IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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お久しぶりです。

今回書いていたら止まりませんでした。

それではどうぞ。


渦巻くB級陰謀

IS学園某掲示板

 

Hさん 「さて、そろそろ始めようか」

 

Oさん 「そうですわね」

 

Rさん 「うむ、では今回の議題は『驚異! S・Mの対策と傾向』だったな」

 

Dさん 「なにその議題名?」

 

酢豚  「ねぇ! なんであたしだけこのハンドルネームなのよ!」

 

Hさん 「それで今日のS・Mと1kだが……」

 

Rさん 「殴ってっ叩いて踏んずけてたな」

 

Oさん 「土下座して荷物持ちをして食堂で奢らされてましたわね」

 

Hさん 「いつも通りだな」

 

Dさん 「これでいつも通りってのもいいのかな~?」

 

酢豚  「なんでスルーすんのよ! ていうか何一組のその現状!? 大丈夫なの一夏!?」

 

Rさん 「こら酢豚! 晒しは重罪だぞ!」

 

酢豚  「ご、ごめん。でもそれで1kはS・Mに対してどう思ってるわけ?」

 

Hさん 「見たところ普通にしてるな。…時折見せる笑顔が不安だが」

 

Dさん 「やっぱりもう手遅れなのかな?」

 

Rさん 「我々が姐さんに適う通りなどないのだろうか…」

 

Oさん 「やりましょう皆さん!」

 

Hさん 「な、何をだO?」

 

Oさん 「今こそ下克上のとき! 1kさんをS・Mさんから奪うのですわ!!」

 

Hさん 「し、しかしどうやって」

 

Oさん 「ふふふ、簡単ですわ! S・Mさんに挑んで全て圧倒すればいいんですわ」

 

Rさん 「つまり勝負すると?」

 

酢豚  「面白いじゃん!」

 

Dさん 「でもどうやって?」

 

Hさん 「それは個人の自由でいいだろう。ではそういうことで」

 

Hさんが退室しました。

 

Oさんが退室しました。

 

Rさんが退室しました。

 

Dさんが退室しました。

 

酢豚さんが退室しました。

 

 

Mちゃん 「ふむ、面白いことになってますね」

 

Mちゃんが退室しました。

 

現在このスレには誰もいません。

 

 

 

 

 

「起きろ一夏! 今日も道場で特訓だぞ!」

 

「なんだよ箒~? 朝っぱらからうるさいなぁ……」

 

「なんだそのたるみようは!! 今日の稽古は厳しくしてやるからな!!」

 

休みの朝六時から何たる言い草。厳しくなかった稽古など一度たりともないというのに。

 

ドアを何度も叩かれて、その騒音に無理やり起こされた俺の今日一日は休みというものにはなりそうにないな。

 

その後すぐにジャージに着替えた俺は箒に連れられて剣道場に向かった。正直眠い。

 

「織斑一夏ではありませんか。今日も朝からみっともない顔をしてますね。みっともない」

 

「二回も言わなくてもいいじゃないっすか!?」

 

「おはよう真季奈。お前も早朝訓練か?」

 

箒が挨拶したように、剣道場に向かう道すがらで出会った少女、志波真季奈さんが出会い頭に罵倒してきた。うん、一日の始まりって気がするな!

 

「おはようございます。いえ、わたしはデウスの散歩に。こういう時はデウスが機械でよかったと思えますよ。糞の始末もありませんし」

 

「……というか、散歩自体も必要ないんじゃないのか? 本当の犬じゃないんだし」

 

「……わたしだって好きでやってるんじゃないですよ。デウスが無理矢理……」

 

主人に散歩を強要する人工AIとか、そもそも犬みたいに散歩するところとか突っ込むところはたくさんあると思うんだが。

 

「休日は二十五時間寝ると決めてるのに……この馬鹿犬が……」

 

『だから叩き起してやってるんだろうがこの引きこもりニートが』

 

一日は二十四時間しかねぇよ!! デウス、グッジョブ! でも最近口悪くなってるぞおい!?

 

『ほら真季奈。後は裏山を往復して帰るぞ』

 

「え~? もう帰ってご飯食べて寝ましょうよ~」

 

『そんなことしたら夕方まで寝てるだろうがお前は!! そんなことで謹慎明けからの授業についていけなくなるぞ!』

 

おかしい、どう見てもデウスの方が保護者のようだ。これではデウスのじゃなく志波さんの散歩のようだ。

 

「! そうだ! なぁデウス、俺たちこれから道場で朝練するんだけど志波さんも一緒に参加したらいいんじゃないか?」

 

『『な!?』』

 

案の定、志波さんが驚いた声を上げた。箒はなんでだ?

 

「ちょ、織斑一夏!?」

 

「おい一夏! 私と二人で特訓する約束だろう!!」

 

箒がやけに二人でというところを強調指定ってきたけど、別にいいんじゃないか? 二人よりも三人でやったほうがお互いに気づくこともあるだろうし。

 

『この唐変木はまた…。が、確かにこの寝ぼすけは文字通り叩き起してやったほうがいいかもしれんな』

 

「デウス! この裏切り者!!」

 

「く、一夏はまたぁ……。いや、これは昨夜の議題を実行に移すべきなのか……?」

 

? どうしたんだ箒のやつ? 急にブツブツ言い出したりして。

 

「それじゃ行こうぜ」

 

『よし行こうか』

 

『『勝手に話を進めるな!!』』

 

 

 

 

それで剣道場についたんだけど、志波さんと箒が勝負することになった。なんで?

 

「わたしが聞きたいですよ」

 

「さぁ一本先取の勝負だ! 来い!!」

 

本当にどうしてこうなった? 俺たちは剣道場に入って、それぞれ道着に着替えたのちに集合。さぁ始めようかって時に箒がいきなり志波さんに勝負を持ちかけた。これには志波さんも流石にびっくりしてた。

 

「まぁ来いと言われれば行きましょうかね」

 

なんとも大胆な。ダン!! という大きな音の踏み込みとともに竹刀を正面に構えた志波さんが一気に距離を詰めに迫る。それを正面から受ける箒。竹刀同士のつばぜり合い、がそれも一瞬。すぐに距離を取る二人。今度はそのまま膠着状態が続く。

 

『真季奈としては今ので終わらせたかったところだろうな』

 

「え? なんでだよデウス」

 

まさか志波さんの身に何か!?

 

『勝っても負けてもすぐに勝負が終われば楽だからなぁ』

 

「そんな理由かい!!」

 

(流石は真季奈だ、スキがない!)

 

(お腹すいた、帰ってアニメ見たい。そういや昨日の深夜アニメはちゃんと録画できてたかな? 気になってきた…どうしよう?)

 

「二人とも動かないな。互いの出方を伺ってるんだろうな」

 

『真季奈は確実に違うだろうがな』

 

「やーーーっ!!」

 

パァン!! 箒の上段打ちが降り下ろされる。それを志波さんは竹刀を横に構えて頭上で受け、それを竹刀を斜めに傾けて受け流す。箒の体制が崩れた。

 

「面ぇンッ!!」

 

すかさず志波さんが竹刀を降り下ろす。決まれば勝負ありだ。

 

「フッ!」

 

崩れた体制のまま箒が後ろに飛ぶ。すんでのところで志波さんの一撃を躱す。

 

「はぁ!!」

 

箒の中段からのなぎ払い。それは志波さんが後ろに半歩下がることで空を切る。

 

(……面倒くさいなぁ)

 

『なぁ、これはもう剣道ではなくチャンバラじゃないのか?』

 

「言うな。でも箒は中学で剣道の大会の全国優勝してるくらい強いんだけどなぁ」

 

『頭に血が登ってるからじゃないか?』

 

「なんで?」

 

『……そのうち刺されるぞお前』

 

それから三十分後。

 

「ハァっハァっハァっハァっ」

 

「………………………………」

 

疲れはてて息も絶え絶えな箒と息を切らさず悠然と竹刀を構える志波さんが立っていた。

 

「くっ、こ、のぉお……」

 

竹刀を振りかぶろうとするが箒の腕は重りをつけたかのように遅かった。

 

「てい」

 

「あう」

 

パシン、と軽い音で志波さんの竹刀が箒の顔を叩く。勝負ありだ。

 

「らしくありませんね箒ちゃん。そんな猪武者みたいな戦法じゃ勝てませんよ?」

 

「いや、箒の猪っぷりはむしろらしいだろ?」

 

「一夏ぁ!!!」

 

なんだよ。怒んなって、本当のことだろ?

 

「と、まぁこのように。相手の攻撃を受け流して自滅を誘うのも一つの手です。覚えておきなさいね」

 

「おぉ! なるほど」

 

武装がブレード一本しかない『白式』なら確かに有効な戦術かもしれない。タメになるなぁ。

 

「ま、負けた……」

 

ん? 箒はなんであんなに落ち込んでいるんだ?

 

「……箒ちゃんリタイアー」

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく朝食にありつけますね」

 

「そうだな。あー腹減った」

 

朝練の後、俺たちは食堂で朝食をとりに来ている。IS学園の食堂は休日はやっていないが、部活のある寮生もいるので土曜の朝だけは営業している。

 

「箒もいつまでも落ち込んでんなって」

 

「うるさい! 落ち込んでなどいないわ!!」

 

嘘付け。あからさまに沈んでいるじゃないか。

 

ズーンという効果音が見えるくらいに気分が沈んでいる箒を引き連れて食堂に来るのは苦労した。なんせしばらく道場の隅で膝を抱えて動かなかったからなぁ。

 

「さーて、何を食うかなぁっと」

 

お、今日の朝食は鯖の味噌煮定食とトーストサンドか。和食にするか洋食か、どっちにしようかなぁ~。やっぱ朝練で疲れてるから和食かなぁ?

 

「おはようございますですわ、一夏さん! 朝食ならわたくし、サンドイッチを造ったんですの! どうです!?」

 

和食、かなぁ? うんやっぱり和食だよな。和食食いたいなぁ!!!

 

「一夏さん!! 聞いてますの!?」

 

おかしいなぁ? なんだかセシリアの声が聞こえるよぉ?

 

「あれ絶対気づいてないふりしてますよね?」

 

『本人にとっては死活問題だしな』

 

「正直アレには同情するな」

 

 

で、結局食べることになりまして……。

 

「い、いただきます」

 

『見た目』はとても美味しそうなサンドイッチ。そ中からの『恐らく』卵サンドと思わしきサンドイッチを手にとって口に運ぶ。

 

「んぐぅっ!?」

 

か、辛い!? それに口の中に広がるこのラベンダーの香りはなんだ!!?

 

「どうです一夏さん!」

 

「……………うん。凄いな、セシリアは」

 

「はい!」

 

この満面の笑顔をどうして壊せようか……。

 

「ちょっと失礼」

 

なっ!? 止すんだ志波さん!!

 

なんと、志波さんがセシリアの手作りサンドイッチをひょいパクっと頬張った。ゆ、勇者だ!!

 

「オルコットさん、これ」

 

「ふふっ、何かしら真季奈さん?」

 

うわぁ余裕綽々って顔してるなセシリア。この後が正直怖いんだけど。

 

「料理、舐めてんですか?」

 

「へ?」

 

し、志波さーーーーーン!!?

 

「これ、見た目は卵サンドですけど一切卵を使っていないですよね? この色と辛さは練カラシですか? 馬鹿なんですか? それに香水かけましたね? 口の中で臭いが広がって食欲が一気に無くなりましたよ? その様子じゃ味見もしてないんでしょう?」

 

「え? あの、その」

 

直っ球ーーーーーーー!!! 志波さん不味いって! セシリア涙目だよ! 確かにマズイけど!

 

「マズイと言ってるんです。出直せ料理ベタ」

 

「わ、わーーーーーーーーーん!!!!」

 

『『『お、鬼ぃぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!』』』

 

歯に衣着せないにも程があるわ!! セシリア泣いて逃げてったぞオイ!

 

「ちょっとくらい料理が下手でも一所懸命頑張ってたんで黙認してきましたが……香水使うのだけは許せません。食品じゃないですよね?」

 

「そうだけど! もっと言い方ってものがあるよね!?」

 

「優しい言葉だけじゃ伝わらないものもありますよ」

 

そうだけどさぁ!! 休み明けたら気まずいにも程があるわ!!

 

「まぁ、でも、アレはしょうがないだろ。健康にも悪いしな」

 

『まったくだ。真季奈、飲み込まずに吐いてしまえそんなもの』

 

「そうですね。えーと、ゴミ箱は……」

 

お前ら全員ひどいわ!!!

 

(オルコットさん、リタイアー)

 

 

 

 

酷い朝食だった。いろんな意味で。

 

「さて、それじゃぁこれから何をしましょうか」

 

「あれ? 志波さんは部屋に帰んないの? 箒はもう帰ったけど」

 

っしゃぁ!! はからずとも志波さんと二人っきりぃ!!!

 

「あ! 一夏!」

 

と、思ったのにぃイイイイイイイイ!!! 鈴が現れた! しかも仁王立ちして廊下を塞ぐ形で。

 

「なんだよ鈴!」

 

「なによ! その態度は! それよりも一夏! 朝練しない!?」

 

「さっき箒と志波さんの三人でしてきたわ!」

 

「な、なら朝ごはん一緒にいかない!?」

 

「それももう食ってきた!」

 

「なんなのよもう!!!」

 

「知るか! こっちが聞きたいわ!」

 

なんだ今日のこのエンカウント率は。ここはダンジョンか? ボスダンか?

 

「それならボスはわたしでしょうねぇ……」

 

え? 志波さん何か言った?

 

「鈴、それならお昼まで一緒に遊びましょう。昨日パーティーゲームを買ったんですよ。三人でやりましょう」

 

「……あんた謹慎中だったんじゃ?」

 

「通販って便利ですよねぇ。学園側にも気づかれてないようですし」

 

満喫してんなぁおい!! ていうか宅配のパネェ! IS学園の敷地内にこっそり届けるって凄いな!? 

 

「それじゃ、わたしの部屋に行きましょうか」

 

 

 

というわけで志波さんの部屋。

 

「……なにこれ?」

 

「真・ガン●ム無双です」

 

『どのへんがパーティゲー!!?』

 

「レッツパーリぃーーーー!!」

 

『それ違う無双ゲーだから!!』

 

しかもこれ対戦ゲームだし! 二人プレイだよ!? 協力プレイだよ!!

 

「織斑一夏は見ていなさい」

 

「ひでぇ!」

 

ま、まぁ負けた方と交代してもらえばいいか。

 

「ほう、鈴はジャスティスですか」

 

「うん、色が『甲龍』ぽいし。そういうあんたは何それ? クイン・マンサ?」

 

「ファンネルを使ってみたいんですよ」

 

そういや志波さん、セシリアのブルー・ティアーズをいつも熱心に見てたっけ。

 

「それじゃぁ始めましょうか」

 

 

数十分後。

 

 

「いい加減代わってくれませんかねぇ!?」

 

『すっこんでろ!!』

 

「泣くぞ!!」

 

なにこれ辛い! なんだか友達の家で一人寂しく放置されてる気分! あ、そういう状況か。ちくしょう!

 

ガチャガチャとコントローラーを激しく叩く音が響く。楽しそうですねおい!

 

「うるさいわお前ら!!」

 

『千冬姉ぇ(さん)!?』

 

「おや織斑先生。どうしました?」

 

うちの鬼姉がドアを開けて現れた! 休日なのに何故かスーツ姿で。 

 

「こちとら徹夜明けで眠いんだ! さっさと部屋から出て行けガキ共!」

 

「ははははいっ! 失礼しました~!!」

 

「り、鈴!」

 

なんという眼光! ひと睨みで鈴が部屋から退散した!

 

「織斑先生。パジャマ出しますからスーツ脱いでください。それと寝る前に化粧も落とさないとダメですよ?」

 

「……わかってる。一夏、ちょっと部屋から出てろ」

 

「あ、うん」

 

姉と弟。家族とはいえ女の着替えを見るわけにはいかない。大人しく部屋の外で待っていよう。

 

『もう入ってきていいですよー』

 

少し待つと部屋の中から志波さんの声が。言われたとおり部屋の中に入る。

 

「お、千冬姉ぇほんとに寝たんだ」

 

ちゃんとパジャマに着替えた姉がベッドで寝ていた。疲れきっていたらしく完全に熟睡している。

 

「昨日の晩、部屋に帰ってきませんでしたからね。よっぽど疲れていたんでしょう」

 

「へー。にしても凄いなぁ志波さん。千冬姉ぇの迫力にも全然動じてなかったし」

 

「いえ。あの程度なんてまだまだ」

 

あれであの程度って。我が姉のことながら恐ろしい。

 

「それよりも外に行きましょうか。織斑先生を起こすわけにもいきませんし」

 

「そうだな」

 

しかしどこに行こうか? なんならこのまま街に遊びに行くというのもいいかもしれない。休日だし。

 

「ちなみに今日はIS学園の敷地内から出るつもりはありませんので」

 

「あ、さいですか」

 

ならどうしようか?

 

「アリーナにでも行きますか。わたしも『天蓋王』を久々に使いたいですし」

 

「そういや昨日で謹慎も解けたんだっけ。じゃぁ行こうか」

 

(鈴、リタイアー)

 

 

 

 

「さてちょっと飛んでみましょうかね」

 

『久しぶりだな』

 

第一アリーナに来た俺たちはISを展開している。志波さんも『天蓋王』を展開してテスト飛行中だ。それを追いかける飛んでいるんだが全然追いつけない。くそぅ。

 

「志波さん早いなぁ」

 

「おーーーい! 織斑一夏ぁーー! 姐さーーーーん!!」

 

あれ? ラウラと、シャル?

 

「? なんでしょうね? とりあえず下りますか」

 

「そうしようか」

 

フィールドに降りる俺たち。もうクレーターを作ることもないぜ!

 

「それでどうしたんだ二人とも?」

 

「うむ。今からタッグマッチをしないか?」

 

「わたし達とですか?」

 

「うん、僕とラウラ、真季奈と一夏でやりたいなぁって思ってさ。ほら、学年別トーナメントも中止になっちゃったし」

 

そう言われると肩身が狭い。原因は志波さんたちだけど、フィールド・バリアー破ちゃった俺にも責任があるからなぁ。

 

「いいですよ。殺りましょうか」(にやり)

 

『字が違う!』

 

お願いしますから自重してください! ほら、ラウラとシャルが震えてるし!!

 

「あ、姐さん怖い姐さん怖い姐さん怖い姐さん怖い姐さん怖い」

 

「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」

 

ガクブルじゃねぇか!? なんで挑んできたの君たち!?

 

「何してるんですか。始めますよ?」

 

 

ピーーー!!!

 

 

試合開始のブザーが鳴る。

 

「挟み込むぞシャルロット!」

 

「うん、ラウラ!」

 

『ラファール・リヴァイヴ・カスタムII』と『シュヴァルツェア・レーゲン』をそれぞれ纏ったシャルとラウラが二手に分かれて近づいてくる。どうやら狙いは俺のようだ。

 

「まぁ、弱い方から狙うのは戦術の基本ですしねぇ」

 

「そうですけどね!?」

 

悲しくなってくるけど事実だ。俺の向かって前方にシャル、後ろにラウラが回り込んでくる。

 

「行くよ一夏!」

 

シャルが両手に持ったマシンガンで俺を狙い撃ちにしてくる。それを慌てて避ける。しかし、回避が大ぶりになってしまい勢いが強すぎて体制を崩してしまう。

 

「おわっ!?」

 

「貰った!」

 

すかさずラウラが大型レールガンを撃ち込む。

 

ドォン!!

 

「うわぁ!」

 

直撃。シールド・エネルギーが大幅に削られた。慌てて体制を立て直す。それでもシャルとラウラの砲撃は休む暇を与えてくれない。

 

「ちくしょう! どうしたら…」

 

ドガ! シュババババババ!!!!

 

いきなり後ろから蹴りを入れられた。その衝撃で前のめりで倒れ込む。その瞬間、自分が今いた場所にラウラのレールガンが着弾した。そして目の前でシャルの撃ったマシンガンの弾が弾け飛んでいく。

 

「これがタッグマッチだということを忘れていませんか?」

 

「……ありがとう志波さん。ところで蹴る必要は?」

 

「? ありませんよ?」

 

ですよね!

 

「マシンガンを全部撃ち落とすなんて、どういう射撃能力……」

 

「全部なんて無理ですよ? 直撃コースだけです」

 

いや十分すごいんですけど。

 

「あなたはまだまだ回避能力に難アリですね。少々甘やかしすぎたようです。休みが開けたら訓練を今までの五倍にしてあげましょう」

 

『殺す気だ!!!』

 

「滅相もない。生かさず殺さずたっぷりいたぶる。それが基本です」

 

イヤァぁぁ!!!

 

「さて、牽制が邪魔ですね。シャルロットさんから潰しますか」

 

「くっ!」

 

ドン! と勢い良く志波さんが飛ぶ。俺も後に続かないと!

 

志波さんはシャルに正面から向かっていく。なら俺はさっきのラウラたちみたいに後方から近づいて挟み撃ちにする!

 

「姐さん! お覚悟!!」

 

ドン! ドン!! ラウラがレールガンを二連射して志波さんを狙う。これは牽制だ。シャルは目の前に迫ってくる志波さんではなく、俺に向かってアサルトライフルを構えている。

 

高速切替《ラピッド・スイッチ》。戦闘と同時進行で武装を呼び出す、シャルロットの特技だ。マシンガンをアサルトライフルに切り替えていた。

 

マズイ、撃たれる!!

 

が、それでも志波さんはその上を行っていた。

 

「ふっ!」

 

『天墜 二刀』

 

『天蓋王』の武装『天墜』。大型の斬馬刀だったそれを二つに分断した二頭の刀。その形態にしたのち、そのうちの一本を振り回すように投げる。

 

バァン! 

 

それがラウラの放った一発に直撃し爆発する。もう一発は身体を回すように旋回させて躱す。すごい軌道だ。そのままシャルに接近し、残った一本の刀を振りかざす!

 

「チェス!!」

 

斬!!

 

シャルを袈裟斬りにした一撃がラファールのS.Eを大幅に削る。そこへ俺も突撃する。シャルの牽制がない今なら近づくのも簡単だ。

 

「おぉおおお!!」

 

『雪片弍型』が金色に輝く。この感覚は分かる。『単一能力』、『零落白夜』が発動したんだ。

 

斬!

 

「うわぁあ!!!」

 

「シャルロット!!」

 

シールド・バリア無効化攻撃。この『雪片弍型』の一撃が当たれば相手のS.Eは一気になくなる! 

 

「いただきます!!」

 

「え!?」

 

ガシ! 志波さんがラファールの背部ユニットの首筋あたりの部分を後ろから掴む。これはまさか…。

 

「あぁ!? S.Eが!?」

 

『天蓋王』が金色に輝く。志波さんの『単一能力』、『天下騒乱』だ。相手のISのS.Eを吸収するあれが発動すればもうおしまいだ。

 

ピーーーー!!

 

シャルロット・デュノア! S.Eゼロ! 

 

アナウンスがシャルの敗北を伝える。後はラウラだけだ。

 

「さぁ! 覚悟はいいかぁ! えぇ!?」

 

「て!? 志波さん!!?」

 

 

『天蓋王』の『エナジーウイング』が大きく輝きその翼を広げる。三対六翼のそれはラファールのS.Eを吸収したためかいつもよりも一回り大きく広がって見えた。

 

まさか志波さん、まだこの間のハイテンション状態が抜けきっていないんじゃ!?

 

「どうしたラウラぁ!! 腑抜けてんじゃねぇぞ! あぁ!?」

 

「ひ、ひぃ!」

 

「ししし志波さん!? 勘弁してやってください! ラウラ泣いちゃいますからぁ!!」

 

駄目だ惨劇が起こる! というかまたアリーナ倒壊の危機!?

 

「うう、うおおおおおおおお!!!」

 

ドォン! ドォン! ドォン!

 

やたらめったらにレールガンを撃ちまくるラウラ。可哀想に、よっぽど怖いんだろうなぁ。

 

「はっ! なんだこの豆鉄砲は!」

 

斬! 斬! 斬! 嘘ぉ!? 

 

ラウラの放ったレールガンを全て斬り落としながら接近する志波さんの『天蓋王』。ナニアレドウヤッテトメルノ?

 

って見てる場合じゃない! 俺も参戦しないと!

 

志波さんは残像を発生させながらラウラを翻弄し近づいていく。俺は志波さんに気を取られてこっちに気づいていないのをいいことに接近する。

 

が。

 

「うわ!? しまった!」

 

体が宙に固定されたように停止し動かせなくなる。シュヴァルツェア・レーゲンの武装AIC《慣性停止結界》だ。これに捕まると身動きが取れなくなる。

 

「でもそれはお前もだよなぁ!?」

 

「しまっ」

 

ドガっ! 

 

「グフゥッ!!?」

 

ラウラの目の前まで接近していた志波さんの飛膝蹴りがみぞおちに突き刺さる。あれは絶対痛い! 絶対に!! だってISの推進力とかいっぱいに使ってるもん! 威力マジやばいって!!

 

「さぁて、S.Eが尽きるのが先か、意識が無くなるのか先か……」

 

ガシッ! 腹を抑えてうずくまるラウラの髪を引っ掴み、無理矢理立たせる志波さん。お、鬼だ……!!

 

「ラウラは、どっちがいぃぃい?」(にこぉぉお)

 

怖ぁあああああああああああああああああああああ!!!!

 

「ごごごごめんなさーーーーーーい!! 降参します姐さん!」(泣)

 

「真季奈ぁ!! 僕も謝るから許してあげてええええええ!!!」

 

ピーーーーーーーーーーーー! ラウラ・ボーデヴィッヒ降参! よって勝者、志波・織斑ペア!!

 

か、勝ったけど…なんだかなぁ。

 

「ふむ。この二人も調教しがいありそうな予感が……」

 

「止めてあげてください! お願いしますから!!」

 

『落ち着け真季奈! ソッチに行ったらマズイ!!』

 

(ラウラちゃん、デュノアさんリタイアー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園某掲示板

 

Hさん 「それで、今日の首尾、皆はどうだった?」

 

Oさん 「ワタクシ、もうお嫁にいけません……(泣)」

 

酢豚  「千冬さんをお義姉さんって呼ぶのができないと駄目よね……」

 

Rさん 「姐さんゴメンナサイ姐さんゴメンナサイ姐さんゴメンナサイ姐さんゴメンナサイ」

 

Dさん 「真季奈ゴメンナサイ真季奈ゴメンナサイ真季奈ゴメンナサイ真季奈ゴメンナサイ」

 

Hさん 「RにD!? 何があった!?」

 

酢豚  「あー、なんか勝負しかけてコテンパンにノされたらしいわよ? …主に精神的に」

 

Hさん 「不憫な……」

 

Mちゃん「ホント、可哀想ですねぇ」

 

Hさん 「!? 誰だお前は!!?」

 

酢豚  「ちょ!? ここは会員制の掲示板の筈よ!?」

 

Oさん 「部外者がなぜ!?」

 

Mちゃん「電子戦でわたしに勝てると思ってるんですか? あんなセキュリティ無いも同然ですよ?」

 

Rさん 「ままままままままままさかかか!!?????」

 

Dさん 「あばっばあbs;ああんさあんbkなd;なs」

 

Hさん 「落ち着け二人とも!!?」

 

Mちゃん「まぁ今日は楽しかったです。また遊びましょうね。では」

 

Mちゃんが退室しました。

 

 

 

 

 

「……ふう」

 

携帯型モバイルを閉じて回線を落とす。箒ちゃん達が学園の裏サイト内の某掲示板で密会していたのは前から知っていました。なにせ、学園裏サイトの管理者は全てわたしですからね。

 

「にしても何故あぁもわたしと織斑一夏との間に恋仲があると思えるんですかねぇ?」

 

不思議なことに彼女たちはわたし達が恋愛関係的な意味でどうにかなると本気で思っているようです。そんなことあり得ないというのに。あれはペット兼サンドバックですよ?

 

「それで、二人は本当に帰るんですね?」

 

わたしは学園の外のモノレールにまで来ています。留学生だったレベッカ・パープルトンと劉蓮花を見送るためです。

 

「まぁな。元々一ヶ月の体験留学だしよ。お前への個人的な用も済んだし、なにより本国でアタシの『シルバリオン』の量産型が出来るって言うんだ。立ち会わない訳にいかねぇよ」

 

「アレを量産させるとか……。貴方の国の技術者は気が狂ってるとしか思えませんね」

 

「あ、流石に武装とかはいくつかオミットするぜ? イスラエルとの共同制作ってらしいし。なにより、アタシ以外にアイツの武装は使いこなせなかったしな!」

 

それはそれで勿体ない気もしますね。試験開発された機体がそのまま正式採用されることは稀です。開発コストが予想以上に高かったり、扱いづらかったりと、図面を引いただけでは解らなかった問題が発見されることが多いからだ。

 

「私の『応龍』《イェンロン》もそうでしたしね」

 

「あぁ『甲龍』ですね」

 

鈴が使ってるIS『甲龍』。あれも実は『応龍』の簡易量産型だ。四門の『龍砲』を二門に減らし、『四龍』のドラゴン・ハングは不採用。何故なら使いこなせるのが蓮花だけだったかららしい。

 

「わたしの『エナジーウイング』が日の目を出ることもないかもしれませんね」

 

それはそれで寂しい気もします。

 

「蓮花は鈴の査察とのことでしたが、結果はどうだったんです?」

 

結果次第では鈴とももうすぐお別れですね。

 

「あれは半分嘘です」

 

「なんと」

 

真季奈ちゃんびっくり。さらっと凄いこと言いますよ彼女。

 

「政府にも様子を見て来いと確かに言われてましたが、それで強制送還というのはないですよ。『甲龍』のテストを行うのにIS学園ほどの環境は他にないですしね」

 

「ならなぜそんな嘘を?」

 

「釘を刺しとこうかと思いまして。鈴は衝動的にISで破壊活動をしますから。それこそ祖国の恥ですので」

 

「おぉふ」

 

この子意外と辛辣で策士です! 鈴についてはホントに否定できませんしねぇ!!

 

「ま、そいう訳でアタシ等は帰るよ」

 

「次に会うときは戦場で殺りましょう」

 

「その時はまたわたしが勝ちますので」

 

三人でガッシリと握手を交します。わたしとしても寂しいですね。意外と楽しかったんですよ?

 

モノレールが到着しました。いよいよお別れです。

 

「あぁそうだ真季奈!」

 

「はい?」

 

乗り込む直前、レベッカが振り返って言います。なんでしょう?

 

「お前に弱くなったって言ったこと訂正するよ!」

 

「え?」

 

「むしろ強くなりましたよ。現に私達も勝てませんでしたしね。次は絶対に勝ってみせますからね」

 

な、なんというか。

 

「ありがとうございます」

 

照れくさいじゃないですか……。

 

「じゃぁな!」

 

「またいつか」

 

「はい! また会いましょう!」

 

楽しみができましたね。

 

それにもうすぐ臨海学校です。海に行くのは初めてなので楽しみです!

 

『水着を買わないとな。あと、泳げるのか?』

 

………あ。

 

 

 

 

復讐ではなく個人的な遊び : 一夏loversとの対決。

 

結果           : 圧勝

 

備考           : もう少し手応えが欲しかったですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

『しょうがない。一夏に応援を頼むか……』




さて、一回やってみたかったスレ形式会話。いかがだったでしょうか?

それと全国ブラックラビッ党の皆様方、申し訳ありません。

基本うちの真季奈ちゃんはド外道なんです。

さて次回からようやく三巻です。この巻の話はプロローグを書いていた頃から書きたかった話ですので自分でも楽しみです。

それでは。
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