IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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これにて一巻までのお話はおしまいです。


ようは言ったもん勝ち

「すごかったですねぇ! 真季奈さん! あの無人機をあっという間に倒しちゃうなんて!」

 

「そうだな」

 

織斑千冬、山田真耶の両教師は事件の調査を行なっていた。

 

IS学園の地下50メートルにある秘密のラボ。そこはレベル4の権限を持つものにしか入ることを許されない場所。

 

あの謎のISはそこに運ばれ解析が行われていた。

 

志波真季奈が破壊した謎のISは両手、片足、頭部が破壊されたが、コアのあったボディが無事だったおかげで容易に解析が進んだ。

 

結果は思った通り。

 

ただ一つの例外を除いて、世界中で未だに開発されていない無人機のIS。それも使用されていたのは未登録のコア。

 

「やはりな」

 

「何か心当たりがあるんですか?」

 

「いや、今はまだない。今は、な」

 

そうですか。山田真耶は深くは聞かなかった。織斑千冬がこういうときは何を聞いても答えないということをしているからだ。

 

「それよりも、真季奈さんのあのIS、すごく綺麗でしたねぇ! クラス代表戦の時とは形状が変わっていましたけど、どういうことなんです?」

 

まさか『二次移行』《セカンド・シフト》?

 

山田真耶はそう思いついたが同時にありえないと思った。クラス代表選からまだ一週間。そう簡単に『二次移行』は起きるものではない。

 

 

『二次移行』。それは『一次移行』を終えたISの新たな進化。操縦者とともにISは成長し独自の形態へと自己進化していく。特徴として、機体の機能向上や特殊武装の追加があり、稀ではあるが、最大の特徴として『単一使用能力』の獲得などがある。

 

「いえ、あれは天蓋王の『二次移行』した姿であっている。ただし、アレがあの姿に進化したのはもう一年前のことだがな」

 

「え? でもクラス代表選のときは……」

 

「あの時は真季奈自身が機体にリミッターをかけていたんだ。性能差が有りすぎて勝負にならなかったからな」

 

「へぇ、凄いですね。ちなみにどういった機体なんですか? 天蓋王の『二次移行』した姿って」

 

そうだな、と織斑千冬は一度思い出すフリをして考える。どこまで話せばいいのやらと。天蓋王に使われている技術は機密の塊だ。日本政府からの箝口令も出ている。

 

「話せる範囲だけだが。背中の六枚の翼、『エナジーウイング』。これは機体内部のシールド・エネルギーを放出し、周囲の空間に力場を発生させて推進力とする能力を持った第三世代の装備だ。これによって全方向に対して超高速移動が可能となっている」

 

「そ、それまたすごい装備ですね。じゃぁあの分身は? どういう原理なんです?」

 

「原理も何も、あれは唯の目の錯覚、残像だ。動きが早すぎて機体が増えているように見えるだけだ」

 

これは半分嘘だ。もっと詳しく説明しようものなら『展開装甲』のことも話さなくてはならない。だがこの情報には規制がかかっているため無理だ。

 

「でもそれだとS.Eの消耗がかなりあるんじゃ?」

 

「ざっと白式の『雪片弍型』の三倍だ」

 

さっ!? 

 

「なんですかそれ!? そんなの公式戦で使えないじゃないですか!! あっという間に自滅しちゃいます!」

 

「だからこそ、真季奈はすべての戦闘を十分以内で終わらせてきた」

 

「そんな…」

 

まぁ、実のところ、そんな問題はとっくに解決してるんだがな。これこそ最上級の機密だから絶対に話せん。

 

「これからもあいつには苦労ばかりかけるな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうことだこれは!?」

 

耳障りな声が秘匿回線の通信器越しに聞こえてくる。IS委員会に籍を置く日本政府の老害の声だ。

 

「見て分からないんですか?」

 

答えるのはわたし、志波真季奈です。あーうざいジジィだ。

 

「ふざけるな!! 政府の役員共の馬鹿な不正記事や告発文ならまだいい! だが、何が『日本政府は篠ノ之博士とグルであり、世界征服の準備を進めている最中である』だ!! 貴様はこんな嘘八百を世界中にばら蒔くつもりか!?」

 

「良く出来ているでしょう?『篠ノ之博士が制作し、各国へ提供したISコア全てには半径100キロ四方を吹き飛ばす高性能爆弾がコアのブラックボックスに隠されており、その全てが日本政府の承認一つで同時に爆発させることができる』なんて嘘をそれらしく本当のことみたいに見せるのに苦労しましたよ。実際に爆弾の設計図もあなた達の手元にあるでしょう?」

 

「こんな嘘誰が信じるものか!!」

 

そうでしょうかね? 100人の技術者がいればその内の何人かは信じちゃうと思いますよ? 実際にISコアの解析は誰にもできていないのですから。なのに作った当人は行方不明で世界的指名手配犯だ。確認の使用もない。

 

しかもその情報が、『日本政府の公式議会』から発見され、『役員の書名』もあり、『爆弾の設計図とそれをISコアに搭載した詳細な記録』のデータが実際に目の前にあるのだ。……例え身に覚えのない欺瞞情報だとしても、そこにある以上発覚すればどうしても疑いは残る。

 

「それに、ばら蒔くつもりか、ですって? 残念でしたね。既にISを所有する各国には情報を送信済みです。まぁ今は暗号化されて現地の職員にすら見つかっていないでしょうがね」

 

「な!? 馬鹿な!!! それで誰かに見つかったらすぐさま戦争が起こるぞ!! どうなるかわかっているのか!!?」

 

今やISは世界の抑止力といってもいい。それを一瞬で無力化し、周囲に甚大な被害を与える爆弾を持たされていたと知れば、たとえそれが嘘でも知らなければ本当になる。世界は混乱するし、日本は各国共通の敵となるでしょうね。

 

「わたしを消して、秘密裏にデータを処分しようとしても無駄ですよ? わたし本人の手でしか削除できないようにしてますし、閲覧のタイミングもわたしが決めれます。もしも貴方たち第三者の手でどうこうしようとすると、その時点で全データが各国で同時公開されますので」

 

「なんて、なんてことをぉ……」

 

「それに、わざわざわたしを織斑一夏と篠ノ之箒と同じ部屋にしましたね? なんですかあれは? 擬似家族のつもりですか? 反吐が出ます。よほど私を怒らせたかったみたいですね貴方達は」

 

「そ、それは…」

 

「さて、それではこちらからの要求を伝えましょうか? クソジジイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは皆さん、引越しです」

 

『はい?』

 

日本政府の馬鹿どもを脅して傀儡とした後、わたしは寮の部屋に戻って箒ちゃんの味のしないチャーハンを食べていました。箒ちゃん、鈴に対抗意識を燃やしてるからってこれはないですよこれは。

 

「ようやく部屋の都合がつきました。いつまでも男女が一つ屋根の下で生活するのは問題ですからね」

 

意外と仕事が早いですね、あのジジィ。一時間ぐらい前ですよ? 部屋を変えろと脅したのは。

 

これでわたしも気が楽になるとうものです。箒ちゃんの監視なんてしなくてすみますし、織斑一夏の護衛なんて腐れ仕事などもっての外です。

 

「山田先生! それは今すぐでないといけませんか!?」

 

おーおー必死ですねぇ箒ちゃん。鈴という強敵が現れた以上、織斑一夏と同室というのはかなり有利なもの。それを失うのは痛い所でしょうし。

 

ちなみに引っ越すのはわたしと箒ちゃんです。この部屋は織斑一夏の一人部屋になります。

 

さて、引越しの準備をしますか。

 

「ダメですよ。今日中にという通達も来ていますので。それにいつまでも男の子と一緒じゃ篠ノ之さんもくつろげないでしょう?」

 

「い、いや私は」

 

「そんな気を遣うなって。箒がいなくても俺はちゃんと起きられるし歯も磨けるぞ?」

 

鈍感。

 

「山田先生! 今すぐ部屋を移動します!」

 

ほら、怒っちゃった。

 

「まったく、これでようやくわたしも落ち着いて寝ることができます。いつまでも織斑一夏に視姦されながら生活するは嫌ですからね」

 

「してねぇよ!? 何を言い出すんですかアンタ!? あぁっ箒も山田先生も信じないで! 距離を取らないでぇ!!」

 

「おや白々しい。……織斑一夏が夜な夜な部屋を抜け出してトイレでナニをやっていたのかくらい、わたしが知らないとでも?」

 

「はうっ!?」

 

慌てふためく織斑一夏にそっと近づきその耳に囁きます。事実です。おや? 顔を青くしたり赤らめたり、ほんとキモイですね。

 

「まぁ、貴方も年頃の男子です。その辺は大目に見ましょう。………この変態」

 

「イキテテスイマセンモウユルシテクダサイ」

 

「ではごきげんよう」

 

荷物をまとめて部屋を出ます。向かう先はあの部屋です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、来ちゃった☆」

 

「なにがというわけだ馬鹿者」

 

ひどい言われようです。悲しい! わたし泣いちゃう!

 

「アホな小芝居を止めんかまったく。で、何をしたんだ一体? 政府のクズどもが血相を変えて連絡してきたぞ。お前の部屋を変えろと」

 

「あぁ、ちょっとばかし脅しを。わたしに余計なことをしたら酷いことになるぞと」

 

「それでなんでお前がこの部屋に来ることになる?」

 

そう、ここは宿直室です。今日からここがわたしの部屋となります。

 

「あんな汚部屋を見せられて放っておけるわけないでしょう……。勝手ながらわたしがこの部屋の管理をさせていただきます『先生』」

 

「……それを言われるとこちらの立つ瀬がない。好きに使え。だが、一応ここは教員の部屋だ。あまり他の生徒を入れるなよ?」

 

「了解です。マム!」

 

軽く敬礼を。これも久しぶりですね。

 

さて荷物を整理する前に軽く部屋の掃除をしましょうか。やはりこの汚部屋では生活スペースがありませんので。

 

「あ、すいません織斑先生。少し忘れ物をしました。先に掃除を始めちゃっててください。……間違ってゴミを増やさないでくださいね?」

 

「あぁわかった。って最後のはいらんわ! 馬鹿者!!」

 

ははは。怒られちった。

 

さて、織斑一夏の部屋に戻りますか。

 

…………。

 

おや? 織斑一夏の部屋の前に箒ちゃんが。彼女も忘れ物ですかね? 

 

あ、なんか叫んで走っていきました。なんでしょう?

 

「どうかしたんですか? 織斑一夏」

 

「あ、あぁ志波さん。俺にも何がなんだが? そういう志波さんはどうしたの? 何か忘れ物?」

 

「えぇ実はわたしのパンツが一枚。ですのであなたの荷物を改めさせていただこうかなと」

 

「知りません! 俺じゃありませんって!!」

 

「冗談です」

 

「頼むから止めてくれませんかねぇ!?」

 

この焦り様。怪しいですね。盗んでなくとも触ったことぐらいはあるかもしれません。やはり変態か。

 

「織斑一夏。あなたは先日のわたしとの約束を覚えていますか? なんでもするという」

 

「うっ!? お、覚えています。はい」

 

なんですかそのげぇっとした顔は。殴りますよ。えい!

 

「ひでぶっ!? 何すんの!?」

 

「失礼。目の前に大きな蚊がいましたので」

 

「今まだ春なんですけどねぇ!?」

 

「まだ生きているようで。もう一発いいですか?」

 

「志波さんにとって俺=蚊なんですか!?」

 

「何を言ってるんですか! そんなわけないでしょう!」

 

「え、そ、そうか。ゴメン」

 

「あなたの鬱陶しさを蚊と同列にするなんて蚊に失礼でしょう! 今すぐ謝りなさい!!」

 

「ですよねえええええええええええええええええええええええええええ!!!」

 

やれやれ。なぜか話しが脱線してしまいました。そろそろ本題に移ります。

 

 

「織斑一夏。明後日の日曜にわたしとデートしなさい」

 

「……………………………………………………へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

復讐⑨ : 日本政府を恐喝する。

 

結果  : 便利なコマができました。

 

備考  : 散々利用したあとにボロ雑巾のように捨ててやる。

 

 




さてどうなるか。

読み返したところ、シールド・エネルギーの略称が間違えていましたので修正しました。

S.N → S.E ですね。どうして間違えていたんだろう? 

天蓋王の光の翼は生物的な羽ではなく、無機質な放熱板です。

例えるならガンダムW EW版ではなくガンダムDXのリフレクターをビームにしたものと思っていただけるなら幸いです。

それでは。
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