IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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お久しぶりです。

今回は日常と戦闘回を合わせました。長いです。

どうぞお付き合いください。


やりすぎにはホントご注意を

おはようございます。あれから五日がたちました。

 

え? レベッカたちとの模擬戦? 出来てませんよまだ。

 

どこから話が漏れたのか、織斑先生に止められてしまいました。アリーナを壊すつもりか!! だそうです。。

 

失礼な。わたし達をなんだと思ってるんでしょうね?

 

まぁ、だからって大人しく言うことを聞いてやる道理もありませんが。(ΦωΦ)フフフ…

 

……それと、実は問題がもう一つありまして。

 

「真季奈殿! おはようございます!」

 

「は、はい。ラウラさん、おはようございます……」

 

なんか懐かれました。どうしてこうなった。

 

なぜでしょうね? 

 

 

 

織斑先生に言われた翌日。わたしはラウラ・ボーデヴィッヒに接触を試みました。

 

動いたのはお昼休みからです。食堂で食券を握り締めて列に並んでいるついでに織斑一夏を四つん這いにさせて椅子にしていた時です。そこに食券の自販機の前でオロオロしている彼女を見つけました。

 

「おやボーデヴィッヒさんではありませんか。何をしているんでしょうね?」

 

「いや、むしろお前が何をしているんだ真季奈」

 

「何って箒ちゃん、列が動くまで椅子に座って待っているんですよ?」

 

「その椅子はどう見ても一夏さんですよねぇ!?」

 

はっはっは、何を言ってるんですオルコットさん? わたしが疲れたら織斑一夏に腰をかける。それが当たり前じゃないですか。つまりここに存在しているのは紛れも無く椅子なんですよ?

 

「あのー志波さん? そろそろ許してもらえないでしょうか?」

 

「昨晩二時間もかけて教えてあげた予習した内容を、今日の授業で見事忘れたバカヤロウが何か言っていますねぇ? もう一回言ってみてくれません?」

 

「モウウシワケゴザイマセンデシタ」

 

わたしの睡眠時間を返せよこの馬鹿。

 

「あれは一夏が悪いと思うよ? 志波さん本当にわかりやすく教えてくれてたのに……」

 

「え? こいつそんなに馬鹿なの?」

 

「そうなのよ。昔っから物覚えは悪いは鈍感だわ唐変木だわで苦労させられたのよねー」

 

「鈴、後半は関係ないですよね? でも真季奈の個人授業を受けてその体たらく。シメましょう」

 

「バカでごめんなさい」 ……OTL

 

デュノアさん、レベッカ、鈴、蓮花の順でフルボッコですね。自業自得です。しかし。

 

「なんにせよ。困っているのならクラスメイトとして見捨てるわけにもいきません。ほら、駄馬。さっさとボーデヴッヒさんのとこまで行きなさい」

 

パァン!! 

 

「いてぇ! わかりやしたぁ!」

 

うん、馬を歩かせるならお尻にスパンキング! ですよね。

 

四つん這いの織斑一夏に跨ったままボーデヴィッヒさんのいる食券の自販機の前まで移動します。あ、レベッカにわたし達の食券はちゃんと渡してますよ? ご飯が第一ですので。

 

「どうかしたんですかボーデヴィッヒさん? 買い方がわからないのです?」

 

「い、いや、実はまだ日本語が読めなくて……。ってお前たちの方がどうしたんだそれは!?」

 

「? 何か?」

 

「な、なんという自然体……、やはりこの人には敵わないのか……」 

 

なんか驚いていますね? まぁいいでしょう。

 

(((良くないだろ!!!)))

 

食堂からなんか受信したような? 着信拒否しときましょう。

 

「なるほど文字ですか。そういえばすっかり忘れていましたけど、この学園に来る人たちは皆さん外国の方ばかりでしたね。でもある程度の読み書きは出来るんでしょう?」

 

「無論だ。だが、こうも書体を崩されるとな……」

 

あぁ、確かにそうですね。自販機のボタンに書かれているメニューの文字。それが結構曲者な丸文字で書かれています。丸文字は日本の女子独自の暗号のようなものですね。普通こんなことはありえませんが、脳裏にあのキチガイ生徒会長の姿がチラつきます。どうせ可愛いから、とかいう理由なんでしょうね。

 

そういえば織斑一夏も最初はかなり困っていましたね。今ではすっかり丸文字を扱える男子になっていますよ。やだキモイ。

 

「それでしたら読み方を教えましょう。ちなみに今日は何を食べたいのです?」

 

「この日替わりランチなんだが……」

 

「またわかりにくいモノを…、普通にA定食とかにしておけばアルファベットで見つけやすいのに」

 

「う、うるさい! 今日のランチはオムライスなんだ!」

 

あらカワイイ子。なんなら旗でも刺してあげましょうか? お子様ランチですよ。

 

「それならこのボタンですよ。なんでしたら一緒にお昼食べませんか?」

 

「その駄馬も一緒なのだろう? なら結構だ」

 

「あー、確かにこんな駄馬と一緒に食事なんかしたら食欲も失せちゃいますね。わかりました。でしたらこれは繋いでおきますから大丈夫ですよ。放っておいて一緒に食べましょう」

 

ひ、ひでぇ(泣)。

 

なにか下から聞こえましたね? お馬鹿な駄馬は黙ってなさい。

 

「そ、それなら是非一緒させてくれ」

 

 

 

と、いうのが馴れ初めで。それからというもの、ボーデヴィッヒさんが何かと頼ってくるようになりました。そのうちにわたしもラウラさんと親しく呼ぶようになったんですが、

 

「真季奈殿! 肩でもお揉みしましょうか?」

 

「いえ結構です。とうか殿はいりません殿は」

 

「日本の学校では目上の人物にはそうするのだと本国の部下から聞きましたが?」

 

目上って…。わたしたちはクラスメイトですよ?

 

「あ、お腹は空いていませんか? なんでしたら焼きそばパンを買ってきますよ」

 

「ちょっと待ってください! それでは舎弟です! 目上ってわたしは番長ですか!?」

 

「でもなんかしっくりくるよなぁ」

 

「お黙り、すかぽんたん!」

 

パァン! 

 

「あらほらさっさー!!」

 

……最近殴ってばっかですね。ちょっとマンネリ気味です。今度はもっと別の手を考えましょう。

 

 

 

 

さて。なんやかんやあって放課後です。授業? 今日は土曜日なので午前だけです。 織斑一夏はやはり馬鹿でした。以上。

 

午後からはお休みなので、皆それぞれISの訓練や部活などを行なっています。わたしもそんな一人ですよ。レベッカと蓮花、ボーデヴィッヒさんと一緒にアリーナに来ています。

 

織斑一夏はデュノアさんと訓練していますね。おや? 箒ちゃんにオルコットさんと鈴ではないですか。なんでそんな影の方でコソコソしているんです? 織斑一夏の監視ですねそうですね。

 

「というわけで、今日こそやりましょうか。織斑先生の目も今日はありませんし」

 

「オッシ! でもよく申請が通ったな?」

 

「私たちの私闘は禁止されてた筈です。どんな手を使ったんですか?」

 

ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました!

 

「それは、ラウラさんです!」

 

『うん?』

 

「はい?」

 

三人とも不思議がってますね。では説明しましょう。

 

「わたし達の間で禁止されていたのはこの三人での戦闘行為です。ですので、ラウラさんの名義で模擬戦の申請を出しておきました。それも2対2のタッグ戦形式で」

 

『『『タッグ?』』』

 

「はい。今度開かれる学年別個人トーナメントはタッグ戦です。よって、それを見越した訓練という名目なら申請が通りやすくなっていたんですよ」

 

「……なーる。つまり、一人脱落して三人になれば」

 

「……タッグのパートナーを攻撃してしまうこともありえますね。なにせ訓練中ですので」

 

「わ、私が脱落するのは決定なのか?」

 

『当然』

 

「……oh」

 

「まぁまぁ、ラウラさんもそんなに気落ちしないで。なんでしたら向こうにいる織斑一夏に事故を装って一撃くれてやりなさいな。スカっとしますよ?」

 

「それもそうですね」

 

では始めますか。

 

「デウス」

 

『やっと出番か。待ちわびたぞ真季奈』

 

わたしの体を緑色の光が包んで『天蓋王』が展開されます。いつも通り六翼の小型スラスターと大型の斬馬刀『天墜』が現れます。

 

「んじゃ、あたしらも」

 

「えぇ」

 

「うむ」

 

レベッカたちもISを展開します。

 

ラウラさんのISの名前は『シュヴァルツェア・レーゲン』。全身が黒で覆われたISで、右肩の大型レールカノンが特徴で、他にも両肩およびリアアーマーにも計6基のワイヤーブレードを装備している。

 

レベッカのISはというと、全身が銀色で塗装された重武装型の機体。名称は『シルバリオン』。一般的なISよりも一回り大きい四肢を持ち、背中には戦闘機を思わせるウイングとブースターが取り付けられている。両腕のマニュピレータには五指レーザー砲を装備し、脚部にはマイクロミサイルポッドを二基ずつ装備し、胸部、背部ブースターにもミサイルポッドが搭載されている。メイン武装は二丁の『ビーム突撃銃』。

 

蓮花はというと、青と白で塗装された『龍』を思わせる姿をしたIS。名称は『応龍』《イェンロン》。鈴の細い印象のある『甲龍』よりもズッシリとした四肢を持つ機体で、両肩に二基ずつ計4基の龍を模した大型バインダーを装備しており、後ろ腰には先端が剣になっている尻尾が付いている。武器は偃月刀という巨大な槍。その名も『応龍偃月刀』。

 

「相変わらずゴツイ機体ですね。貴方たちのIS。重たくないんですか?」

 

「ばーか! お前のが華奢すぎんだよ! つーか、ISに重さなんて感じるわけねーだろが!!」

 

「でも真季奈の機体は身軽すぎて動きが速すぎる。だから当たらない?」

 

まぁこの二人とは元から相性が良くないんですよね。『天蓋王』は高機動型。『シルバリオン』は重武装型。『応龍』は突撃型。うーん見事にバラバラですね。

 

さて、では。

 

『殺るか!』

 

「お、おー」

 

 

 

 

「あれって志波さん達じゃないか?」

 

「ホントだね。ボーデヴィッヒさん達も一緒だ。今から四人で模擬戦でもするのかな?」

 

俺はシャルルとアリーナでISの訓練をしている。まぁと言っても、俺が教わってるんだけどな! あ、ごめんなさい石を投げないで! 情けなくてすいません。

 

シャルルとの訓練はとてもためなる。実にわかりやすいのだ。箒たちだと教え方が抽象的すぎて理解できないし、志波さんだと……厳しいし。情けなくてすいません。ほんとすいません。だって志波さん、怖いもん!! IS着たままマラソンさせられるし日が暮れるまでボコボコに叩き伏せられるし! ……まぁおかげで体力と回避にはかなり自信がついたけど。

 

「ねぇ一夏。志波さんてどういう風な戦い方するの?」

 

「そうだな。速い、とにかく速いんだ。散々翻弄されて気づいたら近づかれて一刀両断」

 

「へぇ、一夏の『白式』の理想形だね」

 

そうなんだよなぁ。俺の『白式』は武器が『雪片二型』しかない近接格闘型。だから敵の攻撃を喰らわずに近づいて切りかからないといけない。志波さんの戦い方をマスターできれば俺は強くなれるはずだ。

 

「でも壁は高いよなぁ」

 

「まぁねぇ」

 

うん。今の俺じゃ逆立ちしたって届かない。ていうか逆立ちどころか普通にしてても無理なんだからハンデつけてどうする。

 

「げ!? あれ蓮花じゃない! に、逃げるわよ皆!! 早く!」

 

え? 鈴? どうしたんだそんなに慌てて。

 

「一夏! ぼさっとしてないで早く!! 巻き込まれるわよ!」

 

なんだよ? 何を焦って……、

 

 

チュドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!

 

 

「うわぁあああああああああああああ!?」

 

『一夏ぁあああああああああああああああああああ!!!!』

 

突然砲撃が飛んできました。え? 嘘!?

 

「ハーーーーーーハッハーーーーーーーーーーーーー!!! 最ッ高だぜぇ!! えぇ!? キョウダァイ!!」

 

ドドドドドドドドドドドドド!!!!

 

「逃げろーーーーー!!! ミサイルが降ってくるぞぉ!!」「キャーーーーーー!!」「いやぁああああ!!!」

 

「う、うぅ。な、何が起こったんだ…?」

 

「大丈夫? 一夏! 早く離れて! フィールドから出るんだ!」

 

「危ない! よけて!!」

 

え?

 

ドーーーン!!

 

「ぎゃぁああ!!」

 

『一夏ぁあああ!!!』

 

今度は見えない砲撃に吹き飛ばされた。こ、この感触は覚えてるぞ! 『衝撃砲』だ!

 

「チッ! 外しましたか! 逃がすかぁ! レベッカァ!!!」

 

ドォン! ドォン! ドォン! ドォン!

 

続けざまに四発の『衝撃砲』が発射される。鈴の時とは違って射角がさっぱりわからない。しかも同時に四方向から別々の位置に放たれている。

 

「鈴さん! なんなんですかこの攻撃は!『衝撃砲』は貴方の国の技術でしょ!?」

 

「蓮花の『応龍』は『衝撃砲』のプロトタイプが載ってるのよ!! それも四門も! あの四つのバインダーの龍が口開けたらすぐに逃げなさい! あそこが発射口よ!」

 

「そ、そうかあれが……って無理だろ! あの龍、なんか付け根から首が伸びてるぞ! どっから来るのかわかんねぇよ!!?」

 

「しょうがないでしょ! あのドラゴンハング、伸縮自在で牙で噛まれるわ、口から『衝撃砲』吐くわで厄介なんだから! あと後ろにも立っちゃダメだから! 『竜尾』で捕まって切られるわよ!?」

 

「ゴルゴか!?」

 

「またミサイルが来るぞーーーー!!」

 

「ちくしょぉおおおおおお!!」

 

ていうかなんで俺のとこばっかり攻撃が来るんだよ!?

 

 

 

 

 

くくく、かかか、あはははははははははは!!!!

 

相も変わらずメチャクチャだ! なんだこれは!? 試合でも模擬戦でもない! 単なる潰し合いだ! それがこんなにも楽しい!!

 

「蓮花ぁ! その程度か!? えぇ!?」

 

「真季奈こそ! 口調が大分昔に戻ってきてますよ!? いいんですか!」

 

『天墜』で蓮花の『応龍偃月刀』と切り結びながら叫ぶ。知ったことか。『俺』は今楽しくてしょうがないんだ。

 

蓮花の『応龍』は厄介だ。四基のドラゴンハング。『青龍』、『赤竜』、『白龍』、『黒龍』の四龍はISの後付武装《イコライザ》で首の関節部をどんどん延長していくので長さに制限がない。空中で戦っていたら上下左右の四方から掴まれ、撃たれ、絞められる。前から攻めれば巨大な刃の付いた槍で突かれ、背後に回れば『竜尾』の餌食だ。

 

今も空中で四龍に囲まれている。『衝撃砲』を撃たずに捕まえに来るつもりだ。

 

「これで囲んだつもりか!?」

 

『エナジーウイング』の最大出力で上昇して躱す。自分が数瞬前にいた場所で四龍が衝突し合う。が、直ぐ様追ってくる。

 

「逃がしませんよ!」

 

「いいや! テメェらまとめてくたばりやがれ!!!」

 

地上にいたレベッカの『シルバリオン』の全砲塔が火を吹いた。両腕を水平にかざし、十指から放たれるレーザーが、腕にマウントされた『ビーム突撃銃』が、背部、胸部、脚部のミサイルポッドが全て口火を開く。

 

「ちっ」

 

「はぁ!」

 

もはや射線ではなく面での砲撃。壁のように迫ってくるビームとミサイルの束を躱す。レベッカは持った槍を回転させて壁にし、もしくは四龍の『衝撃砲』で迎撃していく。

 

わたし達の戦闘に『共闘』の文字は存在しない。2対1などはなく、常に1対1対1なのが自分達だ。わたしが蓮花に斬りかかればそこをレベッカが撃つ。レベッカがわたしを攻撃すれば蓮花がレベッカを突く。まるで三竦みだ。

 

でも、それでも。

 

わたし達の戦いは決着が実にシンプルだ。最後に立っていたものが勝者なのだから。

 

「ケっ! 当たらねぇ! しかもどれが本物だ!? なんなんだそのウザッてぇ羽はぁ!」

 

ドドドドド!!!

 

「鬱陶しいのはお前の弾幕だ! いい加減切り飛ばしたいんだよ! その腕ぇ!!」

 

「はっ! やってみなぁ! その前に撃ち落としてやるよカトンボ!」

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!

 

あーーーー! ウゼェ!!

 

いつまでも尽きることのない弾幕。それを『天墜 強弓』で撃ち落とし、『エナジーウイング』の加速で躱す。その繰り返しを何度やったか。また、『シルバリオン』に斬りかかるチャンスが何度あったか。実はそう多くなかった。弾幕が濃すぎる。

 

『シルバリオン』は拡張領域《パススロット》の全てを使ってミサイルポッドを後付武装している。つまり、弾が尽きないのでなく、無くなったモノから補給してるのだ。

 

レベッカには近づけねぇ! 蓮花は気を抜いたら貫かれる! だったらまずは近い奴から潰す!!

 

「蓮花ぁあああ!!」

 

「真季奈ぁ!!」

 

再び空中で激突する二機。『天墜 斬馬刀』の重い一撃を正面から『応龍偃月刀』の突きの弾幕のような壁で弾き飛ばす。

 

ならば!

 

『天墜 二刀』

 

一撃の重さではなく、速さで圧倒する! 

 

槍の間合いから『応龍』の懐にまで潜り込む。その為には突きの弾幕と四龍の包囲網を抜けなくてはならない。こうしている間も『シルバリオン』の砲撃は続いている。S.E(シールド・エネルギー)も残り少ない。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

加速! 加速! 加速! 加速!!

 

『エナジーウイング』の全方向への移動を一瞬で可能にさせるその光の翼。それを最大限に稼働させ『応龍』の周りを舞う。『展開装甲』を稼働させてさらに加速。その時発生させた残像は四つ。

 

「舐めるなぁあああ!!!」

 

蓮花が吠える。四龍を展開させ、残像全てを攻撃させる。『衝撃砲』ではなく、その龍の顎をふるって。

 

「それを待っていたぁ!」

 

「な!?」

 

残像の一体が動く。そこに居たのは虚構の姿ではなく実態のある本物。残した影の元に移動して紛れ込んでいたのだ。そこは四龍の中心。二刀の長刀を振るい、四匹の龍の首を堕とす。

 

ドガシャァアアア!!!

 

「チィッ!? 二匹逃したか!」

 

「まだまだ!」

 

斬り落とせたのは二匹の龍。右肩の『白龍』と左肩の『赤竜』。まだ『青龍』と『黒龍』が残っている。

 

(先程の動き、かなりのS.Eを使ったはず。ならば…)

 

(『衝撃砲』の撃ちすぎだ。さっきから実体武器しか使ってない)

 

『次で決める!!』

 

「あたしを忘れんじゃねぇ!!」

 

ビーム突撃銃を撃ちながらレベッカの『シルバリオン』が空中へと踊りだす。それは、真季奈にとっては好都合。

 

真季奈の正面には二体。こちらに突っ込んでくる『応龍』。空中で静止してどちらにも砲撃する『シルバリオン』。

 

動きの速いこっちにはビームしか飛んでこねぇ!! だったら!

 

『やるのか真季奈!?』

 

「あぁ!!」

 

『天墜』を斬馬刀へと戻し、右手で横に構え、左手は前へと突き出して機体を加速させる。

 

『エナジーウイング』の最大出力。が、一瞬の輝きの後、光の翼が急速にその姿を維持できなくなっていく。エネルギー不足だ。

 

「単一仕様能力《ワンオフ・アビリティー》、『天下騒乱』!」

 

『天蓋王』が金色の輝きに包まれる。そのまま機体を『シルバリオン』の放つビームへと突き進む!

 

『な!?』

 

ビームが突き出した左手へと直撃する。しかし、それは左手の前へに発生した力場によってかき消された。いや、吸収されていく。

 

「見知りおけ! これが『天蓋王』のエネルギー吸収能力!」

 

『シルバリオン』の放ったビームの全てを受けて自身のS.Eを回復させる。その瞬間、『エナジーウイング』が再びその翼を大きく広げる!

 

「はぁあああああああああああ!!」

 

 

 

 

その頃。

 

「退避ー! 退避ー!」「衛生兵ー!」「フィールドバリアがもう持ちません!!」「あの三人は化け物か!?」

 

地上は地獄と化していた。

 

「なんだこの騒ぎは!?」

 

『織斑先生!!』

 

騒ぎを聞きつけて、『世界最強』《ブリュンヒルデ》が登場。

 

全員が助かった! と思った瞬間だった。が、

 

「な!? なんであの三人が戦っている!? 総員退避ー!! アリーナを放棄しろー!!」

 

『えええええええええええええええええええええええええ!!??』

 

「織斑ぁ! なんだこの状況は! またお前かぁ!?」

 

「違うって千冬姉ぇ!」

 

「しかもなんてことだ! 真季奈のやつ、すっかり昔の調子に戻っているじゃないか!? ……あぁぁぁ…」

 

「ど、どうしたんですか織斑先生?」

 

頭を抱えて座り込む『世界最強』の姿に戸惑う生徒たち。無理もない。彼女のこんな姿は弟である織斑一夏すら見たことがなかった。

 

「お前ら、『嵐の王者』(ストーム・キング)を知っているか?」

 

『はぁ?』

 

「す、『嵐の王者』ですって!?」

 

「知っているのか鈴!?」

 

「えぇ。あたしが中学の頃に巷を騒がせた伝説のバイク乗りよ。警官隊二百人、パトカー五十台の追跡を振り切ったことでその名を全国に知らしめたわ。まさかそれが」

 

「そうだ。真季奈が14の頃の呼び名だ」

 

『えええええええええええええええええ!!?』

 

驚く一同。そりゃそうだ。

 

「あの頃の真季奈はもうめちゃくちゃだった。施設の窓は全てバットで叩き割り、盗んだバイクで走り出す。一晩中帰ってこないで夜遊びして、帰ってきたら施設で暴れる…」

 

人それを、反抗期という。

 

「そんな真季奈を更生させるのに私がどれだけ涙を流したと思ってるんだ!?」

 

「知らねぇよ!? てか志波さんて昔そんなにグレてたの!?」

 

「中国では万里の長城を走破し、アメリカでは荒野でバイクが分解するまで爆走して行方不明になったんだぞ!?」

 

「ちょっと!? 真季奈が蓮花とレベッカに出会ったのってまさかそれが原因!?」

 

「とんでもねぇなおい!」

 

 

『オラオラオラオラァ!!!!』

 

『アハハハハハハハハ!!!!』

 

『ハーーーハッハーー!!!!』

 

 

……………ヤバイ。

 

「とにかく、あの戦闘狂どもから早く離れるんだ!」

 

「あ! 待ってください! まだフィールドに生徒が取り残されています!」

 

「なんだと!?」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒだった。彼女は最初こそは自分も戦闘に参加しようと思っていたのだが、………無理でしたー。

 

三人の圧倒的な戦闘に介入するどころか逃げ回るので精一杯だった。雨のように降ってくるミサイルに見えない砲弾。それを全て躱してみせる志波真季奈の姿に羨望し嫉妬を向けた。

 

(これがあの人の力!? 教官に育てられ、私以上に教官に近い存在!)

 

その感情が『シュヴァルツェア・レーゲン』の禁断の装置を起動させる。『VTシステム』ヴァルキリー・トレースシステムと呼ばれるそれは、『世界最強』と呼ばれる織斑千冬を模倣するためのプログラム。それがラウラのISに極秘裏に搭載されていた。

 

が。

 

チュドーーーーーーーーーーン!! ドドドドドドドドドド!!! ドゴォン!!

 

「うわーーーーーーーーーーーーー!!」

 

「ラウラアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

あぁ無情。作動した禁断の装置は用無しとばかりにあっさりと大破されISの展開が解除された。流れ弾で。

 

「くそ! 助けにいかないと!」

 

織斑一夏が『白式』を展開し『雪片弐型』を振るう。

 

「あ! 馬鹿やめろ!!」

 

パリーーーーーン!! 

 

その瞬間、フィールド・バリアが消失した。

 

『アホーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!』

 

「え? え? え?」

 

バリアが消失したことで今までフィールド内へと押し止められていた攻撃が観客席やピットまで降り注ぐ。あーあ。

 

「キャーーーーーーー!!」 「早く逃げろーーー!」 「死ぬーー! マジで死んじゃうーー!!」

 

鳴り響く爆音に阿鼻叫喚。まさに地獄のようだった。

 

「この阿保んだらぁ!!! さっさとボーデヴィッヒを回収してこい愚弟!!」

 

「す、すんませんしたぁああああああああああああ!!!」

 

なおも続く戦闘に生身でさらされるラウラのもとへと駆けつける織斑一夏。そこへミサイルが飛ぶ。

 

「危ない!」

 

すんでのところで間に合った。ラウラを抱きかかえてその場から離れようと動く。

 

「は、離せ、織斑一夏。お前の助けなど……」

 

「うるさい! こんなとこにいたら死んじまうだろうが!! 俺が守ってやるから言うとおりにしろ!」

 

「う、うん」

 

その一言で大人しくなったラウラを抱きかかえてフィールドから出る。戦闘はまだ続いていた。

 

「早く逃げろ! アリーナが崩壊するぞ!!」

 

『ええええええええええええええええええええ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、三人の戦闘は一時間も続き、全てが終わった頃はアリーナは瓦礫の山と化していた。

 

被害総額500億円。

 

「やりすぎだろう!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「か、勝った……」

 

『真季奈、請求書がきてるぞ?』

 

げ。

 

 




三人が暴れすぎです。

それに巻き込まれて慌てふためく原作組。うん、なにこれ酷い。

戦犯は織斑一夏です。

今回真季奈の黒歴史が発覚しました。

まぁ、多感な10代前半の時期に、親から引きはがされるわ脅迫されるわ、おまけに隔離されて一人ぼっちだわ訓練で血反吐くわでグレないわけがありませんよね。

そしてラウラの見せ場なし! すいません! 

それでは!

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