IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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二話です。いろいろと残念な回です。


隣の席に気をつけろ!

わたしの名前は志波真季奈。日本の代表候補生やっています。

 

IS歴二年。搭乗時間はわかりません。多分軽く2千時間オーバーはしているでしょう。

 

今日はIS学園の入学初日。入学式も終わってクラスでの自己紹介まっただ中です。

 

そんな中、わたしは非常にご機嫌ななめです。

 

どれくらいかというと、泣く子も震え上がって小便漏らしながら土下座して許しを請うぐらい機嫌が悪いです。

 

ちょっと怒りのオーラが溢れちゃってますね。現に周りの席の子が若干涙目になっています。

 

なぜか?

 

それは私の右隣の席に、仇敵『織斑一夏』が座っているからです。

 

……あぁ、サンドバックにしてぇ。

 

大体、政府の奴らは馬鹿なの? アホなの? 殴られたいの?

 

なんで『織斑一夏ブッ殺し隊』隊長のわたし(メンバーは一人)と織斑一夏を同じクラスにするかな?

 

スキあらば殴るよ? 冗談抜きで。

 

確か世界初の男性操縦者ってことでデータ取りのモルモットにしたいんだよね? そのためのIS学園への入学とか担任に元『世界最強』<ブリュンヒルデ>の織斑千冬をあてがって護衛するんじゃなかったの?

 

しかもIS開発者の篠ノ之 束の妹、篠ノ之 箒まで同じクラスにいるし。面倒見きれんのかね? 織斑先生に負担でかすぎだろこれ。

 

っと、いかんいかん。頭の中とはいえ口調が素になってた。せっかく矯正したのに考え事してるとあっという間にダメになる。

 

わたしは中学に上がってすぐくらいの頃に日本政府のIS訓練カリキュラムに無理やり放り込まれた。理由は簡単だ。

 

IS適正が高すぎたためだ。ランクはS+。中学では選択授業でISの基礎知識の座学がある。その授業を受けるかどうかを決める際にIS適正の高さで判断する生徒も多いため検査してくれるのだが、これがいけなかった。

 

(……ISに興味はあったけど、操縦者になるつもりはなかったんだけどなー)

 

 

その後すぐにわたしのISランクを知った政府の人間に拘束されて訓練施設送りだ。

 

中学校に通った思い出など無いに等しい。義務教育? 何それ? 喰えんの?

 

おかげで同年代の人達と会話することもほとんどなく大人たちを相手にするような高圧的な喋り方が板についてしまった。そのせいで織斑先生の特訓を受けさせられる羽目になった。曰く、被れる猫は多ければ多いほどいいとのことだ。

 

……教育者とは素晴らしいねぇ。

 

ところで、織斑一夏だ。

 

この男、顔を青くして固まっていた。自分以外すべて女子という状況だ。萎縮していても不思議ではない。恐らく自己紹介がもうすぐ自分の番だということにも気づいていないだろう。

 

実に情けないことだ。この程度の男なのか。私の両親が身を挺して守ったのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

(これは……想像以上にきつい……)

 

織斑一夏は困惑していた。周りのクラスメイト達からの視線の多さからだ。

 

生徒の人数は40人弱。その中で男子は自分一人。それ以外はすべて女子だ。その全てからの視線を感じる様な気がする。

 

自意識過剰ではなく、まず間違いない。

 

なにせ、自分の隣の席の女の子から身の毛もよだつような鋭い眼光を浴びせられてるからだ。

 

(なんであんな……俺が何かしたか?)

 

自分の左隣の席に座っている金髪碧眼の少女。アジア系の顔立ちだが染めているわけでないことがひと目でわかる。ハーフなのかもしれない。セミロングくらいの長さの髪を後ろで纏めて上げていて可愛いと綺麗の中間ぐらいの印象だ。

 

そんな彼女が恐ろしい形相でこちらを睨みつけている。初対面の女の子にそんな目で見られる覚えはもちろんない。

 

俺はちらりと窓際の席の方に目をやる。

 

藁にもすがる思いでの視線だったのだが、薄情なことに六年ぶりに再会した幼馴染の篠ノ之 箒はふいっと窓の外へと視線をずらした。

 

なんてやつだ、とも思ったが箒の顔が若干青ざめていたのが見えた。……そうかお前も怖いんだな。席離れているのに凄いなこの威圧感。どうやら俺の味方はいないようだった。

 

もしかしたら実質的に女子校のIS学園に男である自分がいることで敵視されているのかもしれない。

 

 

IS学園。

 

ISの操縦者育成を目的とした教育機関である。IS≪インフィニット・ストラトス≫とは宇宙空間での活動を想定して作られたマルチフォーム・スーツでなぜか女性にしか扱えない。

 

ISは宇宙進出事業がうまく進まかったためその機体性能を持て余しその結果、飛行パワードスーツとてして各国で扱われるようになった。その用途は様々だが主に軍事用とスポーツ用に分けられていた。

 

ISの性能は一言で表すなら『恐ろしい』ものだった。現行の兵器は言うに及ばず、あらゆる戦術も戦略も単機で覆すものだった。そのため世界中の軍隊が兵器としてのISを求め、戦車や戦闘機を遥かに超える軍事力となっていった。

 

 

しかしそのISを扱えるのは『女性』のみなのである。

 

 

そのため、世界では女性の地位は自然と上がり、今では『女尊男卑』の世の中となってしまった。道端で出会った初対面の女性にいきなり荷物持ちをさせられる。そんなことがまかり通ってしまうのだ。逆らえば警察を呼ばれてでっち上げられた嘘の罪状であえなく御用、なんてざらである。なんとも男には住みづらい世の中となってしまったことか。

 

ひょっとしたら自分の隣の席に座っているこの少女もそういう手合いなのかもしれない。

 

(な、なるだけ怒らせないようにしなくちゃな……)

 

まぁ単に自分が嫌われてるだけという可能性もないわけではないが。……地味にへこんだ。

 

「……くん。織斑一夏くんっ」

 

「は、はいっ!?」

 

いきなり大声で呼ばれてつい返事が裏返ってしまった。案の定、周りからくすくすと笑い声が聞こえてきて(隣を除く)恥ずかしくなる。

 

目の前には副担任の山田真耶先生が立っていた。小柄な体にずり落ちそうな眼鏡と大きめのサイズの服を着たこの女性は本当に自分よりも年上なのかと思う。同年代だと言われても信じてしまいそうな容姿だった。

 

「あっ、あの、お、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる? 怒ってるかな? ゴメンね、ゴメンね? でもね、あのね、自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。だからね、ご、ゴメンね? 自己紹介してくれるかな? だ、ダメかな?」

 

なぜにこの先生はここまでペコペコと頭を下げているのだろうか。そんなに頭を目の前で下げられるとつい撫でたくなってしまうじゃないか。

 

「いや、あの、そんなに謝らなくても……っていうか自己紹介しますから。先生も落ち着いてください」

 

「ほ、本当? 本当ですか? 本当ですね? 約束ですよ!? 絶対ですよ!? お願いしますね!!」

 

無駄にハードル上げるの止めてくれませんかねぇ!? これ完全に注目されてるよ! クラスの視線独り占めだよ! やったねちくしょう!

 

しかし男たるものやらねばならないときがある! 

 

ここで渋ったらこの先クラスで孤立しそうだしな!!

 

そう思いながらゆっくりと椅子を引いて立ち上がる。椅子が床を擦る音が嫌に響く。緊張なんかとっくに振り切ってるぜぇ。

 

「……あー、えーと。……織斑一夏です」

 

とりあえず名前を言うことはできた。噛まずに言えた自分を褒めてやりたいぜ。でも皆やめて! そんな『もっとなんか言って!』的な目で俺を見ないで!

 

くっ、どうしたらいいんだ。ちょっと小意気なギャグでも飛ばせばいいのか!? なんならこの間弾のやつと挑戦した早食いジャンボラーメンの顛末でも……駄目だ確実に爆死する。

 

どうする、どうする俺!? このまま何も喋らなかったら根暗ヤロウの烙印を押されてしまう! なんでもいいから喋らなくては!

 

「その、………………………………えーっと……………っ以上です!」

 

ガタガタタタン!!!!?

 

クラスの殆どがずっこけていた。すんません。無理です。

 

席に座り直すときに横目で隣の彼女を見てみる。怖いもの見たさというかなんとなく何かしらの評価がもらえるような気がしたんだ。

 

目があった。

 

「チッ、だっさ」

 

舌打ち入りましたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!! 

 

しかもダサいまで言われましたよ!?

 

小声だったのでずっこけた女の子達の椅子を正す騒音にかき消されてたけど、俺にはハッキリ聞こえましたよ!? 隣だもん! 目もあってたし!

 

「ハっ、自己紹介も満足にできないとか……」

 

追い打ち!? やめて! 俺のライフはもうゼロよ!?

 

「おい」

 

パァンッ! いきなり頭を叩かれました。

 

「いてぇっ!?」

 

今度はなんだよ!? 嫌な予感と確信めいた覚えを感じつつも後ろを振り返る。

 

そこには黒いスーツにタイトスカート。スラリと伸びた長身によく見知った顔の女性。

 

「げぇっ!? いきおくれっ……」

 

「殺すぞゴラァ!!」

 

「ひでぶっ!!」

 

ゴシャァ!! 人を殴った打撃音としてありえない音が出ましたよ!? ほら他の女子も少し引いてるし。

 

「まったく、お前は自己紹介も満足にできんのか」

 

「ち、千冬姉ぇ?」

 

「織斑先生だ」

 

パァン! また叩かれた。今度は軽目だが痛いもんは痛い。

 

でもなんで俺の実姉がここに? 先生ってことはIS学園の教師だったのか? 

 

「諸君、私が織斑千冬だ。不幸なことに、貴様ら情けないクズ共を少しはましなカス共に教育するのが私の仕事だ。毎年お前らのような頭の腐った豚共のせいで私は碌に家にも帰れない。その鬱憤を貴様ら低能共をシゴきにシゴいて晴らさせてもらう。どうだ嬉しいか!」

 

 

『『『はい! ありがとうございます!!!!!!』』』

 

まさかのハートマン式!?? 軍隊じゃないんだから千冬姉ぇ!!! てかすでにクラスの女子は調教済みじゃねぇか! なんで!??

 

「キャーーーーーーーーー!!!! 千冬様! 本物の千冬お姉さまよーーーーー!!!!!」

 

「ずっとファンでした!」

 

「わたし千冬お姉さまに会うために北海道から来ました!!!」

 

「もっと罵ってください! 蔑んだ目で見下してください!!」

 

「素敵! 抱いてください!!!」

 

あ、うん。なんか納得だわ。

 

「ちっ、また今年もこんな発情猿ばかりか。わざと私のクラスに集めてるんじゃないだろうな」

 

あ、千冬姉ぇマジで鬱陶しそうにしてる。さっきのは海兵隊式教育法なんかじゃなくて本心だったんだな。毎年こうならそうだろうなぁ。

 

「貴様らバカの共のせいで自己紹介の時間がほとんど無くなった! よって一人30秒もくれてやる! ありがたく思え豚共!」

 

『『『イエス、マム!!!!』』』

 

もう勘弁してください。

 

 

 

 

 

 

 

というわけで織斑先生のご登場です。相変わらずですねあの人は。

 

一人30秒というハイペースな自己紹介のおかげでもうわたしの番です。

 

では。

 

「志波真季奈です。髪はクオーターなので天然物の金髪ですが一応日本人です。日本の代表候補生もやってます。趣味はプログラミングを少々。そしてこの子が、」

 

わたしの専用ISの待機状態を変更。机の上に『アノ子』を出現させる。

 

「私の作った人工AI、『デウス』です」

 

現れたのは仔犬サイズの小さな黒柴犬。これがわたしの自慢の『アノ子』。

 

さぁ、これからが私たちの学園生活《復讐》の始まりだ。

 

 

 

 




はい。

基本的に原作キャラの初登場時のセリフはそのままとなっております。

ただ、志波真季奈に関わっていくことでキャラ崩壊を起こしてくという方向で。

既に千冬姉ぇがやばい(笑)




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