ベルの兄は異世界人   作:ごーたろんす

22 / 42
これで終わらせます!!

書きたいことを書いてしまうと長くなるからちゃんと計画して書こうという教訓をもらった異端児編でした。


戦いはオラリオにありー!!

ーベルサイドー

 

圧倒的な剣戟をベルはナイフでいなし、剣の側面を弾き、一瞬の隙を突いてカウンターを仕掛ける。アイズはそのカウンターに対してガードではなく避けることを選択する。後方への緊急回避。だがそれは敏捷特化のベルには悪手。

 

「あん?どうやって相手を崩す?んなもんひたすら我慢して我慢して一瞬の隙を突いてカウンターだ。そしたら押してた相手は体勢が不利になるガードより回避を選択しやすい。回避したらこっちのもんだ。なんせ自分がこの打ち合いで負けましたって言ってるようなもんだからな。」

 

ベートとの鍛錬の成果がここで実る。ベルはベートに言われたことを頭の中でただひたすらに想定し、どうするかをシミュレートしてきた。身体が勝手に反応する。

縮地を使い追撃をしかける。二刀ナイフで無呼吸でひたすらにアイズを斬りつける。だが一方のアイズも膨大な戦闘経験を持つ第一級冒険者。ベルのナイフがいつものキレを無くした瞬間に弾き返し間合いを取る。

2人は驚愕していた。ベルはアイズの一瞬のズレを見逃さないその胆力と技術に。

アイズはベルに今の剣戟のイニシアチブをずっと取られていたことに。

 

2人は呼吸を整え直しまた激突する。紫と赤のナイフが、銀色の剣が線となり火花を散らしある種の芸術のようになる。アイズの攻撃をベルは側面から叩いてズラす。ベルがレベル差が3ある相手についていけているのは圧倒的なまでの対人戦闘経験と技術の極致と武神に言わしめた兄との幼い時からの鍛錬の成果だ。技術面に関してはオラリオでも1、2を争う。ナイフの扱いだけで無く身体の使い方、足捌き。どれをとっても一流と言える。

 

一方のアイズだが戦闘経験は膨大だがその相手は自分より大きく異形の存在のモンスターばかりだ。よって対人戦闘の経験が大きく不足していた。だがそこは若いながらも第一級冒険者に位置する者。ベルの動きを見て、すぐさま自分の物とすべく学習していく。

 

 

お互いが間合いを取った時にベルが苦笑いをして口を開く。

 

「さすがですねアイズさん。僕の動きを盗まれてきましたね。レベル差もあるので正直なところ動きを盗まれるときついですよ。」

 

「ううん。ベルが本当に強いから…。私も今の私じゃ勝てないかなって…。」

 

「アイズさんにそう言っていただけると強くなれたかなと思います。アイズさん。魔法ありますよね?」

 

「う、うん。風のエンチャント。」

 

「使ってもらえませんか?余力がある状態で決着なんて嫌なので。僕も持てる力を全て出します。」

 

「で、でも…危ない…よ?私の魔法…。」

 

「わかりました。僕の動きを見てから使用するか決めてください。」

 

ベルは目を閉じて身体に魔力を循環させていく。皮膚の上にもう一つ魔力で皮膚を作るイメージだ。それから血液にも魔力を循環させ身体の隅々まで魔力でコーティングする。

目を開く。神様ナイフにも魔力は回っている。そして構えてアイズを見る。アイズはその瞬間悪寒が走りすぐに後ろに緊急回避する。アイズが居た場所でベルがナイフを振り下ろした格好をしていて胸当てにぱっくりと切れ込みが入っていた。冷や汗が頬を伝い顎から地面に落ちる。

 

「な、に、それ…。全然見えなかった…」

 

アイズはすぐさまエアリアルを発動させる。冒険者としての勘が今のベルは脅威に値すると告げる。

 

ベルは縮地を連続使用して錯乱する。その姿は兎が高速で跳ね回るように見えるが…。

アイズは目で追い切れないと見るや否や風を広げて感知する。そこからまた激しい剣戟が繰り広げられる。

魔力を纏いステイタスを底上げしたベルとエアリアルでステイタスを底上げしたアイズ。同じ事の繰り返しになり兼ねないと両者は思う。だが不利なのはベルだ。技は盗まれ、そもそもレベルが違いすぎる。それは互いにわかっているのかベルは突破口を探し、アイズはなるべく長期戦になるように戦う。

 

ベルは立ち止まる。そしてふぅと息を吐きアイズをジッと見る。そして笑う。

 

「それでこそ僕の憧れたアイズさんです。最近のアイズさんはすごく悩んでる顔をしていましたから。アイズさん。僕は今すごく楽しいです。」

 

アイズは顔をが熱くなるのを感じ胸がドキドキと高鳴ってしまう。本人は何故だかわかっていないみたいだが。

 

「う、ん。わ、私もすごく楽しい…。純粋に、楽しく戦うの、始めて。」

 

「それは良かったです。でもねアイズさん。僕は兄ちゃんに信じてるって言われたんだ!絶対に負けない!負けてたまるか!!魔法を使います。危ないですがアイズさんなら大丈夫でしょう。」

 

「う、ん。この辺は誰も住んでないの確認してるから大丈夫だよ…。私もベルの全力と戦いたい。」

 

ベルは頷き決意する。左手で小さな太陽を作る。

 

「ベル。この本を読んでみろよ。漫画ってんだけどな俺の住んでるとこの書物だよ。この主人公のナツってやつがまたおもしれーの。」

 

ユウに読ませてもらった書物の話を思い出したのだ。アイズは風を纏っている。あの書物通りならと。

 

「炎戒!火柱ぁ!!」

 

ベルの周りに炎の柱ができる。アイズは首を傾げていた。たしかに熱いが攻撃ではない。何をしてるんだろうと思っていると異変に気付く。

 

「な、んで!私の風が…ベルに吸い取られてる!?」

 

ベルは魔力を纏ったまま火柱を目隠しにして縮地でアイズの背後を取り首にナイフを当てる。

 

「兄ちゃんのおかげだ!アイズさん。僕の勝ちです!!」

 

「負け、ちゃったね。ベルは本当に、すごい、ね。」

 

「アイズさん知ってますか?風は炎と相性がいいんです。炎を助けて大きくできるのは風なんですよ?今回は敵対しちゃいましたけど今度は一緒に戦えたらいいですね!」

 

ベルはアイズの手を握ってニコニコとそう告げる。アイズは顔を真っ赤にしてアウアウいっていた。

 

勝者ベル・クラネル

 

 

ーベートサイドー

 

「オラァ!!動きが鈍すぎるぞジジイ!!オラリオ1の大幹部様がそんなもんかぁ!!」

 

「やかましいわい!!小蝿みたいにブンブンと鬱陶しいんじゃ!!」

 

ベートが殴って蹴ってガレスはその攻撃をほぼ無視してベートを捕まえようとする。

 

「ちっ。相変わらず耐久と力特化の脳筋ジジイが。ホントにウゼェ。」

 

「ヒヨッコの非力さを儂のせいにしてもらっても困るのぉ。それよりベートお前本当にレベル6か?攻撃が軽すぎて痒いんじゃが。」

 

ブチっという音がきこえた。ベートは無言でヴェルフからもらった魔剣を取り出す。右手に魔剣を振り下ろす。そしてもう一本取り出してまた同じように振り下ろす。

ベートの身体の周りが炎に包まれ、その炎の周りがバリバリと帯電している。

 

「おいクソジジイ。テメェ今痒いって言ったよな?今から痒くねぇ攻撃してやるから頑張って耐えろよ?」

 

なんかマズそうじゃのぉ。あれ。初めて見たが寒気すごいんじゃが。まぁ儂の耐久なら一撃くらい耐えれるじゃろ。

 

「おう。かかってこんかい。小童め。お前の攻撃が効いたら認めてやっても良いぞ?」

 

ベートはニヤっと笑う。

 

「ガレス。これがユウとベルと一緒に開発してロキに人間相手には絶対に使用すんなって言われてた技だ。ジジイがいてくれて嬉しいぜ。感謝するわ。くらぇぇぇぇぇぇ!!「雷炎狼の激蹴」!!!」

 

右脚に炎と雷が収束しとんでもない速度でガレスの腹に刺さる。ガレスは吹き飛び廃屋の中に飛び込んでいく。

しばらくすると廃屋から笑い声が聞こえてくる。

 

「おぅいベートよ。動けん。助けてくれぃ。」

 

「お前嘘だろ?なんで意識あんだよ。あれ俺の最強の技なのにちょっと凹むわ。」

 

そう言いながら廃屋の木材を退けていく。ガレスの腹部には大きな穴が空き、周りが火傷をし傷口を雷が帯電していた。

 

「あ、悪い。ガレスの耐久がおかしいだけだわ。お前ここまでなってて意識あるとか首斬られても生きてんじゃね?引退しなくていいから死ぬまで冒険者しとけ。」

 

そんなことを言いながらエリクサーをかける。

 

「馬鹿言うでない。それよりもベート。強くなったのぉ。こりゃ美味い酒が飲めそうじゃわい。」

 

「けっ。勝負に勝ったのになんか負けた気分だぜ。」

 

ガレスは大笑いする。ベートも笑う。

 

 

勝者 ベート・ローガ

 

 

ーヘスティアファミリアサイドー

 

ティオネにはアイシャ、ティオナには命がついて近接戦闘をしていた。アイシャも命もヘスティアファミリアに入ってからずっとユウ、ベル、ベート、レフィーヤと毎日入れ替わりで戦っていた。その為戦闘技術は物凄く高い。一方ヒリュテ姉妹はレベルこそ高いがそこまで戦闘技術は高くない。バーサーカーになっているティオネと馬鹿のティオナは本能で動く。対モンスターならそれでお釣りがくるが命とアイシャ相手にはまったく足りてない。なぜならユウが本能で戦うやつは癖がもの凄く目立つからチョロいと教え込んでいたからだ。

 

そしてその癖を逆手にとってヴェルフの魔剣が打ち込まれる。しかもその魔剣が厄介にも程があるのだ。たしかに殺す気で行くとは言っていたが本当に殺すつもりかと思うレベルの魔剣なのだ。

 

そう。ヴェルフも魔剣を忌諱していたがユウと出会い自分の力が足りないからだと思うようになった。すると魔剣を作っているうちに威力がどんどん上がっていき前まで作ってみたいと構想を練っていた魔剣がすぐに作れるようになったのだ。魔剣もなんだかんだで自分の誇りある一振りだと今は認識しているので試し斬りもしたかったしちょうど良かった。

 

「なんなんだよテメェはよお!!!邪魔ばっかしやがってぇぇぇ!!」

 

「何言ってるんだいあんた。足止めしに来たって言ってるんだから邪魔するに決まってるだろ。こんなんだからユウに凸凹姉妹に脳みそは詰まってない。スッカラカンだって言われるんだよ。」

 

「うるせぇぇぇぇぇぇ!!あの野郎もウザいんだよ!!見下しやがってぇ!!」

 

「そりゃ格が違うからねぇ。あんたらとユウじゃ。そもそも今この場にいる私らとユウが本気で戦ったら瞬殺されるよ。でもあんたらはそーでもないよ。レベルが高いだけの馬鹿。やりやすくって仕方がないね。」

 

ティオネもティオナもこのままだと本当にやられると思ったのか一旦距離を取る。

 

「ティオネ落ち着いた?あの子ら本当に強いよ。ぶっちゃけレベルは偽ってない。アビリティはそのままのレベルだと思うけど飛び道具と技術がおかしい。」

 

「ええ。悪かったわね。アイシャだったっけ?彼女は実力もそうだけど戦い方が群を抜いて上にいるわ。後ろの鍛治師の魔剣は多分自己紹介の時の名前的にもグロッゾの魔剣ね。彼は打てるみたいね。」

 

「うーんこのままだとジリ貧だしなぁ。考えてもわかんないし各個撃破でいく?」

 

ティオネティオナは頷いて最初にアイシャを狙う。この中で一番レベルが高く強いのはアイシャだ。アイシャ自身こうなるだろうと予測していた。

 

「はぁやっぱり脳みそスッカラカンだったか。」

 

2人の攻撃を余裕で捌きながら呟くアイシャ。その呟きの意味を考えない2人は速度を上げていく。

 

「――大きくなれ。其の力に其の器。数多の財に数多の願い。鐘の音が告げるその時まで、どうか栄華と幻想を。――大きくなれ。神撰を食らいしこの体。神に賜いしこの金光。槌へと至り土へと還り、どうか貴方へ祝福を。――大きくなぁれ。ウチデノコヅチ。」

 

光る小槌がアイシャをポコンと叩く。オラリオでは埒外のレベルアップブースト。それも技術だけでヒリュテ姉妹を相手取れる強者のレベルアップ。その動きの変化に対応できずヒリュテ姉妹は隙を見せてしまう。

 

「雷神丸!!」

 

バリバリバリと直径3メートルはあろう太さの雷が天から姉妹を襲い2人は直撃してしまう。

だがヘスティアファミリアは誰も警戒を解かない。それほどまでにレベル6というのは埒外なのだ。

ところが2人の姉妹は目を回して気絶していた。そう。ヘスティアファミリアが想像するレベル6は魔力を覆っているベートが基準なのだ。それはそれで埒外には違いないがその状態のベートはレベル6の中でも埒外に値する。

そんな事を知らないヘスティアファミリアは拍子抜けしてしまった。

 

「まぁ足止めもできたし自分達の成長も分かったし良かったんじゃねぇか?」

 

みんな頷く。とりあえずハイタッチをしといた。

 

 

勝者ヘスティアファミリア

 

 

ーレフィーヤサイドー

 

レフィーヤは棒術を使うリヴェリアを軽くあしらって合気を使いリヴェリアを地面に叩きつけていた。

リヴェリアは即座に近接戦闘では話にならないことを悟り後退しながら並行詠唱を開始する。レフィーヤは縮地を使ってリヴェリアの肺を掌底で叩く。こうすれば呼吸が出来なくなって詠唱を止められる。

レフィーヤはユウに何度もやられていた。

 

「リヴェリア様。もう近接戦闘はいいです。師匠を超えたのはわかりましたので次は魔法の撃ち合いです!!」

 

レフィーヤはそれだけを言い間合いを取る。

 

「な、るゴホゴホ、ほどな。確かに近接戦闘や並行詠唱では私では話にならんようだ。だが魔法では負ける気はないぞ?」

 

「ウィーシェの名のもとに願う 。森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと来れ。繋ぐ絆、楽宴の契り。円環を廻し舞い踊れ。至れ、妖精の輪。どうか――力を貸し与えてほしい。「「終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に風を巻け。閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け、三度の厳冬――我が名はアールヴ。ウィン・フィンブルヴェトル」」

 

周りがパキパキと凍結している中レフィーヤはまた魔法を繰り出す。

 

「ヒュゼレイド・ファラーリカ!!」

 

極寒の雪風を撃ち合っている中無詠唱で大量の火矢が飛んでくる。一旦魔法の使用を中止しつつ並行詠唱する。

「舞い踊れ大気の精よ、光の主よ。森の守り手と契を結び、大地の歌をもって我等を包め。我等を囲え大いなる森光の障壁となって我等を守れ――我が名はアールヴ。ヴィア・シルヘイム。」

 

貼られた結界の上からひたすら火矢が降ってくる。結界もミシミシいっている。これがあのレフィーヤだと?私でも対応出来ない近接戦闘に魔法の威力。詠唱の速度。挙げ句の果てには無詠唱か。もうこれでは私に勝ち目は無いな。

だが、このまま負けるのは師として認められん!!

 

「集え、大地の息吹――我が名はアールヴ。ヴェール・ブレス」

 

リヴェリアは結界の中で光の衣を纏う。結界が割れ、火矢が襲ってくる中避けつつ光の衣で耐えきる。

その土煙の中、詠唱を開始し、さらに詠唱を連結させる。どデカイ魔方陣が浮かび上がる。

 

「レフィーヤには見せていなかったな。これがお前の師の最強の魔法だ。私は詠唱を連結させることで魔法の威力を格上げできる。だが地上で撃っていいものではないのでな。ここまでとさせてもらうぞ。」

 

レフィーヤはやはり私の敬愛する師匠はすごいと素直に思う。だが正直超えられたかと聞かれるとまだ魔法では超えれてないと思い涙を浮かべる。

 

「レ、レフィーヤ?何故泣いている!?」

 

「だっでぇ…リヴェリア様を超えでぐるってお兄ちゃんに言ったのにぃー。うぇぇぇぇん!!」

 

いきなり泣き出したレフィーヤを見て慌てるリヴェリア。すぐにレフィーヤに駆け寄り抱きしめてやる。

 

「ば、馬鹿者。場所が悪かっただけだ。それにお前も全てを出した訳ではないのだろう?それに本当に強くなった。あの連結魔法は本当に私の奥の手だ。それを使わせるほどお前は強くなったのだ。今度ダンジョンでお前がユウ君と鍛え上げたその力で家族を守ってほしい。レフィーヤ・ウィリディス。リヴェリア・リヨス・アールヴの愛弟子として信頼しているし頼りにさせてもらうぞ。」

 

「うぇぇぇぇん!!リヴェリアさまぁ!!!私もっと強くなりますぅ!!」

 

抱きついて胸に頭を埋めるレフィーヤを見てため息を吐くリヴェリアだった。周りのエルフ達はレフィーヤが近接戦闘ではリヴェリアを圧倒し、魔法の撃ち合いでもリヴェリアが奥の手を出さなければならないところまで追い込まれているのをみて戦慄していた。

 

「ほら。いい加減泣き止め。ユウ君に笑われてしまうぞ。ところでレフィーヤ。あの無詠唱のヒュゼレイド・ファラーリカはなんだ?あんなのが出来るとは驚いたぞ。」

 

「ぐすっ。はい。並行詠唱ってあるじゃないですか。行動しながら詠唱をする。お兄ちゃんが「行動しながら詠唱するのを並行詠唱っていうなら魔法をぶち込んでるときに頭の中で別の詠唱をしながら別の魔法を発動待機状態にするのも並行してやればそれも並行詠唱にならねーの?」と言っていたのでずっと練習してたら出来るようになりました。厳密に言えば頭の中で詠唱をしているので無詠唱ではないのですが魔力操作が出来れば魔力暴走もあまりしないので恐らくリヴェリア様もできますよ?」

 

「な、なるほどな。考え方の違いか。だがそれをすぐに練習して自分のものにしたレフィーヤは私の誇りだ。それにユウ君も誇りだと思っているだろう。」

 

レフィーヤは満面の笑みを浮かべてえへへと照れていた。

 

「さて。レフィーヤ。私は異端児などの理由を全て把握している。今回のフィンとユウ君の騒動もな。ここを守る必要も無いだろうし一緒に行くか。今まであの子達と鍛錬した事や楽しかったことを師匠の私に教えてくれ。成長した弟子とゆっくり会話をするのも良い。」

 

レフィーヤははいっ!と笑顔で頷く。

 

勝者リヴェリア

 

 

ーリリサイドー

 

「ラウル!オラリオの南東方向に向かえ!異端児とヘスティアファミリアが向かった!!そのままそちらで待機!」

 

「団長!?わかったっす!行くっすよ!!」

 

ラウル様すみません。団長様では無くリリです。

 

「アキ!部隊を連れて北西方向に向かえ!ラウルの部隊も合流させる。相手は異端児とあのユウ君だ。団長の僕をお姫様抱っこさせるような相手だ。戦闘はなるべく避けつつ包囲だけしろ。すぐにティオネ達を向かわせる。」

 

「はい!でも団長。その話は私にもダメージが来るんで内緒にしてくださいよぉ。ティオネに知られたらと思うと…」

 

「あ、ああ。すまない。失言だったね。それじゃ頼んだよ。僕もそろそろ動く。」

 

すみませんアキ様。シャンプーは同じでフィン様の服をユウ様から渡されているので気づきませんよね。お姫様抱っこは夕飯の時にベートさんに話してヘスティアファミリアでは大爆笑でした。

これでレベルが低い部隊を明後日の方向に進ませれましたね。リリの魔法は他のファミリアは知らない筈ですからね。この魔法で底辺を生きてきたんだ!!ずっと前を向いている勇者様に足元を見ないと掬われることをお教えしてあげます。

 

「なんだって!?僕はそんな指示出していないぞ!?」

 

「ですがラウルさんの部隊もアキさんの部隊も明後日の方向に進んで行きました!!アキさんの部隊の話では団長が来てお姫様抱っこをした話をしていて団長とアキさんは只ならぬ関係だと…」

 

「な!ん!で!あれを知ってるんだ!!ユウ君のとこには変身でも出来る子がいるのか!!ん?すまない。確か1人小人族の子がいたよね?彼女か!!どの戦場にもいない…。やられた。撹乱までして来たか。」

 

「うっわ。エゲツな。フィンの黒歴史をバラしつつこの戦いを完全に楽しんどるな。ん?でもアキは獣人やろ?匂いでわかるんちゃうん?」

 

「おそらくだが、僕はユウ君にもらっているシャンプーとボディーソープを使ってる。それにこの前から服の洗濯でいい香りがする洗剤を気に入ってね。使わせてもらってたんだ。全てヘスティアファミリアにしか用意できないものだ。だからこそアキも気づかない。それに黒歴史みんなの前でバラされたら焦るだろう?」

 

フィンはトオイメをして肩を落とす。

 

勝者 リリ

 

ーユウサイドー

 

もうだいたい異端児もクノッソスに送り込んだな。

 

「すまない。貴殿がユウ・クラネルだろうか?」

 

「ん?おお!黒いミノたんか!もしかしてベルにやられたミノたんだったりする?」

 

「俺はアステリオス。最後の記憶は白い兎が美しい軌跡のナイフで斬られるところだった。今回、地上に行くことになったのは僥倖だった。ベルと再戦を。」

 

ふむふむと頷くユウ。そして考える。

 

「そーだな。ベルにとって前のアステリオスは因縁の相手だったし。今のアステリオスは良いライバルになりそうだ。んーとりあえず他の異端児がこのアルルとベルガとアステリオスだけだからなー。ちょっと待って。おいフェルズ?話聞いてた?俺的にはアステリオスとベルの再戦やらしたいんだけど。ふんふん。オッケー。ベルガとアルルはクノッソスに戻すけどこの2匹だと危ないから、ああ、リド達がいるのね。わかった。またなー。よし!アステリオス!ギルドの前の噴水広場わかる??」

 

「わかる。俺はどうすればベルと再戦できる?」

 

「とりあえずベルが来るまでオッタルさんと隠れてて。んでベルが来たら襲っちゃえ☆」

 

「ベルはユウの弟だろう。本当に良いのか?」

 

「アステリオス。ベルは俺の弟だぜ?あの頃より遥かに強くなっている。やってやれ。ついでに目の前にある塔からダンジョンに入れるから決着ついたらすぐに帰れよ?」

 

「感謝を」

 

ベルに噴水広場に1人で来るように伝えたらトコトコ歩いてきた。アステリオスに行けと伝え、オッタルさんと屋根の上から観戦する。そこにロキファミリアの幹部陣が全員集結した。

 

「てことでフィンさん。俺の勝ちね。」

 

「ああ。ほんと完膚無きまで負けたよ…確かに僕とロキの認識していた前提が間違ってたよ。ユウ君は1度も僕にヘスティアファミリアとは言わなかった。ユウ君と愉快な仲間たちだったかな?なるほどね。参った。降参だ。」

 

「フィン。これは仕方ねーよ。ユウの性格が悪すぎて王道を行くフィンとは相性が悪い。擬似戦争遊戯って言いながらフレイヤ、ヘファイストス、タケミカヅチ、ミアハ、ディアンケヒトファミリアに協力させてんだからな。」

 

「くくっ。確かにユウ君と愉快な仲間たちだな。我々は最初から勝ち目がない戦いをしていたようだ。」

 

「儂はこのヒヨッコと戦えたから別に良いがのぉ。」

 

「そ!今回はフィンさんを挑発してウチのファミリアにレベルと実力が上の相手に自分の力を試して欲しかったんだよね。んで異端児の件は他のファミリアに手伝ってもらって被害0にすることがこっちの目的。案の定ナメてかかったそこの凸凹姉妹は気絶させられたんだって?ねぇねぇどんな気持ち?格下にやられるってどんな気持ち?ぷーくすくす」

 

ヒリュテ姉妹は肩を落として落ち込む。それを見てロキ様とフィンさんは苦笑いだが。

天然娘の様子がおかしい事に気づく。

 

「天然娘どうしたんだ?ベルが心配か?」

 

「心配は、してるけど…ベルなら大丈夫。私も1対1で負けちゃったから…。それよりなんか変。ベルの事考えると、顔が熱くなって、胸がドキドキする。」

 

そこにいた全員が二重に驚愕する。ベルがアイズに勝ったのもそうだ。ユウ自身もいい勝負はするだろうがまだ勝てないと思っていたのだ。しかもアイズのこの発言。完全にホの字じゃないですかぁー。

 

「え、ベルお前に勝ったの?」

 

「うん。エアリアル使ったのに負けた。技術も負けてて、真似して勝てると思ったらベルがもっと強くなって…。エアリアル使ってまた勝てると思ったら、炎の柱が出来てエアリアルの風吸い取られて、背後から首にナイフ当てられちゃった…。」

 

たどたどしいながら必死で説明するアイズの言葉を聞いて理解した。ネタで教えた炎戒火柱使って前に見せた妖精の尻尾のやつ再現しやがったなベルェ。

 

「ウチの弟がなんかすまん。んで?」

 

「ベルの真剣な表情とか、笑顔見てると、ドキドキする。どうしちゃったのかな?」

 

みんなが優しく見守る。

 

「ふっ。剣姫よ。その気持ちは大切にすると良い。ベルに好かれたければユウに行ってシャンプー、リンス、トリートメント、ボディソープを貰え。まずは身だしなみからだ。」

 

「オッタルさんんんん!??あんたアドバイスが明後日の方向すぎるよ!!流石オラリオ1アンチエイジングする猪だわ!!」

 

みんな普通にドン引きだった。

 

「ユウ、さん。その、えっと、しゃんぷー?とか教えてほしいです…。ベルに嫌われたくないです。」

 

「あー。うん。ソウダネ。あげるあげる。使い方はリヴェリアさんかロキ様に教えてもらいな?」

 

そんなバカ話をしているとベルとアステリオスの周囲には人が神が輪となって歓声をあげていた。

結論としてベルとアステリオスは最後の方でベルが上手いこと誘導してダンジョンに入っていき狂乱の戦闘事件は幕を下ろした。




終わらせるって言ったのにアステリオス出したくてアステリオス戦を書こうとした時点で8千字超えてたから端折ってしまった。アステリオスすまん。

次のエピローグでほんとに異端児編は終わりますんでお許しください!!

ヤベェ。ベル君とレフィーヤがどんどんバグキャラになっていくww

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。