作者仕事で新入社員の指導員になってしまってサボりながら小説書けなくなりました。
GWからは落ち着けるのでまた更新速度を戻すつもりですのでお許しください!!
「じいちゃんにもっと快適に過ごしてほしいので実家をオラリオに帰る前に改造しようと思います。」
帰ってきた次の日の朝、ユウのこの一言から始まった。ゼウスは豪快に笑い、ベル、リュー、アスフィも納得して頷く。
ヘルメスはまたユウ君のとんでもない行動が始まるのかとトオイメをしている。
「とりあえず爺ちゃんは釣竿とお弁当とか用意したから今日1日のんびりしてきて!話し相手にヘルメスもつけるから!」
ユウは驚かす為にゼウスとヘルメスを外に出す。それからベル、リュー、アスフィと共に畑を作ったりお風呂の改築やキッチンの改築をどんどん進めていく。
ゼウスの寝室に水の出る魔道具や太陽光で充電できるヘッドライト、ベットに低反発マットレスを敷いたりする。
本棚を用意して好きそうな小説や漫画を魔法で買っていれていく。
居間も掘りごたつ式に改造する。
アスフィに手伝ってもらい、電気じゃなく魔石で動く洗濯機や冷蔵庫も設置していく。
リューとアスフィも欲しいと言い始めたのでオラリオに戻るとあげると約束した。
何よりもトイレだ。トイレを日本にある電動の洋式トイレにした。これはヘスティアファミリアとヘルメスファミリアは知っているので驚かないがリューはかなり驚きヘスティアファミリアではこれが使える事を知り喜んでいた。
ひとしきり改造し終わって休憩ということでケーキやチョコレートを出してあげる。
「みんなウチの実家なのに手伝ってもらって悪いな。それにありがとな!」
ベルもリューとアスフィにお礼を言う。
「いえ。ユウさんとベルさんにはオラリオでお世話になりっぱなしですので。それに色々なものが見れて良かったです。」
「私もお爺様には前からお世話になっていますからね。しかしユウの出す品物には驚かされますよ。便利なものばかりですからね。特にトイレとドライヤーは素晴らしいです。」
「アスフィは前から知ってるだろ。リューもアストレア様とウチのホームに来たら使えるんだし。そーだなー。オラリオに帰ったら世話になってるところには設置してあげるか?」
そんな他愛ない話をしているとゼウス達が帰ってきた。
「ゆ、ユウ!!なんじゃあの畑は!!……。家の中も随分変わっとるのぉ。」
「あーやっぱり。気合い入れて改築したねユウ君。」
ゼウスに改築したところを全て教えて行くと最初は口を開けて驚いていたが便利なのがわかったのか嬉しそうに笑っていた。
それからみんなで晩御飯を食べ、前の日に話せなかったことを色々と話す。
「ほう。ベルはロキのとこのアイズ・ヴァレンシュタインが好きなのか。ヴァレンシュタインのぉ。ユウはなんじゃい。アスフィちゃんとまだ恋仲になっておらんのか。」
「じ、爺ちゃん。いや俺ずっとベルと妹達が好きで家族愛しかわかんねーんだもん。今アスフィともう1人に告白されてんだけどよー。わかるまで待ってもらってんだ。」
リューもその話は知っている。だが何故かそわそわしてしまう。
何故でしょう。私はアンドロメダが羨ましい。私もユウさんが好きなのでしょうか…。ですが私のような堅物エルフでは…。アリーゼ、アストレア様。私はどうすれば…。
アスフィはリューの態度を見てそっとため息を吐いてしまう。リューがユウの事を好いているのは見てれば一目瞭然だ。アスフィは別にハーレムでも構わないと思っている。それより選ばれないでユウのとなりにいられない方が嫌なのだ。
これは夜に話をする必要がありますね。
メガネをキラッとさせて考えるアスフィだった。
「ユウよ。それならハーレムじゃハーレム!爺ちゃんいつも言っとるじゃろう。男ならハーレムじゃと!!」
「そんなことばっか言ってるから嫁さんにボコられていろんなとこから敵対されるんだろ!!爺ちゃんは本当に馬鹿!!俺爺ちゃんの過去いっぱい知ってるんだからな!」
「お爺さん。ユウ君の言ってること本当だよ?ウラノスの黒歴史も神会でブチまけてすごい騒ぎになったんだから。」
ヘルメスは笑いを堪えながらゼウスに伝える。ゼウスは過去に色々やっていることが可愛い孫にバレていることに冷や汗をかきはじめる。
そんなゼウスは放置して会話を続ける。そのあと冒険者組は食後の鍛錬をする為に庭に出る。
ユウ対他の3人だ。前衛を務めるベルとリュー。そこに高速戦闘についていけるアスフィがサポートしていく。
ユウは基本的に攻撃せず受け止めたり避けたりする。たまに体術で転ばせたりするが。
全員が縮地を使えるのでゼウス、ヘルメスの目には線しか映らない。ゼウスは口を開けて固まってしまう。
ユウとベルからどんな冒険をしたりどんな戦いをしたか聞いていたがまさか孫の戦闘力がここまでとんでもないとは思っていなかった。
ゼウスファミリアとしてオラリオのトップに立っていた主神だが孫の実力はその時の団長より強いのではないかと思ってしまう。
ユウがリューとベルを転ばせてアスフィを後ろから抱きしめて模擬戦は終わった。
「あーもう!!お兄ちゃんにまたカスリもしなかったよー!!ベートさんならもう少し戦えるのに!!」
「し、師匠の戦闘技術は格が違いますね。これでもレベル4なんですが…。」
「私の投げナイフを見ないで口で取るとか意味がわかりませんよ…。あれ技術とか以前におかしいでしょう。」
「はっはっは!弟と弟子と告白されてる女に負けれるわけねーだろ!!まだまだ特訓が足りないね!」
ドヤ顔で高笑いするユウとむーっと頬を膨らませるベル。ため息を吐く女性2人。その光景を見たゼウスはポツリと呟く。
「ヘルメス…。今のオラリオって戦闘力あれくらいないとダメなの?ワシらのおったときより暗黒期じゃないかのぉ?」
ゼウスの言葉にヘルメスは苦笑いする。確かにユウの周りの冒険者の実力はゼウス、ヘラファミリアがいた時よりレベルが高い。
それにあの周りは向上心が桁違いなのだ。リリルカちゃんが脳筋鍛錬馬鹿しかいないと嘆いていたなと思い出す。
先程の模擬戦の反省会も終わったのか次は個人的な鍛錬に励みはじめた。
その光景を見てストイックすぎるじゃろう。オラリオそんなに怖い場所だったかのぉ?とゼウスは思い、考えるのをやめた。
鍛錬も終わり各自風呂に入ったり居間でゆっくりしたりと過ごしていく。そこでアスフィは大きくなった浴槽もあるのでリューを風呂に誘う。
頭や身体を洗って2人でお湯に浸かる。
「リオン。あなたもユウの事が好きなのでしょう?私はユウの横に居られるならハーレムになっても構わないと思ってます。リオンは今のままで本当に良いのですか?」
「あ、アンドロメダ!?わ、私は…。私もユウさんが好きなのでしょうね。恋愛なんて初めてで良く分かっていませんが。し、しかし私のような堅物エルフでは…。」
「ユウはそんなこと気にしませんよ。私ともう1人が告白したと言いましたがもう1人は怪人ですよ?胸に魔石がありますしその胸が…。もぎたくなるくらい大きいです…。」
「く、怪人!?ユウさんは本当にとんでもないですね…。と、ところでアンドロメダ。そ、その、ユウさんはむ、む、胸が大きい方が…?」
「いえ。それはないでしょう。もちろん男性なので気にはなってるみたいですが…。私の胸でも腕に当たれば照れますしね。」
リューは無言でアスフィの胸をみて自分の胸を見る。ショボーンとしてしまう。
何故私の身体はこんなに薄いのでしょうか…。胸って大きくなるものなんでしょうか…。くっ。エルフである身がこんなに憎いことになるとは!!
アホな事を考えているリューをみてアスフィは笑う。
「それよりもリオンも早く気持ちを伝えた方がいいですよ。その辺の女なら近づかせもしないですが貴女なら私も信用できる。ユウもかなり考えてくれてるみたいですし」
「アンドロメダ…。感謝します。アストレア様もオラリオに帰るみたいなのでオラリオで相談してこの気持ちをユウさんに伝えたいと思います。」
そのあとはユウの話で盛り上がり、少しのぼせてしまうリューとアスフィだった。
そんな毎日を繰り返し過ごしてついに帰る日が来てしまう。帰る前にラーメンやうどん、せんべいなど様々な保存のきく食料を大量に置いていく。
ゼウスも喜びながらユウの説明を聞く。
ベルはまた爺ちゃんと離れるのが寂しいのかずっとゼウスの服の裾を握ってちょこちょこついて行っていた。
「色々とありがとのぉ。爺ちゃんこれでまた毎日頑張れるぞ!本もたくさん置いてくれておるしのぉ。また手紙書いて送るわい。ほれベルもそんな顔しとらんで笑顔で行ってまたオラリオで頑張るんじゃぞ?」
ベルは泣きながら爺ちゃんに抱きついていた。ユウも少ししんみりしていたが。
「「爺ちゃん!行ってきます!!」」
リューもアスフィもヘルメスもゼウスにお礼を言い、オラリオに向けて出発する。
ベルは寂しかったのかユウの手をしばらく握っていた。ユウはそんなベルが可愛くて鼻血を出してアスフィに叩かれていた。
約束通りにアストレア様のいる村に着いた。アストレア様は何やら荷物をたくさん持っていた。リューがすぐにその荷物を持ちに行ってアストレア様も合流してオラリオに向かう。
途中出てきたゴブリンにユウは刀をヘルメスに渡して倒してこいと送り出す。
ヘルメスは半泣きになりながら刀を持ってゴブリンと戦っていた。行きは木の棒だったからちょっとはマシかなーとか俺神なんだけどなーとかは思ってないったら思ってない。
ユウ、アスフィ、アストレア様は大爆笑してリューとベルはアワアワしていた。
なんとかヘルメスがゴブリンを倒すと拍手が送られた。ヘルメスは二度とやりたくないと少し泣いていた。
「ヘルメスやるじゃん!見直したぜ!これでフレイヤちゃんをまたいじれる!!ヘルメスなんか勇猛果敢にゴブリン倒しに行ってたのにフレイヤちゃんは…はぁ…みたいな感じで」
けけけと笑うユウを見てアストレア様はドン引きする。
「え?ねぇリュー?フレイヤちゃんってあのフレイヤ?」
「はい。猛者の所属するフレイヤファミリアの主神の神フレイヤです。」
「え…。ユウ君ってあんまり怒らせるとマズイ人?」
その質問にユウとベル以外が真顔で頷く。
アストレアもさすがに気づいて逆らわないようにしようと心に決める。
そんなこんなでオラリオの手前の村に着いた。休憩も兼ねて寄って見ることにする。
何やら広場が騒がしいので覗いて見ることにすると1人の男の子が頭を下げて何かを懇願していた。
「お願いします!お願いします!誰でもいいです。母ちゃんを、母ちゃんを助けてください!!お願いします!」
「ふざけるな!!あんな疫病神誰が助けるかよ!」
「そうよ!あいつのせいでこの村は貧困なのよ!!」
「母ちゃんは何もしてない!!この村が不作なのはモンスターのせいじゃないか!!」
「そのモンスターを呼んだのもあの疫病神だろ!!」
そんな言い合いが聞こえてくる。ユウは顔を顰めてその子供を見る。ボロボロの服に血が滲んでいる。
それでも母親の為に頭を下げ続ける少年。ユウは母親については譲れない想いがあるので許せなかった。
「おい。どけ。殺すぞ。」
いつもニコニコしながら笑い、人をからかって、しかし周りみんなが最後には笑うような行動をするユウがあれほどブチギレているのを見て周りの人だけでなくベル達も固まってしまう。
ユウの殺気にやられて少年に暴言を吐いていた人達は腰を抜かしてしまう。
「少年。お母さんのところに案内してくれるか?」
少年を抱き抱えユウは問う。少年も頷き案内してくれる。その姿にベル達もハッとして後をついていく。
壁に穴を開けられているボロボロの小屋に到着した。中を覗くと布団にうなされながら寝ている女性の姿があった。
事情を少年に聞いていく。
「ぼ、僕はモルモーです。あ、あの一応女の子です。」
全員ギョッとする。ユウは素直に謝る。しかしモルモー?どこかで聞いたよーな気がするんだが…。
「お母さんが病気か何かで寝込んじゃって…。僕達は何故かどこの村に行っても疫病神扱いされちゃうんです。僕達が来たら疫病とかモンスターが寄ってくるって…。そんなことしたこともないのに…。」
泣きながら伝えてくるモルモーちゃん。確かリュックの中にエリクサーが入ってると思い探す。
「ほい。これどんな怪我もすぐ治す薬だから母ちゃんに飲ませてあげな?」
みんなやれやれみたいな顔をするが文句は言わないでくれた。ベルだけは不安そうに俺を見てくる。あーマジギレしたから不安になってんのか。
ベルの頭をもふもふと撫でてやる。
奥から母親らしき人がヨロヨロしながら出てくる。ヘルメスがその顔を見て驚愕する。
「へ、ヘカテー!?なんでこんなところに!?」
「ヘルメス?あなたが助けてくれたの?」
お互いがお互い顔を見て固まっている。
アスフィもリューもヘカテーが誰だかわかっていないようだ。
「あーヘルメス?ヘカテーって冥府のヘカテー様?モルモーちゃんがなんの種族かわかっちゃったんだけど。それとモンスターとかが寄ってくる理由と人に毛嫌いされる理由も。」
ヘルメスは頷き、ヘカテー様とモルモーちゃんは俺の発言に驚く。他の人は首を傾げているが。
「モルモーちゃん。ここにいるやつはそんなの気にしないから説明しちゃってもいいかな?もしかしたら間違ってるかもだし。」
「は、はい。大丈夫です。」
「とりあえずはじめまして冥府神で月と魔術を司ってるヘカテー様でしたっけ?アルテミス様の従姉妹になるんでしたかね?ヘスティアファミリアのユウ・クラネルです。
んでヘカテー様と一緒にいてモルモーって名前って事は種族は吸血鬼かな?」
その場にいる全員が驚いてしまう。吸血鬼などオラリオでも滅多にいない。ヘルメスとヘカテー、モルモーは名前だけで色々分かっているユウに戦慄してしまう。
「え、ええ。その通りよ。質問は全て答えるわ。でもその前に治してくれてありがとう。ちょっと前の村で石とか投げられちゃってね。怪我が治らなかったのよ。」
「ぼ、僕病気だと思ってて…。母ちゃんが急に倒れて起きなくて、死んじゃうのかと、ヒック、思って…。」
ヘカテー様はモルモーちゃんを膝の上に乗せて抱きしめていた。
「ユウ・クラネル君が言った通り私は冥府神のヘカテーです。みなさん本当に助かりました。ありがとうございます。この子は吸血鬼のモルモー。まぁ吸血鬼って言っても血よりご飯の方が好きなんだけどね。」
「そ、それよりもヘカテー!君が下界に来てるなんて知らなかったよ!?しかも案の定やられてるじゃないか!!」
「ヘルメス落ち着けって。オリュンポスってかギリシア神話の知り合いだろーし気持ちはわかるけどよ。んで?やられる理由は?」
ヘルメスはその言葉で落ち着いたのかゆっくり息を吐いて口を開く。
「そもそも冥府神ってのは冥界の神なんだ。だから下界に来ても良い感情は向けられないんだ。もちろん闇派閥みたいな子供には好かれるけどね。フレイヤ様の魅了みたいに抑えれない何かが出ちゃうんだよ。
その上ヘカテーは闇派閥みたいなのが大っ嫌いなんだ。なんで冥府神なのかずっと不思議に思ってたくらいに。」
その言葉でヘカテーは下を向いてしまう。下界に来て色々あったんだろう。
ベルがずっとソワソワしているのでどうしたのか聞いてみた。
「えっとね。兄ちゃんが広場であんなに怒ったのはなんでだろうって。ヘカテー様とモルモーちゃんがどうでもいいとかじゃないんだよっ!?でも兄ちゃんがあんなに怒ったの始めて見たから…。」
しょんぼりするベルを見て心が折れたユウは素直に答えてやる。
「あー。なんだ。俺の過去に重なったんだよ。あの時のモルモーちゃんがな。俺の母さんはな昔から俺に優しくしてくれてたんだ。クソジジイの鍛錬もオヤジのバカにも正面から反対して小さい俺を守ってくれてたんだ。
でもな俺が小さい時に倒れた。んでその時に家に俺しかいなかったから必死で大人を呼びに行ってたんだよ。だからモルモーちゃんのあの姿が俺に重なって見えただけだ。」
ユウの知らない過去が出てきてベルはもっとしょんぼりしてしまう。ユウはベルが聞いたのを後悔しているのがわかったので明るく言う。
「でもなベル。その時倒れたの貧血だったんだぜ?何の病気でもねぇんだ。小さかったから母さんが死んじゃうって焦りに焦った俺の心配を返して欲しかったぜ。
でもモルモーちゃんは違ったもんな?だから助けれて良かったよ。ベルもそー思うだろ?」
「うん!!兄ちゃんはすぐ人を助けれるから僕も見習わなくちゃ!!」
抱きついてくるベルの頭を撫でてやる。
ヘルメス、アストレア、ヘカテーはユウの嘘に気づいている。貧血のところで気づいたのだ。ベルに変な心配をさせないように嘘をついた。
あの穏やかで明るいユウがあれほどまでに怒ったのだ。それにユウは何よりも家族を大切にする。その理由の一端が見えた気がした。
「話逸れちゃってすみません。怪我が治ったのは良いですけどこれからどうするんですか?」
そう。この村には居られない。でも冥府神なのでどこに行ってもあまり変わらない。どうするか考えているとヘルメスが口を開く。
「ユウ君とベル君のお爺さんのところは?オラリオは今は危ないしね。それに…。ユウ君、ヘカテーちょっと。」
ヘルメスに呼ばれそちらにいく。
「ヘカテー。ユウ君とベル君のお爺さんはゼウスだ。それに孫バカの好々爺だよ。ユウ君の手紙でも持っていけば問題ないさ。ゼウスくらい神性が高いと冥府神の力も問題なく抑えれるだろ?」
「なるほどなー。俺はいいよ?手紙も書くし爺ちゃんなら許可くれるでしょ。」
「え?ゼウス?あの?えー私手出されないかしら?」
「もし出されたら俺に言ってください。手紙にも書きますが容赦しないので。」
ユウの言葉に安心したのかヘカテーは頷いた。すぐにユウは手紙を書く。それをヘカテーに渡す。地図も書いて渡しておく。ヘカテーとモルモーはお礼を言って手を繋ぎながら楽しそうに村を出た。
ユウはその後ろ姿を懐かしそうに見る。昔自分も母親に手を引かれ楽しそうに歩いていたのを思い出すかのように。
そんなユウを見てベルは手を繋ぐ。
ニコニコしながら帰ろう兄ちゃん!と手を引いていく。
ユウも笑いながら返事をしてみんなを呼ぶ。
「私たちの1番の恋敵はベルかもしれませんね…。」
「アンドロメダ。私もそう思います。」
女性陣2人の言葉と哀愁漂う背中を見て神々は笑ってしまう。楽しそうな雰囲気のままオラリオに帰る一行だった。
オラリオについてまず全員でギルドに向かう。ベルは久しぶりに会うのが嬉しいのかエイナさーーーん!!と大声を上げて突撃していった。
「あらベル君!ユウ君も皆様もおかえりなさい。えっとアストレア様ですかね?ユウ君に聞いていたのでアストレアファミリアの再登録用紙です。リオン氏のブラックリストも無くなったのですぐに登録可能ですので。」
あまりにも話が早いのでアストレアは少し戸惑ってしまう。ユウが頷き笑うとアストレアは自分がオラリオに戻ってきても大丈夫なように手を回してくれていたことに気づく。
全く。なんて子なのよ。リューも大変な子を好きになっちゃったわね。ありがとうユウ君。
そんなことを思いながら書類を書いていくと本拠地の欄にもう既に住所が書かれていることに気づいてここまで根回しされてたか。と思わず笑ってしまった。
書類の申請も終わりベルと一緒にエイナさんにお土産を渡す。ベルと一緒に作ったクッキーだ。すごく喜んでくれて良かった。
ヘルメスとアスフィはそのままホームに帰り、俺たちはとりあえずアストレア様とリューにホームの場所と紹介をする為に一緒に帰ることにした。
「「たっだいまぁぁぁ!!」」
ホームの入口で大声で叫ぶと何人もの足音が聞こえてくる。
そして突っ込んでくる2つの影。
「「ユウ(兄上)お兄ちゃんおかえりなさいっ!!」」
なんなく受け止めて抱きしめてやる愛しのマイシスター。ウィーネとフィルヴィスだった。その後ろからゾロゾロとみんなが出てくる。みんなおかえりと声をかけてくれるので笑顔でただいまと伝え、一人一人にお土産を渡していく。
全員がリビングに集まったのでアストレアファミリア復活とここに住むことを伝えると異論など一切出ることもなく部屋も即座に決まった。
あまりにも早く決まるのでアストレア様はえ?え?となっていてヘスティアに地獄へようこそと言われていた。
自分のファミリアを地獄ってひどくない?
ヘスティアには君が問題…いや君達兄弟が色々問題起こすからだよ!!と怒られたが。
そのあとリューとアストレア様を連れて豊穣の女主人に向かう。
「母さん!ただいま!!リューもアストレア様もちゃんと連れてきたよ!」
「ユウかい!おかえり!良くやった!流石あたしの息子だよ。そこの席に座りなっ!バカ娘もだよ。それにお久しぶりですアストレア様。」
ミア母さんの言葉に涙を流すリューと何かに気づくアストレア様。静かに座って待つ。
厨房から夜の仕込みが終わったのか母さんが出てくる。
「その様子だとうまくいったみたいだねリュー。まぁあたしの自慢の息子もいるんだからそんなに心配はしてなかったけどね。」
「はいミア母さん。ちゃんと過去と向き合ってアストレア様とも話が出来ました。ミア母さんとシル。そしてユウさんのおかげです。」
「あなたがリューをみてくれてたのですね。心からお礼を言います。ありがとう。」
それから他愛ない話をしていると店員が全員降りてきた。アーニャとクロエを見つけた瞬間に縮地を使い後ろからモフモフしまくる。
間違いなくセクハラだ。事案が発生している。
「「ニャ!?ニャァァァァァ!!ニャァァァァァン!」」
最初は驚いていたのにあら不思議!蕩けた表情に!!
「ただいま猫コンビ。ユウお兄様のおかえりだぞ?」
「ニャ!ユウ!おかえりニャ!でもミャーの兄様はアレン兄様だけニャ!!」
「ニャーン。おかえりニャ〜。ニャーはユウがお兄ちゃんでも良いニャ。ナデナデ毎日してもらうニャ。」
2人にお土産を渡す。ルノアも呼んでお土産を渡す。アーニャには手作りのミサンガを。クロエには尻尾につけれるリボンを。ルノアには髪留めだ。
「え?私は?ねぇねぇユウさん?私は?」
「小悪魔アザトースか。ほれ。そこで拾った綺麗な石ころ。」
シルは石を渡されて固まる。徐々に震えてくる。
「おかしいじゃないですか!!なんで私だけこんな石なんですか!!しかもオラリオの外のお土産なのにそこで拾った石って!!」
涙目になりながら怒鳴ってくるシルをへらへらと笑いながら見ているユウ。外道すぎる。
シルの頭を撫でながら優しい笑顔で口を開く。
「相変わらず揶揄うと面白いなシルは。ほれ。こっちがベルとリューと選んだお土産だ。」
シルは手渡された袋を開けると綺麗な石が装飾されたブレスレットが出てきた。
「さっきの石ってこれの伏線だったんですか?すっごく素敵です!ありがとうございます!!」
「いや伏線じゃない。たまたま綺麗な形の石だったから拾っただけ。リューとベルにもお礼言っときな?特にリューはすげー悩んでたからな。ちなみに俺とベルは1ミリも悩んでない。」
「最後の一言で台無しですよ!!せめてベルさんが悩んでないかどうかは聞きたくなかったですよ!!」
ひたすらに。ただひたすらにシルをいじり倒して終わった後はミア母さんに調味料と宴会用に使えるコスパの良い料理のレシピを上げた。
リューとアストレア様はまだしばらくいるらしいので一足先に帰ることにした。
この後はフレイヤちゃんとロキ様のとこにお土産渡しに行かなきゃ!!
そんなことを思いながらバベルに向かう。
遅くなった上に中途半端なところで切ってしまい申し訳ないです!!
とにかく書けたら投稿する!くらいの勢いで頑張りますのでよろしくお願いします!