスターテイムしたんだって!滅多に見れないし見ときなさいよー」

 

商店街のみんなはユウちゃんがまたなんかやったらしいぞとゾロゾロ出てくる。子供達はフィアを見て触っても大丈夫か聞いてくる。

 

「おー。テイムしてっから痛い事さえしなきゃ大人しいし可愛いぞ?フィア…そこの鳥の綺麗なお姉さんは歌声が綺麗なんだぞー。」

 

聞きたい聞きたいの大コールにキョロキョロしてしまうフィア。ユウが歌っていいよと伝える。ガーゴイルのグロスの翼に子供達を乗せて座らせる。フィアを中心に輪ができる。フィアの歌声を聴いて冒険者達も来るがユウの姿をみてあぁ。あいつか。で去っていく。歌が終わると拍手と歓声が上がる。商店街のみんなにまたねーと言われながらリンゴやパンなどを渡される異端児達。頭を下げて受け取っていた。

そのままダイダロス通りに出て壁を切り刻んでクノッソスの中まで穴を貫通させる。

連れてきた全員を入れる。そこで足りないやつが誰かを聞き、探しに行く事にする。

 

「あの、ユウさん。地上で歌を歌えるとは思っていませんでした。ありがとうございました。」

 

「気にすんな。もしベル達に何かあったら助けになってくれりゃそれでいいよ。グロスも子供達座らせてくれてありがとな。」

 

「イヤ。コチラコソカンシャスル。アリガトウ。ユウ。」

 

そう言って異端児達は中に入っていった。

 

ーフィンサイドー

 

「くそっ!やられた!あんな手で来るなんて!」

 

「あーユウたんにしか出来ひん方法やな…。」

 

「想定外にも程があるよ。まさか商店街をモンスターを連れて歩くなんて。あそこで攻撃したら僕たちが悪者だ。こんな搦め手まで用意してるなんて…」

 

「ほんでも短期間で2度使えるわけじゃないやろ?また同じことしたらまた?ってなるしなんかおかしく思う冒険者も出てくる筈やで?それはユウたんもわかっとるやろ。せやから残っとる異端児をユウたんが回収するまでが勝負やな。」

 

「結局出入口も封鎖した意味が無かったしね。別のとこから穴を開けて入るとか意味がわからないよ。それにガレスとリヴェリアは相当手こずってるみたいだしね。僕もそろそろ動くよ。」

 

さてさて個々の戦いとフィン、ユウの戦いはどんな結果を迎えるのだろうか。




いやー個々の戦いを書こうと思ったせいでめっちゃ長くなっちゃった!

次で終わらせるんでほんと許してください!!

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