IS  復讐のデウス・マキナ   作:ぷらもん

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ギャグ思う、故にギャグあり。

なんて呟いちゃうほどにギャグ分が足りない。シリアス書いてるとなんか辛くなる。

でも話の構成上かかないと。という訳でなんとかできました。

先に謝っておきます。

真季奈が好きだとおっしゃってくださった皆様方、ゴメンナサイ(土下座)!!

それではどうぞ。



ありがとう、さようなら

わたしの子供の頃の夢はドラえもんを作ることだった。

 

あの不思議なポケットなんかいらない。毎日一緒に遊んでくれて助けて~って我侭を言い合える相手が欲しかった。

 

わたしには友違がいなかった。

 

学校の授業は簡単すぎてつまらなかったし、クラスの子と話していても変な子扱いされた。今思えば相対性理論の話しを七才のクラスメイト相手にするのもおかしな話だった。

 

だから毎日家で引きこもってパソコンの画面と睨めっこをしていた。インターネットを使えば色んな人達と話すことができたからだ。

 

そのうち世界的に高名な学者さんや趣味の合う知り合いができて毎日が楽しかった。

 

当時のわたしには、いつも優しい両親と、会ったこともない液晶の向こう側の住人、そしてアニメの世界だけが全てだった。

 

そんな生活も終わりを迎えた。

 

中学に上がって、IS適正を受けて、国の施設に閉じ込められて。そこで今度は訓練と国のための研究ばかりしていた。

 

そんな時に子供の頃の(と言っても三、四年前だが)夢がふっと頭をよぎった。

 

それからは早かった。途中で投げ出した理論を引っ張りだし、新しく考え直して作り続けた。幸か不幸か、機材に困ることはなかった。政府の科学者共にはIS用の画期的なシステムだと適当な理屈をこねて許可を取った。

 

そうして生まれたのが『ALICE』だ。

 

『ALICE』はIS操縦者の感情を学習することで、戦闘の状況を自律的に判断する能力を獲得し、最終的には本機の複雑な機体システムを単独で完全に制御する能力を持つよう設計された無人機ISの開発システム、という建前で開発者たちを騙して作り上げた。

 

もちろんこの理論は嘘っぱちではなく本当のものだ。開発が進めば無人機ISは確かに完成していただろう。

 

でもわたしはしなかった。わたしが作りたかったのは『兵器』じゃない。『友達』だ。

 

試作機の段階で既に簡単な会話ができるほどの意思疎通に成功していた。後は完全な自我の確立と『ボディ』があれば……。

 

そう思って目を付けたのが皮肉にもIS《インフィニット・ストラトス》だった。わたしは試作機一号、後に『デウス』と呼ばれる人工AIを自分の専用機『天蓋王』に搭載しISの待機状態で自由に行動できるようワンちゃんの姿になれるよう調整した。

 

これが大成功だった。機械の肉体を手に入れた『デウス』はより一層の自己性を獲得し、今では喧嘩するほどの仲となった。

 

それで早速、試作二号機の開発にも取り掛かった。『デウス』が男の子だったので次は女の子を作ろうと思った。これが完成すれば『デウス』の妹ということになる。本人も楽しみにしていた。

 

でも、計画は失敗した。プログラムをインストールしたISコアが暴走したのだ。同じ手順、同じ方法。違うのは性別を司る部分のプログラムの一部分だけ。にもかかわらず、『彼女』は生まれることなく消えていった。

 

そんな結果に終わったのに、何故か開発は中止にならなかった。その後、試作三号機の開発が行われこれも女の子になるはずだった。

 

しかし、それも叶わなかった。実験の前日に一人の客が訪問してきたのだ。

 

篠ノ之束。世界を変えた天災。何が彼女の興味を引いたのか、うさ耳カチューシャを付けた変人女は突然現れてはこう言った。

 

「この子ちょーだい!」

 

わたしは呆気にとられた。何を言ってるんだこの女は。

 

「ねぇ君。君には夢はあるかい?」

 

そんなことを聞く意味が分からなかった。でも答えた。

 

「わたしは一緒に仲良く遊べる友達を作りたい。だからその子を返して」

 

「んーいいねぇ。でもダメ。私はね、不思議の国に行きたい、ううん。作りたいんだ。だからこれは貰っていくね」

 

訳が分からない。そう思っているスキに『彼女』は。

 

わたしの『ALICE』は悪いウサギに拐われてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうして箒ちゃんが専用機持ちに?」

 

「………うちの姉が誕生日プレゼントにと……」

 

頭沸いてんのか兎女が!!!

 

誕生日に新型の兵器をプレゼントってどこのグ●ンガ●トだ!?

 

わたしはあまりにのバカバカしさに頭を抱えてしまいます。まさかこのまま箒ちゃんも『福音』攻略戦に参加することになんてなりませんよね?

 

花月荘の宴会場、もとい『銀の福音』攻略作戦会議室。ここでもまた新たな問題が起きたようですハイ。

 

「それでどういうモノなんです? 箒ちゃんの専用機」

 

「私もまだ詳しいことは聞いていないんだが、名前は『紅椿』だそうだ」

 

えー? もうやだ。

 

「よーし! じゃぁ束さんが説明してあげよう!」

 

「これ仕様書とかないんです?」

 

「待ってくれ。今見てみる。どの部分を展開すればいんだ?」

 

「とりあえず腕の部分を……」

 

「ね、ねぇ? そんなことしなくてもこの天才の束さんが教えてあげるよ?」

 

「あぁこの項目ですね」

 

「あ、あった! なるほど、機体のカタログスペックはここか」

 

「大変っちーちゃん! 私無視されてる! こんなの初めて!!」

 

「よかったな」

 

うるさいですねこの駄兎が。今箒ちゃんの専用機を見てあげてるんですからすっこんでろボケ。

 

「ところで織斑先生。『銀の福音』はどう対応するつもりなんですか?」

 

「今から説明する」

 

織斑先生は事態の説明を始めました。要約するとこうです。

 

 

・アメリカ・イスラエル共同開発の軍用試作機、『銀の福音』《シルバリオ・ゴスペル》が暴走し日本に向かっている。

 

・目標は五十分後に二キロ先の海上を通過する模様。これを撃破されたし。

 

・なお目標は現在超音速飛行を続けているため接敵、および攻撃のチャンスは一度である。

 

・暴走ISの中には搭乗者が今も乗っている(ここ重要)

 

 

やだ大変。つまり、こちらも高速移動できる装備が必要でなおかつ相手を一撃で仕留めないといけないと。でも人が乗っているんですよね? 

 

ちらりと織斑一夏を横目で見ます。攻撃力はある。しかし。

 

「織斑、やれるか? お前は軍属でも代表候補生でもない。参加するか否かはお前しだいだ」

 

「やります。俺がやってみせます!」

 

この場の全員が織斑一夏を見ます。この作戦には一撃必殺の攻撃力を持つ『白式』が必要なことをみんなが分かっているからです。

 

できればやめて欲しいな。

 

『雪片弍型』、そして《零落白夜》。相手のS.Bを無効化し、直接S.Eを削る一撃必殺の武器。普通に考えれば今回の作戦にうってつけだ。

 

でも織斑一夏は軍事訓練など受けていない素人だ。不安要素は多い。それにエネルギーはどうする? 作戦の性質上、攻撃の為のS.Eは万全の状態でなければならない。移動に割ける余裕はない。つまり運搬役が必要になる。

 

「そして最後の締めに真季奈の『天蓋王』の『天下騒乱』によるS.E吸収能力で『福音』のエネルギーをゼロにしてISを強制解除させる。やれるか真季奈?」

 

「『福音』の性能が情報通りでしたら最悪、単独での撃破も難しくありません。ですが……」

 

「なんだ?」

 

「現地までのエネルギーが持ちません。距離にして行程の半分でガス欠ですね」

 

「………『エナジーウイング』の活動限界か」

 

はい、それが問題です。ウチの子、燃費が悪いんですよ。今回テスト用の新装備を使えばギリギリでたどり着けるかもしれませんが……。

 

わたしも織斑一夏同様、誰かに運んでもらわなければいけませんね。

 

「この中で高速移動用装備を持っている方はいますか?」

 

いなければこの作戦は却下だ。

 

「私のブルー・ティアーズがちょうど本国から強襲用高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』が送られてきていますわ。それと超高感度ハイパーセンサーもついています」

 

ちなみにパッケージというのはISの後付装備のことです。

 

ふむ、足はある。

 

「他にいませんか?」

 

他に挙手する方はいませんか……。このままだとオルコットさんがわたしと織斑一夏を『福音』のもとまで運搬、その後援護をしつつ『雪片弍型』で止めを刺すというものになりそうですね。

 

「ちょっと待った~!! そういうことなら束さんにお任せだよ~ん!」

 

「なんだ、うるさいぞ束」

 

「ちーちゃん! 私にいい考えがある!」

 

「よし、帰れ! もしくは死ね!」

 

「ひど!? 信用してよちーちゃん!!」

 

半泣きで織斑先生にすがりつく駄兎の姿は鬱陶しさを通り過ぎてもはや哀れですね。もっと無視してやろう。

 

「うぅ、なんか皆冷たいよぅ…。でも私負けないもん! えっとね、パッケージなんか無くとも『紅椿』の性能なら問題ナッシングなんだよ!」

 

『紅椿』? たしか箒ちゃんの専用機の名前でしたね。どういうことでしょう?

 

駄兎がちょちょっと手近の端末をいじると、織斑先生の周りに空中型ディスプレイが複数現れます。そのうち元からあったものがいくつか乗っ取られたようで、『福音』のデータを記していたものが全て『紅椿』のスペックデータに書き換えられていきます。

 

「『紅椿』の『展開装甲』を調整して、ほいほいっと、ほら、これでスピードは問題なし!!」

 

え? 今『展開装甲』って言いました?

 

「『展開装甲』ってなんです束さん?」

 

「説明しましょ~そうしましょう~。『展開装甲』というのはね~この天才束さんが作った第四世代型ISの装備なんだよ~」

 

『『『第四世代型!?』』』

 

………え? マジですか? 第四世代? 『展開装甲』が?

 

『天蓋王』にもついてるんですけど?

 

表示されたデータを見ます。細かい作りは別物ですが理論は同じようです。つまりわたしのISも第四世代型ということになるんでしょうかね?

 

なんだか駄兎がペラペラと織斑一夏たちに第四世代型ISのうんちくをたれています。一同ポカーンとしていますね。

 

まぁ仕方ありませんか。世界に存在するISの最新型が俗に言う第三世代型。しかもこれは各国が苦心の末、ようやく試作一号機の開発に成功した段階だ。なのにそれを飛び越して第四世代型とは………。

 

「(どうします? なんか妙な空気になっちゃいましたが)」

 

「(束のやつは調子に乗ってるし、他のガキ共は固まってるしな。まぁ別に言ってもいんじゃないかもう)」

 

はぁ、まぁ今更爆弾を何個投入しても変わりませんか。

 

「わたしの『天蓋王』にもついてますよ。その『展開装甲』とやら」

 

『『『えぇ!?』』』

 

「え? 嘘? なんで?」

 

「なんでって……自分で考えて作らせたというかなんとうか」

 

「それって何時ごろ?」

 

「一年か二年くらい前ですかね?」

 

確かそれくらいのはずだ。あの時はストレスでむしゃくしゃしていたからある意味思考が尖っていましたからね。妙にアイディアがポンポンと沸いてきていました。

 

「ぐぅ、この束さんよりも早いなんて……。マッキー、これが若さか……」

 

なんか酷い言われようですね。というかお前がマッキー言うな。

 

「ねぇ、マッキーの『天蓋王』、私にも見せてよ」

 

「………かまいませんよ」

 

「おーありがとー。どれどれ~」

 

『おいまきtぅ』

 

『天蓋王』をデータが見えるように設定して変態駄兎の前にかざします。(デウスは犠牲になったのだ)

 

狙い通りわたしの前に顔を突き出す姿勢になりましたね。

 

ゴリッ、パァン!!

 

「うわわわっ!? またいきなり撃ったよ!? この子確実に殺しに来てたよ今!!」

 

「………チッ、ゼロ距離でもダメか」

 

拳銃を駄兎の額に押し当ててのゼロ距離発射だったのですが、どうやったのか躱されました。本当に何をしたんでしょう? 身をひねった? それともISの装備的な何かで? この女は謎すぎます。殺せる自信がなくなってきました。 

 

「束、さっきからうるさいぞ」

 

「いやいやちーちゃん!? そりゃ騒ぐよ! さっきからスルーしてたけどいい加減おかしいよね! ねぇいっくんに箒ちゃんもそう思うよね!?」

 

「はぁ……姉さん。真季奈をなにか怒らせるようなことしたんじゃないですか? 早く謝ったほうがいいですよ」

 

「そうですよ束さん。志波さんがここまで人を嫌うなんてよっぽど酷いことしたんじゃないです?」

 

「なにその反応!? 殺人未遂の被害者だよわたし! なんで加害者に謝れなんて言われるの!?」

 

『『だって姐さんのやることだし』』

 

「ガッデム!!! 君たち洗脳されてない!? これ大丈夫なのちーちゃん!!?」

 

「だからうるさいと言っているだろう束」

 

「もうわたし泣いてもいいよねぇ!?」

 

泣いて果ててしまえ。

 

「それで束。『紅椿』はISを二機牽引しても問題ないか?」

 

「……あ、本気でさっきのはスルーするんだ。……もういいよ。うん! よゆーだよ!」

 

なんか若干落ち込んでますね駄兎。それでも後半で盛り返してますが。

 

「織斑先生! わたくしと『ブルー・ティアーズ』なら必ず成功させてみせますわ!」

 

あ、なんかオルコットさんが作戦から外されそう。というかされるなこりゃ。

 

「オルコット、パッケージのインストールは済んでいるのか?」

 

「そ、それは」

 

まだか。じゃぁ駄目ですね。時間がない。

 

「よし決まりだ! 作戦は真季奈、織斑、篠ノ之の三人で取り掛かる。目的は目標の追跡及び撃墜。作戦開始は三十分後。各員、ただちに準備に取り掛かれ!」

 

 

 

 

 

 

という訳で、ただいま作戦のための準備をしています。

 

織斑一夏はオルコットさんに高速戦闘のレクチャーを、箒ちゃんは駄兎による『赤椿』の説明と作戦に合わせた仕様の設定を行なっています。

 

わたし? わたしは『天蓋王』の追加装備を取り付けているところです。

 

「真季奈。そのエネルギーパック? だったか、いきなり実践で使えるのか?」

 

織斑先生が様子を見に来てくれました。わたしは自分で設定とか全部できるんで特に誰かに手伝ってもらう必要がないので。

 

「テストをする暇もありませんからしょうがないですよ。それともう一つ追加装備がありますのでそっちの方が心配ですね」

 

「『因果王砲』(いんがおうほう)か……。もしも不良品だったらすぐに捨てろよ? インストールの時間は大丈夫か?」

 

「当然です。大丈夫です、五分で終わりますよ」

 

追加装備は二つです。

 

まずは『エネルギーパック』。その名のとおり、S.Eを充填したパックです。一つでIS一機分の容量ですが、これを五個連結させて『天蓋王』の背面に装着します。これは必須です。『エナジーウイング』は使用時間が極端に短いからです。こうやって無理矢理にでも増やしてやらないと作戦ポイントまでたどり着けませんからね。

 

もちろんこの装備、競技用には使えません。そりゃS.Eの残量で競う試合で自分だけ回復するのは反則なんてレベルじゃないですからね。制式採用は軍用ISにです。……なんでわたしがテストせにゃならんのだ?

 

次に追加武装の『因果王砲』です。はい、因果応報とかけたシャレですね。担当者出てこい。ぶっ飛ばしてやる。追加というか、右腕を丸ごと交換しています。『天下騒乱』で吸収したS.Eを放出して相手にぶつける武装なんですが……何回か前の試作機で爆発したんですよねー。大丈夫かこれ?

 

「作戦中はお前が指揮を取れ。素人の面倒を任せることになる。すまんな」

 

「正直オルコットさんが参加できないのは痛いですね。欲をいえばラウラちゃんも欲しかったです。まぁなんとかしますよ」

 

軍事訓練を受けているのとそうでないのでは全然違いますからね。命令違反、自分勝手な行動。素人は無自覚でやりやがる。もしもやりやがったら切って捨ててやる。

 

「姐さん。情報はこちらから逐一報告します。ご武運を」

 

「真季奈、気を付けてね? 無事に帰ってきてよ?」

 

ラウラちゃんとシャルロットさんが激励に来てくれましたね。なんだか新鮮ですねこういうのも。

 

さてそろそろですね。

 

「織斑先生、二人を呼んでください」

 

「あぁ」

 

作戦開始時刻まであと十分ちょっと。すこし気合を入れておきますか。

 

「こっちは準備できたぜ」

 

「わ、私も大丈夫だ」

 

「そうですか。作戦中はわたしが指揮を取りますのでちゃんと従ってくださいね?」

 

「あぁ」

 

「わかった」

 

では、

 

「お前らの仕事はなんだ!!?」

 

『『姐さんの下僕となって従うことです!!』』

 

「貴様らケツの青いヒヨッコ共のせいでわたしは面倒きまわりない! 情けないと思わんのか!!?」

 

『『申し訳ありません!!』』

 

「だったらミスをするな! 勝手な行動をするな! 貴様らは駒だ! 家畜だ! わたしの言うことを聞くしかない哀れな無能の集まりだ! 理解したか足でまといが!!」

 

『『イエス、マム!!!』』

 

「よろしい! だったらテメェら、出入りじゃオラぁああああ!!!」

 

『『『うぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!』』』

 

拳を振り上げて気合をいれます。するとどうでしょう? 織斑一夏や箒ちゃんだけでなく、周りにいた学園の先生やオルコットさん達まで一緒に雄叫びを挙げたではありませんか。素晴らしい一体感です。

 

「え? なにこの学園? もうこれクラスというより軍隊とかヤ●ザだよね?」

 

うっさい駄兎が。水指すなボケ。

 

ではそろそろ本当に行きますか。時刻が十一時半。三人で海に立ちます。

 

「では行きますよ? デウス」

 

『あぁ』

 

「来い、『白式』」

 

「行くぞ、『紅椿』」

 

全身が光に包まれ、ISアーマーが構成されます。PICによる浮遊感、パワーアシストによる力の充満感、ハイパーセンサーによる五感の鋭敏化によって全身の感覚が強化されます。

 

「では織斑一夏は『紅椿』に乗っかってください。箒ちゃんは指示されたポイントまで運搬係です。理解してますね?」

 

「おう。よろしく頼むな、箒」

 

「本来なら、女の上に男が乗るなど私のプライドが許さないが、今回だけは特別だぞ」

 

「え? つまり箒ちゃんは騎乗位とバックしか認めない、と?」

 

『『ブーーーーー!!!』』

 

「大胆ですねぇ。箒ちゃんは文字どおり尻にしくタイプですか。今晩にでもチョメチョメするんですかねぇ?」

 

「ななな何を言ってるんだお前は!?」

 

「そういう意味じゃないからホント!!」

 

「さて、行きますか」

 

『『お願いだから話を聞いてください!!!』』

 

だが断る!!

 

ほら、本当にもう行きますよ?

 

 

作戦開始です。

 

 

織斑一夏は箒ちゃんの背中に乗り、わたしは箒ちゃんの手を取って並んで飛びます。エナジーウイングは使わず、両手足の『展開装甲』だけで加速します。『赤椿』引っ張ってもらう形になりますがこれで大分S.Eの節約にはなります。

 

「す、すげぇ! なんだこのスピードは!? 瞬時加速と一緒かそれ以上じゃないか……!」

 

「あぁ凄いな。これが真季奈が見てきた世界か……」

 

いやこの『紅椿』もかなり凄いですよ? あっという間に目標度五百メートルにまで上昇しちゃいましたよ。完成度は『天蓋王』のそれを圧倒的に上回っていますね。ちくせう。

 

「暫時衛生リンク確立……目標一確認。箒ちゃん、どうぞ」

 

「分かった」

 

そのまま箒ちゃんは『紅椿』の両足、背中の『展開装甲』をその名の通り展開させてそこからエネルギーを噴出させて更に加速させます。

 

「これが『展開装甲』。『雪片弍型』の完成系か……」

 

「あぁ、そういえばそんなことも言っていましたねあの駄兎」

 

なんとまぁ、『白式』の武装である『雪片弍型』は試作型の『展開装甲』だったようで。つまり『白式』も第四世代型ISということになりますね。どおりでわたしのエナジーウイングに似てると思ったんですよ。展開してビームを放出するところとか特に。あと燃費の悪さとか……。

 

「見えたぞ一夏! 真季奈!」

 

ハイパーセンサーの視覚情報が自分の感覚のように目標を映し出します。

 

『福音』は資料にあったように全身が銀色に輝く全身装甲《フルスキン》。頭部から生えた一対の大型ウイングが特徴の機体。レベッカの話によればアレが張るビームの弾幕はこちらの接近を許さないとか。

 

撃たれる前に斬る!

 

問題は不意打ちに失敗した時だ。『福音』はすでにレベッカとの戦闘を経験してる。こちらの存在に気づけば必ず迎撃してくるだろう。

 

「箒ちゃん加速を。接敵まで十秒です。織斑一夏は構えて。たとえ相手がどんな動きを見せても速度を落とさず振り抜きなさい」

 

『『了解!!』』

 

五、六、七、『福音』との距離が詰まっていきます。わたしは『紅椿』から離れてエナジーウイングを全開にします。

 

加速。瞬間的ではありますが『紅椿』よりも速度をあげた『天蓋王』は誰よりも早くに『福音』の前に出ます。

 

出鼻をくじく!

 

「はぁあ!」

 

「La!?」

 

『天墜』を斬馬刀形態で振るい、『福音』を横薙ぎに払い飛ばします。もちろん織斑一夏たちの方へ。

 

『福音』は体制を崩したまま吹き飛ばされた。これなら迎撃は不可能だろう。

 

「今だ、翼を斬れ!!」

 

「おぉおおおおお!!!」

 

織斑一夏が『雪片弍型』を振りかぶって瞬時加速を行いました。直線的な加速、しかし不意をつき、相手に余裕を持たせずに斬りかかるには上出来です。

 

ザンっ!

 

見事、とは褒めすぎでしょうか? 織斑一夏の一撃はしっかりと『福音』の頭部から伸びた大型ウイングの片翼を斬り飛ばしました。

 

「箒ちゃん! 射撃武器で追撃! 足を止めて! 織斑一夏は離れて!」

 

「お、おう」

 

「わかった!」

 

箒ちゃんが両手にもった刀、『空我』を振って帯状の攻性エネルギーを何度も飛ばす。それは『福音』の周囲で展開し、逃げ場をなくす。

 

足が止まった!

 

わたしは箒ちゃんと『福音』を挟んだ対角の位置から加速して近づきます。

 

「その首もらった!!」

 

左手を前に突き出して『福音』の頭部を掴みに掛かります。これで相手のS.Eを全て奪い取ってやればこちらの勝ちです!

 

「大変だ! 船がいる!!」

 

……………は?

 

織斑一夏の示す方向、そちらに船籍不明の船が海上を漂っていました。

 

何故? IS学園の海上封鎖は? まさか密漁船? こんなときに?

 

一瞬、様々な考えが頭をよぎります。その一瞬が致命的だった。

 

「La、LaLaLaLa♪」

 

「しまっ」

 

残った片翼、それに搭載された方向がこちらを向きます。狙われた!

 

咄嗟に、エナジーウイングを全面に閉じて壁にします。『天蓋王』は足を止めてしまいましたが、そんなことを気にする間もなくビームの雨が降り注ぎます。しかもただのビームではなかった。着弾と同時に爆発するエネルギー弾丸だ。衝撃で機体を動かせない!

 

「真季奈!」

 

箒ちゃんが援護にこようとします。………いけない!

 

「こないで! こいつは引きつける! 箒ちゃんは織斑一夏と船を安全な場所まで誘導させる!!」

 

「しかし!」

 

「言うことを聞け!!」

 

「くっ、分かった」

 

『紅椿』はここまでの移動と先程の攻撃、『白式』は『零落白夜』の発動と瞬時加速でS.Eがもう残り少ない筈だ。戦闘に参加させるわけにはいかない。

 

背中の五連結のエネルギーパックが一つ爆散する。残り四つ。まだ持つ。

 

「そういうわけだ。相手してもらうぜ『福音』さんよぉ?」

 

気持ちを切り替えろ。ここから先は一対一で相手は手負いだ。

 

相手の死角、斬り落とされて失ったウイングの方から周りこむ。『福音』は体ごと向きを変えて残った大型ウイングを、『銀の鐘』《シルバー・ベル》を撃ち出す。わずかなスキだ。それでもないよりはマシ。

 

「あいつ、腕を前に出すのが癖なの?」

 

『福音』は砲撃の最中両腕を前に突き出していた。まるで前へ習えのポーズだ。

 

癖? 

 

もしもあれが本当に「ALICE」をインストールされたことが原因で暴走しているとしたら………。

 

『真季奈、今アイツの中で人格の主導権は『どっち』が握っていると思う?』

 

「『福音』かもしれない。癖なんて覚えているのがおかしいし」

 

そもそも何故「ALICE」がISを暴走させるのか。それはISコアの中には人格が宿っているという説がある。そして「ALICE」も人工AI、つまりひとつの人格だ。ISコアという一つの入れ物に二つの人格を詰め込む。そんなことをすれば拒絶反応を起こしてしまう。それが『暴走』だ。

 

つまり身体を得たばかりの「ALICE」が『腕を前に出して砲撃する』なんて癖を持っているはずがない。あの癖は『福音』とその操縦者が作り上げてきたはずのものだから。

 

………ならこの暴走は?

 

「志波さん!」

 

「なっ!? 織斑一夏!!」

 

馬鹿な! なんでここに!?

 

戦闘中域に織斑一夏の姿があった。わたしは退避を命じたはずだ!

 

「密漁船なら安全な場所まで逃がした! だから私たちも戦う!」

 

「そういう問題じゃない!」

 

なんと、箒ちゃんまで……。どうする? 二人のS.Eはあとどのくらい持つ?

 

「……しょうがない。わたしが動きを止める! 合図をしたら攻撃しろ!」

 

『『わかった!!』』

 

あぁ畜生。とにかく二人を戦闘に参加させないようにしなくては。このままじゃ帰還することもできそうにない。

 

わたしは『天墜 斬馬刀』で『福音』に斬りかかる。途中、砲撃による牽制があったがエナジーウイングと『展開装甲』を全開にしてすべて躱しながら接近する。

 

ボン!

 

背中のエネルギーパックがまた一つ弾けた。思ったより消費が早い。所詮は試作機か。

 

「はぁあ! チェェス!!」

 

わたしの一撃は確実に『福音』に入った。左肩から胸をかけての一撃。絶対防御が発動してS.Eを削ったはずだ。

 

体制が崩れた。

 

「今だやれ!!」

 

「おぉし!」

 

そして、織斑一夏は『零落白夜』を発動させた一撃を、真っすぐに振り落とした。

 

………わたしに。

 

「がっ!?」

 

六基あるエナジーウイングが二つ切り裂かれて爆散した。背中が痛い。S.Bを無効化するというのはこういうことか。

 

「よし、わたしも! とどめぇ!!」

 

「箒ちゃんも!?」

 

『紅椿』の打突。『雨突』という刀から放たれたエネルギーは『天蓋王』の脚部を吹き飛ばす。

 

やばい! バランスが……姿勢制御を。

 

しかし、『紅椿』の攻撃は止まない。連続して放たれる『雨突』の攻撃は、こちらの装甲を蜂の巣にしていく。

 

『よせお前達!!』

 

デウス、二人のISコアを解析してください。なにかおかしい。

 

「うぉおおおおお!!」

 

駄目になったのは右のスラスター二つ、左足、『天墜』もか。あぁヤバイ。織斑一夏、日頃の恨みにしちゃやりすぎじゃないですか?

 

『だから止めろ一夏!! 相手は真季奈だぞ!!』

 

「え?」

 

ドガッ!!!

 

あぁ痛い……。頭に一撃とはやってくれますね。S.B無効化するんだから死んじゃうじゃないですか。

 

『二人のコアを解析完了! ハイパーセンサーにジャミングがかけられてる!! 二人には俺たちが『福音』に見えているぞ!』

 

……なるほど、そういうことですか。

 

ハイパーセンサーはISが入手した情報を操縦者の脳にダイレクトに送られる。だからこそ常人をはるかに超えた五感の情報を得ることができる。だからもし、その情報が間違っていたら? 当然操縦者は気づくことができない。何故なら、ISを纏っている間は目で見るもの、耳で聞くもの、肌で感じるもの全てがISの情報によるものだからだ。

 

それを書き換えることができる人間なんて……あぁそうか。

 

気づいた。この戦場にいるIS。もしも『福音』の暴走があの駄兎のものだとしたら。ここにいるISは『白式』、『紅椿』ともにつくったのは誰だ? 駄兎だ。 どれも駄兎による作品。異物はわたしの『天蓋王』のみ。

 

やれれた。あの女!!

 

『解析完了!! ジャミングを強制解除したぞ!!』

 

凄いですねデウス。でも、もう遅いかも……。

 

「あ、あぁあああああ!!! し、志波さん!!? ど、どうして!? 俺!!?」

 

「ま、真季奈!?」

 

ようやく視覚情報が正常なものになったのか、二人は顔を青ざめてわたしを見ます。

 

翼を二つ失い、左足は損壊、所々の装甲が穴だらけで頭からは血を流して真っ赤になった金髪。そんなわたし、志波真季奈の姿を。

 

「二人とも、作戦は失敗です。殿はわたしが勤めますので撤退を」

 

「な、何を言っているんだ!? お前も一緒に!!」

 

「これは命令です。言ったでしょう? わたしの言うことを聞くと」

 

「そんなこと!」

 

『来るぞ!!』

 

今まで静観していたのが不思議ですが、『福音』襲いかかってきました。妙ですね? まるでわたしが襲われている間、待機を命じられていたような……。

 

「もう一度言います。逃げてください。これは『最後』の命令です」

 

「最後って、真季奈!?」

 

「……すーー、ふっ!!」

 

残ったエナジーウイングを全開にして大きく広げ、手足の『展開装甲』をフル出力で稼働させます。そのまま『福音』のもとへ加速。

 

「La!?」

 

「貴方には悪いですが、わたしと海中デートとシャレこもうではありませんか」

 

右手を開いて、掌底を『福音』の胸に打ち込みます。そのまま機体を海へと走らせます。

 

『『真季奈!!』』

 

ドガッ!! ガキッ!!

 

『福音』はこちらの思惑に気づいたのかどうなのか、わたしに拳で何度も打ち付けてきます。痛いじゃないですか。

 

「あぁあああああああああああああああ!!!!」

 

右手の追加装備、『因果王砲』を発動します。掌から放出されるフィールド状のエネルギーが『福音』を海面へと押し付けていきます。

 

「海がっ、エネルギーの放射で、割れるっ!?」

 

出力を全開にした『因果王砲』はその出力で『福音』の後ろの海水を押しのけていきます。これで動きを封じた……。

 

ボボン!! エネルギーパックが二つ同時に弾けた。もうそんなに持たないか……。

 

『早く逃げろお前ら!! 真季奈を想いを無駄にするつもりかぁぁっ!!』

 

「くっ、ちくしょおおおおおおおおおおおお!!!」

 

「すまない真季奈! すまないっ」

 

やっと二人が行ってくれました。

 

「ちゃんと帰るまでエネルギーが持つといいんですが……心配ですね、デウス」

 

『もうよせ真季奈! お前まで!!』

 

まだです。もう少し……!!

 

ドガッ! ドガッ! ドガッ! ドガッ!

 

しつこい! いい加減落ちろ!

 

ボン! 最後の一つが死んだ。あと一分ももたないですね。

 

『真季奈ぁ!!』

 

ドシュ! グチュァ……。

 

「がっはぁ!!?」

 

とうとう『福音』の一撃が腹部を貫いた。S.Eが切れたことで絶対防御も発動しなくなりましたか……。

 

「……これで、最、後です。付き合ってもらってありっ、がとうございますね」

 

ふっ、と放出していたエネルギーが消える。それと同時に押し広げられていた海水が元いた場所へ戻ろうと『福音』と『天蓋王』を覆い隠していく。

 

その間際、『天蓋王』の右腕が再び輝く。『因果王砲』によるエネルギーの放射をあえてセーブし、光弾にしてぶつけたのだ。

 

「弾けろぉっ!!!」

 

海中を、眩い光が包んだ。

 

……あ。

 

 

『また一緒につくろうか?』

 

『………不本意ですが、お願いします』

 

『うん了解』

 

 

約束、守れなかったなぁ。

 

志波真季奈の意識は爆発とともに掻き消えた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「束ぇええええええ!!! これはどういうことだぁ!!!」

 

監視衛生からの映像で状況を見ていた織斑千冬は激怒していた。もはや悪鬼羅刹のごとくだ。この状況、明らかにISの暴走事件ではない。誰かに仕組まれたものだった。

 

そんなことができるのは誰か? 決まっている。直前まで『赤椿』、『白式』を整備していた篠ノ之束以外にありえなかった。

 

「!? いない! どこに行った! 誰か見た者はいないか!!」

 

「いつの間に! スミマセン、気づいたらもう!」

 

「おのれぇえええ!!」

 

自分の爪で肉を裂き、血が出るほどに拳を握り込む。あまりの悔しさ、自分の不甲斐なさに腹が立つを通り越して憎しみすら感じていた。

 

なぜ自分はあの馬鹿をさっさと拘束しなかったんだ!!

 

篠ノ之束は幼い頃からの親友だ。今でも一応はそう思っている。その相手が自分の大切な志波真季奈の恨みの対象だとしてもだ。だからこそ、朝からの真季奈の蛮行を黙認してきた。気の済むままにやらせてあげたいと。どうせ束を殺すことはできないからと。

 

その結果がこれか!!

 

もう自分も容赦はしない。次に出会った時がお前の最後だ、束ぇっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海中。

 

『真季奈! 返事をしろ! 真季奈ぁ!!』

 

『福音』の姿はない。爆散したか、海流に流されたかだろう。そんなことはどうでもいい。

 

真季奈の意識が戻らない。海中で、機体がもう自壊寸前だというのにだ。沈没も止まる気配がない。

 

『クソっ! クソっ! クソっ! ちくしょおおおおおお!!!』

 

《およ? まだ生きてたんだ。しぶといねぇ~》

 

『貴様!? どういうつもりだ! 篠ノ之束!!』

 

《なんのことかな? 『福音』を暴走させたこと? それとも箒ちゃんやいっくんにマッキーを攻撃させたことかな?》

 

『なっ!?』

 

篠ノ之束が突然わずかに生き残っていた回線に割り込んできたかと思うとそんなふざけたことを言ってきた。

 

この駄兎がぁ!!

 

《マッキーさ、はっきり言って目障りなんだよ。十全にして天才の束さんが作れなかった人口知能を完成させたり? 束さんよりも先に第四世代型ISを完成させたり? それとかはいいよ。わたしと同じくらいの天才がいてくれたほうが楽しいし? でもさ、ちーちゃんや箒ちゃんにいっくんを取ったことは許せないかなー?》

 

『貴様こそ! 真季奈からさんざん奪ってきただろうが!!』

 

《うるさいなー。知らないよ。いい加減面倒だなぁ、飽きてきたよ。だからさ》

 

 

………イナクナッチャエ。

 

 

『こ、の、クソアマガァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』

 

ブツン!

 

回線が切れた。どうやら本当にこちらへの興味がつきたのか。それはこちらも同じこと。それどころではないのだ。

 

……機体損壊率70%を突破。……このままでは機体が自壊します。急いで修復と補給を要請します。

 

『うるさい! 今は真季奈の命が先だ! さっさと残ったエネルギーを全て生命維持に回せ!!』

 

……操縦者の体内への海水の侵入を遮断。出血がまだ続いています。これ以上の延命措置はエネルギーが足りません。

 

『それは機体の維持にまわしてる分があるからだろう!! 俺は全てを真季奈に使えと言っているんだ!!!』

 

……それは貴方の機能停止を意味しますが?

 

『知ったことか!!! 真季奈を守れ! それが『俺達』のするべきことだろう!!!』

 

……了解しました。それでこそ私の王様です。

 

『なに?』

 

……呼んでください。私の名前を。そして共に……。

 

『おい待て! どういうつもりだ「   」!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴメン箒。俺、やっぱりもどるよ」

 

「一夏。分かった。私も行く。真季奈を迎えに」

 

花月荘に帰還中、織斑一夏と篠ノ之箒はその足を止め引き返す決意を固めた。S.Eは残り少ない。戻ってもできることはなく、逆に自分たちがIS学園からの救助を待つことになるだろう。

 

それでもこのまま帰ることなどできなかった。仲間を、友達を置いてなど。

 

「急ぐぞ!」

 

「あぁ!」

 

全力で引き返す。S.Eの残量など関係なかった。今は一刻も早く真季奈達のところへ。

 

「……この辺のはずだが」

 

「くそ、どこだ志波さん! 志波さーーーーん!!」

 

つい先程まで自分たちが戦闘をしていた場所まで戻ってきた。そこには誰もいなかった。『福音』も、志波真季奈の姿も。

 

「一夏! アレを!!」

 

箒が海を指さした。

 

「海が、光ってる!?」

 

「天…?」

 

海面に浮かび上がってきたのは『天』の一文字。

 

それを見た瞬間、海が爆発した。

 

 

『テン! ガイ! オウ! ォオオオオオオオオ!!!!!』

 

 

「なんだあのISは!?」

 

「この声、デウスか! 志波さんは!?」

 

現れたのは背中に漢字の『天』を模した三対六基の大型の背部スラスターを持った全身装甲のIS。四角い箱のような手足、額に角の付いたヘルメットを被ったような頭部に緑に輝くツイン・アイ。

 

志波真季奈が好きだったアニメのロボットのような出で立ちだった。

 

『殺す……殺す!! 殺してやる!! 復讐だ、これは俺の復讐だぁ!! 篠ノ之束ぇええええええええ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花月荘から遠く離れてない海岸。そこから沖の向こう、目に見えない風景を自慢の移動型ラボ、「吾輩は猫である」《名前はまだない》でのぞき見している影がひとつ。

 

「あはははっ!! やったー! だーいせーいこうーーー!!! 生まれた! とうとう生まれたよ!!! ハッピーバーースデー!!」

 

両手を天に挙げてクルクルと回る彼女、篠ノ之束は歓喜狂乱の笑みを浮かべる。

 

「さぁ! これで始まるよ! 私の思い描いた『不思議の国』が!!」

 

展開した空中ディスプレイに映る自分を狙う『天蓋王』を愛おしげに見る狂者は言う。

 

 

「ね、デウス・マキナ!」

 

 

 

 




((((;゚Д゚))))……マキナ

↑ こんな心境です。

とりあえずサンドバック(一夏在中)を置いておきますので好きにしてやってください。

ようやく主人公(真)が出せました。

僕は勇者ロボが大好きです。初めて見たのがマイトガイン。大好きなのはガオガイガーです。

でも脳内モデルのテンガイオウはガン×ソードのエルドラⅤだったりします。(胸の鳥はナシで)

次回もお付き合い頂けたら嬉しいです。

それでは。
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