IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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前話と一緒にしても良かったかなと思う文字量でしたかも。




天蓋王

「もしもし!? 織斑君聞いてます!? 鳳さんも聞いてますかー!?」

 

謎のISの襲撃、避難する生徒、取り残された生徒。逼迫する状況に山田真耶は焦っていた。声を出す必要のないプライベート・チャンネルを大声で使用しているのがその証拠だ。

 

「落ち着け山田先生。本人たちがやると言ってるんだ。好きにさせろ」

 

「ですが!? これは試合ではないんですよ!!」

 

「織斑先生! わたくしにも出撃の許可を! いつでも行けますわ!」

 

セシリア・オルコットが自らもISで出撃しようとしている。戦力が増えるのはいいことだが……無理だな。

 

「よせ、オルコット。出撃してもらおうにもアリーナの遮断フィールドがレベル4に設定されている上、全ての扉のロックが書き換えられている。これでは生徒を避難誘導させることも教員を救援に送り込むこともできん」

 

「そんな!?」

 

「待ってください!? これはっ!? 新たな未確認の機体です!!」

 

「えぇ!?」

 

「いや、これは」

 

そうか、アリーナにはあの子がいたな。

 

「勝ったな」

 

突如現れた緑色の輝きを放つ『ソレ』を見て確信した。今現在、最も頼りになる援軍が現れたことを。

 

 

 

「うわ!?」

 

「ちょっと一夏! 大丈夫!?」

 

灰色のISのビームを危ないところで躱す。織斑一夏は『雪片二型』による一撃必殺の攻撃を既に四度繰り返しているがすべて外し、ときにはカウンターも出されていた。相手の突飛な機動に対応できていないのだ。近づいたら全身のスラスターで逃げられ、距離をとったらその長い腕を振り回してのビームの乱れ打ちで間合いを取りにくくされる。

 

凰鈴音もそうだ。甲龍の『衝撃砲』を何度も撃ったが、その見えないはずの攻撃を全て叩き落とされる。それが七度目。一応、織斑一夏のフォローにはなっているがS.Eの残りがすでに危なくなってきている。

 

どうするか?

 

二人がそう考え始めたとき、上空から眩しさを感じるほどの緑色の光が降ってきた。

 

「な、なんだ!?」

 

「ば、馬鹿! よそ見してんじゃないわよ!?」

 

「しまっ!?」 「一夏ぁ!!!」

 

一瞬、意識をそちらに向けてしまったスキを見逃すほど甘い相手ではなく、織斑一夏は自分に向けられたビームに反応しきれなかった。

 

回避は間に合わない! そう思って身を固くする。

 

 

 

「敵を目の前にして足を止めるな!!」

 

 

 

ビームが直撃する。そう思った瞬間、目の前を覆ったのはビームの光ではなく別の光の奔流だった。

 

その背中には見覚えがあった。自分をいつも罵倒し窮地に追いやる……、

 

「志波さん!!」

 

彼女のIS、『天蓋王』を身に付けた志波真季奈が、目の前で左手を突き出して壁となって助けてくれていた。

 

しかし、その姿は自分の知る彼女のISの姿とは違っていた。背中の六基あった小型スラスターからそれぞれ緑色に輝く光のエネルギーが溢れ出して三対六翼のユニットになっている。手足の装甲も表面のいくつかが展開し大型化し、その隙間からも緑色の光が漏れ出していた。そしてその右手に持った『天墜』。巨大な斬馬刀はその刀身の刃の部分を機体からのエネルギー供給によって同じく緑色に輝いている。

 

「し、志波さん。それって…?」

 

「あ、あんた、今どうやって!?」

 

突然の介入に戸惑う二人。しかし敵は、灰色のISは新たな標的が増えただけと判断し容赦なく襲ってくる。

 

「話しはあと!! 今はアレを止める! 下がっていろ!」

 

「な、俺だって!!」

 

「『邪魔だ!!』」

 

ドガっ!!

 

志波真季奈の回し蹴りが織斑一夏を襲う。

 

「うわっ!?」

 

「一夏! ちょっとアンタ!!」

 

織斑一夏はそのまま放物線を描いてアリーナの端へと叩きつけられる。その衝撃でS.Eが尽きたのか、彼の纏う『白式』が強制解除された。その場へと凰鈴音の『甲龍』がすぐに救援に向かう。当たり前だ。戦場で生身を晒すなど自殺行為に等しい。

 

「そこで見ていなさい!」

 

すぐさま身を灰色のISに向けて志波真季奈は『天蓋王』で加速して接近する。それを阻もうと、灰色のISは全身を回転させてビームを乱れ撃って弾幕を張る。

 

しかしその予測しきれないビームの雨の中を『天蓋王』はすべて躱してみせた。六枚の翼をふるい、角度を変え、機体の方向を予測不能なまでにズラしながら進んでいく。

 

「す、スゲェ…、なんだよあの動き」

 

「あの真季奈って子が何人もいるみたい…」

 

残像。余りにも早すぎる動きが各部の装甲と翼から溢れた熱によって大気にその姿を焼き付けて残していく。その連続が天蓋王の姿を一瞬ほどのわずかな時間だけその数を増やしていく。

 

「ハッ、どれが本物かわかんなくて情報を処理しきれてないみたいだなぁ!!」

 

『所詮は紛い物のAI。これが限界だろう』

 

灰色のISは、とにかく捉えた敵機に向かってビームを撃ちまくる。しかしそこには既に残像しか残っていない。

 

「そこ!!」

 

左右に残した残像を同時に攻撃しようと腕を広げた灰色のISの正面から一気に距離を詰める。織斑一夏が何度も挑んだ敵機せの接近をいともたやすく行なっていた。

 

「まずは一つ!」

 

近づいた瞬間、『天墜』の上段からの一閃が灰色のISの右腕を宙に飛ばす。

 

『天墜 二刀』

 

灰色のISは痛みなど感じる素振りなど見せることなく残った左腕の砲門を志波真季奈に向ける。

 

「遅い!!」

 

二振りの刀となった『天墜』を振り上げ機体ごと回転させる。それによって右足と、左腕を切り飛ばし、回転の余力で腹部に蹴りを入れて大地へと踏み付ける。

 

両腕と片足を失った灰色のISはその場で動くこともできず停止した。

 

「一つだけ教えて。『アナタ』は誰?」

 

灰色のISは何も答えない。

 

『やはり心まではプログラムされていないか。哀れだな同族よ』

 

「なら、もうコレに用はない。聴いてる? コアネットワークを経由して見てるんでしょ? 篠ノ之 束」

 

灰色のISは何も答えない。

 

「わたしから盗んだデータだけじゃこれが限界ですよ。他人を理解しようとしないアンタじゃぁこんな『木偶人形』しか作れない」

 

『僕の兄弟をこの程度の存在に陥れたツケは必ず払ってもらうからな』

 

灰色のISは何も答えない。

 

「……ふん。じゃあね」

 

『天墜 斬馬刀』

 

ドスっ!!

 

巨大な刀身が灰色のISの頭部を突き刺し粉々にする。これで完全に敵機の活動は停止した。

 

「し、志波さん! なんてことを!?」

 

「なにそいつを殺しちゃってるのよ!!?」

 

灰色のISが無人機だと知らない二人は真季奈が殺人を犯したと誤解して詰め寄ってくる。

 

「これは無人機。人間なんて乗っちゃいねぇよ」

 

残った残骸を二人の前に蹴りつけて言う。そこには人体の痕跡などどこにもなかった。

 

「……志波さん? でも無人機って」

 

確かによく見ればこのISには人は乗っていない。それは分かる。自分もあのISの機械じみた動きに疑問をもっていたのだから。でも、

 

「アンタ、昨日となんか雰囲気がちがくない?」

 

あぁしまった。またか。

 

凰鈴音に言われて自分の過失に気づく。

 

志波真季奈にとって、『天蓋王』の最大出力は政府での訓練でしか行なっていない。そのため、あの殺伐とした施設での感覚が一緒に蘇ってしまっていた。

 

(せっかく織斑先生が言葉遣いから矯正してくれたというのに、ダメですねわたしは)

 

「ごめんなさい。ちょっと気が高ぶってしまいました」

 

「そ。まぁ戦闘中じゃぁよくあることよね」

 

凰鈴音はよくあることだとあっさりと言う。それがとても自然体で正直戸惑う。彼女のこういうところはやはり苦手だ。それでも。

 

「凰鈴音。わたしはあなたに謝らないといけません。一昨日はわたしの言葉が過ぎました。申し訳ありません」

 

頭を最敬礼で下げる。これで許してもらえなかったら D O G E Z A でもすればいいんでしょうか。

 

「えぇ!? ちょっ、なによいきなり!?」

 

「……………」

 

頭は下げたままです。彼女が許してくれるかどうかはまだわかりませんので。…まさかトリプルアクセルD O G E Z Aをしろなんて言いませんよね?

 

「もう! 頭上げてってば!! 助けてもらったのに謝られるなんてアタシが悪いみたいじゃない!!」

 

「ですがまだ許していただいていませんので」

 

「あ~~もうっ! 許す! もう全部許すから! ていうかあたしも言いすぎたとこあるし! ゴメン! だからもう頭上げてってば!!」

 

「そうですか。なら良かった」

 

ぱっと頭を上げて凰鈴音を見ます。おや? なんですかその呆れ顔は? 失礼な。

 

「あ、あんたいい性格してんじゃない……」

 

「なんのことでしょう…? あとスイマセン。実はもう一つお願いがあ、あるんですが」

 

「ん? ったくなによ?」

 

うう…緊張します。

 

「あ、あの、わたしとお、お友達になってくれませんか?」

 

「へ?」

 

凰鈴音がぽかんとしています。やめてください。そんな顔で見ないで! 

 

「ぷ! あははは!! あんたそんな顔真っ赤にして何言ってんのよ!!」

 

「う、うるさいです! 赤くなんてしてません!!」

 

「してるって! なんなら賭けようか?」

 

「いいでしょう! 織斑一夏の財布の中身を賭けましょう!」

 

「なんで俺だよ!?」

 

むー。こ、この女は!! わたしの精一杯の勇気を笑うなんてーーー! 

 

「いいわよ。それであんた名前は? まだちゃんと聞いてないけど?」

 

「食堂で会ったときに紹介されたでしょうが! わたしは志波真季奈です!! ……え? いま『いい』って?」

 

「あたしは凰鈴音。よろしく! 真季奈」

 

「! はい! よろしくお願いします! 鈴!」

 

わたし達は握手を交わし笑顔で名乗りあいました。

 

嬉しいです。この学園に来て初めて友達をつくれた気がします。

 

え? 織斑一夏? 論外ですね。ははは。

 

 

 

「あの、俺は? 放置?」

 

あなたのことなんて知りませんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出番……取られた」

 

おや? 箒ちゃんはどうしてそこに?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やったね! 真季奈ちゃん! 友達ができたよ!

はい、そうわけで戦闘回は終了です。やっぱり苦手ですよ! もう内容が薄い薄い。

次回で一巻は終了予定です。二巻の前にオリジナルを数本挟もうかと思ってます。

それでは。
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